尾瀬 燧ヶ岳・至仏山・会津駒ヶ岳

燧ヶ岳の登山ルートを難易度別に日帰りや初心者向けもご紹介!

尾瀬を代表する山、燧ヶ岳(ひうちがたけ)。至仏山(しぶつさん)とともに尾瀬沼の背景としてその姿を見たことがある方も多いでしょう。この燧ヶ岳は行程が長く難易度が高いことでも有名ですが、コースを選べば初心者でも登頂可能です。今回は、日帰りコースから、山小屋泊まりコースまで、難易度別に登山コースをご紹介。

燧ヶ岳とは

所在地;福島県南会津郡桧枝岐村
標高:2,356m

燧ヶ岳の読み方は(ひうちがたけ)と読みます。
燧ヶ岳は、東北地方最高峰、尾瀬国立公園内の火山で、尾瀬の主峰。日本百名山にも選ばれている福島県の名峰です。至仏山とともに、尾瀬沼を挟む形でそびえる姿は、湿原と木道の背景としてガイドブックの画像や、ポスターとしても有名。

燧ヶ岳というピークは無い!?

燧ヶ岳には、燧ヶ岳と言う名前のピークはありません。登頂可能なピークは、柴安嵓(しばやすぐら、2,356m)・俎嵓(まないたぐら、2,346.0m)・ミノブチ岳(2,220m)の3つです。今回ご紹介する登山コースそれぞれの目標地点になり、それぞれのピークは登山道で結ばれているため、同時にすべて制覇することも可能です。

マイカーで行ける登山口は、御池登山口だけ

燧ヶ岳の登山口のうち、マイカーで直接たどり着けることができるのは御池登山口だけなので、日帰り登山できるルートは御池登山ルートのみとなります。

そのほかの登山口は、周りの湿原の入り口までマイカーや公共交通機関で、その後、湿原を歩き登山口まで至ります。登山まで含めれば、湿原の小屋に前泊することになり、日帰りは困難です。

燧ヶ岳の山開きはいつ?

燧ヶ岳の山開きは例年7月の第1日曜日。2019年は7月7日(日)に開催。午前6時に受け付け開始、御池登山口で安全祈願祭の後、御池・長英新道・見晴新道各登山口でオリジナルピンバッチをプレゼントするそうです。毎年、多くの登山者でにぎわう山開き、今年はあなたも参加してみては?

尾瀬燧ヶ岳は余裕を持った登山計画を

今回ご紹介する燧ヶ岳は、尾瀬の中の山岳で、至仏山、尾瀬ヶ原、尾瀬沼とともに、尾瀬国立公園として指定されています。登山客とともに、観光客も多く、多くのハイカーが湿原を散策する姿をテレビなどで見た方も多いでしょう。

美しい景観とともに、尾瀬の春を代表する花のミズバショウやニッコウキスゲなど多くの高山植物など、多くの見どころが満載なのでおのずと時間がかかります。登山を計画する際は、余裕を持って行程を組んでおくことをおすすめします。

燧ヶ岳の難易度初心者向け登山ルート

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長英新道コース(1泊2日)

大清水登山口(155分)→尾瀬沼ヒュッテ(泊)(15分)→浅湖湿原(120分)→燧ヶ岳・ミノブチ岳
大清水登山口から出発。尾瀬沼ヒュッテに1泊し、翌日、早朝の尾瀬沼を楽しんだら、長英新道から燧ケ岳のピークのひとつ、ミノブチ岳へ登頂します。宿泊しない方法もありますが、かなりタイトな上、尾瀬沼を楽しむ余裕がなくなりますのでおすすめできません。
登山コース自体は難しいところ、危険な箇所は無いので初心者向きです。

大清水登山口のアクセス駐車場情報

所在地:群馬県利根郡片品村戸倉
標高;1187m

群馬県側からの尾瀬沼への玄関口のひとつで、週末やシーズンであれば新宿駅より直行バスも運行されています。
【公共交通機関の場合】
JR上越新幹線上毛高原駅より関越交通バスを利用し、2時間10分で大清水バス停へ。

【マイカーの場合】
関越道沼田ICより約41.5km、1時間程度で大清水駐車場へ駐車。混雑時は満車になりやすいので注意。

1日目 大清水登山口から尾瀬沼ヒュッテ

大清水登山口~一ノ瀬休憩所
大清水登山口よりしばらく緩やかな登りの林道歩きになりますが、登山口で車は通行止めなので、気楽に歩くことができます。約1時間で一ノ瀬休憩所、ここからは本格的な登山道に。つづら折りの急登を登りあがると、至仏山などの眺望がいい三平見晴台に到着します。
なお、2015年より6月から10月まで、この区間は乗合バス・タクシーが運行されています。詳しくは、群馬県の公式サイトをご覧ください。

群馬県公式サイト

一ノ瀬休憩所~尾瀬沼ヒュッテ
一ノ瀬休憩所から約1時間で三平峠。ここからゆっくりと下りはじめ、途中で尾瀬沼が見え始めると尾瀬沼周遊道へ突き当たり、周遊道を歩いて尾瀬沼ヒュッテへ20分で到着です。
尾瀬沼周遊道は、ミズバショウ、ニッコウキスゲ、サワギキョウなどを楽しみながらゆっくり歩きましょう。

尾瀬沼ヒュッテ

なお、尾瀬沼ヒュッテの近くに長蔵小屋という山小屋もあります。ここは、大正時代から続く歴史がある山小屋です。

長蔵小屋

2日目 尾瀬沼ヒュッテから燧ケ岳

尾瀬沼ヒュッテ~長英新道分岐
尾瀬沼ヒュッテを出発。尾瀬沼から浅湖湿原へ。早朝の尾瀬沼は、時折、霧が発生し幻想的な風景を見せてくれます。見どころ満載ですので尾瀬の自然をじっくりと堪能しておきたいポイント。

長英新道分岐~ミノブチ岳
15分程度で長英新道分岐に到着。燧ケ岳方向に進みます。最初は緩やかな登りの樹林帯が続きますが、少しずつ急登になります。長くダラダラと続く道は。危険な箇所はありませんが、少々疲れます。分岐から2時間程度で、ミノブチ岳到着。
ミノブチ岳からは、眼下に尾瀬沼、前方には会津駒ケ岳を見ることができます。
下山は往路を戻ります。

燧ケ岳の難易度中級者向けルート

燧ケ岳の御池コース(日帰り)

御池登山口(55分)→広沢田代(45分)→熊沢田代(90分)→俎嵓
燧ケ岳登山で、唯一、マイカーで登山口まで行けるため日帰りが可能なコース。とは言え、長い行程、急登、ぬかるみ、残雪や道がわかりにくいなど、健脚者向けで、初心者に不向きです。

コース途中には、広沢田代・熊沢田代などの湿原が広がり、今回紹介する2コースにくらべ、変化に富んだコースで飽くことがありません。

御池登山口のアクセス駐車場情報

所在地:福島県南会津郡檜枝岐村御池
標高;1507m

今回紹介した登山口の中では唯一、福島県の登山口です。尾瀬ヶ原への福島県側の玄関口でもあり、多くの登山者が利用します。
【公共交通機関の場合】
会津鉄道会津高原尾瀬口駅より会津バスを利用し、1時間30分御池バス停へ。
【マイカーの場合】
東北道西那須野塩原ICから105km、約2時間20分。御池駐車場へ450台駐車可で、満車の場合は。7km先の七入駐車場からシャトルバスが運行されます。

御池登山口から広沢田代

御池登山口を出発。木道の道を進み、しばらくすると、岩が露出した急登が始まります。樹林帯が続きますが、7月初めぐらいまでは残雪が残り、雪の斜面になるので軽アイゼンなど滑り止めを用意する必要があります。急登が終わると展望が開け、最初の池糖、広沢田代に到着。
広沢田代は、ワタスゲやモウセンゴケなどが見られる湿原です。

広沢田代から熊沢田代

広沢田代を過ぎると再び樹林帯へ。30度を超えるような傾斜もあるので、残雪時は滑り止め必須。ダケカンバなどの広葉樹林を登ると、再び展望が開け、2つ目の池糖、熊沢田代です。広沢田代と違い、傾斜湿原でせり上がるように進む木道がよくわかります。春夏は湿原の高山植物、秋は草もみじが見どころです。

熊沢田代から俎嵓

熊沢田代を過ぎると樹林帯に入ります。このあたりは本コースの中で一番わかりくい箇所。赤札が少ないので、むやみに進まず、しっかりと確認して歩くことがポイントです。

だんだんと急こう配になり、ガレ場を登りあがると展望が開け、目的地、俎嵓へ到着します。
俎嵓は、360度の眺望、至仏山から会津駒ケ岳、眼下には尾瀬沼が眺望できます。

下山は、往路を戻ります。

燧ケ岳の難易度上級者向けルート

尾瀬を満喫!見晴新道コース(1泊2日)

鳩待峠登山口(50分)→山ノ鼻(120分)→尾瀬小屋(泊)(4時間)→柴安嵓
尾瀬ヶ原観光の玄関口、鳩待峠より出発。長い尾瀬ヶ原の木道を2時間以上歩く、尾瀬らしい自然を満喫できる1日目、翌朝、見晴新道で燧ヶ岳・柴安嵓に登頂するコースです。全体的に行程が長く、滑りやすい箇所や岩場、迷いやすい箇所があり初心者には不向きなコースです。
今回は、1泊の行程にしていますが、2日目は、見晴にもう1泊すると余裕を持って下山できます。

鳩待峠登山口のアクセス駐車場情報

所在地:群馬県利根郡片品村
標高;1592m

尾瀬観光拠点と言えばここと言われるほど、代表的な尾瀬の入り口。週末やシーズンは特に多く、例年5月下旬から10月までマイカー規制されています。新宿からは、鳩待峠行バス連絡所直行バスも運行されています。
【公共交通機関の場合】
JR上越新幹線上毛高原駅より関越交通バスを利用し、2時間で鳩待峠行バス連絡所。シャトルバスに乗り換え鳩待峠バス停へ。

【マイカーの場合】
マイカー規制シーズンは、関越道沼田ICより約35km、1時間10分程度で片倉の駐車場。ここからシャトルバスへ乗車し鳩待峠バス停へ。
オフシーズンの場合、関越道沼田ICより約45km、1時間30分程度で鳩待峠駐車場まで乗り入れできますが、できるだけ公共交通機関を使用するように推奨されています。

1日目 鳩待峠から尾瀬小屋

鳩待峠~山ノ鼻
鳩待峠を出発。登山開始は標高差マイナス200メートル、50分程度の下りから。ブナ林の中の木道が続きます。緩やかな下りの上、雨の後の木道は滑りやすく、この木道で転倒してケガをする方が多いので注意しましょう。

山ノ鼻~尾瀬小屋
山ノ鼻からは、いよいよ尾瀬ヶ原の湿原歩き。約2時間、湿原の花や風景を満喫しましょう。山ノ鼻から50分程度の牛首分岐までは多くのハイカーでにぎわいますが、その先は少なくなり、のんびりと歩くことができます。

牛首分岐から70分程度で尾瀬小屋など6つの山小屋が多く集まる見晴へ到着。

尾瀬小屋

2日目 尾瀬小屋から燧ヶ岳

尾瀬小屋~柴安嵓
尾瀬小屋を出発。燧ケ岳登山口から、見晴新道へ。最初は緩やかな登りですが、途中、ぬかるんでいる場所があるので足を取られないように気を付けましょう。だんだんと勾配がきつくなっていき、樹林帯を抜けると、もう少しで目指す柴安嵓。

ここから、危険な岩場やガレ場が始まります。ここまで4時間近く歩いて体力を消耗している上、滑りやすいので、十分注意して登りましょう。ほどなく、尾瀬ヶ原を一望できる柴安嵓へ到着します。

下山は往路を下りますが、ガレ場は浮石が多く、特に雨の後は滑りやすいので慎重に。

燧ヶ岳の登山の後は温泉!

燧ヶ岳登山の後に楽しめる周辺の温泉情報をご紹介します。

【御池最寄り】檜枝岐温泉 燧の湯

御池登山口からマイカーで13分。檜枝岐温泉 燧の湯は、登山客が多く訪れる温泉です。川に面した露天風呂や内風呂などがあり人気です。

・住所:福島県南会津郡檜枝岐村上ノ台208−1
・電話番号:0241-75-2290
・料金:大人 500円 子供 250円
・営業時間: 6:00~21:00(最終受付20:30)火曜日のみ 12:00〜21:00(最終受付20:30)

檜枝岐温泉 燧の湯

【鳩待峠、大清水最寄り】尾瀬ぷらり館 戸倉の湯

大清水登山口からマイカーで約15分。鳩待峠シャトルバスの駐車場のすぐ近く「尾瀬ぷらり館」の中の日帰り温泉です。この尾瀬ぷらり館は、尾瀬の自然が学べる尾瀬ネイチャーセンターも併設しています。

・住所:群馬県利根郡片品村戸倉736-1
・電話番号:0278-58-7263
・料金:大人 500円 小学生 200円
・営業時間:10~18時(冬期は12~19時)
・休み:【夏期】第2・第4火曜日(4/29~10月末) 【冬期】毎週火・水曜日 (12/21~4月末)

尾瀬ぷらり館

見どころ満載の燧ヶ岳へぜひ

いかがでしたか?尾瀬の主峰、燧ヶ岳。登山だけではなく、一緒に尾瀬の自然を楽しめることが魅力です。決して簡単な登山ではありませんが、その長い行程には見どころ満載。ぜひ、余裕を持って尾瀬、燧ヶ岳登山を楽しみましょう。