「ソロティピー1TC」は、バンドックから2020年の新製品として発売されたワンポールテント。もともと販売されていた「ソロティピー1」に改良をほどこし、機能性を格段に向上させた製品です。
テンマクデザインの「パンダTC+」や「サーカスTC DX」に似ていますが、決してただのパクリ商品ではありません。パンダTC+とサーカスTC DXそれぞれのいいところを取り入れた、非常に優秀なテントなのです。また、冬キャンプを快適に過ごせるテントでもあります。
しかし、ソロティピー1TCは新製品であるため、まだそれほど多くの情報が出そろっていません。そこでこの記事では、ソロティピー1TCの特徴やソロティピー1との違いなどを紹介しながら、詳細なレビューをおこないます。
さらに、実際にソロティピー1TCを使用して、設営と撤収の仕方や使用感を詳しく解説!この記事を読むことで、ソロティピー1TCのすべてがわかります。テンマクデザインのパンダTC+やサーカスTC DXと迷っている方も、ぜひご覧ください。
バンドック(BUNDOK)ソロティピーテント
まずはソロティピー1TCより先に販売されていたワンポールテント、ソロティピー1がどのようなテントであるのかを、ざっとおさらいします。
ソロティピー1は、バンドックの人気商品である「ソロベース」が発売されるよりも前から販売されていたテントです。初心者でも設営が簡単であること、重量2.2kgと軽くてコンパクトに収納できること、インナーテントが付属すること、そして価格が安いことが大きな魅力でした。
上から見たときのテントの形状が正方形であることも特徴で、テント内のスペースを最大限有効に活用できるという点もソロティピー1のいいところ。この形状は、テンマクデザインから販売されているパンダとそっくりです。
出典:amazon
サイズもパンダとほぼ同じですが、価格はパンダの約半分。さらにソロティピー1は耐水圧にも優れており、パンダが耐水圧1500mmであるのに対し、ソロティピー1は3000mm!価格が安いうえに安心して使用できるソロティピー1は、コスパ重視のキャンパーの味方のようなテントです。
ソロティピー1とソロティピー1TCの違い
もともと販売されていたソロティピー1と、新製品であるソロティピー1TCのおもな違いは、以下の5つです。
- テントの生地にTC素材を使用
- テントのすそにスカートを追加
- テント正面にサイドフラップを追加
- 収納時のサイズが大型化
- 重量が増加
テントの生地にTC素材を使用
TC素材とは、「テトロン(ポリエステル)」と「コットン(綿)」を混ぜあわせた素材のこと。TC素材はポリコットンとも呼ばれ、火の粉で穴があきにくいこと、サラリとした質感を持っていることが特徴です。ソロティピー1TCには、ポリエステル65%・コットン35%のTC素材が使用されています。
テントのすそにスカートを追加
テントのすそにスカートを装備しているのも大きな進化です。このスカートが外からの風の侵入を防ぎ、テント内の保温性を向上させています。冬キャンプに使用するテントとしては、とくに重要な装備です。
スカート部分は巻き上げることも可能で、暑い季節には風通しを良くすることができるので、オールシーズン使えるテントです。
テント正面にフロントフラップを追加
そしてソロティピー1TCのもっとも大きな特徴が、テント正面に設けられた大きなフロントフラップ。このフラップを利用すれば広い前室ができることで調理もでき、横からの目隠しにもなるのでプライバシーも守ることができます。
フラップを使用しないときは、巻き上げて収納しておくことも可能です。
サイズや重量の違いを比較
収納時のサイズが大きくなった点と、重量が増加した点については、以下のスペック表をご覧ください。
ソロティピー1TC | ソロティピー1 | |
---|---|---|
使用時サイズ | 240×240×150cm | 240×240×150cm |
収納時サイズ | 44×24×24cm | 60×17×17cm |
重量 | 4.8kg | 2.2kg |
付属品 | ・フライシート ・インナーテント ・メインポール1本 ・サブポール1本 ・ペグ14本 ・ロープ5本 ・収納ケース |
・フライシート ・インナーテント ・メインポール1本 ・ペグ12本 ・ロープ4本 ・収納ケース |
素材 | フライシート:TC素材 インナーテント:ポリエステル ポール:アルミ合金 |
フライシート:ポリエステル インナーテント:ポリエステル ポール:アルミ合金 |
ソロティピー1TCはソロティピー1にくらべ、収納時のサイズが1.5倍ほどに大型化、重量は2倍以上に増加していることがわかります。その原因となっているのは以下の3つです。
- ポリエステルより重いTC素材を使用していること
- 大きなフラップ・スカートが追加されたこと
- 付属品が増えたこと
車を利用してキャンプに行く方にとっては、収納サイズの大型化も重量の増加も、それほど気にならないでしょう。しかし、バイクや自転車を利用する方や、徒歩でキャンプ場まで向かう方にとっては無視できない部分です。
ソロティピー1TCは従来のソロティピー1よりもはるかに快適であるいっぽう、車以外の方法でキャンプへいく方には、少々ハードルが高いテントであるといえます。
ソロティピー1TCのamazonでの値段は?定価はいくら?
ソロティピー1TCのamazonでの販売価格は2021年2月現在では24,800円の定価で落ち着いています。品切れ時には値段が高騰することもあるので、24,800円以上の時の購入は控えた方が良さそうです。
売り切れ?再販の時期は?
ハイシーズンになると、人気のテントなので入荷してもすぐに売り切れしてしまうこともあるので、気になる方は在庫がある時に購入することをおすすめします。
また、再販の時期はだいたい1~2か月程度で入荷されてます。
ソロティピー1TCの設営・たたみ方
ソロティピー1TCの設営の仕方と綺麗に畳まないと収納袋に入れずらいのでたたみ方を写真多めで紹介していきます。
設営方法
正方形になるようにソロティピー1TCを広げます。
ダブルファスナーがある方が背面になります。
4隅のベルトをペグダウンします。
ソロティピー1TCはロープではなくベルトで固定するので、ペグの上部にズレてしまいテントの下に隙間ができやすくなるので、ペグはいつもより角度をつけて打ち込む方がベルトがズレにくいです。
背面のファスナーを開けて中に入り、頂点にポールをあててテントを立ち上げる。
残りの4か所のペグダウンとロープで固定すると完成です。
綺麗なたたみ方
ソロティピー1TCを2枚重ねた状態にします。
半分に折りたたみます。
もう半分に折りたたみます。
三角の形になったソロティピー1TCを長方形になるようにたたみます。
もう半分に折りたたんで丸めます。
インナーは広げて3つ折りにします。
丸めたテント本体を3つ折りにしたインナーで巻いていったら完成です。
綺麗に畳めば二股ポールも一緒に収納袋に入れることができます。
ソロティピー1TCの張り方アレンジ
ソロティピー1TCのフロントパネルはフルクローズの状態では2重構造になっており、フロントフラップを跳ね上げた状態からファスナーで半分に分割することも可能なので、オープンな張り方からフルクローズまで季節や気候に合わせた張り方のアレンジができます。
ソロティピー1TCに合うチェアの高さは?
ヘリノックスのチェアワンでは、フロントフラップの一番高いとこで座らないと天井に頭がついてしまいます。フロントフラップを開けて座ることで対策はできますが
ソロティピー1TCの良さを活かすなら、地べたスタイルかヘリノックスのグランドチェア当たりの高さを使用するほうが良さそうです。
ソロティピー1TCのインナーテント(蚊帳)
インナーテント(蚊帳)の設営での注意点と気になる点です。
ソロティピー1TCのインナーテント(蚊帳)はフロア部分以外はフルメッシュなので風通しも良く夏場でも快適に使用することができ、蚊帳の目も細かいので虫などの侵入も防ぐことができるので夜も安眠することができます。
インナーテントの出入り口となるファスナーの長さが前と後ろと異なるので、設営時には気を付けないといけないポイントです。インナーテントは横向きにも設営できますが、センターポールに近い出入口となる方が短いファスナー、テントの傾斜に合わせて設営する方が長いファスナーと覚えておきましょう。
上部を吊り下げて下部はバックルで固定するだけで簡単に設営することができます。
気になる点としてファスナーの目の前にセンターポールがあるので、出入りが少ししにくいです。
また、フロア部分は耐水圧PU5000mmとなってるので浸水の心配はないと思いますが、薄いので地面の冷たさを感じます。寒い時期にはグランドシートやブランケットの併用をする方が無難です。
ソロティピー1TCにコットを入れてみた
ソロティピー1TCのインナーテント(蚊帳)にNaturehikeのコット(190×65×17cm)を入れてみて気になるポイントや注意点です。
17cmのローコットとしてインナーテントに入れて寝てみましたが、目の前に蚊帳がくることで多少圧迫感があります。
165cmの成人男性で頭に蚊帳が付く程度に寝転んでも足に蚊帳が触れてしまいます。一般的な身長の方で気にならない方は問題ないですが、コットを使用する際は気を付けるポイントの一つです。
インナーテントのフロア部分は薄めなので、硬い地面や砂利がある場所でコットを入れると、コットの脚でフロア部分に穴が開く可能性もあるので注意しましょう。
ソロティピー1TCにタープは必要?
ソロティピー1TCはフロントフラップを使用することで、風よけ・日除け・雨除けといった使い方もできるので、タープ要らずで前室が確保することができるのもうれしいポイントです。
また、インナーテントを使用していない状態で、フライシートの前後を開放するだけで、風が吹き抜けるトンネルのような空間が作れるので、夏に日差しをさえぎるのにとても便利です。
普段からテントとタープの2つを持ってキャンプに行く方は、ソロティピー1TCひとつあれば荷物を削減できます。ソロティピー1TC自体はそれほど軽いテントではありませんが、トータルで考えると荷物の軽量化が実現できるかもしれません。
ソロティピー1TCの二又化
バンドックが販売している二又ポール、「ソロティピー用フタマタ」を使用すれば、ソロティピー1TCの二又化が簡単に実現できます。二又化とは、本来は1本のポールで設営するワンポールテントを、2本のポールを使用して設営するためのカスタムのことです。
ポール1本だけで設営すると、テントの中央部にポールが立っている状態となり、人によってはこれが邪魔に感じられます。二又化をするとポールがテントの壁に沿う状態になるので、テント内のスペースを広々と使用できるようになるのです。
ソロティピー用フタマタ
サイズ | 240×150cm |
---|---|
重量 | 790g |
付属品 | 収納ケース |
- ポール2本
- 二股ジョイント
- ビルディングベルト
フタマタの設営は簡単で2本のポール上部を二股ジョイントで接続し、ポールの下部にビルディングベルトのピンを差し込みテントを立ち上げ、両端をペグで固定するだけで二股化できます。
メインポールで設営するより6cm程二股化することで高くなり、快適に過ごすことができます。
収納時のコンパクトさは少し犠牲になってしまいますが、強風で折れ曲がったりテントが倒れたりするリスクを大幅に軽減でき、快適性も上がるのでソロティピー1TCと一緒に持っておきたいアイテムの一つです。
ソロティピー1TCに薪ストーブを入れてみた
ソロティピー1TCは、薪ストーブを使用するのに都合がいいのも特徴です。
テント後ろ側の出入り口にダブルファスナーが使用されているので、ファスナーを上部だけ開けて、そこから薪ストーブの煙突を出すことができます。
ただし、テント本体はポリコットン製で熱への耐久性はありますが、ファスナー部分の生地素材はメーカーで記載されてませんが、熱ですぐに溶けてしまう素材なので、煙突ガードやバンテージを巻くなどの熱への対策が必要です。
いっぽうで正面側の出入り口はダブルファスナーではないので、そこから煙突を出すためにはちょっとした工夫が必要です。出入り口をファスナーで閉めるのではなく、大きめのクリップではさんで閉めるといった方法もあります
テントの正面側に設置するか後ろ側に設置するかを、シチュエーションによって使い分けられるのはとても便利です。
また、薪ストーブを使用するのであれば、二又化をしておくことをおすすめします。薪ストーブに場所を取られても、快適に過ごせるだけのスペースを確保できます。
ただし、そもそもテント内では火気厳禁です。テント内で薪ストーブを使用すると、火災や一酸化炭素中毒の危険性があることを忘れてはいけません。
テント内で薪ストーブを使用する際には、「周囲に燃えやすいものを置かない」、「しっかり換気をする」などの対策をし、あくまで自己責任のもとでおこなってください。
ソロティピー1TCのグランドシートのサイズは?
出典:amazon
ソロティピー1TCは床がないフロアレスタイプのテントです。そのため、テント内で靴を脱いで過ごしたい場合はグランドシートを使用する必要があります。バンドックからソロティピー1用のグランドシートが販売されているので、ソロティピー1TCを購入する際にはそちらもチェックしましょう。
しかし、バンドックのグランドシートはサイズが190×190cmと少々小さめです。240×240cmサイズのソロティピー1TCでは、地面が露出してしまいます。地面が露出するのを避けたい場合には、もう少しだけ大きなグランドシートを使うといいでしょう。
ただし、サイズが240cmを超えるグランドシートを使用すると、雨天の日には雨がテント内まで侵入してしまいます。それを回避するために、グランドシートは240cm以下のものを選ぶのがベストです。それより大きいグランドシートを使用する場合には、折り畳んで敷きましょう。
ソロティピー1TCを雨の日に設営してみた
ポリコットンはポリエステルに比べ雨には強くないですが、防水加工が施されてるソロティピー1TCを雨の日に設営してみた使用感をお伝えします。
水玉ができるぐらい水を弾くので小雨程度なら問題なく使え、地面からの跳ね返りもフラップがあるおかげで、少し座る位置を下げる程度で気になる程ではなさそうです。
スカート部分に雨水が溜まってしまうので、気になる方はスカートを中に巻き込むことも可能なので、対策することをおすすめします。
ソロティピー1TCは雨漏りする?
ソロティピー1TCの数少ない弱点のひとつが、雨漏りです。雨の日に正面のフラップを跳ね上げて前室の屋根として使用していると、ファスナー部分から浸透しフラップの内側から雨漏りします。
テントの構造上、ある程度仕方がないことなのですが、雨の日だけはフラップを使用しないようにするかタープを張るなどの対策が必要で、あまり過度な期待をしない方が良さそうです。
また、雨が浸み込む場所が所々にあり浸水してくる可能性もあるので、防水スプレーなど定期的なメンテナンスをすることをおすすめします。
ソロティピー1TCの気なる点
ソロティピー1TCは雨漏り以外にも気になる点がいくつかあります。気になる点とその対処法のまとめです。
フルクローズ時の出入り
ソロティピー1TCテントの構造上仕方がないことですが、テントの出入りにファスナーを2度開ける必要があります。フロントフラップをファスナーで分割して巻いて収納しておく一手間が必要になります。
焚き火をする時サブポールが近い
フロントフラップの下で焚き火をすると、風向きによってはサブポールに炎が当たりそうになります。小さい火で焚き火を楽しむか、風向きを考えてテントを立てる必要があります。
ポールが細すぎるので耐久性に不安
メインとサブ両方のポールの径が16mmしかないのは少々不安です。ポールを持って左右に揺らすとグラグラと揺れるので、風がない日には問題ないですが、風がある日はロープで必ず固定する安全対策をした方が良さそうです。
参考までに、フロントフラップを跳ね上げるポールの長さを変更した写真です。
付属のペグが不安
付属のアルミペグでは硬い地面で使用することができず、長さも18cmで風の影響を受けやすいワンポールテントの固定するにも不安があるので別にペグを準備するほうが良さそうです。
軽量さを求めるなら今回使用した中華製soomloomのチタンペグがコスパも良くおすすめです。
サンドベージュのソロティピー1TC
出典:amazon
ソロティピー1TCのカラーラインナップには、カーキのほか、サンドベージュのカラーも用意されています。カーキは無骨すぎるという方や、もう少し軽めの雰囲気が欲しいという方は、サンドベージュの方があっているでしょう。テーブルやチェアの色とあわせると、かなりオシャレです。
また、サンドベージュはカーキより明るい色なので、外からの光がテント内にたくさん入ってきます。そのため、テント内は明るい方がいいという方もサンドベージュがおすすめです。逆に、日中でもテント内は暗い方がいいという方は、カーキを選んだほうがいいでしょう。
サンドベージュは楽天での予約が値段が安い?
サンドベージュのソロティピー1TCはamazonでは値段が高めで販売されています。楽天での予約販売ならソロティピー1TCと変わらない値段で購入できるので、気になる方はチェックしてみてください。
入荷・発送予定日:2021年6月~7月頃入荷予定
ソロティピー1TCのサイズをパンダTC+・サーカスTC DXと比較
比較表 | ソロティピー1TC | パンダTC+ | サーカスTC DX |
---|---|---|---|
使用時サイズ | 240x240x150cm | 270x270x170cm | 420x442x280cm |
収納時サイズ | 44x24x24cm | 53x27x19cm | 63x27x27cm |
インナーサイズ | 220x100x135cm | 250x115x155cm | 384x360x280cm (インナー別売り) |
ソロティピー1TCと競合するであろう、テンマクのパンダTC+やサーカスTC DXとのちがいが気になっている方もいるのではないでしょうか。そこで、それぞれのサイズと重量を表にまとめてみました。
この表を見て分かるとおり、3つのなかではソロティピー1TCがもっとも小型。ソロティピー1TCと形状がよく似ているパンダTC+と比較しても、縦・横それぞれ30cmずつ短くなっています。収納サイズにおいても、ソロティピー1TCが一番コンパクト。そして軽量です。
サーカスTC DXはソロティピー1TCと同じように、テント正面に大きなフラップを持っているテントです。しかしサイズ・重量ともにかなりのちがいがあることがわかります。また、ソロティピー1TCの形状が正方形であるのに対し、サーカスTC DXの形状は正五角形であることも異なる部分です。
このことからソロティピー1TCは、「パンダTC+のコンパクトさと、サーカスTC DXの快適性をあわせ持った、ハイブリッドなテント」であるといえるでしょう。
レビューのまとめ
ソロティピー1TCはサイズがコンパクトなためソロキャンプに最適で、広い前室を持っているので雨の日も快適に過ごせるテント。スカートや大きなサイドフラップを装備しているほか、薪ストーブを使用することもできるので、冬キャンプ用のテントとしても非常に優秀です。
そしてポールの二又化をすればさらに快適性が向上し、前後の出入り口を開放すればタープとしても使用可能。このように、自分のアイディア次第でさまざまな使い方ができるところが、ソロティピー1TCの魅力です。
しかし、ソロティピー1TCは大人気商品のため、Amazonではたびたび入荷待ちの状態になっています。冬キャンプで使用したい方は早めに注文しておくか、頻繁に在庫の状態をチェックすることをおすすめします。