冬山の危険性やもしアクシデントにみまわれた時、どう対処すればいいか?

また、その危険に遭遇しないための基礎知識をまとめてみました。

冬山は極めて危険な一種の冒険と言っても過言ではありません。

ですから単なる憧れだけで登ることはできないのです。

冬山は豊富な経験を持つ者だけが分け入ることを許された特別な世界で、その彼らでさえも周到な調査と準備、そして覚悟を持って挑んでいく世界なのです。

冬山の3つの危険

冬山には夏山にはない危険が多く潜んでいます。

つまりそれは強烈な北風であり、雪と合わさった吹雪であり、そしてそれに伴う氷点下10数度にもなる気温の低下という、過酷な気象条件からくるものです。

平地でも東京などの大都会では、たった10cmの積雪だけでも街の機能が大混乱に陥るなど、大変な騒ぎにしてしまうのが冬の雪なのです。

この雪が大量に降り積もる山岳地帯にはこの他に、猛烈な風を伴う吹雪、そしてあらゆるものを凍らせてしまう氷点下の気温など、まさにサバイバルとなる危険ばかりが多く潜んでいるのです。

では冬山における具体的な危険とはどのようなものでしょうか?

それは大きく分けて次の3つが挙げられます。

滑落

雪崩

道迷い

などですが、これらの危険をどのように回避するのか、また不幸にしてそれらの危機に遭遇してしまった場合、どのようにしてそれを乗り越えるのかについて、ここでそれぞれ詳しく見ていきたいと思います。

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滑落

冬山では、雪と氷に覆われた切り立った尾根や、急こう配の岩場などを歩いて行きます。

足にはもちろんアイゼンをつけ、踏みしめるように一歩一歩慎重に歩くのです。

けれども冬山の滑落事故の多くは、このような危険な難所でもない、難易度の低い普通のところで起きているケースの多いことに驚かされます。

原因の多くは気のゆるみ以外の何ものでもありません。

何かを食べながら、或いは何かを飲みながら、またはよそ見をしながらなどの集中力を欠いた状態で歩くときに、その事故はよく起きているのです。

下山するまでは、決して集中力を切らさないようにすることが大切なのです。

 

また3000m級の北アルプスの稜線では、痩せた尾根に吹き付ける強烈な西風で、東側に雪庇という庇(ひさし)のような雪の張り出しができることがあります。

このようなところでは2本のピッケルを両手に持ってしっかりと突き刺し、足場として充分であるかを確認しながら慎重に進むことが必要です。

 

また複数人の場合は個々をロープでつなぎ合い、一方が確保するようなやり方で進めばより安全になります。

万が一先頭が滑落した場合は、二番目の人が敢えて反対側に飛び込んでバランスさせ、2人がともに転落することを防ぐのです。

 

また急こう配の斜面では、キックステップによる上り下りが基本になります。

キックステップとは、アイゼンをつけた靴で雪の斜面を蹴って穴をあけ、足場を作りながら一歩ずつ進むやり方です。

特に急な斜面の上り下り、またはトラバースという、壁のようなところを横切る動きをするときは、登山の基本である3点指示を忘れないようにすることです。

雪崩

冬山登山で最も怖いのが雪崩です。

運不運の部分もありますが、雪崩の原理を知ることと、発生の兆候を見逃さないことで、リスクを最小限に抑えることができます。

雪崩は山の斜面が30度以上ある辺りから警戒が必要になってきます。

また24時以内にその斜面にどのくらいの積雪があったかも、重要なポイントになります。

例えばそれが12cm以上あれば新雪雪崩のリスクがあると言えます。

また斜面の上部に突き出た雪庇のようなものが見て取れる場合や、陽の光が長い時間当たっていた場所などは、よりリスクが高いと思うべきでしょう。

このためいつ雪崩が起きても対応できるようなルートを選ぶことが必要です。

 

なお不幸にも雪崩に巻き込まれてしまった場合は、慌てずに両腕を顔の前にして、雪が口の中に入るのを防ぐようにすることが大切です。

雪崩での死亡事故の多くが雪を吸い込んでの窒息死だからです。

そして次に両腕を使って空間を作り、上下の方向(重力の方向)を確かめます。確認が出来たらあとは一目散に上に向かって脱出を試みるだけです。

ビーコンの携行

そして雪崩の可能性のあるルートを通過する場合、雪崩ビーコンを携行されることをお勧めします。

これは雪崩で埋まった人を捜索するために開発された小型の機器で、携行者同士での電波の受発信が可能なことから、救助者は埋没者の位置をすぐに特定できるというものです。

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道迷い

山の天気は季節を問わず急変します。なかでも冬山は猛吹雪に襲われると、あっという間に氷点下10数度という気温になるなど、極めて危険な状況になります。

テントなど冬山の装備が完全で、経験も豊富なベテランのメンバーで行くのであれば特に問題はないのですが、冬山の初心者の場合は注意が必要です。

従ってここではそうした人たちが雪山で道に迷い、遭難してしまった場合、どのような点に気をつければいいのかという点についてご紹介したいと思います。

とにかく安全な場所へ避難

冬山で道に迷い遭難したのだと思ったら、まずすべきことは、何よりも安全な場所へ迅速に移動することです。

風雪に晒される、或いは落石や雪崩の危険があるところで、むやみに動き回るのは、危険である上に体力を消耗させるだけです。

早めに安全な場所を探すことです。

安全な場所に避難したら110番に連絡して状況を伝える

安全な場所に避難したら早めに110番に状況を連絡することです。

そしてそのときの警察の指示も含め、その後の行動について皆で相談しましょう。

大切なことはパニックに陥らないことです。「必ず無事に生還できる」のだと、リーダーはとにかくメンバーの気を落ち着かせることが必要です。

このままそこで待機する場合、最も危険なのは風と寒さです。

雪山に行くときは山小屋に泊る予定でも、最低ツェルトという簡易テントを携行すべきですが、それだけでは十分ではありません。

寒さから身を守るために雪洞を掘らねばなりません。

明るいうちに作業を終え、そのなかにツェルトを張って(或いはかぶって)体力・体温の維持に努めることが必要です。

食料・燃料の消費は計画を立てる

この雪洞に何日間停滞を余儀なくされるのかは天気次第です。

最悪の状況を想定して、リーダーはメンバーと相談して、食料や燃料の消費の計画を立て、それを実行することが必要になります。

下山が可能な状況になったら

その後の気象条件次第ですが、晴れて視界が良くなって下山できるような状況になれば、個々のメンバーの体調と意見を確認して、下山する準備を整えましょう。

けれども山の天気は急変することも少なくありません。

下山の途中で再び道に迷うこともあるでしょう。

その場合、絶対にやってはならないことは、沢に下りることです。

沢に下りれば、思いがけずに滝に遭遇したりするなど、更なる困難に直面することも多く、また救助の際にも視覚が遮られて、見つけにくいことがあげられます。

ですから道に迷ったら稜線を登るのです。その方が、道が開けてより人目につくことができることになるのです。

つまり山の鉄則は「迷ったら上る」であって、決して「下るではない」。

そして絶対に沢に下りることをしてはいけないのです。

 

まとめ

以上述べてきましたように、冬山の登山には、天気の急変による猛吹雪やホワイトアウトなど、様々な危険が潜んでいます。

冬山で発生する遭難のなかで主にあげられるのが、滑落、雪崩そして道迷いの3つです。

滑落を防ぐには、とにかく行動中に集中力を切らさないことです。

そして雪崩に遭遇しないためには的確な状況判断をすることですが、不幸にして遭遇した場合に備え、救助の機器として有効なビーコンを携行することでしょう。

そして最後に道迷いによる遭難ですが、万が一にもそのような状況になった場合、決してパニックには陥らず、皆で冷静に考えて行動することが何よりも必要です。

そして風や寒さから身を守るために雪洞を掘るなどの対策をすることです。

さらには110番への連絡も含め、最新の情報端末(スマホ)などの機能を使って、自分たちの位置を知らせるなど、早めに情報を発信することも重要なことです。

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