鍋割山は神奈川在住の登山のメッカである丹沢において、当山域を代表する山のひとつです。代表的な大倉方面からのルートには沢、樹林帯、尾根と表情豊かな登山を日帰りで楽しむことができます。今回はマイカーの利用で便利な表丹沢県民の森からの初心者におすすめの日帰り登山ルートをご紹介します。
鍋割山とは
標高1273mに位置する鍋割山の山頂の眺望は良く、草原で晴れた日の休憩は気持ちが良く、山頂には鍋割山荘もあり、山頂までのルートも豊富なことから、登山者も山域の中では多い部類に入ります。
鍋割山の名前の由来は?
名前の由来は、山の地形が鍋の底を半分に割った形にている、もしくは付近にある鍋割沢からつけられたなど、諸説あるようです。
鍋割山は登山ルートが豊富
鍋割山へは南側からアクセスする大倉や寄ルート、塔ノ岳に伸びる東側の稜線を利用するルートなどがあり、雨山峠を経由すればユーシンブルーで有名なユーシン渓谷に向かうこともできます。
また一般登山道を除くと、南東側に位置するミズヒ沢、南西には後沢などの豊富な沢筋、尾根伝いのバリエーションルートなど、非常に多い登山ルートが存在します。
鍋割山の登山時には鍋割山荘への歩荷の協力をしよう
最後の渡渉点に着くと、沢山のペットボトルが置かれています。鍋割山荘で使用する水が置かれており、山荘までの協力依頼の張り紙が設置されています。
歩荷は丹沢でも幾つかの小屋で荷揚げされており、トレーニングの一環で運ばれている方もいるようです。
丹沢は沢登りも有名
丹沢を歩いていると、色々なところで沢が流れています。この流れている沢を遡行し、頂上、または源頭部(水が流れ出す最初のポイント)に向かうなどするのが、沢登りという登山スタイルです。
一般登山道を使わないため、人の手が殆ど入っていない自然の姿が残され、整備されていない道なき道は、地図読みや登攀技術など登山の総合力が求められますが、より自分の力を使って自然に入り込み、よりフェアに挑む感覚は沢登り特有の充実感を体験することができます。
丹沢はその名の通り、非常に多くの沢を持ち、初級者から中上級者までを迎える地域です。水量の少ない沢であれば通年を通して楽しめる場所もあり、登山経験を積んだら、一度経験者を連れて挑戦してみてはいかがでしょうか。
鍋割山荘名物の鍋焼きうどん
山頂に位置する鍋割山荘には有名な鍋焼きうどんが販売しています。鍋割山への登山目的として来る方もおり、一見普通の鍋焼きうどんですが、疲れた体に染みわたるような優しい味は、また来たら食べたくなるほど病みつきです。
また鍋割山荘は宿泊もでき、宿泊時の夕食はこの鍋焼きうどんだそうです。
鍋焼きうどんの売り切れはあるの?
オーダーストップは13時なんですが、シーズン時には(GW,9月下旬、10月、11月、12月上旬)は混雑し、売り切れになり早めに閉店されるそうです。
長年、丹沢で山登りをしている方に、聞いたんですが、売り切れの話は、何回か聞かれたそうなので、遅くても12時ぐらいには鍋割山荘に到着する方がいいみたいです。
[br num=”1″]
営業時間:火・水・木(11時~売り切れまで)
土・日・祝(10時~売り切れまで)
鍋割山登山の駐車場とトイレ情報
表丹沢県民の森駐車場
収容台数 15台
駐車料金 無料
トイレ 有
鍋割山登山のトイレと水場
表丹沢県民の森にはトイレが設置されており、山頂にもトイレが常設されています。
ルート途中には無いので、出発前に済ませておきましょう。
水場は無いので事前に用意しておくか、自己責任になりますが沢の水が使用できます。煮沸、フィルターに通すなどを使用すると良いでしょう。鍋割山荘では飲み物も販売しています。
沢の水について
沢の水を飲むか、飲まないか、飲んでも問題ないのか。山を登っていると、知人に良く聞かれます。私個人では、沢の水は飲んでいます。わざわざ飲みたくて飲むということはしませんが、私が専ら行く沢登りという登山スタイルでは、重量のある水を持ち運ぶことは好ましくなく、水を汲んで野営時に煮沸したり、流れがあって、ある程度条件を満たしていれば飲むことはあります。
ただ、動物の死骸や糞尿など、野生動物の生活圏である以上、汚染されていないわけではないので、十分な知識を持つこと、浄水フィルターなどの道具を持つ事をおススメします。
鍋割山の日帰り登山コースと所要時間
表丹沢県民の森~二俣30分
表丹沢県民の森から二俣までは右手に沢の音を聞きながら進みます。勘七の橋に着くと、下には山域内で有名な四十八瀬川が流れています。放流もされており、釣券を買えば渓流釣りも楽しめます。
大倉からのルートと合流し15分ほど歩くと、二俣に到着します。設置されている橋を渡り道なりに行くと、鍋割山に向かいます。この二俣は沢の入渓点、大倉尾根に合流するルートなどの分岐点となっています。暑い時は沢の水で手足を冷やすととても気持ち良いです。
二俣~後沢乗越45分
二俣を過ぎるとなだらかで整った道を歩き、2ヶ所の沢を渡渉します。どちらも常設の橋を使えば安全に渡ることができます。
※増水時は状況次第で渡渉困難になりますので、その際は無理せず別ルートで行くか、引き返しましょう。
最後の沢を渡渉し、5分ほど歩くと沢から離れ、樹林帯を登っていきます。
後沢乗越以降の上りが急勾配で体力を使うので、この時点では無理せずゆっくり登っていきましょう。
樹林帯を抜け10分ほど歩くと、寄方面からの合流地点である後沢乗越に到着します。ルートを見上げると急勾配で先が見えないほど長いので、ここでしっかり休憩を取って呼吸を整えましょう。
後沢乗越~山頂1時間20分
以降の尾根は丹沢らしい急勾配な尾根が続きます。頑張って歩いても先には尾根の続きが延々と、という悲しいことが起きるので、景色を楽しむ余裕を残しながら登ると良いでしょう。
夏の時期は吹き出るような汗が出て、水分と塩分を始めとした諸成分が不足すると足がつります。
今回のような急勾配な場所では休みなく頑張ってしまい、集中するあまり栄養補給がおろそかになった結果、足がつって行動不能に陥ってしまうことが良く見られます。
普段登山をされていない方の場合、加えて筋力不足も原因になると考えられます。水分を吸収率の高いスポーツドリンクを携行し、適度に足をマッサージするといった行動中の配慮、登山前は十分な栄養補給をしておきましょう。
長い尾根をひたすら登り、頂上手前で平地になります。ここを登り返すと間もなく山頂です。
山頂
この日の山頂はとても涼しく、鍋焼きうどんを食べた後、草原で横になって90分ほどのんびり過ごしました。
鍋割山から塔ノ岳へのルートもおすすめ
鍋割山から東の稜線を歩くと、その先には塔ノ岳へ到達します。鍋割山だけでは物足りない場合、時間に余裕がある場合に歩かれることが多く、充実した山行となります。
塔ノ岳の眺望も素晴らしいですが、そこに至るこの稜線の景色も良く、特に途中に位置する小丸からの眺望は見事で、南、西側の眺望が良好です。夏の終わりから秋まで、湿気も少なく涼しい時期にこの稜線を歩くのがおススメです。
また塔ノ岳を超えて表尾根を経由して下山もしくはそのまま大山まで超えるルートは、表丹沢の眺望を1日で楽しむこともできます。
とはいえ出発時間が非常に早く健脚向きのルートになり、出発、下山時の交通機関も課題になってくるので、十分な登山計画を立てて挑戦しましょう。
鍋割山下山時の注意点
下山は来た道を引き返します。道迷いの心配はないかと思いますが、初心者の方は後沢乗越までの尾根は下りでも足腰に響き、疲労が溜まった足では転倒の恐れもあるので、慎重に下っていきましょう。
いかがだったでしょうか。草原の気持ちの良い鍋割山の日帰り登山で、是非日々の疲れた心をリフレッシュして頂けたらと思います。