房総半島

伊予ヶ岳登山|初心者におすすめのコースをご紹介!季節ごとの房総のマッターホルンの楽しみ方!

伊予ヶ岳は東京からアクアラインで1時間半の距離の南房総にあり、「房総のマッターホルン」と呼ばれ親しまれている山。スリル満点のクサリ場を越えた山頂からは東京湾を見晴らす絶景が!汗をかいた後は、海辺の温泉で疲れを癒し地元グルメを満喫しましょう。

伊予ヶ岳ってどんな山?名前の由来は?

千葉県で山名に唯一「岳」が付いた伊予ヶ岳(336.6m)は関東百名山や日本百「低」山にも選ばれた魅力たっぷりな山です。
その名前は石鎚山の別名「伊予の大岳」に由来し、低山ながら鋭い岩峰を持った姿から「房総のマッターホルン」と親しみを込めて呼ばれています。
登山口から山頂まで一時間弱の短い行程には、スリル満点のクサリ場や東京湾を見下ろす絶景など多くの楽しみがギュギュっと詰まっています。

伊予ヶ岳のコースタイムと難易度

標準コースタイム: 1時間40分
登り: 284m
下り: 284m
距離:2.5km
行程が短いので体力に自信のない方でもチャレンジ可能。初めてクサリ場を経験するには最適なフィールドです。

伊予ヶ岳 春~夏の魅力と服装の注意点

早春、千倉にある白間津のお花畑では1月から3月にかけてキンセンカやストックなどの花が咲き揃い、花摘みが楽しめます。インスタ映えする写真撮影にもおすすめのスポット!
見頃を迎えた菜の花畑と青い海のコントラストが美しい海辺の農園では、イチゴ狩りも楽しめます。
山の新緑も美しく頃。鳥のさえずりを聞きながら散策するのが楽しい季節です。

初夏になると、地元名産のビワが食べ頃を迎えます。
山では山歩きは熱中症などのリスクが高まってきます。 暑さを我慢して登っても海からのガスで眺望が望めない夏に、房総の山はあまりお勧めできません。同じエリアにある鋸山へ8月に行ったときは、マムシや蜂の集団に出くわして怖い思いをしました。

春~夏の服装の注意点

季節が一足も二足も早い南房総。
春先から暑さや紫外線対策に気を付けてください。
じっとりまとわりつくような暑さで体力も体の水分も気付かないうちに消耗します。
こまめな水分補給。塩分も忘れず補給しましょう。
蒸し暑い日に長袖なんて見たくもないものですが、肌に一番近いインナーは吸湿速乾性に優れたドライレイヤーを着ると快適さがアップします。ドライレイヤーが汗を逃がしてくれるので素肌はいつもドライでベトベトしません。
低山は虫も多いので虫除けと虫刺されの薬も必ず装備に加えてくださいね。

伊予ヶ岳 秋~冬の魅力と服装の注意点

伊予ヶ岳へ登るのは暑さが落ち着いた秋頃からが良いでしょう。
この頃、地元の海では伊勢海老のシーズンが始まります。
知らない方も多いと思いますが、伊勢海老の漁獲高日本一はここ千葉県。
南房総でもシーズンが始まると地元の食堂に新鮮な伊勢海老料理が並びます。
地元だけあってお値段もリーズナブルで獲れたてピチピチ!ぜひ一度は味わってみてください。

伊予ヶ岳登山のお勧め時期は冬

積雪の心配がなく、新年を迎えるころには街のシンボルでもある水仙が咲き乱れます。
水仙の見ごろは1月~2月頃。道の駅富楽里から歩いて行ける水仙ロードは一見の価値があります。静かな森に咲き誇る水仙の甘い香りにうっとり癒されてくださいね。

そして、空気の澄んだ冬の楽しみは何といっても素晴らしい眺望。
南峰(336m)の断崖に立てば、富山(349m)の双耳峰。晴れた冬の日には東京湾越しに伊豆半島や富士山も望めます。
振り返れば御殿山(364m)や千葉の最高峰・愛宕山(408.8m)などが連なる房総の深い自然が一望できます。

秋~冬の服装の注意点

温暖な南房総とはいえ冬は寒いので、防寒具も必要です。
歩いている間は汗をかきますので、こまめな衣類調整で衣類が汗で濡れないように気を付けてください。
手や首は冷えやすいので手袋やネックウォーマーなどで守ると良いでしょう。
保温水筒も忘れずに持っていきましょう。
休憩中に一口のお湯を飲むだけで体が温まり疲れが癒えるはずです。
お湯の効能は素晴らしく、私は冬だけでなく暑い夏もお湯を入れたテルモスを山には必ず持っていくようにしています。
保温性に優れたテルモスならバーナーを持って行かなくてもあったかいお茶やコーヒーはもちろん、カップ麺まで作れるそうですよ。

伊予ヶ岳の登山口までのアクセス

登山口の平群(へぐり)天神社までは、東京からアクアラインを使って1時間半。富津館山道路・鋸南富山ICを下りて20分ほど県道を走ると、サルの横顔のような伊予ヶ岳が見えてきます。神社の鳥居をくぐった先に無料駐車場がありますが、スペースに限りあるのでお早目の到着を。

今回ご紹介するのはマイカー利用を前提とした南房総満喫プランですが、公共交通機関を利用して東京から日帰りも可能です。
その場合は、JR内房線岩井駅から南房総市営バス富山線で登山口の平群(へぐり)天神社最寄りの「天神郷」バス停で下車するか、東京駅から高速バスで「ハイウェイオアシス富楽里」まで直行して富山と伊予ヶ岳をのんびり縦走するのも良さそうです。

初心者におすすめのコース解説

山行時間:1時間10分

平群神社~東屋

神社の鳥居をくぐるとイケメンな狛犬が出迎えてくれます。
ここでトイレに立寄り、平群神社に安全祈願をして行くのも良いでしょう。

道なりに廃校の前を過ぎると登山口があります。
梅林に突き当たったら左へ。竹林から徐々に樹林帯に変わると段差の大きい階段の登りがはじまります。
頑張って登りきったところにある東屋の脇を数段上がると、富山と東京湾が一望できる展望台があります。
ここで一息入れたら、いよいよロープとクサリを頼りに登る岩場!

東屋~伊予ヶ岳南峰~伊予ヶ岳北峰

  • 初心者向けポイント
混雑しているときは登りと下りのすれ違いに注意が必要。
足場はかなりザレていて滑るので、クサリやロープをしっかりつかんで一歩ずつ、落石させないよう慎重に登ります。
同じロープに複数の人がつかまると振られて滑落する危険があるので、前の人が次のフィックス(ロープやクサリが固定されているポイント)を通過するまで待ってから進みましょう。

ロープとクサリの斜面を越えると南峰。

クサリで囲まれた断崖絶壁の上に立てば低山とは思えないダイナミックな眺望!
そして、山頂から見下ろすのどかな里の風景は低山ならではの景色ですね。

南峰から北峰へ。

偽ピークを越えてザレた細い道を登り返したら北峰。
ここからは、南峰が手を振りあえる距離で見えます。
上に立った時はわかりませんが、北峰から改めて南峰を見ると切り立った断崖に驚くはずです。

山頂から海を見下ろす大パノラマを楽しんだら、来た道をゆっくり下山。
クサリ場の下りがあるので気を抜かずに気を付けて下りましょう。

下山後の楽しみ

下山後は道の駅「富楽里」でお買い物。
1Fは獲れたて野菜と漁港直送の海産品が並ぶ直売所。地元の方々にも大人気で売り切れ御免の盛況ぶりです。
2Fは漁業組合が運営する食堂「網納屋」があります。漁港直送の新鮮海鮮丼や煮魚定食など何を食べても間違いなし!こちらも人気店なのでランチ時には入店待ちの行列ができます。
同じフロアには総菜屋さんも軒を並べていますので、こちらでテイクアウトしていただくこともできます。
さんが焼き(なめろうを焼いた地元の味)やクジラのメンチカツ。近藤牧場のソフトクリームなど南房総の味覚が堪能できます。
道の駅富楽里とみやまHP

お腹を満たした後はお風呂へ。

近場には岩婦温泉もありますが、浜金谷まで行けば広い海を見ながらのんびりできる「天然温泉海辺の湯」や、少し手前の保田にはテレビなどで有名な「ばんや」に隣接した「ばんやの湯」など日帰入浴できるお風呂が多くあるのもうれしいですね。
天然温泉海辺の湯HP
ばんやの湯HP
下山後の楽しみが盛りだくさん。
気付けば夕暮れ時・・。

穏やかな内房の海に沈む夕焼けは息をのむ美しさです。
時期が良ければ富士山の大きなシルエットに真っ赤な太陽が沈んでいくドラマチックなショータイムに出会えるかもしれません。