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九重連山登山|初心者におすすめのモデルコースを紹介!服装や宿泊場所も。

九重連山(くじゅう連山)は、日本百名山に数えられる名山で、九州の登山者の聖地とも言うべき山岳です。そんな九重連山は、火山特有の荒涼とした風景に中、初心者からベテランまで楽しめる登山ルートが多数存在します。今回は、初心者でも楽しめるモデルコースを、おすすめの服装や宿泊情報まで交えご紹介しましょう。

九重連山ってどんな山?

九重連山は、「久住山」はありますが、「九重山」という山はありません。九重という言葉を用いる時は、あくまでも山域になります。大分県玖珠郡九重町(ここのえまち)から竹田市久住町(くじゅうまち)北部にまたがる火山群で、阿蘇くじゅう国立公園として指定されています。

九重連山を構成する山々

九重連山を構成する山は多くありますが、その中でも代表的な山をご紹介しましょう。

中岳(なかだけ)

標高1791メートル、九重連山の最高峰であり、九州本島の最高峰でもあります(九州の最高峰は、屋久島の宮之浦岳 (1,936m)です)。この中岳は、九重連山の中心部にあり、そのほかの山ともセットで登りやすいことから、ほとんどの九重登山者が訪れる峰でもあります。

久住山(くじゅうさん)

標高1787メートル、九重連山の主峰です。標高は中岳のほうが高いですが、九重登山と言えば、ここをゴールと考える方が多いようです。山頂は溶岩ドームになっており比較的広く360度ビューになっているので、ゆっくりと風景を楽しみながら食事や休憩をする登山者でにぎわいます。

三俣山(みまたやま)

標高1745メートル、九重連山の山の中でも1・2を争う人気の山です。この山は、中岳や久住山と少し離れているので、セットでは登る登山者は少ないようですが、山頂は高原状になっており、山頂部をトレッキングして楽しむ登山者が多く訪れます。

大船山(たいせんざん)

標高1,786メートル、九重連山中心部から離れていますが、ラムサール条約に登録された「坊がつる湿原」が登山口になっておるため、坊がつる湿原とセットでトレッキングする登山者が多くなっています。山頂直下に池があり、その周りに広がる紅葉が有名です。

初心者日帰りモデルコース 牧ノ戸峠から久住山と中岳をめぐるルート

牧ノ戸登山口~久住山~中岳~牧ノ戸登山口 総所要時間 約6時間(休憩1時間含む)

今回は、この中から初心者でも歩きやすい、久住山と中岳をめぐるルートをご紹介します。
標高約1300メートルの牧ノ戸峠登山口から、主峰久住山、最高峰中岳を目指します。比較的なだらかな尾根道を歩き、急登が少なく危険な箇所も無いため、初心者の最初のコースとして最適です。

1.牧ノ戸峠(まきのととうげ)~沓掛山(くつかけやま) 所要時間30分

牧ノ戸峠登山口で登山届を記入し出発です。コンクリート舗装された急坂を登り、沓掛山まで30分。そこまで登れば、あとはなだらかな尾根道歩きになります。ここからは、九重らしい雄大な風景を見ながらゆっくり歩きましょう。

POINT

牧ノ戸峠にはかなりの台数を収容できる駐車場がありますが、休日になるとすぐに満車になります。特に初夏のミヤマキリシマの季節や秋の紅葉時期になると、ハンパ無く混雑します。通常の休日で、朝8時、混雑時は朝7時には到着するようにしましょう。なお、路線バスがありますので、ふもとの長者原駐車場へ駐車し路線バスで牧ノ戸峠へ行く方法もあります。
牧ノ戸峠から沓掛山のまでの坂は、冬季は凍結していますので軽アイゼン必須です。

2.沓掛山~久住別れ 所要時間2時間

なだらかな尾根道を少しずつ登りながら、扇ヶ鼻(おおぎがはな)分岐、星生山(ほっしょうさんぶんき)分岐をまっすぐ進み、溶岩の丘を越えると、くじゅう別れです。ここには避難小屋とトイレがありますので、必要な場合は利用しましょう。ちょっとした広場になっていますので、一息入れるのに最適です。

POINT

扇ヶ鼻分岐、星生山分岐付近は、広い尾根道になっており高い樹木もないため、霧が発生すると道がわかりにくくなります。黄色いペンキやケルン(石積の塔)などをしっかりと確認して歩きましょう。また、日影がほとんど無いため、夏場は日焼け止めや帽子など、日よけ対策は必須です。
久住別れのトイレは、バイオトイレで汚物処理能力は低いため、このトイレはあまりあてにせず必ず出発前にトイレを済ましておきましょう。なお、冬季は閉鎖されますのでご注意を。

3.久住別れ~久住山 所要時間30分

久住別れから少しずつ登って約30分で主峰久住山に到着します。360度ビューのパノラマで、天気が良ければ遠くに阿蘇山や祖母山(そぼさん)を望めます。山頂は溶岩ドームになっており広いので、風景を楽しみながらここで昼食をとりましょう。

POINT

久住山頂は昼食をとるにはいい場所ですが、風が強い場合がありますので、その場合は一旦下りましょう。この先、昼食ポイントはたくさんあります。

4.久住山~中岳 所要時間40分

久住山を下り、御池(みいけ)へ進みます。この御池は、火口池で冬季は凍結しますので、池の上を歩いて渡れますが、凍結していないときは、池の淵を右に巻いて歩いていきます。御池を後にしてすぐに中岳に取り付き、岩場をよじ登ると九州最高峰中岳に到着です。あまり広くありませんので、後から登る登山者のために、最高峰を満喫したらすぐに下りましょう。

POINT

もし、久住山で昼食をとれなかったら御池周辺がおすすめです。窪地になっているので直接風に吹かれることはありません。それでも、寒いようであれば、御池のそばに池の小屋という避難小屋がありますので、そこを目指しましょう。
冬季の中岳までの登りは滑りやすいので、軽アイゼンを携行しましょう。

5.中岳~天狗ヶ城(てんぐがじょう) 所要時間10分

中岳を満喫したら帰路につきます。御池側に戻ってもいいのですが、御池の往路とは反対側にある天狗ヶ城という小さな峰を経由してみましょう。天狗ヶ城山頂からは、眼下に御池を見下ろせます。

6.天狗ヶ城~牧ノ戸峠 所要時間2時間

天狗ヶ城から下り、御池入り口の合流地点からは往路をそのまま戻ります。同じ登山道ですが、往路とは違う方向を向いて歩きますので、別の風景を楽しむことができます。初夏はいたるところにピンク色の花を咲かせるミヤマキリシマ、冬季は「エビのしっぽ」と言われる霧氷を眺めながらゆっくり帰りましょう。

POINT

沓掛山から牧ノ戸峠までの急坂は、北向きなので冬季は午後も凍結したままの場合が多いので軽アイゼンを用意しておきましょう。軽アイゼン無しに凍結した坂を下るのは非常に危険です。

初心者向けのモデルコースとして、牧ノ戸峠から久住山、中岳をめぐるコースをご紹介しました。標高差が400メートル程度ですが、歩行距離が長いのでそれなりに疲れます。早めの出発を心がけ、午後15時までには下山できるように心がけましょう。

九重連山登山のおすすめの服装

九重連山登山は、一般的な登山用の服装をそろえれば、特別な服装や装備をそろえる必要はありません。

アンダーウェア

吸湿速乾タイプのアンダーウェアを着用し、汗や湿気を貯めないようにしましょう。掻いた汗が冷えると不快なだけではなく、気温によっては低体温症になる可能性があります。冬季は保温できるタイプを選びましょう。

ミドルウェア

夏季は薄手の化繊のシャツ、冬季はフリースを着用します。木綿のシャツの場合、吸湿性はありますが速乾性に劣りますので避けるようにしましょう。

アウターウェア

冬季はもちろん、夏季でも風が冷たいので、ウィンドブレーカーやレインウェアをアウターとして用意しましょう。

レインウェア

防水透湿性があるレインウェアを用意しましょう。上下セパレートを選び、ポンチョタイプは避けます。少々高価になりますがゴアテックスを採用したレインウェアをおすすめします。

ボトムス

樹木が少なく、天気がいい日は日光に長く当たり、悪天候時は強風が吹きまので、夏季はトレッキングタイツとハーフパンツの組み合わせ、冬季は、防風性があるロングパンツを着用しましょう。

帽子

今回ご紹介した登山コースだけではなく、九重連山は火山帯で木々が少ないので、日射を避ける帽子は必須です。

九重連山登山のおすすめの宿泊情報

法華院温泉山荘

九重連山の周辺部、特に長者原付近には温泉宿がたくさんあり、宿泊場所には困りません。また、山中には、法華院温泉山荘という山小屋があります。日程に余裕があれば、法華院温泉山荘を起点にして九重連山の山々を満喫することもできます。この法華院温泉山荘は、温泉につかりながら真近に大船山の雄姿を眺めることができ人気です。

法華院温泉山荘

花山粋

ふもとでの宿泊は、同じ法華院温泉山荘の姉妹ホテルの「花山粋(はなさんすい)」をおすすめします。登山者のためのホテルとして運営されていますので、登山者同士の談話室や、早朝出発に間に合う朝食など、登山に便利なホテルです。

花山粋

まとめ

いかがでしたか?初心者のための九重連山登山情報をまとめました。九重連山には、今回ご紹介した登山コース以外にも、初心者でも楽しめる登山コースがたくさんあります。また、温暖な九州の山なので、ベテランでなくても一年中楽しめる山でもあります。今回ご紹介した情報を参考に、あなたも九重連山デビューをしてみませんか?

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