韓国岳(からくにだけ)は、九州南部の名峰「霧島連山」を構成する山の一つで、霧島連山最高峰でありながら、初心者でも比較的登山しやすい山で、四季を通じて楽しめる山として人気です。その韓国岳の、初心者におすすめする登山ルートや服装、登山口情報などをご紹介しましょう。
韓国岳ってどんな山?
韓国岳は標高1,700.3 メートルで、九州本島では標高が高い山です。場所は、宮崎県えびの市・小林市、鹿児島県霧島市の境界にまたがります。しかし、登山ルートとしては、えびの市側が最もよく整備されており、多くの方は、えびの市より登山します。
韓国岳の名前の由来は?
韓国岳は、「からくにだけ」と読みます。この山名の由来は、山頂から韓の国(朝鮮半島)が見ることができる(実際には、朝鮮半島は見えません)からとか、火山で山頂付近に草木がほとんどないため「空国」からきた、とか諸説ありますが、確実なものはありません。
韓国岳の登山ルートの特徴
霧島連山全体が火山帯で、この韓国岳も火山の一つです。山頂付近は大きな爆裂火口跡があり、ゴツゴツとした溶岩で形成されています。そのため、草木がほとんどなくいつも強風が吹きつけます。
山頂からおりたところから山麓にかけて、ツツジの一種「ミヤマキリマ」が群生し、6月にはピンクの小さな花が山腹を染め上げる姿は、非常に人気があり、最近ではSNSの影響から、国外からの観光客も増えています。
冬は、冠雪とともに、ミヤマキリシマなどの低木に霧氷がつき、山腹を真っ白に染め上げます。
韓国岳周辺は活発な火山活動 登山規制に注意!
韓国岳自体の火山活動は活発ではありません。しかし、韓国岳周辺では火山活動が活発な山やエリアがあるため、登山規制が行われており、使用できない登山ルートがあります。
この登山規制は、火山の状況によって変わるため地元の登山者も把握していない状況です。登山する前は自治体などの登山規制情報を確認するようにしてください。
現在(2018年12月)、本来の登山口である韓国岳登山口は硫黄山噴火により入山できないようになっています。また、韓国岳から高千穂河原(たかちほがわら)へ至る霧島連山縦走路も新燃岳(しんもえだけ)噴火により規制されていますので、ご注意ください。
気象庁 火山登山者向けの情報提供ページ
韓国岳の初心者向けルートと所要時間
大浪池(おおなみのいけ)をめぐり韓国岳へ
今回ご紹介する登山ルートは、大浪池(おおなみのいけ)という火口湖の淵をめぐり、韓国岳を登頂するルートです。標高差約600メートル、総所要時間6時間(休憩1時間含む)のルートです。
このルートは、アップダウンが少なく分岐が多くないため迷いにくく、危険な箇所もないため、初心者に最適な登山ルートです。
今回ご紹介する登山ルートは、現在(2018年12月)、登山規制されていませんが、登山する前には、使用できるか必ず確認するようにしましょう。
大浪池登山口~大浪池避難小屋 所要時間40分
約1100メートルの大浪池登山口から、大浪池避難小屋がある池の淵まで高低差200メートルほどの石の階段を登っていきます。登りつめたところにある大浪池避難小屋付近は、大浪池や霧島連山が一望できる展望地でもあります。大浪池は、周囲1.9キロメートル、水深11メートルの火口湖で、周囲は2時間で周遊でき、春先はマンサク、6月にはミヤマキリシマ火口湖周辺に咲き乱れ見事です。
大浪池見学用も兼ねた登山者用の駐車場とトイレが完備されています。ミヤマキリシマのシーズンはすぐに満車になりますので、早めに行くことをおすすめします。どうしても駐車できないようであれば、えびの高原ビジターセンターには大駐車場がありますので、そこに駐車し、大浪池を経由するか、大浪池はあきらめて韓国岳のみの登山ということになります。
大浪池避難小屋~韓国岳避難小屋 所要時間45分
大浪池避難小屋からは、西回り東回りの2つに道が分かれますが、まずは所要時間が10分ほど少ない西回りを利用します。復路時間があれば東回りを利用してもいいでしょう。登山道は、アップダウンが少なく池を眺めながらのんびりと歩けます。30分ほどで池に別れを告げて、一旦下り、韓国岳避難小屋へ到着します。ここから、韓国岳山頂へ向けて急登の連続になりますので、休憩しましょう。
大浪池周遊登山道は、ミヤマキリシマが群生していることから、枝が迫って狭くなっています。ミヤマキリシマの枝は固く、体に引っ掛かりますので、ダウンウェアなどの破れやすい服の着用は避けたほうが無難です。また、ザックのストラップなどにも引っ掛かりますので、しっかりと締めておきましょう。筆者は、枝がザックのストラップが引っ掛かり危うく転倒しそうになった経験があります。
韓国岳避難小屋~韓国岳山頂 所要時間1時間強
いよいよ、韓国岳山頂へ挑みます。韓国岳避難小屋から韓国岳山頂までは、標高差400メートルです。しばらくは樹林帯の中を進みますが、標高が上がるにつれ樹木が少なくなっていきます。登山道の最初は滑りやすい粘土質なので、雨上がりは特に転倒しないよう気を付けましょう。特に滑りやすい場所には改段が整備されていますので、慎重に歩くようにしましょう。
山頂に近づくと樹木が無くなり溶岩の風景になりますが、急な場所には階段が整備されているので、危険な箇所はありません。
山頂まで木の階段が整備されていますが、木の階段は濡れていると滑りやすく危険です。また、冬季は凍結していることが多いので足を置く場合は、状況をよく確認するようにしましょう。
韓国岳山頂
登りつめると韓国岳山頂です。山頂から、直下には直径900メートル、深さ300メートルの火口跡が見えます。また、後ろを振り返ると、登ってきた大浪池を下に見ることができ、東方向を見ると、登山規制されている新燃岳や、高千穂峰を見ることができます。
韓国岳山頂は樹木が一切無いので強風が吹くと遮るものがありません。帽子などは飛ばされないようにしっかりとストラップなどで止めておきましょう。強風時は、昼食をとるのが困難ですので、韓国岳避難小屋まで一旦下ることをおすすめします。
韓国岳山頂~大浪池登山口 所要時間90分
復路は、往路をそのまま下ります。余裕があれば、往路の対岸である大浪池の東回りを利用してみましょう。往路とは違った風景を見ることができるでしょう。
冬季の降雪時は、韓国岳からの下り、大浪池からの下りは凍結している場合があり滑りやすくなっています。軽アイゼンを用意し必要であれば装着するようにしましょう。
韓国岳登山におすすめする服装
韓国岳登山は、冬季でもそれほど冷え込むことはないので、一般的な登山ウェアで十分です。しかし、夏場の登山時は注意が必要です。韓国岳は九州南部で緯度が高く、火山のせいで高木があまりないので、直射日光の陽射しがかなりきつくなります。UVカットされたウェアや、帽子など日射対策をしっかりとするようにしましょう。
アンダーウェア
夏季も吸湿速乾タイプのアンダーウェアを着用し、冬季は保温できるタイプを選びましょう。
ミドルウェア
夏季は薄手の化繊のシャツ、冬季はフリースを着用します。木綿は速乾性が無いので絶対NGです。
アウターウェア
冬季はもちろん、夏季もウィンドブレーカーやレインウェアをアウターとして用意しましょう。
レインウェア
上下セパレートを選び、ポンチョタイプは避けます。防水透湿性があるレインウェアを用意しましょう。少々高価になりますがゴアテックスを採用したレインウェアをおすすめします。
ボトムス
夏季は日射がきつく暑いので、トレッキングタイツとハーフパンツの組み合わせがおすすめです。冬季は、防風性があるロングパンツを着用しましょう。
帽子
韓国岳は火山帯で木々が少ないので、日射を避ける帽子は必須です。山頂は強風なので、キャップの場合は、帽子と服をつなぐストラップも必須です。
韓国岳登山の宿泊情報
韓国岳登山口周辺部の宿泊場所は「国民宿舎 えびの高原荘」のみしかありません。また、山中に営業小屋は無いので、宿泊するには注意が必要です。それ以外の宿泊場所になると、登山口から少々下った鹿児島県霧島市の霧島温泉境のホテルになります。
国民宿舎 えびの高原荘HP
まとめ
いかがでしたか?韓国岳の情報や初心者におすすめのルート、最適な服装などをご紹介しました。
記事内でも紹介しましたが、韓国岳周辺は、近年、火山活動が活発でいたるところでと登山規制されています。しかし、登山規制解除になるルートもあり、自治体の最新情報を確認することが大切です