スウェーデン製のアルミ飯ごうメスティンに、シーズニングが必要な理由をご存知ですか?
シーズニングには主に米のとぎ汁を使う方法がありますが、米のとぎ汁以外にも使えるものがいくつかあります。今回は、メスティンにシーズニングが必要な理由と、米のとぎ汁以外にも使えるものをご紹介します。
シーズニングとは?簡単に説明
ダッチオーブンやスキレットなど鉄製の調理道具を使われている方にとっては、なじみのある言葉ではないかと思います。
シーズニングとは、砂糖やしょう油のような調味料の意味の他に「慣らすこと」という意味があります。
ダッチオーブンやスキレットなど鉄製の調理道具を使う場合、油に慣らす作業を行うかと思います。これは、使用前に油に慣らすことで、焦げにくくするためです。また、鉄は錆びやすい性質があるため、錆びにも強い調理道具にするため必要な作業です。
では、鉄製ではなくアルミ製の飯ごうであるメスティンにシーズニングは必要な理由はなんでしょうか?
メスティンにシーズニングが必要な3つの理由とは?
アルミの特徴は、「軽い」「軟らかい」「高温に弱い」「熱を通しやすい」といったものがあげられます。鉄製とは全く違う金属ですが、アルミ製のメスティンにもシーズニングが必要な理由が3つあります。それぞれ見ていきましょう。
シーズニングが必要な理由①アルミ独特の金属臭を消すため
アルミには独特の金属臭があります。アルミの特徴として、空気中の酸素と結びつき表面に酸化被膜という薄い膜を張る性質があります。この被膜が焦げ付きや変色、金属臭などを抑えているのですが、とても薄い膜なので簡単に剥がれてしまいます。
シーズニングすることによって、再び酸化被膜をつくることができ、それにより金属臭が薄まるといわれています。アルミの臭いが気にならないという方もいるようですが、かなり金属臭を感じるという人の方が多く、メスティンをシーズニングする一番の理由ともいわれています。
シーズニングが必要な理由②アルミの変色を防ぐため
アルミは変色しやすい性質を持っています。酸化被膜が変色を抑えているのですが、理由1で説明したように、もともとある薄い酸化被膜は剥がれやすいです。被膜が剥がれ落ちたあと、アルミは水分中のミネラル成分と化学反応を繰り返し、黒く変色してしまいます。
メスティンは飯ごうの役割以外にも様々な料理が作れる優秀なクッカーでもあるので、キレイなまま長く使っていたいという方が多いです。シーズニングをすることで、被膜を作る事ができ、変色防止にもつながります。
シーズニングが必要な理由③メスティンはアルマイト処理されていないため
アルミは、軽くて加工もしやすい性質から様々な製品に活用されていますが、軟らかいため傷がつきやすく腐食しやすいという欠点があります。
アルマイト処理とは、もともとある酸化被膜では薄すぎるため製品化しにくい難点を補うために開発された技術のことです。人工的に酸化被膜を厚く丈夫に強化し、傷・変色・腐食がおこりにくい状態に加工します。
アルミ製品に「アルマイト加工済み」などの記載があるものは、このアルマイト処理がされている製品です。アルマイト加工は残念ながらスウェーデン製のメスティンには施工されていません。
そのため、工場で加工されるアルマイト処理ほど効果はありませんが、傷や腐食から守るため自分でシーズニングを行います。
メスティンにシーズニングのやり方
メスティンのシーズニングに使えるもので一番おすすめされている方法が「米のとぎ汁で煮る」方法です。
米のとぎ汁に含まれている成分が、アルマイト加工に似た被膜を作ってくれるという理由の他に「とぎ汁につけて15分ほど煮るだけ」という最も手軽で時間もかからない簡単な方法だからです。
シーズニングは毎回必要?蓋はどうする?
シーズニングは、一度被膜をつければ大丈夫といわれていますが、毎回する必要はありませんが、焦がした場合や使用回数が多い場合などは、定期的に行う方がメスティンを長持ちさせることができます。
また、蓋も本体と一緒に入れて煮ることで同様の効果が得られますので、一緒にやっておきましょう。
米のとぎ汁以外でシーズニングに使えるものや時間も紹介
では、米のとぎ汁以外に他にシーズニングに使えるものはあるのでしょうか?
また、どれぐらいの時間煮ればいいのでしょうか?
メスティンのシーズニングに使えるものや時間をまとめてみました。
野菜のくずでシーズニング
米のとぎ汁の次におすすめされている方法が野菜くずを使って煮る方法です。野菜くずを煮るとタンニンという成分が出て、そのタンニンが被膜を作るといわれています。米のとぎ汁にさらに野菜くずを入れて煮る人もいるようですが、野菜くずだけでも大丈夫なようです。
野菜のくずの他にリンゴの皮や柿にも多くのタンニンが含まれています。用意できるようであれば、これらの果物の皮も一緒に煮ても良いかと思います。
・メスティン本体とフタがつかるくらいの鍋と野菜くずを用意する。
・鍋に野菜くずとメスティンがつかるくらいの水を入れ、火にかけ沸騰させる。
・鍋の中にメスティン本体とフタを入れ10分以上煮る。
・取り出して水洗いし、乾燥させて終了。
※野菜くずは何でもよいですが、玉ねぎやセロリなど香りの強いものを使うとようようです。
鉄製のスキレットやダッチオーブンのシーズニング方法にも、くず野菜を炒めて油膜を作るという方法があります。
牛乳でシーズニング
牛乳で煮る方法は、主に金属臭を緩和させる効果があるといわれています。牛乳の成分が被膜を作るらしいです。牛乳でのシーズニング方法も基本的に米のとぎ汁や野菜くずを使った方法と同じです。ただ、シーズニングに使った牛乳は通常廃棄しなければならないため、できるだけ少ない量で行う方法をおすすめします。
・メスティン本体に直接牛乳を注ぎますが、沸騰させると吹きこぼれてしまうため容器の半分くらい注いで弱火にかけ様子を見ながら煮る。
・吹きこぼれそうになったら火を止めて牛乳を少し捨て、再び火にかけ10分程煮る。
・牛乳を捨て水洗いし乾燥させて終了。
※牛乳がこびりついている場合は、柔らかいスポンジで軽くこすり洗いして落としてください。
紅茶や緑茶などに含まれるタンニンでシーズニング
野菜くずで煮る方法でも出てきましたが、タンニンはポリフェノールの一種です。また、紅茶やお茶の渋味成分でもあるカテキンはタンニンの一種です。
タンニンの成分が被膜を作るといわれているため、紅茶や緑茶などでも代用できるのではないかという理由です。メスティンのシーズニング方法としてはメジャーな方法ではありませんが、鉄製品の錆び止めのための酸化被膜を作る方法として紹介されているので参考までにご紹介します。
・濃い目に煮出した紅茶や緑茶をメスティン本体容量分ほど用意する。
・用意した紅茶または緑茶をメスティンに注ぎ10分~15分ほど煮る。
・紅茶または緑茶を捨て、水で洗い流し自然乾燥させて終了。
メスティンのシーズニングにコーラは使える?
イワタニプリムスさんに確認したところ、残念ながら「わからない」との返答をいただきまいた。
シーズニング後は洗剤で洗う?洗わない?
シーズニングの際の注意点ですが、煮沸が終わって洗い流す時は洗剤など使わないようにしましょう。洗いすぎるとせっかくの被膜が落ちてしまうので、軽く水で流し水気をふき取ったあと、自然乾燥させるのがポイントです。
重曹はNG
また、金属臭の消臭に有効的といわれている「重曹で煮る」という方法ですが、アルミ製に重曹を使うと黒ずみの原因にもなりかねませんので覚えておきましょう。
まとめ
今回はアルミ製のメスティンにシーズニングが必要な3つの理由と、米のとぎ汁以外にシーズニングに使えるものをご紹介しました。
米のとぎ汁と野菜くずでのシーズニング方法は試している方も多い方法ですが、その他のものを使った方法での効果の感じ方には個人差があるようです。金属臭に関しては「色々なものを調理しているうちに薄まってきた」なんていう情報もありました。
メスティンにシーズニングが絶対に必要という事ではありませんが、優秀なクッカーですので気持ちよく使うためにも、やっておいた方が良さそうです。自分に合った方法を試してみてください!