キャンプや登山時に活躍することが多いポケトーチ、スライドガストーチ。アウトドアのシーンでは効率的な火起こしというのはとても重要な要素です。
しかし、一般的なライターやチャッカマンでは強風時などに着火が上手くいかないというデメリットを引き起こすことも少なくありません。
このような悩みを抱えている方におすすめしたいのが冒頭でもお伝えしたポケトーチとスライドガストーチです。今回はキャンプ、登山を楽しむ方からの支持率も高いポケトーチとスライドガストーチの基本情報や主な違いなどを徹底解説します。
ポケトーチとは?
ポケトーチは、「炎のブランド」ともいわれているSOTO(新富士バーナー)が開発した着火器具であり、一言で説明すると使い捨てのライターを燃料として用いて、高火力を生み出すアウトドアグッズです。
ポケトーチが開発されたのは1990年代であり、「ポケットに入るトーチ」という意味から「ポケトーチ」という名称が付けられています。
トーチと聞くと「たいまつ」をイメージするキャンパーの方もいると思いますが、ポケトーチの場合は「バーナー」という意味を持っています。
ポケトーチは使い捨てライターがトーチに!
使い捨てライターは、手軽に火を起こせる道具としてアウトドアのシーンでも使われる傾向にあります。しかし人によっては、火の着き方や温度に不満を感じることもあるため、場合によってはチャッカマンなどの小型トーチ類を使う人も多いです。
ポケトーチはこの安価な使い捨てライターに対する不満やデメリット部分を解消してくれるツールとして一部のキャンパーから絶大な支持を集めています。
ちなみにこのポケトーチは、一般的な使い捨てライターの炎温度が約400℃に対し、1300℃の非常に強力な高温を生み出すことも可能です。
スライドガストーチとは?
スライドガストーチは、ポケトーチと同じくSOTOが開発、製造を行っている着火器具のひとつです。スライドガストーチの主な特徴としては「火口の伸縮が可能」「強力な火力を生み出せる」「ガスの充填が可能」ということです。
まずスライドガストーチは火口が約6㎝~7.5㎝ほど伸びるため、ランタンなどへの燃料器具への点火も安心、安全に行うことができます。またスライドガストーチもポケトーチと同じく、炎温度を最高1300℃にまで上げることができます。
スライドガストーチはCB缶でガスを充てんできる!
スライドガストーチはCB缶を使って燃料を充填することができるため、繰り返し使用できるという魅力があります。ガス残量も本体裏の燃料ゲージで確認することができますので、充填のタイミングも逃すことがありません。
OD缶でも充填できるがフィルアダプターが必要!

出典:amazon
またスライドガストーチの燃料充填は基本的にCB缶を用いますが、専用のフィルアダプター(別売)をセットすればOD缶でも充填が可能になります。
CB缶やOD缶といったガス缶は、キャンプなどのアウトドアシーンでは頻繁に使用されていますので併用できるのは大きなメリットといえるでしょう。
ポケトーチとスライドガストーチの使い方の違いを比較!

ポケトーチとスライドガストーチの基本的な使い方の違いを解説します。
ポケトーチの基本的な使い方

ここではポケトーチの一般的な使い方、手順を解説します。
<ポケトーチの基本的な使い方・手順>
(1) ホルダーからヘッドを抜き取る

(2) メーカー指定の使い捨てライターをホルダーの中に入れる

(3) (1)で抜き取ったヘッドをホルダーに差し込む

(4) 着火ボタンを押す(「カチッ」という音がするまで)

(5) 着火ボタンを離すと消化

ご覧のようにポケトーチは使い捨てライターをホルダーにセットするだけで使用できますが、まれに上手く着火できないという方がいます。このような場合は、以下の点を確認するようにしましょう。
① ホルダーにセットしたライターの押手側がホルダーの切り込み側にきているか
② 装着したヘッドは、着火ボタン側がホルダーの切り込み側にきているか
上記以外に着火ボタンを押してもつかないときは、ゆっくりとボタンを押すなどの対策法があります。
ちなみにポケトーチの連続使用時間は、一般的に1分以内とされています。1分以上の連続使用は火傷や本体の変形、破損などにもつながりますので注意しておきましょう。

なおポケトーチは、低温時および高温時はライターのガス圧の関係でも着火しない場合があります。このようなケースではライターの火長を調節するか、直接手で温めるようにしてください。
スライドガストーチの基本的な使い方

スライドガストーチの一般的な使い方、手順は以下のようになります。
<スライドガストーチの基本的な使い方・手順>
(1) セーフティロックを解除する


(2) 点火ボタンを押す(「カチッ」という音がするまで)

(3) 点火ボタンを離すと消化

(4) 火が弱い時は、ガス調節のつまみで炎の大きさ、強さを調節する

(5) セーフティロックをロックする

スライドガストーチもポケトーチと同様、素早く着火ボタンを押すと点火しないことがありますので、この場合はゆっくりと同じ作業を繰り返すようにしてください。またスライドガストーチのガス充填方法は以下のとおりです。
<スライドガストーチのガス充填の方法・手順>
(1) セーフティロックがしっかりとロックされているかを確認する

(2) スライドガストーチの火口を下向きにする

(3) ボンベノズルを注入口に垂直に強く差し込む

(4) ガス充填後はガス漏れが起きていないか確認する

なおカセットボンベは5℃を下回るとほとんど気化しにくくなるという特性があるため、外気温が低い場所ではライター用ガスが有効とされています(※メーカーも推奨)。
ポケトーチとスライドガストーチの低温下での対処法

ポケトーチとスライドガストーチは低温下では、両方とも火力が弱くなります。その場合キャンプや登山の服装では、胸ポケットが付いているアウターがありますので、その中に入れておくと、使う時には出しやすく、低温下でも安定した火力が出せます。
ポケトーチとスライドガストーチの違いを比較!【使い方以外】
ここからはキャンプや登山を愛する方たちが比べることも多いポケトーチとスライドガストーチの違いをさまざまな角度からチェックしていきましょう。
燃料の違い

ポケトーチとスライドガストーチは「強い炎を生み出せる」という意味では同じですが、基本的な使い方は異なります。前述のようにポケトーチは安価な使い捨てライターを燃料にしているのに対し、スライドガストーチはCB缶を燃料源としています。
使い捨てライターは、100均のライターなどでは適合しないものもあり、火が付かないものもあります。型番を確認してから購入しましょう。
CB缶は、安価なガスボンベを使用すると不具合の原因となる可能性もありますので、メーカー指定のCB缶を使用することをおすすめします。
着火のしやすさや使いやすさの違い


使いやすさの面でポケトーチとスライドガストーチを比較すると、着火準備まではポケトーチに軍配が上がるでしょう。その理由は先ほども解説したように、ポケトーチは使い捨てライターをホルダーの中にセットするだけで着火準備を整えることができるからです。
スライドガストーチはガス残量が少ない場合はガスの充填作業を行う必要があるため、ポケトーチと比べると着火準備までにひと手間要します。
着火のしやすさという点から見るとスライドガストーチは火口が伸びますので、燃料器具への点火時はやけどなどのリスクを低下させることができますし、着火しやすいです。これは伸縮機能が付いていないポケトーチでは感じることができないメリットです。
種類の違い
現在SOTOから販売されているポケトーチ、およびスライドガストーチの種類は以下のようになっています。
ポケトーチ | スライドガストーチ |
・ポケトーチ(スケルトンブラック) PT-14SBCR ・ポケトーチ(スケルトン) PT-14SKCR ・ポケトーチ(スケルトンタイプ) |
・スライドガストーチ ST-480 ・スライドガストーチ(イエロー) RZ-520YL ・スライドガストーチ(ブラック) RZ-520BK ・スライドガストーチ KB-411 |
現時点ではポケトーチ3種類、スライドガストーチは4種類の製品が開発、販売されています。種類の数には大きな差はありませんので、この点は過度に気にする必要はないといえるでしょう。
ただしポケトーチとスライドガストーチには革素材を使った専用のケースもありますが、こちらはスライドガストーチのほうが種類(カラー)豊富です。
価格の違い
ポケトーチとスライドガストーチの価格についてですが、こちらは低価格を求めるのであればポケトーチがおすすめです。
ポケトーチは1,000円台の価格から販売されているのに対し、スライドガストーチは2,000円を超えるのが一般的です。よって本体の購入費用を抑えたいという方はポケトーチが適しているといえるでしょう。
またポケトーチはSOTOの公式サイトで購入すると専用ケースもセットで付いてきますので、よりお得感が増します。ただしポケトーチ、スライドガストーチは本体価格以外にもライターやCB缶の費用がかかることを忘れないでください。
特にスライドガストーチの燃料充填をOD缶で行いたいという方は、フィルアダプターの費用もかかりますので注意が必要です。なおフィルアダプターは1,000円台から購入することができます。


ポケトーチとスライドガストーチ違いの比較のまとめ

今回はキャンプや登山時の効率的な火起こしをサポートするポケトーチ、スライドガストーチに関するお役立ち情報を解説しました。ポケトーチもスライドガストーチも高い炎温度を生み出し、スムーズな着火をサポートする器具です。
しかしポケトーチは使い捨てライター、スライドガストーチはCB缶(またはOD缶)を燃料源とするなど複数の異なる点があります。
よってこれからポケトーチやスライドガストーチを購入するという方は、それぞれの特徴や違いをしっかりと把握しておくとよいでしょう。ポケトーチ、スライドガストーチに関する疑問を抱える方はぜひ参考にしてください。