奥多摩

鷹ノ巣山|登山コース情報と季節ごとの服装や注意点まとめ!奥多摩三大急登を登るコツ。

初心者から楽しめる山が多く季節を問わず登山客でにぎわう奥多摩エリア。「奥多摩三大急登」稲村岩尾根から鷹ノ巣山のピークを目指し、開放感バツグンの石尾根を奥多摩駅まで歩いてきました。

たった3kmで1,100mの標高差を一気に登りきる稲村岩尾根。これといった休憩場所も眺望もない樹林帯歩きは単調で苦しいけれど、その後には山頂からの素晴らしい展望と爽快な尾根歩き待っています。

鷹ノ巣山はどんな山?

鷹ノ巣山は標高1,736mと東京の山にしては高く、広い山頂からは奥多摩や丹沢の美しい稜線。晴れていれば大きな富士山と南アルプスまで見晴らすことができます。
奥多摩駅から雲取山へ続く石尾根の中間に位置するので、日帰り登山だけでなく、雲取山など近辺の山への縦走も楽しめる懐の深い山。
登山口の日原は昭和にタイムトリップしたような町並みを残す集落で、シンボルの稲村岩(いなむらいわ)が一際目立ちます。集落から2kmほどのところにある日原鍾乳洞が有名ですね。

難易度やコースタイムと距離

標準コースタイム: 6時間55分
登り: 1,483m
下り: 1,752m
距離:15km
登山道は明瞭ですが、作業道が入り組む奥多摩の低山には地図読みのスキルが必要。
体力も必要なコースなので、安全に楽しむためには山歩きに慣れてからのほうが良いでしょう。一般的には中級向けとされているようです。

季節ごとの服装や持ち物の注意点

一年を通じて人気のあるエリアです。
熱中症のリスクが高まる真夏は避けたほうがベター。積雪や凍結する冬場は、道迷いや滑落遭難の危険があるので、経験が浅いうちの単独行はやめましょう。

春~夏の服装や持ち物の注意点

雪の季節が終わり新緑の時期となると登山客がぐっと増えます。
この時期にしか見られない花を目当てに、カメラをさげた多くの愛好家で山がにぎわう季節です。

素肌が気持ちいい季節ですが、山では暑い時期でも長袖を着るようにしています。
日焼けや虫除けの対策としてはもちろん。汗を外に逃がしてくれる吸水速乾性に優れたウェアを着ていたほうが快適だからです。インナーにドライウェアを着ると更に快適で汗冷えも防ぐことができます。山用の高機能ウェアは高価ですが1枚は持っていたいアイテムですね。

  • 水分は多めに持っていく

低山の夏は、照りつける日光と地面から湧き上がる熱気と湿気に体力を奪われます。
水分補給にも十分気をつけてください。
必要な水分量の目安は、体重×行動時間(h)×5
今回のコースには水場がないので、十分な水を担いで上がってください。

  • 虫対策を忘れずにしよう

また、虫に悩まされる季節でもあります。
色々なタイプの虫除けがありますが、スプレータイプのものは他の方に迷惑とならないように噴霧してくださいね。
ハッカ油を希釈したものも良いでしょう。帽子などに吹きかけておけば、ハッカの清涼感が気持ちいですし、汗臭防止にも良さそうです。

秋~冬の服装や持ち物の注意点

日が短くなる時期、ヘッドランプと予備電池は必ず携行しましょう。
出番を終えた虫除けグッズと使い捨てカイロを入れ替えるなど、エマージェンシーグッズの衣替えも忘れずに。

秋からは落葉で足元が滑りやすく凍結することもあるので、足元はグリップ力のあるトレッキングシューズ。それと、冬の冷え込みがはじまったらお守り代わりにチェーンスパイクや軽アイゼンがあると安心です。

寒い時期でも歩いていると汗をかくので、アウターは登山口までの移動や休憩中に着るくらい。中間着としてフリースやウールのシャツなどを夏場の装備にプラスします。
いずれも脱ぎ着しやすいもの。ザックには脱いだ衣類が入るスペースを確保しておきましょう。

  • 帽子を脱いでクールダウンも必要

頭部から放出される熱は全体の20%といわれています。保温のためには欠かせない帽子ですが、今回のようにエム気たっぷりなコースでは熱の放出も大切です。時には帽子を脱いでクールダウンしてみてください。私の場合は、ネックウォーマーをヘアターバンのように巻いて頭頂部は涼しく耳だけ温かくしています。逆に冷える末端にはウールの薄手グローブが欠かせません。
歩くコースと体質により自分なりのスタイルを見つけるのも、楽しみのひとつかもしれませんね。

鷹ノ巣山の登山口までのアクセス方法

登山口へは奥多摩駅から東日原行きのバスで向かいます。川苔山への登山客で混雑する路線なので週末は長蛇の列になることもありますが、状況に応じて臨時便を出してくれます。
中日原バス停のほうが近いのですが、トイレがある東日原バス停で降りることをお勧めします。この先、ルート上にトイレはないのでここで立ち寄りましょう。

バス停から鷹ノ巣山登山口へは道なりに歩いて5分くらい。
登山ポストが置いてある交番を過ぎると左手に細い階段があります。日原集落の景観に溶け込んだ地味な標識ですので、見落とさないように注意してください。

登山ルート解説

山行時間:6時間47分
東日原~鷹ノ巣山

日原川まで急な階段を下り、巳の戸(みのと)橋を渡ると杉の植林帯に入ります。鷹ノ巣山の山頂まで約3時間。
樹木の間からのぞく稲村岩を見上げながら沢沿いをしばらく歩き、朽ちた橋を迂回して沢沿いから離れると急登がはじまります。

樹林帯の同じ景色が続くので長く感じますが、足元を見つめて一歩ずつ。その日のコンディションを確かめるようにゆっくり歩きましょう。

最初の30分をゆっくり歩くのが疲れないコツです。
いきなり急登がはじまるこのコースはペースを作るのが難しいのですが、稲村岩分岐まではスローペースを意識すると良いでしょう。
私がいつも心がけているのは「登り4割、下り5割」の体力配分。残りの1割は下山後にとっておきます。

傾斜のきつい斜面を1時間ほど頑張れば稲村岩分岐。

盛塩のような稲村岩の隆起手前まで行ってみましたが、ここは面白半分で足を踏み入れる場所ではありません。実際に死亡事故も起きていますので、稲村岩は麓から見るだけにしておいたほうが良いでしょう。

そして、ここからが「奥多摩三大急登」稲村岩尾根。
更に傾斜を増した斜面を九十九折に登ります。

お尻とハムストリングスを意識して使うように歩きますが、さすがに40%の勾配となるとふくらはぎも張ってきます。

  • 初心者向けポイント
急な登りではつい体を前のめりに前傾姿勢をとってしまいがちです。
長時間歩くためには、腹筋で引き上げるように骨盤を立てて背筋を伸ばしたほうが疲れにくい気がします。私はいつも、腿の上げ下げではなく股関節の屈曲運動というイメージで歩いています。
所々現れる大きな段差は大股で乗り越えるよりも、小さなステップを刻んで省エネでいきましょう。

何しろ、ここは「奥多摩三大急登」。下りには長い石尾根が控えています。

稲村岩分岐を越えても単調な景色が続きます。
ひたすら登るだけなので、ここでは自分の歩きに集中。うまく体が使えているか一歩ずつ確かめながら行けば、単調で苦しいだけの登りも楽しくなります。
この急登を嬉しそうにヒーヒー言って歩くのは、世間的にはマイノリティでしょうか。
そういうちょっとマニアックな楽しみ方ができるのも山歩きの面白いところです。

稲村岩尾根の急登と格闘すること1時間ほどで「ヒルメシクイノタワ」に到着。

手作り感たっぷりのこの道標。
ここまでくれば山頂まであと少しです。

再び同じような斜面を登ると空が突然開けます。

奥多摩三山、富士山、南アルプス、丹沢山脈、うっすら見える都心のランドマーク。
広い山頂はランチを楽しむ登山客でにぎやかです。

大パノラマを楽しんだら、石尾根を六つ石山に向けて下ります。
これまでの道とは違い、広い空とまっすぐのびる爽快な尾根道。

正面には独特の山容をした大岳山がどっしり座っています。
大菩薩嶺の稜線、足元には奥多摩湖。

防火線でもある石尾根はなだらかで見晴らしが良く、新緑や紅葉、富士山の眺望など四季折々楽しみがあります。
途中、余裕があれば六つ石山に立ち寄ってもいいでしょう。
山頂までは分岐から10分ほどです。
標高を下げ再び薄暗い樹林帯に入ると足元が滑りやすくなります。

山道の脇に木に隠れるようにひっそりと佇む稲荷神社を過ぎれば六ツ石山登山口。
アスファルト道を道標の指すほうへ羽黒三田神社を通り抜け30分ほど歩けばゴールの奥多摩駅。バスの時間に慌てることもありませんね。
奥多摩駅始発のホリデー快速に乗れたら新宿まで乗換なしで90分。
ぐっすり寝込んで乗り過ごさないように気をつけて!

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