アイゼンは冬の登山において、スリップ・転倒・滑落防止に欠かせないアイテム。
雪山で確実なグリップ力を得る12本爪のアイゼンの選び方と装着方法、おすすめ商品をご紹介します。

アイゼンとは?

アイゼンとは氷の上で滑らないように、登山靴の下に装着する金属製の爪のことです。凍結した登山道などを歩く際には必須装備。転倒や滑落などを防ぐことができます。
「アイゼン」はドイツ語で、「クランポン」というフランス語の言い方もあります。

どんなときに装着する?

季節によっては、登山は雪の斜面を歩くことも多く、雪山登山は特にアイゼンの必要性が高いです。平地ではまだ雪が降っていなくても標高が高い山だと、すでに山頂付近に雪が積もっていることも珍しくありません。事前にどの山を登るのかを決めましょう。
特に、普段は土や岩のある道でも登るシーズンやタイミングによって雪が積もる山では、アイゼンの用意は欠かせません。

アイゼンの役割

アイゼンにはツァッケと呼ばれる部分があります。いわゆる滑り止めのための引っ掛ける部分がこれにあたります。

雪や氷の上は極端に摩擦が少なくなります。雪や氷の上を歩くとすべるのは、踏み込んだ圧力で氷の表面が水に変化し、底面の踏ん張りが上手く効かなくなるためです。これが滑るメカニズムです。

特に靴の裏が凸凹がないタイプの靴だったり、つるつるとした表面のコーティングだとわずかな氷でも滑ってしまいます。アイゼンの爪は、直接、氷や地面に突き刺さって踏ん張る力を地面に伝えるので、滑ってしまうのを防止します。

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アイゼンの選び方

爪の数は12本爪を選ぼう!

爪の数には4本、6本、10本などがあります。
偶数で増えるのは、左右対称に爪があるからです。
そして、本格的な雪山登山では、12本の爪数を選ぶのが良いです。

  • 軽アイゼン(4~6本):積雪期の低山ハイクや夏の雪渓の横断、多少傾斜のある登山向き。
  • アイゼン(10~12本):厳冬期の登山など、本格的な雪山登山に対応。
  • チェーンスパイク:なだらかなアイスバーンなどには便利。傾斜のある場所は不向き。

※チェーンスパイクは、アイゼンよりも小さい爪が網状のチェーンになっているもの。

アイゼンの爪の本数の違いは?

そもそも本数の違いとは何でしょうか?まず、本数が少ないということは、それだけ引っ掛ける部分が少ないことを意味します。

山を普通に歩ける程度の浅い雪には適しますが、雪が多く斜面がきつい場面ではアイゼンがないと、通常装備では厳しいといえるでしょう。

爪の本数が増えると安定感が増し、12本になると爪の付き方が少し傾いているので、つま先から引っ掛けることができます。
いわゆる、ステップが必要なくなるというヤツです。

しかし、気をつけなくてはないけないのが、本数が多くなるほど、アイゼンの重量が重くなる点です。雪山は体力の消耗が激しいため、12本爪のアイゼンを選ぶ際は重さをしっかりと確認する必用があります。機能性など含めて軽量化されているものを選びましょう。

登山靴とのフィット感が重要

また、選ぶ際に基準となるのが、靴にアイゼンがフィットするかどうかです。つま先や踵の部分がゆるいとズレてしまいます。それに靴とアイゼンの間に空間があったり、底の面積がフィットしていないと使用中に装着具が外れてしまい、登山での機能を上手く発揮できなくなります。
購入するときは、必ずサイズやデザインだけでなく、すでに持っている登山靴にアイゼンが合っているかを確認しましょう。

チェーンアイゼンおすすめ5選 選び方やアイゼンとの使い分けは?

軽アイゼンとチェーンスパイクの違いと積雪期の低山での使い分け方まとめ

アイゼンおすすめの12本爪ワンタッチ式

ワンタッチ方式は、踵部分から伸びるストラップを足首のラインにそって登山靴を固定するタイプです。コバと呼ばれる金属金具がつま先と踵についていて、引っ掛けるように装着します。着脱が簡単で、装着具の切り替えに手間がかかりません。 

※コバはアイゼンを装着する、登山靴のソール部分にある溝の部分のことです。登山靴によって、あるものとないものがあります。

しっかりと固定するので、途中で外れてしまう心配もありません。12爪のアイゼンを使用する場合、靴に装着して外れないことが重要です。そのため、ワンタッチ方式が比較的選ばれやすいです。

サレワ SALEWA ALPINIST ALU STEP-IN

[製品詳細]
アルミニウムでできた軽量材質と雪を溜め込まないためのアンチスノープレートが装着されたワンタッチ方式アイゼンの製品です。

モンベル・カジタックス

[製品詳細]
爪にはクロムモリブデン鋼素材を使用してさびにくくした製品です。
サイズはS・M・Lから選べて重量は880gと少し重いです。
幅を固定するトゥベイルが違うノーマルとナロウの2サイズがあります。
つま先はトゥハーネスがノーマルとワイドから選べて、さまざまなサイズの登山靴にフィットします。

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アイゼンおすすめの12本爪セミワンタッチ式

セミワンタッチ方式は、ワンタッチタイプとは違ってつま先にレバーと、踵に金属金具のコバが付いています。靴をひっかけた後、ベルトでしっかりと固定して装着完了です。

さまざまな冬山の登山靴に向いています。内外のソールが硬質であることなどが装着の条件なります。もちろん、靴にフィットしていて、ソールの硬さに問題がなければ、靴の種類に関係なく装着できます。

しかし、靴との相性が悪いことがよくあるので、装着具合や適した登山靴に変えるなど必要になるケースがあります。

モンベル・カジタックス

[製品詳細]
クロムモリブデン鋼を使用した素材と踵のバインディングが簡易的なのが特徴です。
セミワンタッチ方式で取り外ししやすいでしょう。
重量875gで少し重めでサイズはS・M・Lから選択できます。

ペツルPETZLバサック

[製品詳細]
全マウンテニアリング用ブーツに対応したアイゼンです。
アンチスノープレートにクロムモリフデン鋼を使いステンレススチールなどさびにくい素材がそれぞれで使用されています。
重量840gで軽量化されたモデルです。

グリベルGRIVELニューマチック

[製品詳細]
イタリアブランドのアウトドアギアが販売しているアイゼン製品。
クロモリ鋼が素材に使用されていて、フリーアジャスト式で自由なサイズの靴が取り付けできる。
兼用靴にも使用できるので、利用できる幅が広いアイゼンです。

アイゼンおすすめの12本爪ベルト式

冬シーズン以外にもオールラウンドな登山靴に装着ができるのがストラップ(ベルト)方式です。
装着時、コバではなくストラップ(ベルト)でつま先と踵を引っ掛けて固定します。
注意点としては、夏用の登山靴に装着した場合に、足先にかけて血の巡りが悪くなり、凍傷になる恐れがあることです。

ストラップ(ベルト)方式は爪数の少ない登山にむいているので、比較的利用されやすい反面、初心者にとっては、「凍傷を避けて登山中に外れない程度」に固定する装着技術が足りないのが難点となります。

グリベルGRIVELニュークラシック

[製品詳細]
装着時にコバがないため、登山靴の形状やサイズに左右されにくいアイゼンです。
アンチスノープレートがあって雪が詰まらないのでひっかかりを邪魔せず歩行できます。
アルミニウム素材で620gとかなり軽量で、途中で装着するため荷物にしても重さをほとんど感じません。

グリベルのアイゼンの違いや選び方を解説!おすすめはエアーテック・ニュークラシック!

ブラックダイヤモンドBlack Diamondセラックストラップ

[製品詳細]
登山靴の形状やサイズに左右されにくいストラップタイプのアイゼンです。
ステンレススチールの素材でできており、重量は860gです。
雪山登山に力を発揮して、安定した登りを可能とします。
デュアルデンシティABSをつけることで、雪をつけないようできる機能がある。

ペツルPETZLバサック

[製品詳細]
多くの登山靴にフィットする優れもので、アンチスノープレートあり。
また着脱簡単なのがポイントです。氷にもしっかり刺さるので安定感は抜群。
クロムモリフデン鋼とステンレススチール製で重量が875gです。

アイゼンの装着方法

最後に、装着方法をご紹介します。
方式ごとに装着手順が若干、違うので気をつけましょう。ですが装着の前に、長さ部分のプレートを操作して調整しましょう。サイズ調節を忘れると、登山中に装備が外れることがあるので必ず最初にチェックします。
それでは手順を説明します。

セミワンタッチ式アイゼンの装着方法

装着の流れ

①登山靴のサイズに合わせて、調節プレートの上側を決めます。

上がヨーロッパサイズ36~44、下が45~50です。
あくまで目安なので登山靴との相性を考慮して調節しましょう。

②調節プレート下側の穴の位置を決める。(必要なら後で位置を変えて微調節します)

画像中央のこの穴に銀のタブについている小さい突起をはめて調節しています。

③登山靴のかかと部分のコバにレバーを掛けます。

アイゼンにも左右があるので間違えないように注意しましょう。

コバに掛けたとき、登山靴が動いてしまっていたり緩かったりしたときは、先ほどの調節プレートを調整するか、下の画像にある側面の穴を使って微調整します。

④ストラップを通します。

ストラップはねじれないように注意しましょう。

➄ストラップの余りを登山靴の外側で結んで終了です。

内側に結んでしまうと、歩行中に反対アイゼンに引っ掛けてしまい、転倒する可能性があるので外側で結びましょう。
できればストラップは切らずに結ぶのがおすすめです。
手袋をしているときや、寒さで手がうまく動かない場合に、短いストラップだと絞めるときに力が入りにくいですが、ストラップが長ければ手巻き付けることで強く引っ張ることができ、しっかり締められます。

チェーンスパイクは雪渓や沢登りで大活躍!しかし外れる危険性も。

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アイゼンの手入れの仕方

キズからのサビ防止

アイゼンは雪や氷に混じった石や砂、突出した岩などによって表面にどうしてもたくさんのキズができてしまいます。そのままにしているか、水で濡れたままだとサビができてしまうので使用後はメンテナンスが必須です。

まず登山後はアイゼンを水で洗い流し、ブラシで土などの汚れを落とします。乾いたタオルなどで水分を拭き取り、全体を乾燥させます。その後は水や酸素などによる金属の腐食防止のため、サビ止めオイルやシリコンスプレーなどを塗って保管すると効果的かと思います。もしサビがついてしまい、ひどい状態であれば金属ブラシなどでサビをとってからオイルを塗るようにしましょう。

先端の摩耗のメンテナンス

購入したばかりのアイゼンの爪は鋭利に尖っていますが、使い続けることでキズがつき徐々に爪先が丸くなってきます。こうなると氷へのくいつきが悪くなり本来の機能を発揮できなくなりますので、定期的なメンテナンスも行いましょう。

市販の金属用の平やすりでも十分ですが、ピッケル研磨用のやすりもあるようです。(アイゼンにも有効)作業にはグローブを付けて段ボールなどを敷いておくとよいでしょう。また、注意点としては電動グラインダーという金属やコンクリートの研磨などを行える電動工具がありますが、アイゼンに関しては使用してはいけません。というのも、電動グラインダーだと使用時に熱が生じ、その熱がアイゼンのスチールの特性を損ねてしまいます。必ず平やすりを使って手で研磨しましょう。

爪の研磨の仕方

・爪の側面(平らな面の方)は研がない。
平面を研いでしまうと爪が薄くなってしまい、強度が低下します。

・爪全体が三角形になるように研ぐ。五角形にならないように注意。
先端を三角形にして爪全体を五角形にしてしまうと、先が丸まりやすくなり、氷に十分爪が刺さらないなどといったことにも繋がるので、新品のときのように三角形の形を心掛けましょう。

・削りすぎない。
強度が低下する、または長く使えなくなってしまうので削りすぎないようにしましょう。

・研ぐ方向は一定の方向へ
研ぐときは往復させずに、手前から奥へだけといったように一定方向へ研ぐと、研いでいるうちに、爪が丸くなってしまったりすることを防ぐことができます。

・パーツ交換も視野に入れよう
アイゼンは雪や氷の上など、スリップや転倒、滑落などが発生する状況下で使用するものです。ペツルのアイゼンは交換用パーツとして、アイゼンのフロント部分などを購入できます。傷みがひどければ、交換するという選択肢も考慮しましょう。安全を最優先にした判断を。

まとめ

3シーズンの登山に比べて雪山登山は大幅に難易度が上がります。夏に登ったことがある山でも積雪期に登るのは別の山と言ってよいくらい。登山の準備は十分すぎるくらいで丁度良いです。しっかりした準備と装備で楽しい登山ライフを送りましょう!

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