丹沢

大山三峰山 丹沢登山|アクセス方法と鎖場登山ルート、装備をご紹介!求められる登山スキルは?

東丹沢の中でも峻険な山として知られる、大山三峰山をご紹介します。神奈川県の屋根とも言える山岳地域である丹沢は、そのエリアによって多様な趣があります。丹沢の東側に位置する東丹沢エリアは、信仰や人との繋がりを今に残しつつ、登り甲斐のある峰が点在しています。

東丹沢が擁する山々

(塔ノ岳から見る大山。大山は一番奥。)

最も有名な山として挙げられるのは、神奈川県伊勢原市に位置する大山です。独立峰として確認しやすいその山体は、古くから信仰の山として愛され、江戸時代には大山詣りとして賑わっています。そして今回ご紹介する大山三峰山も、玄人な登山者に名の知れた隠れた名峰です。

大山三峰山とは

(大山ー大山三峰山間の稜線)

東丹沢エリアの中でも北方に位置する山で、標高は935mです。丹沢の中では低山で、ピークハントする以外にも隣接する大山とセットで登られることもあります。切り立った稜線上にあるために登山ルートは限られ、頂上の展望はなく難所も多いことから、経験者向きの山となっています。

厳しい登山ルート

全ルートで展望もなく一般向きではない大山三峰山がその名を知られているのは、その厳しい登山ルートがあるからでしょう。この登山道が魅力であり、登山の技術向上には丁度良い山でもあるため、経験者に好まれる傾向にあります。

とはいえ上述のように厳しい道が続くため、多数の鎖場、斜度がきつく堆積物で滑りやすい登山路、切り立った稜線は逃げ場がなく、遭難事例も報告されています。一部迷いやすい道もあり登山者も少ないので、歩行技術を身に付け、地図読みなどの基本技術を習得してから望みたい山です。

難ルートの魅力

登山道は山域や峰によって様々なルートがあり、その難易度も非常に幅があります。なだらかな道を歩くということもあれば、アップダウンを繰り返したり、沢を渡ったりと、どれも登山者を楽しませてくれる重要な要素です。

斜面を横切るトラバース、岩場の登り、ナイフリッジ、不明瞭な登山道などは難易度が高く、また標高が高く森林限界を越えた場所での梯子は、強風と視界の良さもあって、恐怖心との戦いになります。

厳しいルートの先に大絶景が待ってるわけでも、アルプスなどの著名な山でない限り誰かが称賛してくれるわけでもありません。それでも難ルートを登る魅力は、より自分の力で登山をする爽快感と、人間に備わっている冒険心と、征服欲にあるのかと思います。登山とはなにか、という根元を無言で体現してくれる力が、難ルートにはあります。

大山三峰山で求められる登山スキル

大山三峰山では基本的な登山スキルが不可欠です。
また三峰山のような経験者向きのルートになる場合も同様です。
今回は必要と思われるものを以下に挙げます。

歩行技術

トラバース、滑りやすい岩場、土砂が堆積した登山道など、山頂までの状況は変化に富んでいます。足裏全体を使ってフリクションを効かせ、岩場では三点支持の基本を守りつつ、短いながら岩場の下降もあるので下降技術も覚えておくと良いでしょう。

地図読み

三峰山はルート外へ続く踏み跡や、不明瞭な道が沢山あります。自分が今どこにいて、山頂までの時間を計算できるなど、地図を正確に読み解ける技術が必要です。登山において非常に重要な技術であり、遭難回避には不可欠な知識なので、必ず習得しておきましょう。

体力

一般登山道の中では難ルートである大山三峰山ですが、最も大事なのは、パフォーマンスを維持して歩き続けられる体力が必要です。

危険が少ない登山道であれば、スタミナ切れでも休憩して歩ければ問題なかったりしますが、身体能力の低下はバランスが求められる場所では非常に危険です。

大山三峰山は所要時間は日帰りの範囲内の山ですが、非常に神経を使います。登山向けの体づくりをして、十分な体力を身につけましょう。

技術が浅い場合

自身の技術より大きく上回る山に行きたい場合、その山に相当、もしくはそれ以上の技術を擁する登山者との同行が不可欠です。全くの初対面ではなく、必ずご自身の登山経験を熟知、もしくは同行経験がある方と登りましょう。

登山口までのアクセス

メインの登山口は、煤ケ谷と広沢寺という2ヶ所の登山口になります。各登山口へは公共交通機関とマイカーでのアクセスが可能です。

バスでのアクセスは、小田急線本厚木駅から神奈中バスで各30分程度です。
マイカーでは、広沢寺に公共の駐車場があり、煤ケ谷にも近隣施設の駐車場が利用できます。

水場とトイレ

大山三峰山のルート上に山小屋はないため、登山開始前に水を入手しておく必要があります。
また沢があるため、アプローチや登山ルートによっては沢の水が汲めます。が、そのまま飲むにはリスクもあるので、基本的には登山前に入手しましょう。

トイレは煤ケ谷バス停付近の公共施設、広沢寺側の山神隧道手前と不動尻にあります。

所要時間

上り参考タイム

広沢寺登山口ー不動尻:1時間
不動尻ー稜線合流:1時間10分
稜線合流ー山頂:40分

下り参考タイム

山頂ー稜線合流:30分
稜線合流ー不動尻:50分
不動尻ー広沢寺登山口:55分

大山三峰山登山装備

ザック(ノースフェイス FP ハイブリッド 30)
レインウェア上下(モンベル)
防寒着(モンベル クラッグジャケット)
予備ウェア(モンベル)
ヘッドライト(モンベル)
サングラス(モンベル トレールグラス)
ツェルト(モンベル U.Lツェルト)
水筒(モンベル フレックス ウォーターボトル)
水筒(モンベル クリアボトル)
コッヘル(スノーピーク チタン製)
チタンマグカップ(スノーピーク)
ケトル(トランギア)
箸(モンベル 野箸)
ナイフ(オピネル)
ライター
ファイヤースターター
シングルバーナー(プリムス フェムトストーブ)
ガスカートリッジ(プリムス)
※コンパスは腕時計の内蔵機能(カシオ プロトレック)を使用

登山レポート

広沢寺登山口ー不動尻

広沢寺の駐車場をスタートし、しばらくは林道を含めた舗装路を歩きます。
沢沿いで緩やかに高度を上げていくので、気持ちの良い歩き出しができます。
ゲートをくぐり先を歩くと、鐘ヶ嶽との分岐である山神隧道に到着します。

トンネルは先が見えているためヘッドライトの点灯は不要ですが、足元が気になる場合は使用すると良いでしょう。
出口の明かりだけを頼りに歩いていると全く進んだ気がせず、気が付くと出口を抜けるため、とても不思議な感覚です。
トンネルを抜けて先へ行くと、不動尻へ到着します。

ここは煤ケ谷方面への向かう分岐もあり、バス利用であれば煤ケ谷ー広沢寺間のルートが好まれていますが、マイカーでもこの分岐を使うことで、煤ケ谷起点で周回できます。

不動尻ー稜線合流

不動尻以降は本格的な登山道に入っていきます。
谷太郎川沿いを進み、谷をトラバースしながら登るルートとなります。

眺望の無い大山三峰山において、渓谷沿いは景色に変化のある面白味のあるルートです。
稜線合流までは鎖場、痩せた登山道を登っていきます。

鎖場は場所によっては足元が滑りやすくなっているので、鎖に頼らずしっかり登山靴をグリップさせ、基本の三点支持を守って登りましょう。

痩せた登山道は斜面側が崩れると足元も緩く一気に落ちてしまうので、慎重に歩きましょう。

稜線合流までに一ヶ所、斜面が削れて眺望が開けていますので、少しここで足を休めるのも良いです。

眺望が開ける地点からしばらく歩くと、大山三峰山へ続く稜線の合流地点に辿り着ます。
ここにはベンチがあり、こちらでも休憩できます。

南へ行くと大山方面へ向かいます。

稜線合流ー山頂

ここからが今回のルートのハイライトとなります。

山頂までは切り立った稜線のアップダウンが続きます。
一歩足を踏み外すと無事では済まない落差があるので、足元を良く見て慎重に歩を進めます。

また煤ヶ谷方面からの登山者とのすれ違いも困難な場所もあるので、厳しい場所では譲り合い、安全に歩けるよう配慮しましょう。

最後の急斜面を登りきると山頂に到着します。

山頂は展望がなく静かな場所です。
ここまで緊張の続くルートだったので、ゆっくり体を休めて下山に備えましょう。

下山時の注意

下山は登り以上に注意が必要です。
稜線での復路はもちろん、鎖場での下降は登り以上に滑りやすく怪我の恐れがあります。
また道迷いも起きやすいので注意が必要です。
ピストンでも往路と復路では見える景色が異なるため、踏み跡を辿って道を間違えてしまうこともあります。

樹林帯は景色も一緒に見え、さらに濃霧に包まれると行動不能に陥る可能性があるので、往路と同じ緊張感をもって下山しましょう。
いかがでしたか。メジャーな山に隠れてひっそり佇む大山三峰山を、是非挑戦してみてください。