氷河が山を削った景色が見事な涸沢カールでテント泊をして穂高岳に至る、一番難易度が優しい奥穂高岳初心者向けルートで登頂を目指します。夜は恐ろしいくらいの満点の星空、朝日が山々に当たり真っ赤に染まる「モルゲンロート」を見て岩場に挑戦する素晴らしいルートをご紹介します。

※今回ご紹介する初心者は、登山初心者ということではなく、穂高初心者を表しています。
ある程度経験を積まれている穂高初心者の方でも、ベテラン登山者の方と一緒に登られることを、おすすめします。

奥穂高岳は穂高連峰の主峰

日本で3番目に高い奥穂高岳(3190m)を主峰として、西穂高(2909m)、北穂高岳(3106m)、前穂高岳(3090m)の3000m級が連なる日本を代表する名峰です。山のほとんどが岩峰でアルペンムードが漂い、難しいバリエーションルートから比較的登頂が優しいルート(決して初心者の山ではない)など多彩なルートがとれる楽しい山です。

登山口である上高地は観光地としてもあまりにも有名で日本を代表する有数な山岳景観を気軽に楽しむことができます。ここへ向かうためには専用のバスかタクシーでの入山になります。

奥穂高の登山の難易度は

日本で3番目の標高を誇る奥穂高ですが、涸沢経由で時間をかければ比較的安全に登頂が可能です。もちろん岩場、鎖場が多いので気は緩ませず、また落石の危険が多い場所なのでヘルメットの着用を推奨いたします。

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奥穂高登山のコースタイム

上高地から涸沢経由で奥穂高岳(3190m)を目指します。
1日目は上高地~涸沢。標準コースタイムは6時間。標高差は700m
2日目は涸沢~奥穂高岳~上高地へ下山しました。
標準コースタイムは8時間です。標高差は登り800m、下り1600mです。

1日目
沢渡バスターミナル(5:40)~上高地バスターミナル(6:10)~明神館(7:10)~徳沢(8:00)~横尾(9:10)~本谷橋(10:10)~涸沢ヒュッテ(12:00)
2日目涸沢ヒュッテ(5:50)~ザイテングラート取り付き(6:50)~穂高岳山荘(8:50)~穂高岳山頂(9:50)~吊り尾根~紀美子平(12:00)~岳沢小屋(14:30)~上高地バスターミナル(16:00)

奥穂高登山の装備や持ち物

・リュック 70L
・ヘルメット
・手袋
・防災シート
・帽子
・救急セット
・ジェットボイル
・カトラリー
・コップ
・十徳ナイフ
・防水マッチ
・ライター
・サングラス
・ゴアテックス雨具上下
・フリース
・ストック
・ダウンジャケット
・テント
・ダウンシュラフ
・着替え
・ヘッドライト、テント内ライト
・おつまみ&お酒

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上高地までのアクセス方法

山梨県からマイカーの場合

松本インター下車、国道158号線を飛騨高山方面へ40㎞ほど進むと沢渡バスターミナルがあります。山岳道路なので道が狭い上、大型バスや大型トラックが多数走り、多数のトンネルやトンネル内の分岐があるので運転は要注意です。しかしダムや緑の山岳景観は素晴らしいので気分が高まるアプローチになるでしょう。
途中の新島々に最後のセブンイレブンがあるので買い物をすると良いでしょう。

沢渡バスターミナルからは専用バスで上高地へ入山します。(駐車料1日600円)
季節によって異なりますが、始発は5:40でその後は30分おきにバスが出発します。

奥穂高岳初心者向け登山ルートを解説

河童橋~横尾

有名な河童橋で写真を撮り、いよいよ出発。
涸沢経由なのでまずは横尾まで平坦な道のりを12㎞歩きます。
まずは第一休憩スポットの明神館まで。木漏れ日を浴びながら林を歩きます。本当に平坦で登山というか散歩という感じです。

50分ほどで明神館に到着です。ここからは明神岳の展望が素晴らしいです。売店やトイレがあります。次はまた平坦な道を歩いて徳沢を目指します。

途中で所々展望が開け、前穂高東壁や梓川の清冽な流れがメリハリを与えてくれます。特に危険箇所はありません。

徳沢はかなりおしゃれで味がある山小屋です。ここのソフトクリームは絶品なので是非おすすめします。

徳沢から横尾までもほとんど平坦な道のりです。最初は気持ちの良い散歩道ですが、12㎞もあるので正直、億劫に感じるかもしれません。

約3時間ほどで横尾に到着です。ここにもトイレと売店があるので休憩をすると良いです。

本谷橋~涸沢ヒュッテ

ここからは本格的な登山道になります。まずは本谷橋を目指して緩やかな道を上っていきます。
ここでの圧巻の景色は屏風岩です。日本でも有数の標高差を誇る岩壁でロッククライミングの聖地です。たまに登っている方を遠目に見ることもできます。

1時間ほど歩くと休憩スポットの本谷橋に到着です。雪解け水をそのまま飲むことができ、クールダウンするには素晴らしい場所です。野鳥の声と清流の音に耳を傾けるといいでしょう。

比較的緩やかだった登山道もここからは急登に変わっていきます。ジグザグに登り川から標高を上げていきます。

POINT

途中落石多発の場所があります。ここだけは止まらずに一気に歩き抜けてください。毎年落石がおこったり、地震や豪雨の旅に登山道が崩壊する場所です。苦しいかもしれませんがいつ落石が起こるかわからない場所で止まることがないようにしてください。事前に看板もありますので、そこで息を整えてから一気に通過してください。

危険地帯を通過するといよいよ涸沢の展望が開けてきます。
まずは前穂高岳から伸びる北尾根と吊り尾根の景色が粗々しくて良いです。振り返る存在感がある屏風岩も見えます。雪解け水が流れる沢を登り詰めるといよいよ涸沢の全景を見ることができる涸沢ヒュッテに到着です。

涸沢ヒュッテ

ここから見る涸沢カールは素晴らしいの一言です。
前穂高岳から伸びる尾根、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳、振り返れば屏風岩や常念山脈、残雪と新緑が良いコントラストの初夏ならではの風景です。

さらに素晴らしいのが涸沢ヒュッテのテラスと生ビールです。
大展望を間近に仰ぎ見ながらの生ビールは筆舌に尽くし難いくらい最高の瞬間です。まさに山登りの醍醐味の一つです。

シーズンによってはかなり混雑する場所ですが、登山をする方なら来て絶対に後悔しない場所ですので一度は足を運ぶことをおすすめします。日帰りもできなくはないのですが、涸沢の魅力は滞在することでさらに素晴らしさを感じることができるでしょう。

テントを張り思い思いの時間を過ごします。夜は恐ろしいほどの満点の星空。人工衛星や流れ星も見ることができます。
音は沢の音のみ。下界の光さえも見えず、良い意味で完全に隔離された自然の空間に身を置くことができます。

涸沢~穂高岳山荘

翌朝は4:30頃、朝日が山々に当たるモルゲンロートを堪能してから奥穂高岳に向かって出発です。
取り付きの20mほどに雪渓がありますが、3連休直前で小屋の方が切っていてくれたので危険は特にありませんでした。

しかしここからは落石、滑落の危険性が高くなるのでヘルメットを装着して気を引き締めて行くことをおすすめします。毎年ザイテングラートでは滑落事故があり数名がなくなっています。

登山用ヘルメットおすすめの13選!種類や選び方、日本人向けのヘルメットは?

ザイテングラートとは

ザイテングラートは背骨の様な形をしていて、ハイマツと岩場のミックスルートです。
一見なんともなさそうな場所でも踏み外すとハイマツを抜けて数十メートル下まで滑落してしまいます。下山者とのすれ違いを含め十分に気をつけて登ってください。

穂高岳山荘~山頂

涸沢から標高差700mを登り切ると白出のコルに建つ穂高岳山荘に到着します。
岩畳の立派なテラスがある山小屋です。急登の疲れを癒やしましょう。

POINT

>休憩をしたら山頂までの核心のポイントです。
超急登の梯子、鎖場が連続し、滑落すれば間違いなく大けがか死亡しますので絶対に気を抜かずに三点支持を徹底して登ります。

危険セクションを抜けると槍ヶ岳や笠ヶ岳、涸沢岳を中心に北アルプス全域が見渡せる展望が広がります。(比較的安全にはなりますが、引き続き気を引き締めて)

奥穂高岳山頂

穂高岳山荘から約50分で山頂に到着。
素晴らしい大展望が広がります。富士山、南、中央アルプス、北アルプス全域、さらには関西方面、上越方面の山々まで見渡すことができる圧倒的な展望です。

さらに日本の最難関縦走路でもあるジャンダルムルートやバリエーションルートの明神岳も一望できます。遙か眼下には上高地と涸沢ヒュッテを望むことができます。

奥穂高岳山頂~紀美子平

POINT

ここからは前穂高岳と奥穂高岳をつなぐ、吊り尾根を歩きます。
ここもトラバース(横移動)がメインになりますが、数mの鎖や梯子があり、かつ登山者とのすれ違いも多いので注意が必要です。

1時間30分ほどで前穂高岳直下の紀美子平に到着です。
上高地からの岳沢や西穂高岳、奥穂高岳、吊り尾根の景色が素晴らしいです。

重太郎新道~岳沢小屋

ここから上高地まで約1400mの本格的な下山が始まります。

POINT

日本の一般登山道でも有数な急登で、登りも下山もかなり大変な重太郎新道です。
こちらも鎖場が多数あり、滑落したら軽傷では済まないので引き続き注意します。

POINT

途中の岳沢パノラマ展望台、カモシカの立場で休憩を挟み、樹林帯に入り始めますが、こここそ最後に気を引き締めてください。鎖場は減ってきますが落差があったり、上からの落石が多い場所なので上部よりも事故が多いです。

2時間ほど下山すると標高2150mの岳沢小屋に到着です。
ここまで来るとようやく一安心できます。これまで下ってきた吊り尾根や重太郎新道が見渡せ、「すごいところ降りて来たな」と感じることでしょう。

岳沢小屋~上高地

休憩を挟み、下山のラストスパート。
後はひたすら1時間30程かけて標高差700mの登山道を降りていきます。
岳沢小屋から上高地まで1~10までの標識があります。
道中特に危険箇所はありません。

途中に天然クーラーと呼ばれる風穴があり、心地よい冷たい風が火照った体を冷やしてくれます。
沢の流れが聞こえ始めたらようやく上高地にゴールです。
ゴール直前にわき水スポットがあるのでここで顔を洗うととても気分爽快です。

最後に上高地から下ってきた穂高岳を仰ぎ見ると達成感と高揚感を感じることができます。
バスの最終便が16:55なので乗り遅れないように注意してください。
30分ほどかけて沢渡駐車場に向かい、登山終了です。

まとめ

穂高岳は様々なルートがとれ、かつ展望も素晴らしい日本を代表する名峰です。
登山のステップアップに是非利用してみてください。
新緑、カール、残雪、星空、朝日、圧倒的な岩壁、そして生ビール。
きっと満足できる山行になることでしょう。

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