チタン特有の軽さと強さを活かして作られ、熱源として必要最低限の機能を備えた携帯コンロ。エバニューの「チタンアルコールストーブ」のレビューです。
エバニュー(EVERNEW)チタンアルコールストーブEBY254のスペック
商品名 | チタンアルコールストーブEBY254 |
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素材 | チタニウム |
サイズ | 径7.15cm、高さ4.2cm |
重量 | 34g |
燃料容量 | 70ml(ストーブの内側に30ml、60ml、上限70mlの目盛り付き) |
燃料 | 燃料用アルコール |
付属品 | 取り扱い説明書 |
エバニュー(EVERNEW)チタンアルコールストーブの特徴
本体
手のひらにすっぽりと納まるサイズで、中央の燃料容器に燃料を注ぎ点火します。
中央からだけではなく、側面に連続して開いている穴からも炎が出る仕組みになっていますので、本体上面全体から炎が上がります。
使用前はチタン独特の黄みを帯びた銀色をしていますが、炎で熱せられた部分が群青色に変化します。素材そのものの強度が高く、細かいパーツもないため壊れにくく、気軽に持ち運べます。
チタンアルコールストーブの底面です。MADE IN JAPANの文字と、Use Alcohol Only(アルコールのみ使用)、DO NOT Refuel Heated-Stove(熱せられたストーブに燃料を注ぎ足さないこと)という注意書きが刻印されています。
蓋がないので火力調節や消火はできない
チタンアルコールストーブには蓋は付属していません。また、別売りとしても用意されていません。蓋による火力調節や消火は行わず、本体に入れた燃料が燃え尽きるのみのシンプルな作りです。
チタンアルコールストーブの燃焼時間
エバニューのウェブサイトでは、チタンアルコールストーブは30mlの燃料で約5分間燃焼するという説明がされています。
気温19度の環境下で実際に使ってみると、本体内側の30mlの目盛りに合わせてアルコールを注入して燃焼させたところ、約7分間燃焼しました。60mlのアルコールの場合は約13分間でした。
屋外で使う際、燃料の量を正確に測ることは難しく、また気温や風などの影響を受けるため使うたびに燃焼時間が変わります。燃料はあらかじめ多めに用意しておくと安心です。
30mlの燃料を注入して点火したチタンアルコールストーブに、水を満たしたチタンシェラカップを載せて加熱させている様子です。
加熱してから約4分後に沸騰しました。その後まだ炎は3分ほど上がり続けました。この方法で湯を沸かす場合、必要な燃料は20ml弱ということになります。
エバニュー(EVERNEW)チタンとステンレスの違いは?
チタンアルコールストーブと、同メーカーから発売されているステンレス製のアルコールバーナーセット(EBY249)と比較してみました。
チタンアルコールストーブEBY254 | アルコールバーナーセットEBY249 | |
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素材 | チタニウム | 18-8ステンレス |
重量 | 34g | 155g |
サイズ | 径7.15cm、高さ4.2cm | 径7.5cm、高さ5.5cm |
燃料容量 | 70ml | 120ml |
火力調整 | 不可 | 可(フレームアジャスター付) |
耐食性※ | ◎ | 〇 |
高比強度※ | ◎ | 〇 |
熱伝導率 | 低 | 低 |
各コンロの特長を1点に絞ると、チタンアルコールストーブは軽さ、アルコールバーナーセットは火力調節機能です。キャンプや登山のスタイルによりどちらを優先するかが選択の決め手となります。
エバニュー(EVERNEW)チタンアルコールストーブの使い方
エバニュー(EVERNEW)チタンアルコールストーブの使い方をスタッキング、火力調整、風防と五徳、燃料と容器に分けて気になる点をまとめてみました。
スタッキング
<スタッキング例①>
エバニューのチタンシェラカップにチタンアルコールストーブとゴトク、チタンスポークを入れてみました。チタンアルコールストーブは、カップにすっぽりと納まっています。このセットの全重量は122gです。このまま手ぬぐいなどで包み、パッキングします。
<スタッキング例②>
メスティン(スモール)にチタンアルコールストーブを入れてみました。他にチタンスポーク、五徳、マッチ、インスタントコーヒー、フリーズドライみそ汁が入る余裕があります。この状態でメスティンの蓋をぴったりと閉めることができます。
火力調整
前述したとおり、チタンアルコールストーブには火力調整の機能はありません。点火後、燃料がなくなるまで炎を上げ続けます。湯沸かしや、加熱後の余熱を利用した保温調理に適しています。
風防
直接風が当たると炎が大きく揺れますので、風防で炎を安定させます。風防はエバニューからチタン製のものが発売されていますが、より簡易な風防として厚手のアルミホイルも使えます。写真のアルミホイル風防の重量は約20gです。
五徳
別売りのチタンアルコールストーブ専用五徳、チタンゴトクTriveTi(エバニュー/EBY258)は重量13g。チタンアルコールストーブと組み合わせたときの合計の重量は47gとなります。
チタンゴトクTriveTiの組み立て前の様子です。
チタンゴトクTriveTiを組み立てて、チタンアルコールストーブにセットした様子です。五徳のパーツの長さは約8cm。あまり調理器具が大きいと重心がずれたときに転倒する可能性があります。小型で軽量の調理器具であれば、比較的バランスはとりやすくなります。
燃料と容器
メーカーの取り扱い説明書では、燃料用アルコールとしてメタノールが指定されています。本レビューではリンデンのバイオエタノールを使用しましたが、特に支障はありませんでした。燃料の携帯用小分け容器は、安全にアルコール燃料を持ち運ぶことのできる、広口ポリ丸ボトル200ml(エバニュー/EBY143)です。
エバニュー(EVERNEW)チタンアルコールストーブの使い方の注意点
- チタンアルコールストーブから起きる炎は安定すると見えにくいので、近づくと思わぬやけどをしたり延焼を起こしたりする可能性があります。点火後は燃料が燃え尽きるまで、そのまま触らず置いておきましょう。
- 火を息で吹き消すことはできません。かえって炎の勢いが増してしまい危険です。
- 燃料の補給は、火が完全に消え本体の熱が下がってから行いましょう。
- 燃焼の途中でチタンアルコールストーブが倒れると、内部の燃料が周辺に飛び散り延焼が起きます。燃えやすいものから十分距離をとり、安定した場所に水平に置いて使用しましょう。
エバニュー(EVERNEW)チタンアルコールストーブで炊飯してみた
標高約1,500mの山頂で、チタンアルコールストーブとメスティンを使い炊飯してみました。下準備として米を1合、あらかじめ30分間水に浸して吸水させます。その後水を切った米をジップロックに入れます。
1.ジップロックに入れておいた米をメスティンに入れ、ハンドル取り付け部内側のリベット上端の高さまで水を加えます。
2.チタンアルコールストーブに60mlの燃料を入れ、1のメスティンを五徳に載せて点火します。風防は厚手のアルミホイルを使用しています。
3.約5分後、沸騰して蓋が浮いてきました。蓋に重石かその代用品を置き、そのまま加熱を続けます。
4.それから約8分後、燃料が燃え尽きたので、メスティンをチタンアルコールストーブから下ろします。蒸らし工程の間の保温のため、風防に使ったアルミホイルでメスティンを包みました。
5.4のメスティンをさらに手ぬぐいで包み保温しました。そのまま15分間放置します。
6.ご飯の完成です。
香ばしく炊きあがりました。
底の方に少しおこげができてしまいましたが、炊飯時多少おこげができる程度の火力が一番おいしいと言われています。
エバニュー(EVERNEW)チタンアルコールストーブの使い方レビューのまとめ
チタン特有の軽さと強さ、燃料を注入して点火するだけという使い方のシンプルさが特長のチタンアルコールストーブ。本体上面全体から上がる炎によって短時間で湯を沸かし、ご飯を炊くこともできます。手のひらサイズでありながら、携帯コンロとして必要最低限の機能を備えた逸品です。