日本百名山の大台ヶ原山。
山全体が特別天然記念物という自然豊かな山岳です。
屋久島に並ぶ日本一雨が多い山でもあり、特異な自然環境が育まれてきました。
本記事では、おすすめの登山コース、登山口へのアクセス方法など、登山情報などをご紹介します。
周辺の温泉情報もチェックしています。
日本の秘境!大台ヶ原山
大台ヶ原山(おおだいがはらやま)は標高1965.1m、奈良県と三重県にまたがる日本百名山のひとつであり、日本秘境100選、ユネスコエコパークにも選ばれている、まさに日本の秘境です。
大台ヶ原山?日出ヶ岳?
一等三角点名としては大台ヶ原山ですが、国土地理院の地図や登山ガイドでは、日出ヶ岳(ひでがだけ)と表記されているものもあり、どちらも同じ山を指します。
一般的には一帯の山域を「大台ヶ原」、最高峰を「日出ヶ岳(ひでがたけ)」という事が多いようです。
大台ヶ原は2つのエリア
大台ヶ原は大台ヶ原ビジターセンターを境に、東大台と西大台の区域に分かれています。
東大台
東大台は東大台ヶ原自然観察路として、道標や植物などの案内板などよく整備されているエリアで、一般登山者のハイキングコースとして気軽に利用されています。
日出ヶ岳は東大台の北東端で観光目的ならこのエリアです。
西大台
西大台は自然環境保護、自然体験の場として、環境省により立ち入り人数が、土日祝は100人、平日は50人に制限されているエリア。
事前申請し手数料を納付し入場当日までにレクチャーを受ける必要があり、少々ハードルが高いので一般のハイキング客はあまり立ち入りません。
大台ヶ原の自然を体験するならこちらのエリアです。
大台ヶ原の登山口 大台ヶ原ビジターセンター
標高1574m、大台ヶ原の中心に位置する大台ヶ原ビジターセンター。
ここまで大台ヶ原ドライブウェイが通じていることもありアクセスは難しくありません。
今回ご紹介する登山コースはここを登山口としています。トイレも完備しているので登山準備には最適です。
大台ヶ原ビジターセンターは、大台ヶ原の歴史や、自然環境、生物の標本など大台ヶ原を知ることができる施設で、西大台事前レクチャーもここで行われます。
大台ヶ原山登山の前後に見学すると、より大台ヶ原のことを理解できるでしょう。
TEL:07468-3-0312
開館時間:9:00~17:00 毎年11月下旬~4月下旬は閉鎖されています。
大台ヶ原ビジターセンターまでのアクセス方法
【マイカーの場合】
【公共交通機関の場合】
大台ヶ原駐車場脇に「大台ヶ原」バス停があり、近鉄大和上市駅より路線バスが運行されています。
季節や休日によって運行本数が変わりますので、詳細は奈良交通で確認してください。
大台ヶ原山登山のおすすめの服装
大台ヶ原山は西大台を除き、登山コースはよく整備されたていますが、標高1500mを越えるエリア。
今回のご紹介するコースを利用するのであれば、一般的な登山ウェアが必要です。
1年を通じて雨対策が必須
1年の3分の2は雨が降るとも言われる大台ヶ原山。
観光地なのでポンチョで十分と思っていたら、下半身がずぶ濡れになんて話もよく聞きます。
おすすめなのは、上下セパレートタイプのゴアテックスを使用したレインウェア。
ゴアテックスは汗の湿気を逃しながら、しっかり防水してくれます。
登山開始時は雨が降ってなくても、リュックの取り出しやすいところに携帯しておきましょう。
西大台は必ず防水靴を
西大台は自然のままの散策路。
舗装や砂利などで整備されておらず、途中、沢を渡る場所やぬかるみなどがあります。
入山する場合は、必ず防水された靴を着用しましょう。
ゴム長靴でもいいですが、歩きやすさや快適性を考えると、透湿防水素材を採用した登山靴がおすすめです。
季節ごとのおすすめの服装
【夏の大台ヶ原登山】
大台ヶ原山は涼しいとはいえ、やっぱり汗は掻きます。
速乾タイプのアンダーウェアやシャツなどを着用しましょう。
東大台は笹原や草原が多いため、帽子やアームカバーなど日射対策が必要。西大台はほとんど森の中なので、東大台にくらべ日射対策は必要ありません。
風が冷たいので、ウィンドブレーカーを用意しておきましょう。
【秋冬の大台ヶ原登山】
大台ヶ原は標高1500mを越えるので、平地より5~10度程度低くなります。
特に朝夕は冷え込みますので、すぐに羽織れるようなアウターを用意しておきましょう。
センターファスナー型のパーカーや、ウィンドブレーカーが便利です。
【冬の大台ヶ原登山】
降雨が多い大台ヶ原、冬は雪が多くなります。
厳冬期は非常に寒いので、長袖の保温インナーと、フリースやセーターなどの中間着、しっかりとしたレインウェアや冬用のジャケットを着用しましょう。
大台ヶ原山登山のおすすめシーズンは?
大台ヶ原登山シーズンは、初夏から秋にかけてとなります。
雪と霧氷の大台ヶ原も絶景ですが、人があまりおらず、登山道が不明瞭になるので初心者には向きません。
毎年、ゴールデンウィーク、お盆や秋の紅葉シーズンは駐車場がすぐに満車になりますので、早めに行くか、公共交通機関を利用しましょう。
緑と花の春
春は、ブナなどの広葉樹の新緑がとてもきれいです。
また、シャクナゲやアケボノツツジ、シロヤシオなどの花が人気です。
冷涼な夏
ほとんどの場所が標高1500m近辺のエリアなので、非常に涼しく、夏の避暑地として人気です。
紅葉の秋
大台ヶ原の秋は絶景とともに楽しむ紅葉が人気です。
関西一早い紅葉という事で、多くの登山者が訪れます。
大台ヶ原のおすすめ登山コース①
東大台コース
【標高差】登り約121m
【難易度】初級
ビジターセンター(40分)⇒日出ヶ岳(30分)⇒正木ヶ原(50分)⇒大蛇嵓(58分)⇒シオカラ谷吊橋(40分)⇒ビジターセンター
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大台ヶ原山ハイキングにおいて、もっとも一般的なコース。
最高峰日出ヶ岳をはじめ、正木ヶ原、大蛇嵓(だいじゃぐら)などの見どころをめぐり、シオカラ谷を経由して、ビジターセンターへ戻る周遊コースです。
ビジターセンター~日出ヶ岳
大台ヶ原ビジターセンター横にある東大台登山口から出発。
最初はなだらかな砂利道ですが次第に勾配がつきますが、それほどではありません。
階段を上っていくと、最高峰日出ヶ岳に到着。
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日出ヶ岳山頂には立派な展望台が設置されています。
山頂からは、大峰山、釈迦ヶ岳、八経ヶ岳などの紀伊の山々、東方向には熊野灘まで見渡せます。
まれですが天候がいいときには、富士山が見えるそう。
しかし、大台ヶ原は雨の山なので本当にまれでしょう。
日出ヶ岳~正木ヶ原(まさきがはら)
日出ヶ岳を一旦下れば正木峠(まさきとうげ)。
そこから正木嶺(まさきみね)へ木製の階段を登ります。
熊野灘を望みながら正木嶺を越えると、ゆっくりと階段を下りっていき、広い草原の正木ヶ原へ到着。
広々とした草原を木道で1周できます。
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日出ヶ岳や正木嶺は、クマザサの中に倒木や、白骨樹と呼ばれる白く立ち枯れた樹木が所々に立つ荒涼とした風景の山頂です。
以前は鬱蒼とした森でしたが、その後の台風での倒木や人為的な破壊、シカの食害などにより今のよう状態になりました。
これ以上の荒廃を防ぐためにこの一帯は、地面を歩くことはなく、木製の階段や木道が続きます。
正木ヶ原~大蛇嵓(だいじゃぐら)
正木ヶ原から10分程度で尾鷲辻に到着。
ここは、大台ヶ原ビジターセンター側より直接通じる中道との分岐になっており、あずま屋がありますので休憩に利用することができます。
尾鷲辻から、15分で神武天皇像が立つ牛ケ原。このあたりから道が険しくなってきます。
だんだんと岩場が多くなり、階段を登ると断崖絶壁、大蛇嵓へ到着。
大きな岩の上からの眺めは絶景で、落下防止用の鎖がありますが足がすくむ大迫力です。
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ビジターセンターから尾鷲辻へ直接通じる中道を利用すると、今回紹介している東大台コースを2分割して楽しむことができます。
日出ヶ岳から尾鷲辻から中道でビジターセンター戻るコース(約2時間)、中道から日出ヶ岳をパスし大蛇嵓、シオカラ方向谷へ行くコース(約3時間)など、時間に余裕が無いときは利用してみましょう。
大蛇嵓~シオカラ谷吊橋
大蛇嵓分岐からシオカラ谷へ一気に下ります。
ここから先は渓谷になり、岩場が多くなりますので注意して歩きましょう。
谷を下りると渓谷の清流が流れています。
この先、急な長い岩の階段がありますので、ここで一息入れましょう。
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大蛇嵓分岐から、シオカラ谷への坂はシャクナゲ坂とも呼ばれるシャクナゲの群生地。
毎年5月中旬から6月上旬ごろ満開を迎え、ピンク色をしたシャクナゲのトンネルになります。
シオカラ谷吊橋~ビジターセンター
シオカラ谷吊橋を渡ると、40分の登りが始まります。
大半は岩の階段なので、休みながら無理せず登っていきましょう。
登りきるとゴールのビジターセンターに到着。
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大蛇嵓やこの渓谷、最後の急登など、このコースの後半は険しい箇所が多くなります。
クサリ場なども登場しますので、体力に不安がある方は尾鷲辻から中道を使用し戻ることをおすすめします。
大台ヶ原のおすすめ登山コース②
西大台コース
【標高差】約マイナス270m(登山口が最高地点、下って登るコース)
【難易度】中級
ビジターセンター(76分)⇒七ツ池(85分)⇒逆峠展望台(105分)⇒ビジターセンター
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次は、原始の森が広がる西大台コース。
ブナの原生林や、コケの森など、本来の大台ヶ原の姿を見せてくれます。
道が不明瞭、霧がよく発生し迷いやすい上、景観保護ため道標や案内板は少ないため、地図やコンパス等を持ち確認しながら歩く必要があります。
初心者は熟練者と同行しましょう。
西大台の入山制限とは?
西大台へ入山するには以下の手続きが必要です。
今回の登山コース利用する前に手続きを行うようにしてください。
なお、1日の入場者数制限がありますので前もって予約しておくことをおすすめします。
簡単な流れは、
1.上北山村商工会へ予約、手数料入金し立入申請する。
2.立入認定証を交付してもらう。
3.事前レクチャーを受ける。
という事になります。
なお、この手続きは入山当日でも可能です。
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【TEL】07468-3-0070
※平日 8:30~12:00/13:00~17:00
(8月13日~16日、12月26日~1月5日を除く)
ビジターセンター~七ツ池
立入認定証と身分証明書を持って、ビジターセンターからドライブウェイ入り口脇の西大台登山口へ入り、しばらく森の中を下っていきます。
夏はブナの緑、秋は紅葉が楽しめるエリアですが、踏み跡などを確認しながら慎重に進みましょう。
約1時間20分で七ツ池と呼ばれる湿地帯に到着します。
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このあたりの原生林、コケの森は素晴らしく幻想的で撮影ポイントですが、植生保護のため、登山道から外れないように注意しましょう。
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七ツ池の前から逆峠展望台まで、国土地理院の地図や登山地図はあまりあてになりません。
実際のルートは、地図とは違うようなので、踏み跡や現地の道標などに従うようにしましょう。
七ツ池~逆峠展望台
七ツ池から開拓跡、展望台への分岐までゆるやかに下っていきます。
ここから登り返し逆峠展望台に到着。
展望台からは、東大台コースの大蛇嵓を間近に見ることができます。
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途中の「開拓跡」には携帯トイレ用の有料トイレブース(300円)が設置されています。
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逆峠展望台の手前、「カボチャの木」と言われるミズナラの巨木。
木の主観下部がカボチャのように膨れている特殊な形なので人気があります。
周囲は植生保護のため立入禁止になっています。
逆峠展望台~ビジターセンター
逆峠展望台からビジターセンターへ向かいます。
相変わらず素晴らしい原始の森の中、吊り橋を2回ほどわたり歩いていくと、登り返しが始まり登山口へ戻ります。
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大台ヶ原を含む紀伊半島はツキノワグマの生息地です。
特に、西大台は人が少ないため目撃例が後を絶ちません。
ツキノワグマも自然の一つですが、不慮の事故を防ぐため熊鈴などをリュックに取り付けて、存在を常に知らせておきましょう。
大台ヶ原山登山の後は温泉へGO
大台ヶ原登山で汗をかいた後は、やっぱり温泉が最高。
下山後に便利な2つの温泉をご紹介します。
なお、今回ご紹介する温泉は公共交通機関のアクセスはなく、マイカーかタクシー利用になります。
小処温泉
ビジターセンターから大台ヶ原ドライブウェイ、県道40号線経由で1時間30分。
途中の道は細くカーブが多いので注意しながら運転しましょう。
場所的は渓谷の秘湯ですが、よく管理されておりきれいな建物です。
槙の香り漂う木風呂や絶景露天風呂などが人気です。
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TEL :07468-3-0256
定休日: 定休日:毎月第2・4火曜日 定休日が祝日と重なる場合はその翌日
利用時間:平日11:00~18:00 土日祝11:00~19:00
料金:入湯料大人700円/小人350円
入之波温泉 山鳩湯
ビジターセンターから大台ヶ原ドライブウェイ、県道40号線、国道169号線、県道224号線経由で50分。
源泉かけ流し100%の温泉です。
少々ぬるめですが濁ったお湯が特長です。
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TEL :07465-4-0262
定休日: 11月~3月末まで 火水曜日 4月~10月末まで 水曜日
(祭日・連休・お盆は営業)
利用時間:10:00~17:00(16時最終受付)
料金:入湯料大人800円/小人400円
大台ヶ原周辺の宿泊施設
大台ヶ原の東大台、西大台それぞれ踏破したいけど、1日では無理。
そんな時に便利な周辺の宿泊施設をご紹介します。
心・湯治館
「心・湯治館」は大台ヶ原ビジターセンターのすぐ近くの宿泊施設で、大台ヶ原登山客がよく利用しています。
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TEL :07468-2-0120
営業期間: 4月第4土曜日~11月24日まで(宿泊は23日まで)
利用時間:チェックイン/ 15:00~ チェックアウト/ 9:00
料金:個室一泊二食付き11,450から
入之波温泉 山鳩湯
日帰り温泉施設としてご紹介しましたが宿泊もできます。
全4室収容人数20名なので、利用する場合は早めに予約をしておきましょう。
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TEL :07465-4-0262
定休日: 11月~3月末まで 火水曜日 4月~10月末まで 水曜日
(祭日・連休・お盆は営業)
利用時間:チェックイン/ 15:00~ チェックアウト/ 10:00
料金:1泊2食付11,880円~
大台ヶ原山で絶景と大自然を体験
絶景と散策を楽しめる東大台。
原始の森を体験できる西大台。雨が多く、快晴の中歩けることはあまりありませんが、しっかりと雨対策をすれば、雨の登山もいいものだと思わせるのが大台ヶ原の魅力です。
ぜひ、準備をしっかりとして、大台ヶ原で絶景と大自然を楽しみましょう。