山情報

唐松岳|北アルプス登山初心者におすすめのルートとコースタイムをご紹介!

唐松岳とは

唐松岳は、長野県白馬村と富山県黒部市の県境に位置する、標高2696mの山です。
北アルプス北部、後立山連峰の中の一座になります。
登山のスタートは、長野県白馬村の八方アルペンライン(八方尾根スキー場)の八方駅からリフトを3つ乗り継ぎます。
リフトを使用することにより、アプローチもしやすく危険個所も少ないので、北アルプス入門におすすめな山です。

八方尾根

八方池山荘から八方池まではトレッキングする人や観光客が多く訪れます。
八方池から先が、本格的な登山道となります。
八方池までは尾根道が長く(八方尾根と言います)、岩がゴロゴロしているところもあるため、キツく感じられるかもしれません。
そのぶん、尾根歩きができるので、写真のような、白馬三山の眺望を堪能しながら歩くことができます。

八方尾根は、唐松岳から四方八方に尾根が伸びていることからこの名前がつきました。
植生も普通の山と比べると、その違いは明らかで、変化に富んだ植生を見ながら登るのも、唐松岳登山の魅力のひとつです。

本来の山は標高が高くなるにつれて、背の高い樹木は減り、ハイマツなどの低木林や高山植物が姿をあらわします。
しかし、八方尾根では低い標高のところに高山植物が生育し、高い標高のところにダケカンバの林があります。(登山道の下ノ樺、上ノ樺がここに当たります )

(上ノ樺、下ノ樺あたりは紅葉が美しいです)

更に標高が高い山頂付近になると、また高山植物やハイマツを見ることができます。
これらは八方尾根の特徴であり、「植生の逆転現象」といい、蛇紋岩と呼ばれる特殊な地質の影響によるものです。
この地質によって、他の山岳地帯よりもたくさんの高山植物が見られ、八方尾根の固有種もあります。

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唐松岳の登山ルートとコースタイム

ここからは、私が実際に実行した唐松岳登山計画です。
安全第一。コースタイムは、ペースはゆっくり、休憩を多めにした、ゆとりを持ったものにしています。

目的山域:北アルプス北部唐松岳2696m
登山コース:八方アルペンライン〜八方尾根〜八方池〜唐松岳頂上山荘〜唐松岳山頂
登山者:静岡県在住、30代女性、登山歴4年、単独行
登山スタイル:テント泊

唐松岳登山1日目の注意点・ポイントなど

6:00起床・準備ー8:00

  1. 〈八方駅〉登山届提出・ゴンドラリフト8分 ー
  2. 〈兎平〉アルペンクワッドリフト7分 ー
  3. 〈黒菱平〉グラードクワッドリフト5分ー
  4. 〈八方池山荘〉8:30木道コース・岩道コース分岐ー
  5. 〈石神井ケルン〉9:00休憩ー
  6. 〈第2ケルン 〉9:30ー
  7. 〈八方池〉10:30長めの休憩・お昼ご飯ー
  8. 〈下ノ樺〉11:30ー
  9. 〈上ノ樺〉12:00ー
  10. 〈扇雪渓〉12:30休憩ー
  11. 〈丸山ケルン〉13:00休憩ー
  12. 〈鎖場・木橋〉14:00ー
  13. 〈唐松岳頂上山荘〉14:30
  14.  宿泊手続き・テント設営・休憩ー17:00
  15.  夕ご飯ー19:00就寝

八方駅 標高770m
売店、トイレ、ロッカー有り

兎平 標高1400m
売店、レストラン、トイレ有り。
オープンテラス、八方尾根ネイチャールームを併設。夏には高山植物のお花道が見られます。

黒菱平 標高1680m
トイレ、レストラン有り。雲海デッキも隣接。近くに鎌池湿原という小さな湿原があります。
(リフトでいっきに標高が上がるので、2か3で休憩して体を標高に慣らすのも高山病予防に効果的です)

8:30八方池山荘 標高1830m
トイレ、売店あり。宿泊、食事可能。
このあたりになると、白馬三山がきれいに見えてきます。岩がゴロゴロした道と、整備された木道コースに分かれる。岩道は白馬三山を眺めながら歩くことができます。どちらを通っても、第2ケルンで合流。(途中でもどちらへも行ける道あり)時間も同じくらいです。

9:00石神井ケルン 標高1974m
出発して1時間くらいが目安。
1時間に5分〜10分の小休憩を取ると疲れにくくなります。

9:30第2ケルン 標高2005m
トイレ有り。6月中旬〜10月中旬利用可能。
ここから先は唐松岳頂上山荘(山荘まで約3時間)までトイレがないので、済ませておくと安心。

10:30八方池 標高2060m
八方池を散策したり、白馬三山の絶景を眺めながらお昼にするのがおすすめ。
唐松岳と不帰ノ嶮も見えるかもしれません。

八方池付近は午後になるとガスりやすいので、午前中のほうがきれいに見ることができます。
八方池の景色を楽しんだ後は、いよいよ本格的な登山道が始まります!

11:30下ノ樺 標高2200m
2000mを超えているにもかかわらず、植生の逆転現象により、ダケカンバ林が見られます。

12:00上ノ樺 標高2300m
ここから扇雪渓あたりまでの登りがきつく感じました。
土道で木の根っこも張り出しているところもあるので、転倒しないように!

12:30扇雪渓 標高2361m
ほぼ一年中雪が残っている。
雪渓の下は岩がゴロゴロあります。
そこへ腰掛けて、休憩することもできます。
雪からくる冷気が、登りで暑くなった体に気持ち良いです。
秋にはナナカマドの赤と、雪の白とのコントラストが美しいです。

13:00丸山ケルン 標高2430m
丸い形の広い丘になっており、眺めも良いので休憩するのにおすすめです。

14:00鎖場・木橋

(注意ポイント)
唯一の鎖場、木の橋がかかっています。
谷側は切れ落ちているので、転倒、滑落に気をつけましょう!
写真を見ると怖く見えるかもしれませんが、橋はしっかりしており、道幅も十分あります。
しかし、怖いと感じたら、鎖を補助に使い、ゆっくり通過すれば大丈夫です。
ここを越えれば、山小屋まであと少しです!

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14:30唐松岳頂上山荘 標高2622m
( トイレ、売店、喫茶室、軽食有り。宿泊可能。)
崖の曲がり角を過ぎると、赤い建物があらわれます。
ここが唐松岳頂上山荘です。
入り口には登山者が寄付した鐘がかかっていて、山小屋のシンボルになっています。

小屋の左手には五竜岳、右手には唐松岳がそびえています。
そしてその中央には剱岳が見事です。小屋の真正面にその雄姿を見ることができます。
その姿は、刻一刻と変化していきます。

唐松岳頂上山荘では様々な姿の剱岳を見ることができるのが魅力です。
夕焼け、日没、朝焼けは特に美しく、いつまでも見ていたくなります。

また、このあたりではたびたび、雷鳥に出会うことができます。

高山植物の女王といわれるコマクサも咲いていました。

テント泊をする場合の注意点

山小屋下の斜面に幕営地がありますが、下が谷になっているため、谷風が強いです。
特に秋は気温も下がるので、防寒をしっかりした方が良いです。

また、トイレ、洗面等は山小屋の中を利用するため、斜面を登らなくてはならず、少々大変です。
それらを除けば、剱岳をより間近に感じることができる、素晴らしいテント場となっています。

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唐松岳登山2日目の注意点・ポイント等

(下山は同じコースのため、詳細は割愛してあります。)
いよいよ、この日は唐松岳の頂上を目指します!

  • 4:00起床 テント撤収・朝食ー
  • 5:00唐松岳頂上山荘出発ー
  • 5:30唐松岳山頂ー
  • 6:30唐松岳頂上山荘着・休憩後、下山開始ー
  • 7:00鎖場・木橋ー
  • 7:30丸山ケルン・休憩ー
  • 8:00扇雪渓ー
  • 8:30上ノ樺ー
  • 9:00下ノ樺ー
  • 10:00八方池・休憩、散策ー
  • 11:00第2ケルンー
  • 11:30石神井ケルンー
  • 12:00八方池山荘・リフト乗車ー
  • 12:05黒菱平・昼休憩後リフト乗車
  • (13:40)ー13:50兎平・リフト乗車ー
  • 14:00八方駅着ー駐車場・下山完了、家族などに下山連絡

山頂からは、遠くは八ヶ岳や富士山、妙高の山々。
そして、白馬三山、不帰ノ劍、360°の大パノラマが広がります!


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日の出に合わせて、山頂を目指すのもおすすめです。
唐松岳や不帰ノキレット、剱岳が夜明けからだんだんと色を変え、朝日に染まっていく色彩の変化は本当に素晴らしいです。


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きっと、忘れられない光景になるでしょう。
絶景を目に焼き付けたところで、下山開始です。
下山も同じ道を行きます。

ガイドマップでは、下山のほうがコースタイムが短縮されていますが、私は下りが苦手なのと、事故防止のために登りと同じ時間計画にしました。

それによって時間にゆとりができたので、登りの時より八方池などでゆっくり過ごすことができました。
八方池から八方池山荘までの下りは、岩が大きいところもあるので、慎重に下りましょう。

特に雨天時、蛇紋岩は滑りやすいので、転倒に注意、私は滑って、しりもちをつきました…。
木道コースは足への負担が少ないですが、やはり雨天時には大変滑りやすいので気をつけてください。
下山時のほうが転倒、滑落などの事故が起きやすいので、ご注意下さいね。

八方池山荘まで行き着き、リフトに乗り込むと、登山がひと段落して、ホッとする反面ちょっとさみしい気持ちになりますが、唐松岳登山の楽しみのひとつが、リフトに乗ることです。

グラートクワッドリフトとアルペンクワッドリフトは周りを覆われていないタイプのもので、風を感じることができます。
真下には高山植物のお花を見ることができて、大変気持ち良いです。

ツアーなどでも、「空中散歩体験」として人気があります。
黒菱平と兎平のリフト乗り場には、眺望を楽しみながら食事や休憩ができるレストラン、オープンテラスがあります。
下山時、お昼を食べるのにちょうど良いです。景色を眺めながら、疲れを癒すのもおすすめです。

そして、リフトの終点、八方駅に着いたら下山完了です。
やはり下山も、15:00ごろまでには完了しましょう。
家族や友人などには必ず下山の連絡をしてください。
唐松岳からの下山が無事終わっても、帰宅するまでが山旅です。
思っているよりも、心身は疲労しています。
交通事故などにはくれぐれもご注意くださいね。

唐松岳登山のリフト、駐車場情報

リフト

【料金 】
八方駅〜八方池山荘
往復料金:大人2,900円 小人1,750円
荷物料金(15kg以上):440円
(テント泊は荷物料金がかかる可能性が高いです。)

【八方駅始発時間】
A期間:(B.C.D期間以外)8:00〜
B期間:7:00〜(7/17〜8/17の平日、8/25,8/26,9/24,9/29〜10/8の土日祝日)
C期間:7:30〜(8/20〜31の平日、9/1〜9/9の土日)
D期間:6:30〜(7/14〜8/19の土日祝日、9/15〜9/23の土日祝日)

駐車場料金

八方ゴンドラ駐車場(八方駅に一番近い駐車場)
6/3〜10/29の土日祝日、7/8〜8/31,9/16〜10/15は1日600円。

その他の期間は無料。他周辺に多数駐車場有り。

まとめ

唐松岳は極端に危険なところがなく、道中の景色や高山植物をゆっくり楽しむことが出来る山です。
これから山登りを始めようと思っている人も、ベテラン登山者もきっと、楽しい山旅ができる素敵な山です。
ぜひ一度、行ってみてはいかがでしょうか?