山登りにヘルメット?「そんなものは必要ない!」と、思われる人はまだ少なくないと思います。

この記事はヘルメットの必要性、種類や選び方、また長野県山岳遭難防止対策協会が着用を奨励する山域をご紹介します。

かつては…と言っても、もう30~40年も前のかなり昔の話ですが、その当時の穂高岳や槍ヶ岳方面の登山者で、ヘルメットを被っている人はほとんど見かけなかったと記憶しています。

たまにリユックの上に年季の入ったヘルメットとザイルを載せ、無造作に括り付けたカラビナがガシャガシャと音を立てて歩くグループを見かけたことがあります。

彼らはどこかの岩壁の登樊を終えたクライマーのようで、颯爽と歩く様と、そのいで立ちはハッとするほど凛々しく、傍らから見つめながら憧れたものでした。

穂高岳や槍ヶ岳などの3000m級の北アルプスにおいてでさえ、ロッククライマー以外はヘルメットを被らないというのが当時の一般的なスタイルでした。

ところが最近の槍穂高連峰に行ってみると、驚いたことに大半の人たちがヘルメットを着用されています。時代が確実に変わったことを感じます。

 

ヘルメット着用が増えた理由

かつては孤高のロッククライマーたちだけが着用していたヘルメットですが、落石や転倒そして滑落などの事故が増えたことから、山岳地域を有する県や自治体などが、長年にわたってヘルメットの着用を呼び掛けてきました。

 

そんななか登山者の意識を根底から変えてしまう出来事がありました。

それは平成26年9月27日午前11時52分に大爆発(水蒸気爆発)を起こした御嶽山の事故でした。

この事故では、当時火口付近に居合わせた58名の方が亡くなり、行方不明の方は5名となっております。

そして亡くなった方47名のうち46名の方が、噴石が当たったことによる「損傷死」ということでした。

 

実はこの事故の1年前、長野県山岳遭難防止対策協会は、平成25年7月17日付けの「25県遭第9号」として、「山岳のヘルメット着用奨励山域の指定と安全登山の呼びかけについて」という依頼を、会長である長野県知事の阿部守一の名で、全国のツアー登山関係団体宛に出しております。

詳細は後述しますが、長野県が出した公式な呼びかけの一年後に起きた御嶽山の事故は、山に登る人たちにとって、決して他人ごととは言えない危機感を強く植え付けたことでしょう。

 

このような大規模な事故でなくとも、転倒や落石そして滑落などの危険から、せめて頭部を守る対策のひとつが、長野県山岳遭難防止対策協会が呼び掛けたヘルメット着用の奨励だったのです。

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長野県山岳遭難防止対策協会が呼び掛けたヘルメット着用の奨励山域

長野県山岳遭難防止対策協会が、当時の会長(長野県知事)の阿部守一名で、平成25年7月17日付けで全国のツアー登山関係団体宛に出した、【25県遭第9号】では「山岳ヘルメット着用奨励山域の指定と安全登山の呼び掛けについて」という依頼を出しました。

それによると、ヘルメット着用が推奨される地域は次の通りとなっています。

 

  • 北アルプス南部:槍穂高連峰のうち、北穂高から涸沢岳、屏風岩、前穂高岳(北尾根から吊り尾根)一帯、西穂高岳から奥穂高岳、北穂高岳から南岳(大キレット)、北鎌尾根・東鎌尾根の区域。
  • 北アルプス北部:不帰の嶮周辺、八峰キレット周辺
  • 南アルプス:甲斐駒ヶ岳、鋸岳
  • 中央アルプス:宝剣岳
  • 戸隠連峰:戸隠山、西岳

 

また同時にこの【25県遭第9号】では、ヘルメットの有償レンタルを次の山小屋で行っていることも明確にして、その使用を促しています。

  • 北アルプス南部:涸沢ヒュッテ、涸沢小屋、槍ヶ岳山荘 100個
  • 北アルプス北部:天狗山荘、唐松岳頂上山荘、キレット小屋、冷池山荘 50個
  • 南アルプス:長衛荘、駒仙小屋 10個
  • 中央アルプス:宝剣山荘 20個
  • 戸隠連峰:小鳥の森 20個

長野県山岳遭難防止対策協会HP

それでも登山ヘルメットは本当に必要なのか?

これまで登山のヘルメットが推奨されていることに触れてきましたが、でも…本当に必要なのでしょうか?

それはこれから登ろうとする山域次第だと思います。

例えば草地の多いなだらかな斜面ばかりの標高の低い山ではもちろん不要で、そんなところでヘルメットを被っていれば、それこそ不自然です。

 

けれども標高に関わらず、その山域やルート上に、落石や滑落の危険性がある場合などは、落石などの落下物から頭部を守る、或いは転倒したり、滑落したときの衝撃から頭部を守るために、ヘルメットが必要なのです。

 

特に北アルプスなど3000m近い標高のあるところには、垂直に近い岩場をよじ登ったり、または梯子のあるルートを通過したりすることもあります。

このようなところには浮石も多く、前の人の動きでそれらが落下して頭部を直撃することもあり得るでしょう。

 

帽子だけの場合、衝撃で頭部は大怪我をするかも知れません。

また衝撃がキッカケとなって転落し、命を失うことに繋がる可能性だって否定できません。

ヘルメットを着用していればこのような事態にまでは至らず、衝撃を感じるだけで済むかもしれないのです。

 

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ヘルメットにはどんな種類があるの?その選び方は?

登山用のヘルメットの重要性がお分かり頂けたところで、次はそのヘルメットにはどんな種類があって、またその選び方はどうすればいいのかという点について触れてみたいと思います。

登山ヘルメットの種類

登山用のヘルメットには、その構造上から次の2つに分類することができます。

 

インモールド型:発砲ポリスチレン(電気製品を買ったとき、箱の中に入っている白く軽い衝撃緩衝材のようなもの)の外側に、耐衝撃性のあるポリカーボネート(CDの素材)のような素材をコーティングしたものです。

 

メリット 発砲ポリスチレンが主要な構成物なので軽く、形状のデザイン性に自由もあり、

そのため通気性が高く蒸れにくいことです。

デメリット シェルの強度がハードに比べて弱く、強い衝撃を受けると割れてしまうことです。

そして価格もハードに比べて高めです。

 

 

ハイブリッド/ハードシェル型:成型した硬いABS樹脂(家電の外装材として使われる)の内側に、衝撃を吸収する発砲ポリスチレンを使用しています。

 

メリット インモールドに比べて価格が安く、外側が硬いことと、傷に強く小型化が可能なところです。
デメリット インモールドより重く、形状のデザイン性に自由さが少ない。

 

選び方のポイント

なにより重要視されるのが、自分の頭にフィットするかということです。

サイズの合わない、グラグラするヘルメットを被っているほど鬱陶しいことはありません。

そのうちに頭痛もしてくることでしょう。

また安全性能として世界の規格に準拠したものであるかも、ひと通りは確認しておくことも必要です。

 

 

登山用ヘルメットの人気メーカー

登山用ヘルメットの人気メーカーとしては、次の通り外国のメーカーが多いようです。

インモールド型

  • Black Diamond(ブラックダイヤモンド)ハーフドーム(USA ユタ州が本拠の登山用品メーカー)
  • EDELRID(エーデルリッド)マディーロ (ドイツの登山用品メーカーのファウデの子会社)
  • MAMMUT(マムート)スカイウォーカー2 (スイスの登山用品メーカー。因みにマムートとは「マンモス」の意味

 

ハードシェル型

  • Black Diamond(ブラックダイヤモンド)ベクター
  • MAMMUT(マムート)ロックライダー
  • PETZL(ペツル)シロッコ(フランスの登山用品メーカー)

 

この他にもヘルメットのメーカーとしては以下がありますが、その多くは外国のようです。

 

  • CAMP/CASSIN(カンプ カシン):イタリア北部の登山用品メーカー
  • GRIVEL(グリベル):イタリア北部の登山用品メーカー
  • Millet(ミレー):フランスのアウトドア用品メーカー
  • SALEWA(サレワ):ドイツ発祥で現在はイタリアの登山用品メーカー
  • Mont-bell(モンベル):1975年創業の日本のアウトドア総合メーカー

 

まとめ

登山用のヘルメットは緩斜面の低山では必要としませんが、北アルプスなど3000m級の山や、それ以下の標高でも落石や滑落の危険性がある山域の場合は、頭部を保護するために必要な物です。

最近のヘルメットは軽いうえに機能も優れたものも多くなっていることで、多くの登山者たちが最近は着用し始めています。

選定の際に重要視することは、とにかく自分の頭にフィットするものを選ぶということです。

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