冬キャンプに欠かせないのが石油ストーブ。ですが、人気の石油ストーブはどれも軒並み高く、「石油ストーブを使ってみたいけど手が出ない…」という悩みを抱えたキャンパーも多いです。そんな時におすすめなのが「パセコストーブ」!コスパの良さでじわじわと人気が出てきています。
そこで今回の記事ではパセコストーブとスペックや外観が似ているnewアルパカストーブとの比較やゴトクの使用感、100均で自作する反射板のカスタム方法などパセコストーブのすべてを徹底レビューします。
パセコストーブってどんなブランド?
まずはパセコストーブを初めて聞いたという方にもわかりやすく、簡単にどんなブランドかを説明しますね。
PASECO(パセコ)は韓国のメーカー
パセコストーブを作っているPASECO(パセコ)とは、1974年に韓国で設立された老舗メーカーです。はじまりはストーブ用の芯製造工場でしたが、現在では暖房器具やキャンプ用品を多く取り揃えていて、1980年に灯油ストーブの製造販売をスタートさせました。今では27国を超える国々へ年間100万台以上のストーブを販売していて、中東では市場No.1シェアを獲得しています。
最近では流行の最先端をいく韓国発のアウトドア製品は非常に高い人気を誇り、パセコストーブもまたその1つとなりつつあります。
パセコストーブの種類は「CAMP-25」と「WKH-3100G」の2種類
現在日本で販売されているパセコストーブには「CAMP-25」と今回紹介する「WKH-3100G」の2種類あります。大きく違うのは自動点火装置の有無と暖房出力です。
CAMP-25
自動点火装置が付いていて暖房出力も6.4kW/hと高出力。石油ストーブとしての機能は文句なしの高スペックモデルです。
WKH-3100G
自動点火装置は付いていないものの、コンパクトで持ち運びがしやすくキャンプに便利なモデルです。値段も定価では2万円以下と手頃なので購入しやすいのもポイントです。
どちらも人気のモデルで、amazonでは価格が高騰しています。定価は日本の公式ショップで確認してくださいね。
パセコストーブは屋内で使用できる?安全性は?
値段も手頃で機能面でも優れているパセコストーブですが、残念ながら屋内での使用はできません。
「使えない」というよりも「日本の安全規格の認証を取得しておらず、屋内での使用は危険」というのが正しい言い方になりますが、この“JHIA(日本燃焼機器検査協会)認証”という第三者目線の日本の厳しい認証マークがあるとないとでは、商品に対する安心感や信頼性が違ってきます。
特に海外製の火器製品に関しては日本の安全規格と違う部分もあるので、この“JHIA認証”がある製品の使用が推奨されていますが、パセコストーブはこの認証マークを取得していないので使用は屋外のみとなっている点には注意が必要です。
パセコストーブとアルパカストーブを比較
パセコストーブ(WKH-3100G)を初めて見た時、「アルパカストーブに似てる」と思った方も多いのでは?韓国製で人気の高い「アルパカストーブ」にデザインやスペックがとても似ていますが、実際に使用してみて本当に似ているのか?いろいろな要素を比較していきます。
商品名 | new アルパカストーブ TS-77JS-C |
PASECO WKH-3100G |
---|---|---|
商品 | ||
価格 | 30,800円 | 16,940円 |
サイズ | 直径35.0×高さ40.5cm | 直径32.5×高さ46.6cm |
重量 | 6.6kg | 5.3kg | 出力 | 3.0kW/h | 3.0kW/h |
燃焼時間 | 10時間 | 18時間 |
容量 | 3.7L | 5.3L |
収納ケース | 付属 | 別売り |
商品リンク | amazon | amazon |
価格
まず、圧倒的に違うのは価格です。最新モデルの日本仕様のニューアルパカストーブの公式価格が30,800円(税込)なのに比べ、パセコストーブは公式価格が16,940円(税込)と約半額。
ニューアルパカストーブも石油ストーブの中では高額な方ではありませんが、パセコストーブは他のどの石油ストーブと比較しても圧倒的に安い価格設定となっています。
サイズ
サイズはパセコストーブの方がアルパカストーブより約6cm高いですが、そこまで運搬での影響はなさそうです。
重量はパセコストーブの方が1kg以上軽いですが、どちらも片手で持ち運べれる重さです。灯油をタンクに入れた状態では、パセコストーブはタンク容量が大きいので、変わらないぐらいの重量になります。
専用ケース
アルパカストーブには専用ケースが付属してますが、パセコストーブはケースを別途購入する費用が掛かります。専用ケースの価格は税込3,850円なので、合わせて購入しても2万円ちょっとなので、まだまだパセコストーブの方が安いです。
燃焼時間
使い方によっては、アルパカストーブの10時間の燃焼時間では燃料の継ぎ足しをする必要がありますが、パセコストーブは18時間と燃焼時間が長いので、1泊2日のキャンプでは余裕をもって過ごせますね。
暖かさ
どちらのストーブも出力3.0kW/hですが、実際に同じなのか?温度を計測しました。
- 気温10.7℃
- リフレクター使用
- 50cm離れた場所で計測
- 燃焼が落ち着いた状態で設置して10分後に計測
※使用環境によって数値は異なります。
<PASECO WKH-3100G>
パセコストーブは24.5℃。
<new アルパカストーブ TS-77JS-C>
アルパカストーブは24.7℃とほぼ同じ温度を計測し、体感温度にも差は無かったので、暖かさの違いに大きな違いはないと感じました。
天板の温度
アルパカストーブの天板上での調理は厳禁と説明書で記載されていますので、ご使用になる場合はあくまで自己責任となるので注意が必要です。
2つのストーブの暖房能力に違いはありませんでしたが、燃焼筒から天板までの距離が大きく違うため、天板を温める温度が変わってきます。どれぐらい違うのか?シェラカップに水を200ml入れて沸騰するまでにかかる時間を計測しました。
アルパカストーブ | パセコ ストーブ |
---|---|
12分 | 17分 |
※使用環境によって数値は異なります。
アルパカストーブの方が早く沸騰に近い状態になったので、燃焼筒からの距離が違うと天板の温度にも違いがでる結果となりました。
沸騰と言ってもボコボコとする沸騰状態にはならないので、どちらのストーブの天板の上でも鍋料理などの保温ができますよ。
沸騰までの時間がかかるパセコストーブも天板を外してゴトクを使用することで、調理ができる程の高火力をだす事ができるようになります。ゴトクについては後程紹介します。
ゴトクを使用する時、アルパカストーブは運搬取っ手を外す一手間がいりますが、パセコストーブは天板を簡単に外すことができます。
匂いの違いはある?
パセコストーブもアルパカストーブも点火と消化時には石油ストーブ独特の匂いがありますが、どちらも燃焼中には臭いと感じることは無いです。
比較してみてどっちがおすすめ?
一番重要な暖房能力にアルパカストーブと大差はなく、燃焼時間も長いパセコストーブは、冬キャンプ用に初めて石油ストーブを購入する方はコスト抑えることができるのでおすすめです。
少し気になるのが、パセコストーブは価格が安いので仕方がないことですが、アルパカストーブに比べると、給油キャップやコントロールダイヤルなど安っぽい部分があり、耐久性に不安がありそうな印象です。
どちらも暖房能力は高く冬キャンプでしっかりと暖まる事ができるので、コストをできる限り抑えたい方は「パセコストーブ」、安全面も考慮したい方は「アルパカストーブ」がおすすめです。
パセコストーブの使い方
- 燃焼筒つまみを動かし燃焼筒が正しい位置か確認
- コントロールダイヤルを止まるまで右へ回す
- 燃焼筒つまみを持ち上げて点火
- 15分程度で燃焼が安定するので正常な炎になるようにコントロールダイヤルで調整
コントロールダイヤルを反時計回りに完全に回したら消化できますが、完全消化まで5分程度かかるので完全消化した後に移動させましょう。
給油してから灯油が芯に浸み込むまで30分程度かかります。灯油が芯に十分にしみ込まない状態だと点火しなかったり、異臭の原因になるので、キャンプサイトに到着したら早めに給油しましょう。
パセコストーブの給油口のサイズは?灯油は漏れする?
パセコストーブの給油口のサイズや運搬時の灯油漏れについて紹介します。
給油口のサイズ
パセコストーブの給油口のサイズは約2cmとなっていて少し小さめです。
一般的に売っている給油ポンプは問題なく入ります。
ヒューナースドルフのような灯油タンクに付属のホースでは、給油口に入らないのでカスタムするか、別途漏斗を購入する必要があります。使う灯油タンクのホースの径はあらかじめチェックしておきましょう。
灯油は漏れする?
パセコストーブの給油口の蓋にはパッキンが付いているので、よほどのことがない限り灯油漏れはしない印象です。ですが「灯油漏れする」という口コミも散見されるため、漏れにくさは使い方や個体差にもよるのが正直なところです。
ですので、運搬時には灯油は入れたまませず、少し手間ではありますが現地で給油するのがおすすめです。使用後も可能な限り灯油を抜くか、使い切って運搬すると灯油漏れの心配はありません。
パセコストーブの反射板を100均アイテムでDIYカスタム
パセコストーブは全方位が暖かくなる対流式のストーブなのでテントやシェルター内全体を暖めたい時にはぴったりですが、ストーブの前でしっかりと身体を温めたい時もありますよね。
そんな時には反射板を使うとストーブ正面に熱を集め、効率よく温まることができますよ。後方に熱がいかないので、サイトレイアウトの幅も広がります。パセコストーブ専用の反射板はありませんが、100均一の材料で簡単にDIYできますよ。
パセコストーブに限らず石油ストーブの反射板の作り方は、さまざまなサイトでも紹介されていますが、自作した反射板の使用は、改造行為となり完全自己責任となりますので、故障や火災の原因にならないよう注意が必要です。
100均反射板の作り方
用意するものは100均で売っている金属製のウインドスクリーンとペンチとクリップです。
- ピンを抜いてバラバラにする
- フィルムを剥がす
- ピンを差し込んで6枚にする
- クリップで挟んで完成
ウインドスクリーンの繋ぎ目の部分のフィルムが取りずらいので、面倒ですが結果的にバラバラにした方が取りやすいです。
反射板の効果は?
100均反射板ありなしでは温度差がどれぐらいあるか?反射板の効果を検証していきます。
- 気温9.4℃
- 50cm離れた場所で計測
- 燃焼が落ち着いた状態で設置して10分後に計測
※使用環境によって数値は異なります。
<反射板なし>
反射板なしでは19.9℃。
<反射板あり>
100均反射板ありでは24.4℃と反射板の効果としては十分ある結果となりました。
改造に抵抗がある方やDIYがめんどくさい方には、ヨーラー(YOLER)の反射板は設置するだけで効果も同様にあります。効果については金属リフレクターの記事で詳しく検証してます。
パセコストーブにおすすめの五徳は?
天板を外して五徳をパセコストーブの上にセットすると調理や湯沸かしにも役立ちますね。専用の五徳は無いので天板のサイズに合う五徳を探す必要がありますが、パセコストーブの天板サイズにはキャプテンスタッグとコーナンの五徳がぴったり合いますよ。
どっちの五徳がおすすめ?
キャプテンスタッグとコーナンの五徳を使用して200mlのお湯を沸かしてみたので、その違いを見ていきましょう。
<コーナンオリジナル>
お湯が沸いた時間7分30秒。
<キャプテンスタッグ>
お湯が沸いた時間8分5秒。
200mlのお湯では僅差ですが、パセコストーブは燃焼部分から天板まで高さがあるので、出来るだけ早くお湯を沸かしたり、調理をしたい方には、高さの低いコーナンの五徳を使うのがおすすめです。
パセコストーブの天板の上では、ストーブファンの使用も可能なので、暖房効果アップしますよ。
パセコストーブの代用ケースはオレゴニアンキャンパーがおすすめ
パセコストーブにはオリジナルの専用ケースが存在しますが、サイズ感がかなりぴったりめで「収納しづらい」「きつくてチャックが壊れた」という声が目立ちます。
専用ケースよりも少し値段はしますが、オレゴニアンキャンパーのトラッシュボックスがパセコストーブを収納でき、ゴトクも一緒に持ち運ぶことができるので代用ケースとしておすすめです。
使わない時はコンパクトに折りたたみ可能です。
また、ストーブを出した後はゴミ箱としても使えるのでキャンプ場でもフル活用できますよ。
パセコストーブをテント内で使用するなら一酸化炭素に注意
テント内での火気の使用については、メーカー推奨の使用法にならい正しく使いましょう。テント内で火器を使用する際は換気を十分に行い、一酸化炭素報知器を必ず使用しましょう。
キャンプは屋外ということもあり、パセコストーブをテント内に入れて使用している人も多いですが、寒い季節のテント内は外気が侵入しないよう密閉状態にしてしまうことも多く、盛り上がっているとついつい換気を忘れがちです。
屋外といってもパセコストーブをテント内で使用する時は必ず換気をしたうえで、一酸化炭素警報機を設置したりと、安全に十分注意をしてキャンプを楽しんでくださいね。
まとめ
いかがでしたか。
昨年の夏に発売されて以降瞬く間に話題となり、アウトドアストーブ業界の席巻したパセコストーブはまだまだ注目度の高いアイテムです。少しずつ通販サイトやフリマサイトでは定価以上の価格で取引され始めているので、購入するならPASECO公式サイトで在庫のある今がおすすめ!
まだ使っているキャンパーも少ないので、使っていればキャンプ場で注目を集めるかもしれませんね。くれぐれも、テント内で使用する場合は自己責任で!換気を十分に行ってくださいね。