奥多摩 御岳山・大岳山

三頭山のドラム缶橋コースと初心者向けルートを解説!アクセス駐車場情報も。

三頭山(みとうさん)は、大岳山と御前山に並ぶ奥多摩三山の1つです。標高は1531mで三山中もっとも高く、かつ奥多摩三大急登の1つも数えられる、登りがいのある山でもあります。
とはいえ、その位置は多摩川の南側に位置し「都民の森」にも繋がり、多くの山並みとも連なっているため、気軽なハイカーもいれば、縦走に使うトレイルランナーの姿も。

今回はその中でも代表的なコース2つである登山初級レベルの「都民の森コース」、と中級レベルの「ドラム缶橋コース」をご紹介していきます。

三頭山登山の初心者向けコースを解説

初級ルートといえば王道の「都民の森コース」(登り115分、下り65分)

レジャースポットの1つとして数えられる自然あふれる公園を出発/到着地点にしているコースです。かなり整備もされているので、家族連れで賑わっています。
このルートは、逆周りもできるので「登りはできるだけ短時間に」と言う要望の方は、逆回りでどうぞ。

都民の森バス停/駐車場~(10分)~森林館~(20分)~三頭ノ大滝=計30分

出発地点の「都民の森」は東京都檜原村にある自然イベントが活発に開催されている人気観光スポットです。武蔵五日市駅からのバスで1時間、車はあきるのICからおよそ35キロの距離にあります(駐車場の開門は8時)。バス停からまず目指すは、「森林館」。ここが都民の森の入り口でもあります。これよりのルートは、三頭ノ大滝方面を選択します。

三頭ノ大滝は、南秋川水系の最上流にあり、かつ落差35mという割と見応えのある滝です。滝見橋から大滝を見つつ歩き進める道は、整備されているので登山よりも散策気分です。滝見橋は渡るよりも、その姿が独特なので、渡った後にビジュアルを満喫しましょう。滝を過ぎたら大滝休憩小屋があり、ここでトイレがあります。

三頭ノ大滝~(60分)~ムシカリ峠~(20~30分)~三頭山の3山頂=計80~90分

大滝休憩小屋からは、ルートは右方面の「ムシカリ峠」を選択します。ようやく登山開始という道のりが眼前に広がります。300mあまりを1時間かけて、ブナの林を黙々と登ることになりますから、途中で水分補給もしながら頑張ってみましょう。

もっと距離を歩きたい」という方は、大滝休憩小屋の分岐を左手「大沢山」方面へ選択してください。90分ほどかけて1482mの大沢山経由で、ムシカリ峠にたどり着くことができます。

ムシカリ峠には、無人ですが三頭山の避難小屋があります。そこから山頂は20分程度、木製の階段が延々と続きます。意外と地味に足にきますので、諦めずに歩みを進めていきましょう。尾根歩きに突入すれば、束の間ですが、なだらかな道がやってきます。

そして最後のスパートは、急な石段ラッシュ!実はこれが三頭山の特徴なんです。三つの山頂を持つ事が、この山頂間際の急登の理由でもあります。山頂に細かな起伏があるからこそ、頂きが三つになるってことです。1つの山で味わえるなんて、なかなか面白いですよね。

三頭山の山頂からは富士山が見える

西峰は標高1525mで、中央峰は1531m、東峰は1528mです。どこで休んでも良いけれど、きっちり起伏はありますよ、心してくださいね。どこも比較的休みやすい広さがありますし、天気がよければ南には富士山、北には東京都唯一の百名山「雲取山」を望むことができます。身も心も、休息をとるには良い場所です。

三頭山の3山頂~(50分)~鞘口峠)~(10分)~森林館(5分)~都民の森バス停/駐車場=65分

下りは最も時間が短い、鞘口峠経由のルートを選択します。最短ということは、急な下りが続くということです。足元には十分注意しましょう。とはいえ、見晴らしは大変良く、「見晴らし小屋」というテラスのある休憩スポットもあり、眺望を楽しめます。

そして鞘口峠までの急な坂道を頑張れば、あとはハイキングコースさながらの、整備された道になります。登山気分はこの辺で終わりでしょうか、あとはクールダウンしながら森林館に到着しバス停/駐車場へと戻ります。下りが短い分、そこからさらにくだって、後ほど紹介する温泉「数馬の湯」まで歩くのもアリですよ。

奥多摩三大急登を登るドラム缶橋コースを解説

中級ルートといえば奥多摩三大急登チョイスの「ヌカザス尾根コース」(登り分、下りはルートごとに異なる)

三頭山は、前述の都民の森=秋川渓谷側から目指すこともできれば、奥多摩湖側から目指すことのできる位置にあります。このルートは、奥多摩ハイカーには有名な「三大急登」と呼ばれており、なかなか攻め甲斐のあるコースで、人気もかなり高いです。

人気があるのは急登だからというだけではなく、そこにたどり着くまでに奥多摩湖の美しさに触れたり、浮き橋を渡ったりできるなど、アトラクション要素もあるのも魅力だからなんですよ。

ここでは、ヌカザス尾根を通る往路のみを詳しくご紹介し、下りの選択肢はいくつか提案してみたいと思います。

小河内神社バス停/駐車場~(5分)~浮き橋~(15分)~登山口=20分

出発地点の小河内神社バス停は、奥多摩湖周辺に点在するバス停の1つです。JR奥多摩線奥多摩駅からバスで30分で着きます。マイカーの場合は奥多摩湖を目指し、青梅街道を走り続け小河内ダムを通過してトンネル5つほどを抜けたその先です。

このバス停から三頭山は、奥多摩湖を挟んだ向かい側にあります。そうです、奥多摩側から登るには、湖沿いにそそり立っている山に登ることになるから、急登なんですよ。そして、湖をまず渡ることから始めます。

渡るには「麦山の浮き橋」を利用します。これはかつて大きなドラム缶でできていたことから「ドラム缶橋」という通称で、観光スポットにもなっています。また、奥多摩湖には2つの浮き橋があり、もう1つは「留浦浮き橋」と言いこじんまりとしており登山に使われることはありません。

湖面近くをゆらゆら揺れる、スリリングな浮き橋を渡り終わったら、湖沿いに舗装された道路(奥多摩周回道路)を右手方向に歩きます。しばらくすると登山口の表示が見つかるので、いざ入山!です。※この浮き橋は水位変動で撤去という噂もあります。

登山口~(60分)~イヨ山=60分

ウキウキしているのもつかの間、入山すると、そこにはいきなり急登が展開されます。是非とも入念なストレッチやウオーミングアップしてから挑むことをオススメします。

眼前に広がるのは、深い森の道です。道は比較的石も多く、足を取られやすいのも注意ポイントです。奥多摩水系の割に、登りの斜面側に地質が湿っていないのもヌカザス尾根ルートの特徴かもしれません。

イヨ山までの急登は、足を止めるスポットがあるわけでなく、自ら休憩をとりながら歩くのが良いです。何しろ、イヨ山以降、さらに険しい登りが待っているのですから。標高979mのイヨ山の表示は、ついでにくっつけたかのような簡素な表示ですが、正真正銘の表示ですのでご安心を。

イヨ山~(60分)~ヌカザス山~(20分)~入小沢ノ峰=80分

ここからが、このルート名「ヌカザス尾根」と呼ばれるエリアです。登山地図を見れば、しっかりとんがった尾根沿いのルートになっており、日差しにさらされた尾根となります。初夏はここ登るだけで日焼けしちゃいます。

この尾根の角度はとにかくキツイ!初見だと「え?これが道なの?」とひるみますが、ハイカーの皆さん、果敢に挑んでいますから、一緒に気合い入れて登りましょう。とにかく休憩ポイントが少なく、ひたすら“よじ”登るかのような登りです。キツイですが、その分体が酸素を取ろうと呼吸を深くできるようになってくれば、徐々にペースが掴めるようになります。

標高1175mのヌカザス山の表示が見えれば、そこを通過してあと少し。突然急勾配が終わり、驚くほどの緩やかな道になります。ここで有名な急登は「一旦」終了です。呼吸を整えながら1302mの入小沢ノ峰に到着です。

入小沢ノ峰~(15分)~鶴峠分岐~(25分)~三頭山西峰=40分

入小沢ノ峰からも急登ほどではないもの、なだらかに休みなく登りが続きます。ヌカザス尾根のような、周りを見ている暇がないようなほどではないので、景色が開ける道を心地よく歩けるはずです。最後は短いながら、少々頑張って急な石段を登っていけば、西峰に到着です!お疲れ様でした。

ドラム缶橋コースの下山コースを解説

さて、お昼休憩をとったら、マイカー以外の方は、ここから下りの選択肢をどうするか?ですね。体力に応じて、いくつか選択肢がありそうなので、軽く紹介しましょう。

下り候補1:のんびり都民の森への癒しルート=見晴らし小屋(鞘口峠)経由60分、三頭ノ大滝経由75分

行きは頑張ったし、帰りは気楽におりたいよね!という方には、登ってきた側の反対=南側に抜けるルートをお勧めします。初心者用コースでも紹介した、都民の森に向かうルートです。見晴らし重視なら鞘口峠経由で、秋川最大の滝を楽しみたいのであればムシカリ峠を経由して三頭の滝を見ながら都民の森に向かいましょう。

下り候補2:もう1つ行っとく?ロングウオークルート=槇寄山経由で150分

都民の森ルートじゃちょっと物足りないなー、という方には、ムシカリ峠から都民の森におりずに通過し、槇寄山に向かうというルートがあります。「え?また山登るの?」とビビらずに大丈夫です、標高は1188mなので、基本は下りですよ。

傾斜はそこそこですが、ヌカザス尾根ほどではないので、気楽に向かいましょう。槇寄山からの分岐では「仲の平」を目指せば、その先にはすぐ温泉が待っています。

下り候補3:マイカー利用は仕方ない、来た道を戻るヌカザス尾根下りルート=150分

来た道をピストンで戻るという、急登を転がり落ちるハードモードなルートです。是非とも気をつけて下りましょう。実は、この下りを選択する人はあまりいません。マイカーであればやむなし、という選択になるかと思います。この場合の温泉は、奥多摩駅「もえぎの湯」利用が多いパターンでしょうか。

三頭山のアクセス方法

公共交通機関はいずれもバス利用

「都民の森」バス停にはJR武蔵五日市駅からバスで60分ほどですが本数が少ないので、手前の「数馬の湯」バス停からの無料シャトルバス利用という手もあります。

「小河内神社」バス停にはJP奥多摩駅からバスで30分ほどです。本数は1時間に1〜2本です。

マイカーは周辺駐車場利用に注意

「都民の森」は駐車場が300台あり、余裕があるのですが、開園時間が8:00となっているので、それよりも早く来ると困ったことになるので注意です。

「小河内神社」バス停付近は、こじんまりした無料の駐車場が点在しています。

まとめ

いかがでしたか?
三頭山は、

1. 初級者には都民の森からのハイキングコースで風景を楽しめる
2. 中級者には奥多摩湖側からのスリリングな浮き橋と激しい急登を満喫できる
3. 南には富士山、北には雲取山を望み、3つの山頂の軽いアップダウンもユニーク

と、レベル別にも楽しめ、3つの山頂のどこをゴールにするか?自分で決める楽しみもある場所です。ですが、標高は1500m超えとそこそこの高さなので装備は万端に!を強くお勧めします。素敵な登山経験、是非とも満喫してくださいね!

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