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槍ヶ岳の登山ルートガイド|西鎌尾根コースを徹底解説!所要時間やアクセスもご紹介!

北アルプス南部に位置する槍ヶ岳。孤高感のある鋭くとがった岩峰は遠く離れた山々からも見つけることが容易で、登山者がいつか行きたいと憧れる山。

槍ヶ岳への登山コースは、山頂から東西南北に延びる尾根ルートや王道の槍沢ルートのほか様々ですが、どれも歩行距離が長く挑み甲斐があります。

今回は、登山者が比較的少なめで、林道歩きからの稜線歩きがドラマティックな西鎌尾根コースをご紹介します。

槍ヶ岳ってどんな山?

まずは槍ヶ岳の概要をご紹介しましょう。

標高3,180メートル。日本第5位の標高で、彫りが深い北アルプスの山々の中でも天を突くような山容が印象的。
頂上部は険しい岩場で、登頂するには南壁にあるほぼ垂直のハシゴを登ります。山頂は狭く、30人ほどでいっぱいに。祠も立っています。

360°の大展望は素晴らしく、北アルプスはもちろん、遠くは富士山まで見渡せます。

槍ヶ岳の西鎌尾根コースの特徴

今回ご紹介するのは、登山口の新穂高温泉を出発して小池新道を旅し、西鎌尾根から槍ヶ岳山頂に挑み、飛騨沢ルートで新穂高温泉に戻る西鎌尾根コース。

平坦な林道からはじまる小池新道は、岩を積み重ねた道が長く続きますが良く整備されて歩きやすい道。槍の穂先が映る鏡池や槍ヶ岳を眺めながらの稜線歩き、高山植物のお花畑などの見どころもいっぱいあります。

双六小屋前では雄大な鷲羽岳にも圧倒されます。双六小屋からは気持ちの良い稜線歩きや細い道や高度感のある岩場もありますが、槍ヶ岳を眺めながら、そして徐々に近づいていくワクワク感を感じられコースです。

西鎌尾根コースの登山口までのアクセス

登山口の新穂高温泉駅まではバスかマイカーでアクセスします。

バスの場合

新穂高温泉バスターミナルまで、松本駅からは、濃飛バスまたはアルピコ交通バスで約2時間2880円。
富山駅からは、濃飛バスで約2時間2,060円。

マイカーの場合

●東海北陸道・飛騨清見JCT経由-中部縦貫道高山ICからR41・R158・R471で約70分
●長野道・松本ICからR158・安房トンネル経由-R471で約80分
●富山方面からR41-神岡経由-R471で約100分

駐車場情報

新穂高温泉駐車場は第1ロープウェイに近く、500円~

しらかば平駅に近い鍋平高原駐車場は、600円(登山者用駐車場は300円)。

ほか、登山口まで徒歩15分かかりますが登山者用無料駐車場もあります。

槍ヶ岳の西鎌尾根コースの日程と所要時間

2泊3日で挑む西鎌尾根コースをご紹介します。

1日目:新穂高温泉~わさび平小屋~鏡平山荘~双六小屋  所要時間 約7時間
2日目:双六小屋~千丈乗越~槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳山頂(往復)  所要時間 約5時間
3日目:槍ヶ岳山荘~槍平小屋~白出沢出合~新穂高温泉  所要時間 約6時間半

槍ヶ岳の西鎌尾根コースを解説

新穂高温泉~わさび平小屋 所要時間1時間10分

新穂高センターで登山届を提出し、出発です。ゲートを越えるとまずは林道歩き。平坦で単調な道のりですが、この間にしっかりウォーミングアップと森林浴を楽しみましょう。

わさび平小屋名物のそうめんや巨木の水槽で冷やした野菜などが人気です。

わさび平小屋~鏡平山荘 所要時間3時間30分

コンクリートの林道が終わり、いよいよ小池新道に突入。積み重なった岩々を歩く道ですが、順路や浮石などのマーキングもわかりやすく、よく整備されているので問題はありません。

沢を渡ったり樹林帯が抜けたりを繰り返しながら徐々に高度を上げていきます。
とにかく延々と長いので、秩父沢やシシウドヶ原などの休憩ポイント以外でも無理せず小休憩を。

木道が出現し、しばらくすると鏡平に到着。
天候が良ければ、鏡池の湖面に槍ヶ岳の穂先が映る逆さ槍や穂高が拝めます。
鏡平山荘ではぜひ名物のかき氷を。疲れが吹き飛びます。

POINT

>鏡池は小池新道の中でも1・2位を争う撮影スポット。夕映えで赤く染まる槍・穂高岩稜が鏡池に移る様子も、いつかは見たいところ。

鏡平山荘~双六小屋 所要時間2時間20分

鏡平山荘からは槍ヶ岳を西側から眺めながら歩き、弓折分岐まで登っていきます。

笠ヶ岳方面と双六岳への分岐点となる弓折分岐から先は稜線とアップダウンを繰り返し横に移動していきます。

双六小屋が近づいてくると、奥には鷲羽岳の雄姿も見えてきます。

POINT

お花たちが稜線歩きを楽しませてくれますが、小池新道の登りの後なので疲れが溜まっていきます。
また、木道に入って双六小屋が見えてからもかなり距離があります。修行のように長い道のりですが、双六小屋でゆっくり休むことを目指してがんばりましょう。
双六小屋の夕食の名物料理は野菜天ぷら。絶品です!

双六小屋~千丈乗越 所要時間3時間

双六小屋を出発し、西鎌尾根の起点となる丸いなだらかな山容が特徴の樅沢岳へ。

その後しばらくアップダウンの少ない稜線を歩き、少しずつ近づいていく槍ヶ岳の様子を眺めながら徐々に岩稜帯へと入っていきます。

鎖が設置された箇所の通過がありますが、どれも難なく越えて行けます。岩稜帯を抜けると飛騨沢へ下る千丈乗越分岐へ到着です。

千丈乗越~槍ヶ岳山荘 所要時間1時間

千丈乗越からはいよいよ険しく、一気に傾斜が増します。
先ほどまで見えていた槍の穂先が隠れて目の前の岩しか見えない状況がしばらく続いた後、槍ヶ岳の鞍部に位置する槍ヶ岳山荘へ到着します。

POINT

岩がせり出た登山道を登っていきます。鎖が設置されるなど歩きやすいとは言え、疲れが溜まっている中での急勾配。行く先が見えない辛い箇所ですが、緊張感を持って充分に注意して登りましょう。

槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳山頂(往復) 所要時間1時間

頂上部は全体が急斜面の岩場。三点支持を意識して全身を使ってよじ登り、最後は山頂に架けられた垂直のハシゴを登ります。

登りルートと下りルートは別のため、すれ違いの心配はありません。深呼吸をしながら一歩ずつ確認して足を置いていきましょう。高度を感じやすい下りは、必要以上に下界を見ずにゆっくり足を下ろしていきます。

POINT

頂上部直下にある槍ヶ岳山荘。ここまでヘルメットを着用していなかった場合もぜひここからはヘルメットを。山荘で借りることもできます。

また、登山シーズンや晴れのご来光には登頂までに大渋滞の場合もあります。また、山頂も狭いので、心と時間に余裕を持って挑みましょう。

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槍ヶ岳山荘~槍平小屋 所要時間2時間40分

振り返るたびに小さくなっていく槍ヶ岳に見送られながら、一気に下りていきます。途中からは樹林帯に入り、ただひたすら歩いた先に槍平小屋が見えてきます。

長い下りで膝など足への負担が大きくなります。まだこの先も長いので、槍平小屋ではしっかり休憩を取りましょう。

槍平小屋~白出沢出合 所要時間2時間

木道を抜け、ゴロゴロ石が転がる沢を横切りながら降りていきます。浮石に足を取られないように慎重に。

白出沢を渡ると、水場に石のテーブルやベンチが。そして、行きも帰りもこのルートを使う登山者の自転車が置いてある場合もあります。

白出沢出合~新穂高温泉 所要時間1時間40分

白出沢出合を出発すると林道へ。疲れた足には平坦な林道もまた辛いところ。穂高平小屋の広場で休憩をしたりしながら、ようやく新穂高温泉へ到着です。

まとめ

槍ヶ岳の西鎌尾根コースはいかがでしたか?

平坦な林道からはじまり、沢・ガレ場・樹林帯の長いトレイルも、槍を眺めながらの絶景の稜線トレイルも楽しめる、アルプスらしいドラマティックなコースです。

今回ご紹介した情報を参考に、あなたも今年は槍ヶ岳にチャレンジしてみませんか?

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