これからトレイルランニングを始める初心者の方が最初に購入するもの、それは「トレイルランニングシューズ(以降トレランシューズ)」だと思います。
ここ数年、トレイルランニングの浸透と競技人口の増加に伴って、各ブランドから様々な種類のトレランシューズが登場しています。
「軽さ」「剛性」「クッション性」etc..
正直、どんな特徴を持ったシューズを選べばいいのか迷ってしまうと思います。
ここでは、そんなトレランシューズの選び方を初心者向けに分かり易くまとめていますので、参考になれば幸いです。
初心者向けトレランシューズの選び方
本題のトレランシューズ選びに関して解説していきます。
私はトレラン歴6年になりますが、シューズ選びはやはり難しいです。
実際に履いて走ってみると、足が痛くなったり、すぐにダメになったり…
様々な特徴を持ったトレランシューズを何足か履きつぶしてようやく、自分にあったシューズが分かってきました。
私の経験から、シューズ選びで考えたいポイントは以下の4点です。
- 「防水性」
- 「ラグの形状」
- 「足のホールド感」
- 「ロードとの兼用」
初心者向けトレランシューズ選びのポイント①「ゴアテックスや防水性」

始めに言うと、個人的には初心者の方が最初に履くトレランシューズにゴアテックスや防水性は必須ではないと考えています。
シューズに防水性を持たせることには、メリットとデメリットがあります。
<ゴアテックスや防水性のメリット>
- 雨の日でも使用できる
- 雨で濡れてぐちょぐちょの地面や渡渉(川を横切る場所)があっても大丈夫
<ゴアテックスや防水性のデメリット>
- 通気性・透湿性が低い
- 非防水と比べると重い
トレランをこれから始める初心者の方は、いきなり雨の日に走ったりすることはないと思います。
また雨で濡れた地面を走るのは、特に下りはテクニックと経験が必要なので、初心者の方はまず晴れの日にしっかり走って慣れることが大事です。
非防水タイプはアッパーの通気性が高く蒸れづらいですし、やはり軽いので、足への負担が変わってきます。
ゴアテックスなどの防水モデルは、登山と兼用される方や、得意な地形(水を含む粘土質の土地etc)、岩がゴロゴロした土地(防水シューズはアッパーの剛性が非防水より基本的に高く破れづらい)を走る方にはオススメです。
初心者向けトレランシューズ選びのポイント②「ラグの形状」

山へ出掛けると、同じ地形(地面の状況)になっている事はほとんどありません。
上の写真は全て同じ山で撮影したものです。
落ち葉が敷かれた地面や、石段、草で地面が隠れた場所、木の根が張る地面等、実に様々な地形があります。
様々な地面でグリップ力を発揮するには、アウトソールが重要になります。
アウトソールの凹凸部分のことを「ラグ」と言い、各ブランドが様々な形状のラグを持ったシューズを出しています。
ラグの形状によって、得意なコースと不得意なコースがあるので、ブランドの商品詳細ページを参考に、自分が主に走る山(地形)に合ったシューズを選んでみましょう。
初心者向けトレランシューズ選びのポイント③「足の甲のホールド感」
トレランシューズのサイズ選びでは足の甲のホールド感が重要になります。
トレランでは、爪がシューズのつま先に当たって怪我をしないためにも、実寸より少し大きめのシューズを選びます。
しかし、大きすぎると足がシューズの中で動きすぎてしまったり、走りに影響が出るので、下の三点をポイントに自分に合ったサイズを選びましょう。
適切なサイズ感のトレランシューズ
①かかとから足の甲がフィットしている

赤〇の部分に不自然な隙間がない、隙間があると足が擦れて痛くなる。
②つま先に指先が動かせる余裕がある(1㎝程度の捨て寸)

シューズのつま先に足先を寄せて、かかとに指がちょうど1本入るくらいの余裕があると良い。
③紐を結んだあと、左右に足がずれない
足を左右に捻ったりして、中で足が動かないか確認する。
どうしてもブレる場合は、厚みのあるソックスやインソールで調整する。
初心者向けトレランシューズ選びのポイント④「ロードとの兼用」

トレランシューズの軽量化は年々進んでおり、ロードランニング用と変わらない200g台も登場しています。
また、トレイルランニングは山に行かなければならないので、毎日行うのは難しいでしょう。
そのため、トレランの練習のために舗装路を走っている方も多いと思います。
ロード兼用タイプのトレランシューズは各ブランドから登場しており、硬い舗装路にも対応できるようにアウトソールが設計され、ロード用のシューズに近い柔らかさやクッション性を持っており、ロードランニングから転向する方の入門シューズとしてもオススメです。
トレランシューズの人気ブランドとおすすめモデル
トレランシューズにはどんなブランドがあるのか見ていきます。
トレラン業界では、老舗メーカーから新興メーカーまで多種多様なシューズが存在しており、代表的なブランドとオススメのシリーズをピックアップしました。
①サロモン(SALOMON)

サロモンは1947年にフランスで創業したブランドです。
サロモンと聞くと、スキーやスノボなどウインタースポーツのイメージを持っている方もいるかもしれませんが、トレラン分野にいち早く注目し、多くの先進的なシューズを開発しています。
UTMBなど著名なトレランレースでサロモン製シューズを履いたランナーがコースレコードを達成するなど、実績のあるメーカーであり、業界で確固たる地位を築いています。
サロモンおすすめのシリーズ「SENSE」
サロモンのトレランシューズの中で最も汎用性が高く、トレイルからロードまであらゆる路面に対応するシリーズで、2020年に最新シリーズの「SENSE4/PRO」が発売され、大幅リニューアルされました。
新テクノロジー「opti-vibe」により走行中の足への振動が軽減、コンディションの悪い路面でも安定した走りが可能になり、疲労や怪我のリスクを減らしてくれる初心者向けの一足。
②モントレイル(montrail)

サロモンとともに業界の二大巨塔となっているブランドがモントレイルです。1982年に最初のトレイルランニング専門ブランドとして誕生しました。
多くの著名なレースの公式スポンサーであり、世界大会常連のアスリートが数多く所属しています。
総合アウトドアブランド「Colombia(コロンビア)」のグループ企業となってからは、シューズだけでなく、ウェア分野においても高いパフォーマンスの製品を生み出しています。

モントレイルおすすめのシリーズ「カルドラド」
改廃の激しいモントレイルシューズの中で、ロングセラーとなっているカルドラドシリーズで、プロランナーから初心者ランナーまで、どんなランナーの足にも馴染む万能性を持ち、オールラウンドなトレイルで活躍できる初心者向けの一足です。
軽量なボディに対してアッパーの剛性も高く、岩場の多いテクニカルなコースでも安心して使用できます。
③スポルティバ(LA SPORTIVA)

スポルティバは、イタリアの自然に囲まれた土地に工場を持つ山靴専門メーカーであり、80年以上前から著名な登山家たちに愛されてきました。
登山靴やクライミングシューズで培った技術を応用し、トレランシューズ分野も多くの名作を生み出しています。
スポルティバおすすめのシリーズ「AKASHA」
初めてトレイルを走るランナーにも優しい、高いクッション性を持つ初心者向けモデル。
ロングトレイルにも対応できるので、レベルに合わせて徐々に走行距離を伸ばしていくことが出来ます。
また、細い型の多いスポルティバの中でもAKASHAは幅広設計のため、日本人の足にも合いやすいです。
④ザ・ノースフェイス(The North Face)

ザ・ノースフェイスは1966年にアメリカで誕生した総合アウトドアブランドです。
アウトドアブランドの中でも特に知名度が高く、今日ではタウンユースからプロフェッショナルな登山まで対応するアイテムを出しています。
トレラン分野においても、TJAR(トランスジャパンアルプスレース)・UTMF(ウルトラトレイルマウントフジ)など国内のビッグレースでスポンサーを務めています。
ノースフェイスおすすめのシリーズ「Ultra Swift」
ノースフェイスが誇る軽量シューズであり、発汗量の多いトレランに必須の高い通気性を持つアッパーを採用しており、独自素材XTRAFOAM™をミッドソールに使用し、トレイルからの衝撃を吸収し、安定感のある走りを可能にしてくれる初心者向けの一足。
⑤ホカオネオネ(HOKA ONEONE)

ホカ オネオネは2009年にフランスで生まれたトレランブランドで、厚底シューズが最大の特徴であり、最近ではタウンシューズとしても流行し、その知名度を一気に上げました。
厚底のミッドソールはデザイン性のみならず、高いクッション性と軽い足運びを実現し、新興メーカーながら注目を集めています。
ホカオネオネおすすめのシリーズ「CHALLENGER ATR 5」
ロードとトレイルの両方で活躍でき、これまで何度もアップデートが重ねられ進化したモデルで、特徴は266gという軽さに反して、ガレ場(岩がゴロゴロした場所)など悪路でも安定するアウトソールと高いクッション性の厚底ミッドソールを持っている点です。
また、ホカのシューズはカラーバリエーションが豊富なところも良いです。
初心者向けトレランシューズの選び方のまとめ

初心者向けにトレランシューズ選びについてここまで解説しました。
私は正直シューズ選びに絶対的な正解はないと思っています。
トレランはスポーツであり、趣味です。
プロとしてレースに出ている方でなければ、多少足との相性にミスマッチがあっても自分の好きなブランド、好きな形のシューズがあれば、それを履いて走っている方も多いと思います。
シューズはトレランを楽しむためのギアであり、自然を遊ぶための手段です。
お気に入りのシューズを履いて、山へ行く。
是非多くのトレイルに足を運んでみてください。
