八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰

八ヶ岳赤岳の日帰り登山ルートを解説!時間や装備、アクセス方法もご紹介!

八ヶ岳の最高峰赤岳の日帰り登山ルートをコースタイムや装備を含めてご紹介します。
そもそも八ヶ岳という峰はなく、赤岳をはじめとするたくさんの峰の総称です。由来は8峰に見えるからや「八」が数多を表すからなど諸説あります。

八ヶ岳とは

八ヶ岳は南北約30㎞に連なり、北と南で全く様相が異なります。北は屋久島にも勝るとも劣らない苔と針葉樹林の原生林があり、国内に見られる苔の約4分の1の種類が自生しており、 2008年に日本蘚苔類学会より「日本の貴重な苔の森」として選定され、保護をされています。

一方、南はアルペン的雰囲気が漂い、岩場、鎖、梯子もある荒々しい山様です。
八ヶ岳は首都圏からも非常にアクセスが良く、首都圏付近の山からもうワンステップ、レベルアップするには最適な山だといえます。
また冬も通年営業している山小屋も多く、四季を通してたくさんの登山者で賑わいます。

赤岳登山のおすすめの時期

赤岳を登山するのに適したシーズンは春夏秋の3シーズンです。
氷瀑のアイスクライミングの場合は冬ですね。
大変人気の山なので週末や長期連休中には人で溢れると思っておいた方が良いです。

また、低山には登れないような夏の日でも行者小屋までの大半は森林地帯の中を進むことになるうえ、赤岳は大体2,800mはありますので涼しく過ごせるのも魅力ですね。

赤岳登山の難易度は?

難易度については、文三郎尾根終盤からの岩綾地帯、地蔵尾根の鎖場及び垂直の階段など、かなり高度感を感じながら進むことになるので、高所での慣れ感がないと難しいと思います。

登山時期で一番込み合うのは、紅葉シーズンです。
紅葉シーズン中はそれこそ老若男女、ツアー客からカップルから、山岳部からソロから、もうありとあらゆる種類の登山客で賑わい、それぞれに目的も違えば体力も熟練度も違います。

そうなると想定されるのが、例えば赤岳山荘直下のテクニカルな岩綾地帯での大渋滞。
背後には眼下数百メートル下に岩場が広がる足場が一人分しかないような隙間を巡って、互いに譲り合うこともあります。

ただ、それまでの道中は素晴らしい景色を堪能できるうえ、山頂の眺望は北アルプス、中央アルプス、南アルプス、富士山と筆舌に尽くし難い眺望を期待できます。

赤岳の日帰り登山のコースタイム

美濃戸口(5:40)→南沢渡渉点(6:30)→行者小屋(7:00)→休憩(7:10)→文三郎道阿弥陀岳分岐(7:50)→赤岳山頂(8:30)→休憩(10:00)→赤岳展望荘(10:15)→地蔵尾根分岐(10:20)→行者小屋(11:00)→美濃戸口(12:10) 終了

美濃戸口までのアクセス

主峰赤岳に至る道はたくさんありますが、今回は長野県側の美濃戸口から登山を開始します。
中央道諏訪南インターで降り、県道425号(八ヶ岳ズームライン)を東進します。インターすぐにファミリーマートがあるのでそこで最終の買い物をすると良いでしょう。

ほどなくして県道484号線にぶつかるので左折してさらに進むと「美濃戸口」の看板があるので道なりに進めば着きます。
マイカーの方はさらに奥までアクセス可能ですが、途中の道がオフロードですので車高の高い車ないし4WDをおすすめします。駐車場では駐車代で1,000円徴収されます。

また、バス、タクシーの方は美濃戸口に至るまでは麓の八ヶ岳山荘から歩いて1時間ほどかかります。
美濃戸口には「赤岳山荘」「やまのこ荘」「美濃戸山荘」の3つの山小屋があって、出発前の準備、到着後の癒やしのスポットになっています。

赤岳の日帰り登山ルートを解説

美濃戸口~行者小屋(1時間50分)

いよいよ出発。ルートはいきなり二手に「北沢ルート」「南沢ルート」に分かれます。
今回は最短で赤岳登頂を目指すので南沢ルートを目指します。ここからまずは2時間かけて、行者小屋を目指します。

なんともいえない美しい水が流れる南沢をのんびり登っていきます。傾斜はさほどなくゆったりと沢横を上り詰めていきます。

こちらも北八ヶ岳ほどではないにしても木漏れ日と苔が美しいです。ルートがしっかりと整備されているので道迷いや危険箇所はまず無いと言って良いでしょう。

途中沢を渡るところで小休止。川の水が冷たくてとてもおいしい。この後も針葉樹の森を抜けていくと、水が流れていない沢に合流。

ここで視界が開け、赤岳~横岳の姿を望むことができます。とても荒々しいです。
ここから行者小屋まではあと15分ほど。赤岳がどんどん大きくなっていきます。

行者小屋~文三郎道分岐(40分)

出発して1時間50分、行者小屋(約2350m)に到着。トイレや栄養補給など一休みします。
ここからの展望は圧巻!

阿弥陀岳~赤岳~横岳、さらにはバリエーションルートである大同心、小同心もぐるっと見渡すことができます。

さらにここはテントで野営することができます。夕日で真っ赤に染まる山々を見ながら、夜は満点の星空で眠りにつくのも贅沢かと思います。

さて、ここからが八ヶ岳登山の本番!急な「文三郎道」を登り詰めます。
樹林を抜けると急な階段セクションです。
しっかりと整備されているので登りにくさはないのですが、角度があって息があがります。

振り返るとこれまで行者小屋を望むことができます
階段が終わると斜面をトラバース(横切る)すると阿弥陀岳へ行く分岐地点と合流します。

小屋がかなり小さく見え、赤岳~横岳が屏風のように広がっています。
今回は新緑でしたが、秋は針葉樹の緑とナナカマドの紅葉のコントラストが、冬は雪をまとった木々がとても美しいです。

文三郎道分岐~赤岳山頂(40分)

この分岐からが今回の核心部分です。

POINT

ここから赤岳までは鎖場、梯子セクションになっており、気を緩めると滑落し、大けがに繋がる危険地帯です。ですがきちんと整備されているので気を抜かずしっかりと三点確保しながら登れば問題ないです。

さらに岩場のリスクの中に落石があります。自分だけなら良いですが、自分が落としてしまった落石が他の人に当たってしまう可能性も十分にあるので細心の注意を払って登ってください。
ヘルメットの着用をおすすめします。

権現岳からの登山道との分岐までくれば、あとひと息。視界はますます開け、南アルプス、富士山をも見ることができます。
しかしここでもまだ気を抜いては行けません。

まだ岩場のセクションなので、滑落、落石のリスクは十分にあります。
最後の梯子を登るといよいよ登頂です!

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赤岳山頂

山頂からはまさに360度の大展望です。
山頂には「赤岳頂上山荘」という日本でも珍しい、本当に頂上に建っている山小屋があります。私は泊まったことはありませんが、ここから富士山と共に見るご来光は素晴らしいだろうな、と思います。

赤岳山頂~赤岳展望荘(20分)

頂上から素晴らしい展望を堪能した後は地蔵尾根を通って下山します。

まずは赤岳頂上から横岳に行く途中の地蔵の頭まで降ります。

POINT

ここも急な斜面に鎖が付いていますので注意を払って着実におります。こういった場所はストックをしまい、かつ鎖にも頼りすぎないようにするのがコツです。

20分ほど降りると赤岳展望荘に到着です。
ここからの赤岳は圧巻です。ピラミダルなきれいな山容で「すごいところから降りてきたなー」と驚きます。

赤岳展望荘~行者小屋(60分)

ここからが下りの核心、「地蔵尾根」です。
地蔵の頭(約2700m)、から行者小屋まで約400mの急峻な下り梯子、鎖場がとても多いでです。

岩場の下りは登り以上に注意レベルを最大にして降りる必要があります。
約1時間かけて行者小屋に到着です。
数時間前に見た山々と同じですが、きっと気持ちが違うはずです。
「あそこまで登って、降りてきた」という高揚感と達成感が入り交じっていることでしょう。

行者小屋~美濃戸口(1時間30分)

ここからは往路と同じ南沢をゆったり1時間半程歩けば美濃戸口に到着です。
美濃戸山荘でビールや飲料水で喉を潤し、登山の余韻に浸るのも良いでしょう。
標準コースタイムで約7時間(休憩含まず)の山行でした。
ゆったり歩きたい方は行者小屋や赤岳頂上/展望山荘で一泊、翌日横岳~硫黄岳に縦走に向かうとより素晴らしい山行になると思います。

赤岳登山の服装や装備の選び方

服装や装備の選び方

服装についてはしっかりとした登山の服装でレイヤリングしていきましょう。
レイヤリングとは、肌着に近いものから、ベースレイヤー、セカンドレイヤー、サードレイヤー、ハードシェルなどと衣服を面層として重ね着していく考え方です。

それぞれ、防水・撥水性、通気性、消臭性、防風能力、保温性能、重さ、価格帯などよく考えて持っていきましょう。
それ以外には岩場がありますので運動靴ではない登山靴、それなりに長い山行になるため雨具、非常食、地図、など持っていきましょう。テン泊する場合は荷物が多くなりますので、実際に行者小屋からアタックする際に不必要なものはテントにデポしていくのもいいでしょう。
行者小屋には水場があります。

赤岳日帰り登山の服装や持ち物

・リュック 28L
・ヘルメット
・手袋
・防災シート
・帽子
・救急セット
・ジェットボイル
・カトラリー
・コップ
・十徳ナイフ
・防水マッチ
・ライター
・サングラス
・ゴアテックス雨具上下
・フリース
・ストック
・ダウンジャケット

初心者は日帰りより1泊2日がおすすめ

距離 約16.3km

コースタイム
・1日目 美濃戸〜行者小屋まで(約4時間)
・2日目 行者小屋〜赤岳〜行者小屋〜美濃戸まで(約6時間)
標高差
・約1,500m
コース詳細
・1日目 美濃戸→美濃戸山荘→行者小屋
・2日目 行者小屋→文三郎尾根→赤岳山頂山荘→地蔵の頭→地蔵尾根→行者小屋→美濃戸

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というコースになります。
おそらく西側の美濃戸から登るルートは赤岳初心者でも比較的チャレンジしやすいルートですが、悩みどころとしては、日帰りにするか1泊にするかというところですね。

コース自体は日帰りでもいける内容かと思いますが、参考タイムは9時間半でした。それに休憩を入れると10時間前後、日帰り山行ですとかなり急ぎ足になりますね。
危険な場所もちらほらありますので、事故などのことも考えて、初心者の方はきっちり登山届をだし、1泊2日の山行をおすすめします。

赤岳下山後のおすすめのご飯と温泉

赤岳下山後のおすすめの食事

まずご飯は「Yatsugatake J&N」。元パティシエ夫妻が営むオーベルジュで、宿泊と入浴も兼ねています。バスの待ち時間においしいコーヒーやステーキ、パスタ、スイーツが堪能できます。新築で清潔感とおしゃれ度は群を抜いています。

Yatsugatake J&N

赤岳下山後のおすすめの温泉

さらに八ヶ岳周辺には温泉がたくさんあり、おすすめは「信州原村八ヶ岳温泉 もみの湯」。
泉質はナトリウム硫黄泉で濁りがあり、ほのかに硫黄の香りがします。
料金は500円で休憩所があり、とてもコストパフォーマンスが良い温泉です。

もみの湯

まとめ

今回は美濃戸口~赤岳でしたが、八ヶ岳は様々なルート取りをすることができます。
上記縦走や、長野県野辺山から伸びる3本の尾根、「県界尾根」「杣添尾根」「真教寺尾根」から登り詰めるルートや南端の編笠山から権現岳を通り縦走するルート。

さらには北八ヶ岳への縦走などなど、多彩なアプローチと多彩な景色を堪能できる変化に富んだ本当に素晴らしい山です。
各々のレベルにあった山行を楽しんでください。