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モンベルクラッグジャケット評価レビュー|1年を通して使用できるウエア!

今回は体の動きを妨げず、適度な保温性を持つソフトシェルの中から、モンベルのクラッグジャケットをご紹介します。

複数のウェアを着こなして行動する登山。目まぐるしく変わる山の天候に対応するためには、異なる機能を持ったウェアをレイヤリングする事で、行動を快適に、悪天候を耐えうることができます。

登山の服装はレイヤリングが基本

(夏の高山では秋冬向けのウェアが欠かせない。富士山ではソフトシェルが役に立つ)

登山では悪天候、行動、休憩、森林限界の稜線、樹林帯などの様々なシチュエーションがあります。
この状況から登山を支障なく安全に行うためには、一枚のウェアでは足りません。

インナーで身体から出る汗を適度に吸収、汗冷えを防ぎ、中間着で保温性を高め、アウターで降雪や風雨などの外部要因から身を守り、内部の蒸気を発散していく3レイヤリングが基本となり、突出した機能を持つウェアを合わせる事で、安全で快適な山行が可能になります。

アウターウェアも用途別に種類がある

外部要因から身を守るアウターには幾つかの種類があります。

風雨に対応したレインウェア

風雪に特化したハードシェル

適度な保温性を保ちつつ行動力に特化したソフトシェル

行動終了後の保温性に適したダウンジャケット

などがあります。
それぞれのアウターの中でもグレードがあり、現地の状況に応じたモデルを選ぶことができます。

例えば、ダウンジャケットでも素材や保温力に応じて収納性は異なるので、低山では薄手のダウン、高所ではより保温性の高いモデルを選択する事が必要になります。

ソフトシェルとは

ソフトシェルはアウターの中でも汎用性の高いウェアになります。

秋冬の行動時の中でも、穏やかな環境時にその性能を発揮するのがソフトシェルで、他のアウターと比較しストレッチ性が高く、保温力を持ちつつ撥水性も備えているモデルが多いことが特徴です。

極めて突出した性能はないもののフードのないジャケットであれば中間着としても使用でき、薄手のモデルであれば1年を通して使用できる登山では欠かせないウェアのひとつといえるでしょう。

高いストレッチ性が魅力

ソフトシェルを選ぶ上で欠かせないのは、生地が伸縮して行動を妨げないストレッチ性です。登山は足を上げて登るという動作だけでなく岩を掴んでの登攀、斜面を横切るトラバースなど、全身を使った動作があります。ストレッチ性のないウェアになると関節部分の動きを阻害してしまい、行動時は不快になることも。

ソフトシェルは伸縮性の高い素材を使用していることが大きな特徴で、モデルによってその性能は様々なので、必ず試着して身体とのフィッティングを確認しましょう。

高機能なレインウェアやハードシェルではある程度、ストレッチ性を獲得しているモデルもあり、このストレッチ性は登山において不可欠とはいわずとも、快適な山行を行う上でとても大事な要素です。

モンベルクラッグジャケット

シンプルなシルエットが特徴のモンベルのソフトシェルラインナップのひとつです。
表に防風、撥水性、裏に保温性を持たせたクリマプロ100を採用することで、薄手ながらソフトシェルとしての機能を十分に備えたモデルです。

秋のアウター、冬の中間着におすすめ

クラッグジャケットはソフトシェルの中では薄手のモデルに該当しており主に秋のアウター、冬の中間着としての使用に適したモデルといえます。低山であれば冬でも対応できます。
薄手であることでアクティブに動くことができることもこのモデルの魅力といえます。

秋冬を想定した機能

クラッグジャケットは基本性能を押さえながら、秋冬に想定されるシチュエーションに合わせた機能がついています。
表面の露出を防ぐコンシールジッパーは冷たい外気の侵入を防ぎつつ、冬の大敵である雪の侵入をも防止します。
雪の付着による濡れは、厳冬期登山における死活問題で、低体温症を招き、死に至る可能性も高まります。

また袖にサムホールを浸けることで、手の甲まで保温性を得ることができるのは、細かいところにまで手が届くありがたい機能です。

遭難時に必要な視認性の高いカラー

アウターウェア選びの大事な要素のひとつとして、カラーバリエーションがあります。もちろん好きな色を選ぶと良いのですが、視認性の高い色を選ぶことで、遠方からの確認がしやすく、遭難時の発見が早まります。

自然界で少ない色や、蛍光色はよく見える様で、逆の特性を持つ色は、先を歩く登山者がぼやけたり確認できないことは珍しくありません。アウターで選ばずとも、ザックや何かしら、発見しやすい色を選んでおくと良いでしょう。

クラッグジャケットのメリットとデメリット

メリット

登山では荷物の増加による重量増は、行動範囲を狭めるだけでなく、十分なパフォーマンスを発揮できなくなることが遭難のリスクにも繋がります。

そのため汎用性のあるアイテムが求められ(もちろん突出した機能を持つアイテムも必要です)ひとつで何役もこなせる登山道具は欠かせないものとなります。

クラッグジャケットは先述の通り汎用性が高く、季節、山域によってはこれ1枚で十分といえる活躍をしてくれます。
保温用のダウンや、近い機能を持ったアイテムを省略することができるでしょう。

また国内ブランドであるモンベルならではの価格も魅力的です。海外ブランで同レベルのソフトシェルを購入するとなると、この1.5倍以上の価格は珍しくないのでエントリーユーザーにも優しい価格設定といえるでしょう。

デメリット

デメリットといえる部分が少ないクラッグジャケットですが、突出した機能性がないことは十分に把握しておく点です。

特に保温、防風性は標高の高い厳冬期の山で対応できるかといえば難しく、もうひとつ上のモデルを選択する必要があります。

中間着でダウンを着る必要もあるところでは力不足といえ、また収納性は高くはないので、夏場の保温であれば、モンベルでひとつ下のラインナップであるライトシェルシリーズを始め、防風、撥水性などは落ちますが夏場では十分に対応できる保温性を持った、収納性の高いアウターを選ぶなど、臨機応変に対応しましょう。

いかがでしたか。
快適性と保温性を両立させたクラッグジャケットを、是非秋冬の登山でお試しください。