富士山登山でメジャーな4ルートの中で最も厳しいとされる御殿場口ルートの難易度や所要時間をご紹介します。
夏の富士山を登るには、一般的には4つの登山口から登ります。各登山口にはそれぞれ特色があり、登山者の技量や当日の状況によって選べるところが、富士山人気を不動にしている要因の一つと言えます。

富士山登山御殿場口とは

静岡県に位置する富士山スカイラインで標高を上げ、1450m程に位置する登山口です。頂上までの大半は富士山特有の砂礫を登り、4ルートの中で最も登山者が少ないため、人混みに疲れてしまう方、登山本来の静かな山登りを楽しみたい方にはオススメのルートです。

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難易度は4ルートの中で最も厳しい

御殿場口は上述の通り大半を砂礫を歩くことになります。砂礫は海水浴場の砂浜を想像して頂けると分かりやすいのですが、足を取られやすく、一歩踏み出してもその半分程度しか進まないことがあり、必要以上に踏ん張らなければいけないため、体力も消費します。

足元が悪い中、さらにスタート地点が低く、頂上までの標高差は約2300m。早くても約7時間、場合によっては10時間をかけることもあるため、日帰りは健脚でなければ困難、一泊するにしても山小屋も少ないため、登頂には体力と天候と自身、または同行者の体調を見極められるだけの技量が必要になってきます。

下山は名物の大砂走

上りでは大変な苦労を強いられる御殿場口ですが、下山ルートとして利用されることが多いです。それは、登山ルートとは異なる専用の下山ルートを使い、上りの半分以下の時間で下山できる大砂走があり、この大砂走が上りでは苦労を強いられる反面、下りではその軟らかい地面がクッションとなり、足の負担も軽く下山することが可能になります。

また近くのルートである富士宮口は上りと下りが同一のルートであり、最盛期には混雑が予測されるため、渋滞を避けて大砂走を選んで降りる事が多いようです。

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御殿場口ルートの利点と注意点

本ルートの利点は、他の登山口より標高が低い点が挙げられます。他の3ルートでは、標高2400m前後からのスタートになり、普段高所に慣れていない方になると3000m以上までの時間も短いため、高度障害に陥るリスクも高まります。

高度順応は時間をかけて標高に慣れていく作業が必要になり、十分な睡眠、水分補給、移動中も焦らずゆっくり登る工夫が必要になります。御殿場口は標高が他ルートより1000m低く、行動時間は長いですが、焦らずゆっくり登ることで順応に時間をかけることができ、高度障害にかけるリスクを減らす事ができるでしょう。

注意点として、目標物のない砂礫を登るので、一度濃霧になると登山ルートを見失うリスクが高まります。
コンパス、登山地図はどんな登山でも必携ですが、さらに冷静に状況を見極める事(行動するか、遭難と判断し救助を呼ぶかなど)も必要です。

また行動時間が長いので天候の確認と事前、当日の体調管理には一層の準備が必要です。装備も登山に適した物を揃え、無理な行動計画(今回は弾丸登山をしていますが、おススメはしません)は控えましょう。

水分とトイレ情報

御殿場口には水場が無いので、必ず持参しましょう。
また他ルートにはある山小屋が御殿場口にはほとんどなく(休業中も多い)、登山口付近か七合目以上で購入することになります。

またトイレも同様なので、緊急で止むを得ない場合を除き、山小屋が近くになければ携帯トイレを持参して対応しましょう。

装備の注意点

天候が良ければ通常のハイキング以上の登山装備が必要です。レインウェア、行動食と水分、地図、コンパス、登山靴は必携ですが、行動時間が長い分背負う荷物(特に水分)も増える為、荷重をしっかり分散してくれる登山向けのバックパックを用意しましょう。また大砂走の下山に備え、ゲイターとストックを用意しておくことをおススメします。

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御殿場口ルートの所要時間

上り 参考タイム
登山口ー七合目日ノ出館:4時間
七合目日ノ出館ー山頂 :2時間40分

下り 参考タイム
山頂ー七合目日ノ出館(大砂走分岐) :1時間5分
七合目日ノ出館(大砂走分岐)ー登山口:1時間45分

登山記録

《登山口ー七合目日ノ出館》

登山行程が長いので、駐車場に着いたらしばらく身体を休めておきましょう。この日は19時より登山を開始するため、山仲間1名と18時に現地入り、1時間仮眠をとりました。

眼下には雲海が広がり、上空の雲が取れ始め、安定した登山日和でした。

歩き始めると、早速砂礫が始まります。足を取られても焦らず、小股で少しずつ進んでいきましょう。日常で長時間歩くことは少ないので実感しづらいですが、大股で歩くと体力を消費してしまうので「ゆっくりだな」と思うペースを崩さずに登っていきます。

登りの大半はヘッドライトを使用します。ヘッドライトは登山用の照度が高い物を使用すると遠くまで視認できます。御殿場ルートは道を外れると転がり落ちるような砂礫なので、夜間行動中はルート外に足を踏み外さぬよう足元よく見て、道迷いを起こさないよう周囲も確認しておきましょう。

この日は月明かりが登山道を照らしてくれ、山体に隠れるまでの間、ヘッドライトなしで歩くことができました。ヘッドライトの明かりに頼っていると眼も疲れてしまうので、安全に歩ける間はヘッドライトを控えておくのも良いでしょう。

しばらく眼下の街並み、果てしない頂上に一喜一憂しながら登っていきますが、目印や区切りとなる山小屋がほとんどないため、休憩は適宜時間を見ながら取る事になります。

この御殿場口ルートで何より辛いのは、変わり映えしない光景と登山道の変化もほとんどないため、精神的に参ってしまうことです。見上げると赤岩八号館と思しき明かりが輝いていますが、歩けど歩けど近づいている気がせず、行動食で紛らわさないと気が狂ってしまいそうになります。

心を無くしたゾンビの如く歩を進めていくと、人工物である日ノ出館(画像は赤岩八合館)が見えてきます。ここに来ると標高3000mとなるので、一度足を休め、呼吸を整えましょう。
《七合目日ノ出館ー山頂》

ここより上は砂礫の他、頂上直下では他の登山道と同じく岩場が出るようになります。長時間歩いたことで疲労も溜まっているので、高度障害に注意しながら一歩ずつ、ゆっくり登っていきましょう。この頃になると夜も明け、視界が一気に開けて高所ならではの絶景が楽しめます。

※高所登山では心肺機能が求められます。低い酸素濃度の中一歩を踏み出すのは平地と比較して負担がかかるため、焦ると呼吸が乱れて行動不能に陥り、意識が朦朧とした中で歩けば滑落の危険性も高まります。富士山は世界の高峰(最高峰のエベレスト8848m)と比べれば低い山ですが、麓からの標高差は十分にあります。

最後の鳥居をくぐると、そこには富士山のお鉢と山小屋を始めとした人工物がズラリ。
何も無い道を歩いた御殿場ルートで孤独に耐えながら長時間登ってきたので、これもひとつの大きなご褒美です。
《下山》

頂上を堪能したら、日ノ出館まで登山道を往復します。陽が出ると平地より強い紫外線を浴びるので、サングラスを持参し、夜間と比較して気温も大きく上昇するので、ウェアの調整もしておきましょう。

日ノ出館を過ぎると分岐があるので、大砂走方面に向かいます。ここでは登山用のストックを使用するとより足の負担を軽くして下ることができ、また登山用のゲイターがあると、砂礫の侵入を防いでくれるので、用意しておくと良いでしょう。
この大砂走は上手くやれば一歩で3m近くの感覚で駆け降りる事もできるほどハイペースで下れるので、上りとは違う爽快感が味わえ、先はありますが、上りで苦労した分のご褒美のようです。

しばらく下ると宝永山への分岐が見えてきます。今回は寄らずに登山口を目指します。
常に左手には登山道が見え、これまで夜間で見えなかった登山道の全容が見えてきます。大砂走から登山口までは参考タイムでは約2時間で下山できます。

ようやく着いた登山口。富士山は雲の上にあるため最後に拝むことは叶いませんでしたが、充実と達成感に溢れた良い登山でした。

いかがでしたでしょうか。苦労の多い御殿場口でしたが、苦労の多い分、最後に得られる充実感は他のルートより大きいものになると思います。是非トライしてみてくださいね。

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