険しい岩稜帯が続く北穂高岳から涸沢岳。そして主峰の奥穂高岳まで縦走してきました。
緊張を強いられる岩場を越えて北アルプス最高峰のピークを踏んだ達成感。その後に待ち構える下りの難所。
滑落落石事故が多発するザイテングラートは落石に注意が必要な場所。
最後まで気を抜かずようやく帰ってきた河童橋から振り返ると、圧倒的な迫力で穂高がそびえていました。

北アルプス・穂高連峰とは

日本で3番目に高い奥穂高岳(3,190m)を主峰とし、涸沢岳、北穂高岳、前穂高岳と3,000m級の峰々が連なります。映画や小説でもお馴染みの場所ですね。
日本三大岩場にも数えられている急峻でダイナミックな岩場が連なる穂高は、登山者なら一度は訪れてみたい憧れの地でしょう。

岐阜県と長野県の境界でもある稜線上にたつ穂高岳山荘は、玄関は長野県で裏側は岐阜県となっているそうです。
県境沿い歩きを表したこんな例えがあります。
「 滑落するなら頑張って岐阜側へ落ちろ。」
岐阜側なら県警のヘリが来るので税金で無料になるとかならないとかいうことですが、滑落場所によっては助からないので笑えない話です。

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北穂高岳の縦走登山ルートの難易度

今回歩いた北穂高岳から涸沢岳は危険箇所が多いので岩稜帯歩きに慣れていることが必須条件となります。
登山道はよく整備されていますが、少しでも道を外れたら、滑落や落石を起こすリスクが高いので、ペンキマークを見落とさないよう慎重に歩きましょう。
雨などで岩が濡れると難易度が高く非常に危険です。天候を見て無理せず冷静な判断をしてください。
また、歩行距離約40km標高差約1,700mの道のりを歩く体力も重要です。いくら技術と経験があっても、体力がなければ話になりません。

北穂高岳の登山口(上高地)までのアクセスの注意点

一般車の立ち入りが制限されている上高地へは、バスかタクシーでのアクセスとなります。
お盆やシルバーウィークには帰りのバス待ちでターミナルから河童橋まで行列がのびることも・・。
乗車2日前の朝5時からバス整理券が配布されるので、上高地に入ったらまず帰りのバス整理券を確保しておくと安心ですね。

北穂高岳登山におすすめの時期や服装

北穂高岳登山のおすすめの時期は

北アルプスの開山は6月からですが、雪が融ける7月下旬頃から9月の終わりまでが夏山シーズンで比較的登りやすく初めての方にはおすすめです。

北穂高岳登山の服装の注意点

真夏でもアルプスの小屋に泊まるなら防寒具は忘れずに。
標高が100m高くなるごとに気温が0.6℃下がると言われていますので、3,000m峰のピークでは約18℃も気温が低くなる計算です。

また、稜線や山頂では強い風が突然吹くことがあります。風速1mごとに体感温度が1℃下がるとも言われていますので、40℃近い猛暑の日でも穂高の山上では上着がないと寒くてのんびりビールも飲めない・・・なんてことも。
更に、大汗をかいていたら体は冷やされ低体温症のリスクも高まるので、汗冷えを防ぐためにもインナーは綿ではなく化繊のものを選ぶと良いです。

そして、女子だけでなく男子も気をつけて欲しいのが「UV対策」。高所の紫外線は強烈です。肌だけでなくサングラスで目も守りましょう。

基本装備以外に必要なのがヘルメット

「山岳ヘルメット着用奨励山域」に指定されている北穂高岳から涸沢岳の間だけでなく、涸沢から上は岩場が続きますので、思わぬ落石を受けたときのことを考えて、ヘルメットの着用を強くお勧めします。

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北穂高岳~唐沢岳~奥穂高岳縦走登山のルート解説

上高地バスターミナル~涸沢ヒュッテ

1日目 山行時間:5時間29分
9時頃上高地バスターミナルを出発。
平らな林道をのんびり2時間ほど歩くと徳沢園に到着。ここでソフトクリーム休憩!おいしいドリップコーヒーには、特製「槍ヶ岳クッキー」が付いてきます。
100mほどのところに公衆トイレもありますが、小屋のそばにはウォシュレット付きのオシャレな有料トイレがあるのでここへ寄っていきましょう。
横尾から梓川を渡ると正面に屏風岩が出迎えてくれます。

ここから、とてもよく整備された道をハイキング気分で2時間ほど歩けば涸沢ヒュッテに到着。涸沢カールの大パノラマを眺めながらビールとおでんで乾杯!

涸沢ヒュッテ~北穂高岳~涸沢岳~奥穂高岳

2日目 山行時間:7時間20分
5時30分、朝日に染まる涸沢カールを登りはじめます。

前穂高岳のシルエットに見守られてガレた急斜面を上がると、右手にはゴジラの背という名がぴったりなゴツゴツした北穂高岳の東稜。よく見るとクライマーの姿があります。
ハシゴとクサリを使ってたどり着いた南稜テラス。崖上の小さなサイトには2張のテントが張ってありました。

「ここを越えれば槍が見えるよ!」の言葉に励まされ、ひと踏ん張り。

本日1座目の北穂高岳から見る槍ヶ岳のとんがりに、思わず歓声をあげてしまいました。
北峰の少し先にある北穂高小屋へ立ち寄って、槍へ続く大キレットを間近に見たら、再び分岐に戻り奥穂高岳・涸沢方面へ。

さあ、ここから岩祭りのはじまりです!
難所とされる奥壁バンドの長いトラバース。

岩を抱きかかえるようにしてジリジリ進むと、緊張で指先が冷たくなりました。
打ち込まれたボルトを足がかりに岩を這い上がると、一瞬、空を飛んでいるような気分になりました。
一緒にいた友人は、ツルンといったら涸沢までまっさかさまだ・・・と冷や汗が吹き出したそうです。

そして、最低コルから涸沢岳への長い登り。

後続の友人を振り返ると、槍を背負って岩と格闘中。

標高3,000mに近い場所で岩を登ると体中が酸素を欲しがって、息が追いつかないくらい苦しい。
それでも、体全体で穂高を味わっている感覚がなんともいえず気持ちよくて「穂高サイコー!」と、何度も叫んだ。気持ちがどんどん盛り上がっていく。

涸沢カールをあがってくる風に吹かれて見る穂高の全景。
北アルプスの天辺から見下ろす景色。
本当になにもかも「サイコー!」だった。

涸沢岳のピークを越えると道はなだらかに。
岩祭りの余韻を味わいながら穂高岳山荘までのんびり下ります。

穂高岳山荘から奥穂高岳までは往復2時間ほど。
大きい荷物は小屋にデポしてピークを目指します。

3座目の奥穂高岳は、百名山だけあって、さすがの混雑!
ツアーの団体さんや初心者も多くハシゴからハシゴまで数珠つながりでした。
体が冷えないように上着を着て待ちます。待ち時間に隣り合わせた方々とお喋りするのも楽しいものです。

突然、「ラーック!」という声と同時にガラガラっと音を立てて渋滞の列に落石。
幸いケガ人は出ませんでしたが、こちらもなかなか危険な場所でした。

山頂の祠には記念撮影の列。

その奥にはあの有名なジャンダルムに続く道。

初めてこの目で見ることができたジャンダルム。
眠りから覚めた怪獣の背のような不思議なギザギザ。
あそこからはどんな景色が見えるのだろう・・。
いつか見てみたい。

穂高岳山荘~ザイテングラート~涸沢ヒュッテ~上高地バスターミナル

3日目 山行時間:6時間43分

6時。穂高岳山荘に別れを告げて上高地を目指します。
小屋直下の急斜面からザイテングラートの下りがはじまります。
ここでの遭難事例を見ると、下りの歩き初めで起きることが多いようなので、体が目覚めないうちはゆっくりと慎重に歩くことを心がけました。

ザイテングラート。
その言葉の響きからも、どんなに恐ろしいところなのかと思っていました。
歩いてみれば、よくあるガレ場。
「なぁんだこんなものか」そんな油断が事故を招くのかもしれませんね。

ルート上は大変よく整備されていますが、一歩外れてしまえば浮石だらけで滑落や落石のリスクが高いでしょう。
ここでも道を外れずに歩くことが大切です。
色々な方が歩く場所ですから、焦らずに行きたいですね。

ザイテングラートの歩き方石を落とさないよう着地はソフトに小股歩き。
踵に重心がのると転んでしまうので、つま先にセンサーが付いている気持ちでフラットフッティング。
怖いと思ったらゆっくり歩けば大丈夫です。岩の間に引っかかることもあるので、ここではストックに頼らず足でゆっくり歩くのが良いでしょう。
足元ばかり見ているとルートを見失うので、ペンキマークをしっかり確認することも忘れずに。

1時間ほど下れば涸沢ヒュッテに到着。
涸沢ヒュッテのテラスから見上げれば、秋の青空に歩いてきた稜線がくっきり。
2日前に見たときとはまるで違って、稜線のとんがり一つ一つが目に入ってきます。
そして、その向こうに見える景色まで思い浮かんできます。
後ろ髪引かれる思いで涸沢を後にしました。

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