今回は塔ノ岳の魅力と、最も登られている大倉尾根ルートをご紹介します。各都道府県にはその地域を代表する山域、峰が存在します。神奈川県を代表する丹沢山域において、名実共に主峰と呼ぶに相応しい山は、塔ノ岳をおいて他には無いでしょう。丹沢随一の登山者数という数値の他、360度の眺望、名物の登山ルートなどを持っているこの山頂は、多くの登山者に親しまれています。

塔ノ岳とは

(雪に覆われた塔ノ岳山頂)

神奈川県の秦野、清川村、山北の境に位置し、秦野市の麓からもその姿を目視でき、丹沢で最も有名であろう表尾根の稜線の主峰です。標高1491m。

非常に豊富な登山ルートを有し、一般登山、バリエーション、沢登り、冬期登山など、1年を通して楽しめることから、初心者から中上級者までと、幅広い登山者が訪れます。

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塔ノ岳登山の特徴と魅力

塔ノ岳 最大の魅力

塔ノ岳が非常に高い人気を誇っているには色々な要因がありますが、ここでしか味わえない眺望があるからでしょう。2000m以下の峰が連なる丹沢は、日本国内では決して標高が高くない山域です。

そんな丹沢が他の名立たる山に引けを取らない眺望には、横浜、東京といった都市群と関東平野、模湾を中心とした海、遠く南アルプスまで望める山間部と、日本のシンボルである富士山まで、多彩な環境を一度に見ることができる特別な山頂です。

塔ノ岳は登山ルートが豊富

塔ノ岳は南側から登る大倉尾根を始め、東のヤビツ峠から表尾根を通る縦走ルート、北側の丹沢山、蛭ヶ岳から目指すコース、西の鍋割山稜から登頂するルートと、マイナールートも含めれば実に豊富な登山道、ルートを持っています。

各コースごとに個性があり、一度登っただけでは知り尽くせないのも、この塔ノ岳の魅力です。登山ルートが豊富という事は、状況に応じて下山できるエスケープルートも存在するという事であり、怪我、体力の消耗など、万が一の救助対応など、比較的踏み跡がしっかりしたルートが多い塔ノ岳周辺であれば、安全とは言い切れませんが、気持ち的な安心感も強く持てるでしょう。

山小屋と避難小屋も豊富

最盛期と比べれば少なくはなりましたが、登山道上には個性豊かな山小屋が幾つもあります。これだけ山小屋が点在するエリアも珍しく、土日になれば大半の山小屋が営業するため、装備や体力が不十分な初心者の方には非常に安心、心強くなることでしょう。

塔ノ岳の尊仏山荘、丹沢山のみやま山荘、鍋割山の鍋割山荘と、稜線を繋ぐ峰には通年営業の山小屋があり、宿泊山行では通年営業は山行計画も立てやすい魅力があります。

また表尾根上にある三ノ塔には避難小屋が設置されています。天候が変わりやすい稜線上であるため、悪天の際に雨風を回避できる避難小屋の存在はとても重要です。

塔ノ岳は実は山岳信仰の山

塔ノ岳には尊仏山という呼び名もあり、山岳信仰の山であったといわれています。頂上には尊仏岩という大きな岩が存在していたそうですが、関東大震災の際に落下してしまったようです。

今でこそ整備された登山道や高機能な道具がある現代とは異る時代では、標高差が高い山は厳しく神聖な場所であり、シンボル的な自然物がある場所は信仰の対象になりやすかったのでしょうか(奥秩父、金峰山の五丈岩など)

現在はその跡地がひっそり残るのみで、尊仏岩は現存しておらず。信仰の対象ともなっていた岩は、一体どんな形をしていたのでしょう。

塔ノ岳 大倉尾根ルートとは

今回登った大倉尾根は塔ノ岳へ登る登山コースの中で最も登山者が多いメジャールートです。
登山口の戸川公園から山頂までの標高差は1200mあり、日帰り登山の中では片道でこれだけの標高差は高めで、丹沢名物である急傾斜の登山道を象徴しています。標高差があり急傾斜であるため、丹沢を知る登山者からは「バカ尾根」の通称で呼ばれることもあります。
また、距離に反して、大倉尾根は休憩のお茶屋も含めて5つの小屋があります。休憩やペース配分の把握には事欠きません

大倉尾根ルートは病みつきになる登山道

バカ尾根と呼ばれるほどに堪える登りですが、数千回の登頂記録を持つ通称「チャンプ」という方がいらっしゃる他、何度も大倉尾根を登る登山者がいます。私も登山口から自宅が近いこともあり、数えれば100回は登っていると思われ、知人は1日に3往復しています。

大倉尾根は登山道の中では綺麗に整った道で、一本道で要所要所にチェックポイントとなる山小屋や目印があるため、コースタイムを計算しやすいのが特徴です。

アルプスへの縦走、冬山に向けての歩荷訓練など、大きな山域や厳しい環境に行く前に、この大倉尾根で調子を整えたりトレーニングに使われることもあります。
この大倉尾根を問題なく登れれば、日帰り登山では十分な体力を持っているといえ、色々な指標にもできます。

水場とトイレ情報

(登山口である大倉バス停前のレストハウス。2018年11月22日よりコンビニがオープン予定)

トイレは登山口の戸川公園、堀山の家を除く各山小屋付近に設置されています。協力金100円が必要なので、準備しておきましょう。
水場は頂上からユーシン方面に下ったところにありますが、時期によっては枯れていることもあるので、持参がおススメです。お金があれば各山小屋で各種飲料を購入可能です。通年営業は戸川公園を除き、ルート上では尊仏山荘のみとなります。

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塔ノ岳登山の持ち物と装備

  • ザック(ノースフェイス FP ハイブリッド 30)
  • レインウェア上下(モンベル)
  • 防寒着(モンベル アルパイン ダウンパーカ)
  • 予備ウェア(モンベル)
  • 地形図
  • コンパス(SILVA)
  • ヘッドライト(モンベル)
  • ツェルト(モンベル U.Lツェルト)
  • 水筒(モンベル フレックス ウォーターボトル)
  • 水筒(モンベル クリアボトル)
  • フライパン(ユニフレーム 山フライパン)
  • フライパン(登山雑誌・PEAKSの付録。娯楽用として)
  • クッカー(スノーピーク ソロセット 焚)
  • チタンマグカップ(スノーピーク)
  • ガスカートリッジ(プリムス)
  • ガスバーナー(プリムス フェムトストーブ)
  • ナイフ(オピネル)
  • ライター
  • ファイヤースターター
  • 食糧
  • 調味料

大倉尾根ルートの所要時間

上り:3時間30分
戸川公園ー見晴茶屋:40分
見晴茶屋ー堀山の家:1時間10分
堀山の家ー金冷シ:1時間15分
金冷シー山頂:25分

下り:2時間30分
山頂ー金冷シ:25分
金冷シー堀山の家:50分
堀山の家ー見晴茶屋:50分
見晴茶屋ー戸川公園:25分

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大倉尾根ルート登山レポート

《戸川公園ー見晴茶屋》

戸川公園の駐車場を出発すると、しばらくは舗装路を歩きながら緩やかに登っていきます。

分岐を道標通りの左に向かい、しばらくすると舗装路が終わり登山道となります。

大倉尾根の登山適期は、夏が終わり葉が枯れ落ち始める秋頃から初冬までが個人的におススメです。
湿気が多い丹沢の夏は、立ち止まっていても汗が止まらないこともしばしばで、秋以降は湿度も下がり、葉が枯れ落ちた木々からの眺望も良くなります。

陽光も入りやすくなり、気持ちの良い登山が楽しめます。道標通りに進んでいけば、休憩に最適な見晴茶屋に到着します。

《見晴茶屋ー堀山の家》

見晴茶屋で足を休め、先へ向かいます。

見晴茶屋以降は斜度が一気にキツくなり、通称に相応しい尾根道が続きます。
少しでもペースを上げたりすれば瞬く間に息が上がるので、一歩一歩確実に登っていきましょう。

わずかな平地からは、紅葉や木々の隙間から丹沢で五指には入る展望を持つ表尾根が見えます。

駒止茶屋を過ぎれば、若干の登り返しを通過し、堀山の家に到着します。
堀山の家は大倉尾根から塔ノ岳間の中間地点といえる場所で、ここでは少し長めに休憩を取り、この先の急登に備えましょう。

《堀山の家ー金冷シ》

堀山の家以降も斜度は緩むことなく、登山者を苦しめます。

堀山の家を過ぎると、じんわりと足に疲労を感じ始めます。距離は大したものではありませんが、これまで急勾配を登り続け、この先も順調にいっても90分近く歩くと思うと、気持ちが萎えてきます。
そして、気持ちが落ち込んでくる最中、大倉尾根のハイライトといえる花立山荘直下の長い階段を迎えます。

順調に歩けばさほど時間はかかりませんが、この階段が難所と言われる所以は、どこまでも続いて、いつ終わるかも分からない恐怖心からです。上を見上げても階段しか見えず、気を紛らわしてしばらく顔を伏せて登っても、見上げればやはり階段。

ただ、この時点で登りの行程の内7割は消化しており、ここまで来たら引き下がれないという気持ちが、登山者の背中を押してくれます。長い階段を越えた先には、花立山荘と東西の眺望が迎え入れてくれます。

ここで息を整え、終盤に向けて歩き出しましょう。
ガレ場を登ると、塔ノ岳と鍋割山を繋ぐ稜線が見え、この稜線まで辿り着けば、

塔ノ岳まで間もなくとなります。

稜線到着の目印は、金冷シの道標です。

《金冷シー山頂》

金冷シから山頂までは残りわずかです。

ここまでで足の疲労感も大分溜まってきているので、無理して足が攣らないよう、最後まで無理のないペースで登りましょう。

山頂手前の階段を越えれば、筆舌に尽くしがたい眺望を持つ塔ノ岳山頂です。

山頂は既に体感温度10度以下。

風が吹けば体温は一気に奪われるので、山頂の尊仏山荘で休憩するか、防寒着を着用します。
風を遮れる場所は少ないですが、東側の低木に隠れるように座れる場所がありますので、おススメです。

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まとめ

いかがでしたか。
樹林帯からガレ場、展望など、短い間に登山の魅力が詰まった塔ノ岳の大倉尾根ルートを楽しんで、丹沢の魅力に触れてみてくださいね。

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