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能郷白山の登山ガイド|能郷谷ルートを解説!登山口、服装の注意点まとめ。

今回ご紹介する山は岐阜県の美濃地方にある能郷白山です。能郷白山は深田久弥が百名山選定の際に、隣の荒島岳と迷ったとも言われる山で、頂上には小さなお社があるほか、白山や北アルプス、御嶽山などを見ることができ、非常に登りがいのある山になっています。コースは能郷谷からのコースになり、初心〜中級者の方におすすめのコースになります。では早速能郷白山の基本情報から見ていきましょう。

能郷白山ってどんな山

能郷白山は岐阜県と福井県の県境にある山で、標高は1,617mあります。岐阜県美濃地方の奥美濃と呼ばれる山地の中でも最高峰になります。名前の由来は、白山信仰の山であることから白山とつき、能郷は麓に能楽堂があったことが関係しているようです。現在は、お伝えしている能郷谷(麓の集落)から登るルートと、国道157(酷道としても有名)から登る温見峠からのコースがあります。

能郷白山周辺の気候について

能郷白山のある周辺は豪雪地帯に加えて、豪雨などがあると川が寸断したり、氾濫しそうになるなどとなかなか注意が必要です。特に冬場はさほど登山者もいないので深雪の中のラッセル山行も覚悟していかれると良いと思います。

能郷谷登山口の駐車場は注意が必要

コース紹介は能郷谷登山口からになっていますが、実際には駐車場からゲートをくぐって登山口まで1時間程度歩かなければいけません。かつては登山口付近まで車で来れたようですが、現在は道路の崩落が激しく、とこどころ陥没していたりと整備もされていないので、おとなしく歩くよりほかなさそうです。

駐車所は10台程度のスペースがあると思いますが、ただの路肩といってもいいような体なので、マナーを守って停めましょう。登山口までの道中には野生の猿や、鹿、熊の目撃例もあるようなので、覚悟していきましょう。

能郷白山 能郷谷登山ルートを解説

・難易度 ★★〜★★★
・距離 9km
・コースタイム 5時間30(駐車場から登山口までの徒歩を除く)
・標高差 約900m

▲行き 能郷谷登山口 → 前山 → 能郷白山頂上
▼帰り 能郷谷登山口 ← 前山 ← 能郷白山頂上

能郷谷登山口から前山

登山口の入り口は、駐車場から道なりに進んでいくと発見できると思います。私が行った際には看板も立っていました。ただし、何度か渡渉しないといけないところがあるので、防水性のある靴を履いていかれることをお勧めします。

登山口まで辿り着ければあとは登るだけです。まず目安として標高1500mほどの前山を目指すことになりますが、前山まではほとんど展望もなく前半は傾斜のきつい樹林帯の中をひたすら登っていくことになるため、コース全体の中でもここが一番きつい部分です。

樹林帯を抜けるといくらか展望が望め、前山も見えてくると思います。ここからは熊笹の登山道がメインになり、夏場などは日差しもあるので、紫外線対策などをしてのぞみましょう。

前山から能郷白山最高点まで

前山まで来れたらあとは稜線上を何度かアップダウンをしながら最高点を目指すことになります。とても歩きやすいコースで、前半戦に使ってしまった体力もある程度回復してきて、楽しみながら歩みを進めることができるかと思います。

特に紅葉のシーズンや、花のシーズンにはいろんな植生を見ることができ今コースの最大の醍醐味となることと思います。
ただし、高低差はさほどないと言っても、前山から最高点まではまだ距離的には5割残っていますので、もし自信のない方は撤退すべきかどうかを決める一つの目安としてみるのも良いかと思います。

9合目付近までくると、お社が見えてくると思います。ここまできたらあと一息です。
時期によって9合目からは積雪していることもあり、道もなかなかの傾斜であったり、足場を考えたりするところがありますので、チェーンスパイクなどを用意しておかれると良いと思います。

頂上からは近くに荒島岳、大日ヶ岳、白山連峰、遠くには北アルプスの峰々、東に御嶽山、恵那山、西は伊吹山と名山の数々を望める絶景が広がっています。
ただ、特にベンチや、雨風をしのげる場所もなく、コースを通じて水場もありません。ランチをされる方は、よく考えてから行くようにしましょう。

能郷白山登山におすすめする服装

1,600m程度の山なので春夏秋は一般的な登山の服装をしていかれることをお勧めします。特に、靴は必ず防水性が問われる場面があります。
また、トレッキングポールなどもあると良いかもしれません。今回のコース内には、ポールが邪魔するような箇所も序盤を除けばないので、あると歩行が楽になるという方は持って行かれても良いと思います。
一方で冬季は必ず、冬山装備で行かれることをお勧めします。豪雪地帯になりますので、特にワカンやスノーシューは必須になると思います。

1.アンダーウェア
夏場は速乾性で透湿性の良いものを、日差しがきになる方は長袖のものを選びましょう。
秋冬はウール製の長袖のものが保温性が良くおすすめです。アンダーウェアは特にコンディションを左右するアイテムになると思うので、念入りに選ばれることをおすすめいたします。

2.ミドルウェア
一番種類の多いカテゴリーになり、春夏秋期はジャージ素材のものであったり、薄手のフリースやシャツなど気温や天候によって選択肢を持てると良いと思います。冬期についてはウール製のニットや厚手のフリースなどが良いと思います。

3.アウターウェア
年中通して頂上部付近では風がありますのでウィンドブレーカーがあると良いです。
加えて撥水性、透湿性のあるものだと雨天時や、夏場などでも快適に山行する手助けとなるでしょう。

4.ボトムス
運動しやすい伸縮性があるものを選びましょう。撥水性があるとベターです。
汗をそれほどかかないのであればコットン製のパンツや、ジーンズなどでも良いですが、
綿は濡れるとと重くなるので、注意が必要です。

5.アクセサリー
前山までの樹林帯を抜けると日差しを感じるようになります。特に夏場の帽子類は必須です。
また賛否ありますが、熊よけの鈴や、心配な方は熊スプレーもあるといいかもしれません。
私は幸い一度も遭遇したことはありませんが、いることは間違いないようです。

能郷白山登山の注意点

野生の動物に注意が必要

能郷谷駐車場までの道中の集落の感じや、駐車場から登山口までの間の様子を見ると確実に野生動物の生息地であることを感じられるかと思います。大体の登山道は人の気配が勝っているものですが、ここは感覚として野生動物の領域の中に入っていく感じがありました。

ある時は、道すがら30は超えるほどのサルの群れに遭遇し、彼らを横目に平然と歩きつつも、もし一斉に襲ってきら・・・と幾許の恐怖を覚えたことも事実です。

また近隣ではツキノワグマの目撃例も多いようです。対策としては、むやみに道を外れない、越冬準備の時期を外すなど登山のシーズンを見極めることで、リスク回避しましょう。

冬期登山の注意点

前述しましたがこの辺りは豪雪地帯なので、まず駐車場までの道中に注意していきましょう。道幅も狭く、崩落していたり、落石していたり、朝早ければ路面凍結していることもあるでしょうから、スタッドレスタイヤなど十分にしてから行かれるようにしてください。

冬山登山についてはまず、前山からのラッセルに注意しましょう。また道幅は十分とはいえ、一応稜線上を行くことになるので、夏道を外れて雪庇を踏み抜いたりすることも考えられますので、心配な方は経験豊富な方に先行してもらうなど安全に配慮しましょう。

まとめ

能郷白山は深田久弥が百名山に選ぶのに迷ったと言われるに値する素晴らしい山です。前山までの辛く厳しい登りを超えた後に続く稜線歩きは、まさに別天地の中の遊歩道を歩いているかのようです。また多くの登山者は温見峠からの最短コースを選ぶため、思う存分山歩きを楽しみたいと思われる方には特にうってつけのコースになると思います。

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