焚き火リフレクターとはその名の通り「焚き火」のための「リフレクター(反射板)」。キャンプの楽しみの1つでもある焚き火を、より効率よく楽しむために役立つアイテムです。
実はこの焚き火リフレクター、焚き火を囲うだけのシンプルな構造ですが、その効果はなかなか侮れません。今回はその効果のほどをサイズや色などで細かく徹底検証していくので、焚き火リフレクター選びの参考になればうれしいです。
「たかが反射板1枚で何が変わるの?」「本当に必要?」など、焚き火リフレクターを使ったことのない方はぜひ参考にしてくださいね。
焚き火リフレクターの効果は5つ
焚き火リフレクターには大きく分けて5つの効果があります。
- 風防として風を遮る
- 反射熱で暖が取れる
- 燃焼効率が良くなる
- 光も反射するので明るい
- 焚き火の管理がしやすい
それぞれの5つの効果を詳しく解説します。
風防として使う
焚き火リフレクターの主な使用目的の一つは風対策です。焚き火が風に煽られると、想像以上に火の粉が舞ったり、煙が広がってしまうことがあります。
そうなると、焚き火は火の粉によってテントに穴が開いたり煙が目に沁みたりなど、自分たちだけでなく周囲のキャンパーにも迷惑をかけてしまう可能性も高いです。安全に、お互い気持ちよくキャンプをするためにも、焚き火をする際には風対策としてリフレクターを使うのがおすすめです。
反射熱で暖が取れる
焚き火リフレクターの主な使用目的のもう一つは熱反射で暖が取れることです。「リフレクター」には「反射する」という意味があり、焚き火リフレクターで囲うことで、外側からの風の吹き込みはシャットアウトしつつ、内側は焚き火の熱を逃さず暖まることができます。
焚き火リフレクター有り無しの効果の違いをサーモグラフィーカメラで撮影した様子です。焚き火リフレクター有り無しでは、熱反射の恩恵や効果の違いが色の分布であらわれてます。特に、寒さが厳しくなるキャンプでは熱反射の恩恵は大きく、暖かく過ごすことができますよ。
実際にどれぐらいの効果が得られるのか?は、後でサイズや色の違いで検証してますので、そちらを参考にして下さいね。
燃焼効率が良いのでお湯が早く沸く
焚き火リフレクターで周囲を囲うことで、焚き火台の周りに熱がこもるので、お湯を沸かすスピードが早くなります。熱が逃げないので燃焼効率が上がり、少ない薪で高火力を得ることができるので、調理もしやすくなりますよ。
効率よく暖が取れることで、薪の節約にもつながりますね。
光も反射するので明るい
焚き火から発せられる炎の明るさを、リフレクターで反射させることで内側に集中させることができます。少量の炎であっても非常に明るいので、調理中には焼け具合の確認もしやすくなりますよ。
焚き火の管理がしやすい
焚き火リフレクターで囲まれた焚き火台の周わりの温度は高温になるので、薪の温度を素早く上昇させ燃焼しやすくなる効果も得られます。
また、焚き火リフレクターで囲まれた場所に煙突効果に似た現象が起き、上昇気流も生まれるので、薪の継ぎ足し時にも火が弱まってない限り、火吹き棒で空気を送り込まなくても燃焼してくれるので、初心者の方でも焚き火の管理が簡単に行えますよ。
焚き火リフレクターは金属?布?違いは?
「反射板」と聞くと金属の板を思い浮かべますが、焚き火リフレクターには金属製以外に布製のものも多いです。それぞれの素材の違いやメリット、デメリットを見てみましょう。
金属製のメリット・デメリット
金属製の焚き火リフレクターは安価で購入でき、サビにくく耐久性も高いステンレス製や、軽量で携行性の高いアルミ製が主流です。金属製なので汚れなどが付いても簡単に拭き取ったり、洗うこともできますし、設置も広げるだけと簡単です。
熱反射も十分で寒い日の焚き火でも暖まることもでき、熱をこもらせてくれるので燃焼効率も良く、焚き火の管理や調理もしやすいメリットがあります。
デメリットとしては、金属製の焚き火リフレクターは風によって倒れやすいので、風がある日は対策が必要です。風対策は後で記述してますので、そちらを参考にして下さいね。
また、使用後すぐは高温になっているため、誤って触れてしまうと大やけどを負ってしまうので特にお子さま連れのキャンプでは注意してくださいね。
布製のメリット・デメリット
布製には火の粉で穴が開きにくいコットン製や、難燃加工が施されている化学繊維のものがあり、使われている生地の種類にもよりますが、金属製よりもお値段が張る傾向があります。
設営時は張り綱を張ったり、ペグで固定する必要がありますが、金属製に比べると風にも強く、布製ならではのカラーリングやかっこよさも魅力で、TC素材のテントやタープに合わすことで、無骨で男前なサイトやおしゃれなサイト作りにも一役買ってくれますよ。
難燃素材で扱いやすい素材ではありますが、焚き火の火の粉で穴が開いてしまう可能性が高いので、あまり近づけて設置することはできず、金属製に比べて布製は焚き火リフレクターとしての熱の効果や恩恵は少ないので、風よけや目隠しとしての利用がおすすめです。
焚き火リフレクターはサイズによって反射熱の効果は違う?【40cm/50cm/60cm】
焚き火リフレクターはサイズによって、反射熱の効果は違うのか?YOLER焚き火リフレクター40/50/60cmを使用しての温度変化をサーモグラフィーカメラを使用して、体感できる温度の違いを検証してみました。
※座る位置は焚き火台から50cmで固定してます。
※11月中旬の気温約15℃の時に検証したので、天候によっては多少の誤差があります。
地べたスタイル
YOLERの40cm焚き火リフレクターでは、胸のあたりで56.4℃の数値でした。地べたスタイルでは顔のあたりまで熱反射の恩恵があり、サーモグラフィーでも赤くなっています。一番コンパクトなサイズですが十分な効果が得られました。
YOLERの50cm焚き火リフレクターでは、胸のあたりで70.2℃を計測し、サーモグラフィーでは胸やおなかが一番高温の白になっています。気温にもよりますが、座っていると汗をかくほどの熱量と温度でした。
60cmのYOLER焚き火リフレクターは80℃を超える温度になり、サーモグラフィーでは体全体が赤や白くなっています。この熱量と温度では長時間座るのは難しく、距離を取って座る必要がありました。
ローチェアスタイル
ローチェアに座った焚き火リフレクター無しの状態では、下半身にのみ温度が上昇してます。
YOLERの40cm焚き火リフレクターでは、おなかのあたりで50.2℃を計測し、胸までの暖かさはありますが、肩より上が少し肌寒く、サーモグラフィーでも黄色や緑が目立ちます。
YOLERの50cm焚き火リフレクターでは、おなかのあたりで55.4℃を計測し、サーモグラフィーでも首辺りまで温度が上昇して赤くなっています。Yamaicoスタッフの身長は165cmなので、身長が高い方は60cmの方が安心です。
YOLERの60cm焚き火リフレクターでは、おなかのあたりで64.5℃を計測し、顔のあたりまでしっかりと熱で暖められています。
サイズを比較してみて
地べたスタイルでのキャンプが多い方は40cmの焚き火リフレクター。ローチェアに座ってのキャンプが多い方は50か60cmの焚き火リフレクターを選ぶと反射熱の恩恵を得られますよ。
焚き火リフレクターは黒と銀色で効果は違う?反射熱の効果を検証
黒色の焚き火リフレクターは見た目がかっこ良く、使用されてる方も多いですが、銀色と黒色では反射熱の違いで、温度の差があるのか?検証してみました。
焚き火リフレクター本体
焚き火リフレクターは色の違いで、光沢のある銀色は反射率が高く、赤外線を反射する性質がありますが、黒色は反射率が低く、赤外線を吸収して周りに放射する違いがあります。
焚き火リフレクターの内側では、反射率の高い銀色の方が熱をこもらせています。
焚き火リフレクターの背面では、熱の吸収率の高い黒色が全体的に熱を放射しているので、熱効率で考えると銀色の方が優秀になります。
地べたスタイル
地べたスタイルでの温度の違いです。
温度は3℃程しか違いはありませんが、黒より銀色の方が胸のあたりも全体的に温度が高いので、反射熱の効果がみられます。
ローチェアスタイル
ローチェアに座った時の温度の違いです。
黒色より銀色の方が温度が高く、顔のあたりまで赤色になっているので、距離が離れても反射熱の恩恵は得られます。
黒と銀色を比較してみて
黒色焚き火リフレクターの熱反射は銀色より低いですが、暖かさの恩恵もあり、体感できる温度の差はそこまでないので、焚き火リフレクターとしての効果は十分にありますよ。
焚き火リフレクターは設置場所で効果は変わる?
焚き火リフレクターの設置場所での効果の違いを検証してみました。
焚き火リフレクターを焚き火台の近くに設置するほうが体との距離も近くなり、より高温になっています。
焚き火台の近くに設置すると、より多くの効果が得られますが、ススが付きやすく汚れやすいので、注意が必要です。
焚き火リフレクターの効果の違いの検証動画
おすすめの焚き火リフレクター
今回使用した焚き火リフレクターを含め、アマゾンでも高評価な焚き火リフレクターを厳選しました。
YOLER 焚き火リフレクター
高さ | 40/50/60cm |
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幅 | 120cm |
重量 | 1.45/1.7/2kg |
素材 | 亜鉛メッキ鋼板 |
幅が120cmで高さが40/50/60cmから選ぶことができる焚き火リフレクター。
TokyoCamp 焚き火リフレクター
高さ | 40cm |
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幅 | 144cm |
重量 | 1.7kg |
素材 | スチール × 特殊塗装 |
地面との接地面に隙間があるので、空気の通りを良くして燃焼効率をアップさせた黒色の焚き火リフレクター。
キャンプグリーブ 焚き火リフレクター
高さ | 30/40/50/60/70cm |
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幅 | 120cm |
重量 | 1/1.2/1.6/2/2.3kg |
素材 | 亜鉛メッキ鋼板 |
付属のOリングを通してペグダウンでき、上部端にも小さな穴があり付属のリングを通すことでガイロープで固定できるので、より倒れにくい仕様の焚き火リフレクターです。
NOCNEX 焚き火リフレクター
高さ | 40/50/60cm |
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幅 | 118cm |
重量 | 1.35/1.65/1.95kg |
素材 | 亜鉛メッキ鋼板 |
幅が118cmで高さが40/50/60cmから選ぶことができる焚き火リフレクター。Oリングが付属しており、ペグで固定すれば倒れにくくなります。
MRG 焚き火リフレクター
高さ | 60cm |
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幅 | 120cm |
重量 | 2kg |
素材 | 亜鉛メッキ鋼板 |
120×60cmの大きなサイズの焚き火リフレクター。Oリングで何枚でも連結可能で風対策にも役立ちます。
焚き火リフレクターが倒れる?改善方法は?
軽量なアルミ製焚き火リフレクターは持ち運びには便利ですが、風が吹くと倒れてしまいます。重量があるステンレス製の焚き火リフレクターでも、風を防ぐ役割もあり風を受けやすい形状です。設置が簡単な反面、固定しないので高さがあると特に倒れやすくなってしまいます。
焚き火リフレクターによってはOリングや簡易的なステンレス棒で風対策されてるアイテムもありますが、簡易的なので強めの風が吹くと少々不安です。そこで、実際に使える強めの風でも安心な風対策を紹介します。
ペグで固定する
焚き火リフレクターの外側と内側に数か所ペグ打ちをして、ペグの間にリフレクターを挟むように設置すると強い風が吹いても倒れにくくなりますよ。また、DIYで焚き火リフレクターに穴を開け、100均の取り外しができるカードリングを取り付けて、ペグで固定するとより強固になるので、気になる方は試してみて下さいね。
焚き火陣幕と併せて使用
焚き火リフレクターだけでなく、陣幕と併せて使うと風対策ができます。焚き火陣幕は張り綱やペグで固定するので、風には強く、焚き火台側に焚き火リフレクターを設置することで、見た目はかっこよく熱反射も優秀な焚き火リフレクターになるので、余裕がある方はぜひ試してみて下さいね。
焚き火リフレクターを100均で自作
100均アイテムを使用して簡易的な焚き火リフレクターを自作することも可能ですよ。
200円アイテムになりますが、ガスコンロ用のアルミパネルを広げて、倒れないようにペグで固定するだけ。
風に弱い点や直接火が触れると溶ける可能性があり、焚き火台とは距離を取る必要があるので、焚き火リフレクターほどの恩恵は得られませんが、簡単に自作することもできますよ。
100均のリフレクター(風よけ)は使える?
100均にはアルミリフレクター(風よけ)も販売されてます。
高さが24cmと低く、火が直接当たると変形する可能性があるので、焚き火リフレクターとしての利用よりも、ガスバーナーの風よけとして使うほうが良さそうです。
100均のリフレクターには、保護フィルムが剥がしにくいデメリットもあるので、注意しましょう。
まとめ
風防としての役割の他に、焚き火の火を効率的に活用することができる焚き火リフレクターは、焚き火ライフをより一層充実したものにしてくれます。
リフレクターというとベテランキャンパーが使うアイテムな気がしてしまいますが、リフレクターを使うことで火が安定し、焚き火を安全に楽しむこともできるので「初めて焚き火をするけど火が上手く扱えるか心配…」という方にもぜひ使っていただきたいアイテムです。