暑い夏の日のキャンプ、タープ泊なら風が通って過ごしやすそう。でも虫が苦手なのでどうしてもタープ泊に踏み出せない。そう思ってタープ泊をあきらめてしまう方はかなり多いのではないでしょうか。
実際山ではおなじみの蚊だけではなく、様々な種類の吸血する虫や人の肌にかぶれを起こす虫がいます。今回紹介する「モスキートネット」、いわゆる蚊帳(かや)で、虫の攻撃から身を守りながらタープ泊を楽しんでみましょう。
目次
モスキートネットはタープ泊に必要?
特に虫が活発な春から秋にかけてタープ泊をする場合、モスキートネットを使えばかなり安心して過ごせます。もちろん蚊やブユなどは手持ちの薬で対処できるのでそれほど心配はないかもしれませんが、山にはより厄介な虫が多くいます。以下に挙げる虫はその中でも代表的なものです。
ヤマビル
近年問題になっているシカの増加と生息域の拡大に伴って、シカに寄生するヤマビルもその生息域を拡げています。ヤマビルは人の存在を感じ取ると、俊敏な動きで人に向かってきます。吸血前はかなり小さいので、よほど気を付けていないと発見できません。一度肌に吸い付かれると出血がしばらく止まりませんし、後で強いかゆみが起こります。梅雨の時期は数が多く活発なので、特に注意が必要です。
マダニ
最近は山だけでなく市街地にも生息していると言われています。マダニは人の肌に取りつくと、頭をめり込ませて吸血します。無理やり自分で取り除くより、医療機関での除去が推奨されています。マダニは感染症を媒介する場合があるので、どうしても避けたい虫です。
毛虫、ドクガ
年に数回大量発生することがあります。毛が肌に触れると強いかゆみと炎症を引き起こします。かきむしると毛がより拡がってしまいますので、ガムテープ等で毛を貼り付けて取り除きます。
タープ泊で失敗しないモスキートネットの選び方

タープ泊は設営の簡単さ、装備の軽さ、高い開放感という長所があります。それら長所を活かしながら、同時に虫の攻撃も防げるモスキートネットの条件とはどのようなものでしょう。
構造がシンプル
キャンプでは調理や薪割りなどいろいろ作業がありますので、モスキートネットを使うタイミングは就寝時か休憩時である場合がほとんどです。必要な時にさっと取り出して使える、シンプルな構造のものが良いでしょう。
軽さ
タープ泊の長所はその全体の装備の軽さにありますので、モスキートネットもなるべく軽量のものにします。ジッパーで開閉する出入り口や床があるとその分重さが増しますので、ネットの裾をめくりあげて出入りするフロアレスタイプを選びます。
横たわった姿勢の人を十分に覆えるサイズ
前述したとおり、モスキートネットは就寝時に使うのが主になりますので、就寝に必要なスペースを十分覆えるサイズのものを選びます。
タープ泊におすすめのモスキートネット3選
SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)ナノモスキートネット
<商品スペック>
- 素材:ペルメトリン虫除け加工15DウルトラVISナイロンメッシュ
- サイズ:高さ100×奥行220×幅120cm(1人用)
- 収納サイズ:径7×12cm
- 重量:約82g
- 付属品:収納ケース付 ※ペグは付属していません。
ナノモスキートネットは、オーストラリアのアウトドアギアメーカー“SEA TO SUMMIT”(シートゥサミット) の商品です。このモスキートネットの形状はピラミッド型になります。下部の四隅をペグで留める、もしくはそのまま裾を拡げた状態で使います。
本体にペルメトリンという殺虫成分が塗布されているので、より虫が寄り付きにくい素材となっており、上部を吊るすだけの簡単な構造のため、フックを掛けられる細引きや木の枝などが必要になります。3商品の中で一番コンパクトで軽いため、携帯しやすいタイプです。
難点は、ひとつのフックで吊るすタイプのためたるみが起きやすく、中で寝ていると顔にネットが覆いかぶさることです。
また、使用されている殺虫成分が人体に与える影響について、気になる方はよく理解した上で使うことをおすすめします。
高さが最大で100cmのため、膝をついて出入りをすることになりますが、人によってはその姿勢に負担を感じるかもしれません。
COGHLANS(コフラン) B.W.モスキートネット
<商品スペック>
- 素材:240ウルトラファインメッシュポリエステル
- サイズ:81×200×150cm
- 重量:280g ※ペグは付属していません。
B.W.モスキートネットは、カナダのCOGHLANS(コフラン)社の商品です。
このタープの形状は直方体で、地面から150cmの位置に天井があるタイプになります。上方の四隅+サイド2か所はOリングとロープで、地面側は四隅をペグで留めて形を整えます。
ある程度テンションをかけて張ることができれば、寝ていてもネットに顔がかかることがなく、中にイスを置いて過ごすこともできます。
この高さを活かすためにタープはなるべく高い位置に設置します。トレッキングポール等を使ってタープを低く設置する場合には、丈が無駄に余ることになります。
CAREPLUS(ケアプラス) ポップアップドーム
<商品スペック>
- サイズ:L270×W166×H58cm(使用時)
- 収納サイズ:3×30cmφ
- 重量:550g
- 付属品:収納袋
CAREPLUSはアウトドア救急用品を主に取り扱う、フランスのメーカーです。
このモスキートネットはロープで張る必要がなく、ケースから出して広げるだけで設営できます。フロアレスで、横たわった姿勢でのみ使える仕様です。
頭の周辺部分のネットがフレームで自立するため、ネットが顔に覆いかぶさることがありません。フレームがある分前述の2商品より重量がありますが、500mlのペットボトル飲料1本分程度の重さでペグも不要、簡単に設置できるのであれば、タープ泊に適したモスキートネットの条件を十分満たします。
タープ泊に使うモスキートネットの選び方のまとめ

以上、タープ泊の魅力を活かしながら使えるモスキートネットについて紹介しました。おすすめの3商品ともそれぞれ優れた点や難点などありますが、目的のキャンプ地の状況や好きなタープの設営の仕方によって選ぶことで、タープ泊がより快適で安全なものになるでしょう。
また、今回紹介したモスキートネットはすべてフロアレスですので、どうしても地面との隙間が生じます。そのため完全に虫の侵入を防げるものではありません。より虫対策を万全にするために、虫よけスプレーや忌避剤を併用されることをおすすめします。
