キャンプなどで行う焚き火に必要となるのが薪です。火の付け方を知っておくことも重要ですが、焚き火に適した薪の種類を知っておくことも大切です。
今回は薪の種類と見分け方、そして種類ごとの特徴をご紹介します。焚き火を行う上で覚えておきたいポイントなので、ぜひ参考にしてください。
薪の種類
焚き火に使用する薪の種類は、大きく広葉樹と針葉樹の2種類に分けられます。薪の種類によってメリットやデメリットが異なるため、目的に合ったものを選ぶことが重要です。
薪の種類で火の付きやすさや火持ちが変わる!
特に火の付きやすさや火持ちは薪の種類によって大きく変わるため、それらを理解せずに使用してしまうと、着火に時間がかかってしまったり、火持ちが悪くすぐに火が消えてしまうということにつながります。薪の種類ごとの特徴をしっかりと把握し、快適に焚き火を行える薪を選びましょう。
薪の種類の見分け方
広葉樹と針葉樹はそれぞれ見た目の特徴が異なるため、特徴を抑えておくことで簡単に見分けることができます。目的に適した薪を選ぶためにも、それぞれの見分け方のポイントをご紹介します。
広葉樹の見分け方
広葉樹は、その名の通り葉が丸い形をしています。また、枝分かれが多く枝が横へ広がっている点も特徴的です。
合わせて、木に含まれている空気の密度量が多いことも広葉樹の大きな特徴です。そのため、薪は重くて硬くなるため、薪割りの際には苦労する場合が多いです。
樹皮に関しても、空気の密度量が多いため硬くなっており、サラサラとした触り心地の良いものや、ゴツゴツと縦に割れているものなど様々ですが、どちらの樹皮も素手で剥がすことは難しいです。
針葉樹の見分け方
針葉樹の葉は、細長くトゲトゲしており、触れると痛いのが特徴です。枝分かれが少ない幹がまっすぐ伸びており、クリスマスに使うモミの木がイメージしやすいかと思います。
また、広葉樹と異なり、木に含まれている空気の密度量が少ないため、薪は柔らかく、斧やナイフなどを用いれば比較的簡単に割ることができます。
合わせて、樹皮も柔らかいものが多いため、手で引っ張ることで簡単に剥がすことができるのが特徴です。見分ける際には、実際に樹皮を触ってみると分かりやすいでしょう。
年輪の違いでも見分けれる
針葉樹は成長が早く広葉樹はゆっくり育ちます。そのため、横に割ったときの年輪の濃さや密度によってある程度の見分けが付きます。
・針葉樹・・・年輪が濃く、密度が高い
・広葉樹・・・年輪が薄く、密度が薄い
つまりは年輪の濃さがくっきりしているのが針葉樹で、薄いのが広葉樹と思ってみると見分けがつきやすいと思います。
広葉樹の密度と特徴
広葉樹の薪は、密度が高く油分が少ないです。そのため、火持ちが良く、温度管理がしやすいという特徴があります。長時間着火させておく焚き火の薪として使用されることが多い、代表的な広葉樹をご紹介していきます。
樫(カシ)密度約0.80g/㎤
樫は火持ちや火力に優れていることから、「薪の王様」と呼ばれている広葉樹です。着火はしにくいですが、一度火がつけば長時間使えるため薪の消費を抑えることができます。
また、成長と乾燥に時間がかかることから、流通が少なく最高級の薪として扱われています。煙が少ないなどのメリットも多いですが、高級家具の材料として使われるほど硬いため、薪割りは非常に難しいです。
椚(クヌギ)密度約0.80g/㎤
樫同様に最高級の薪として位置付けられているのが、くぬぎの薪です。火持ちが非常に良く、煙やススが少ない点がメリットです。
ほのかに良い香りがする点や、樫に比べて着火性が良い点なども特徴的で、その扱いやすさから多くのキャンパーに親しまれています。
楢(ナラ)密度約0.65g/㎤
ならの薪は樫やくぬぎと異なり、流通量が多く手に入れやすいです。どんぐりの木のことを指し、オークとも呼ばれています。火持ち・火力ともに優れており、その扱いやすさとバランスの良さから薪としての人気は高いです。
燃やした際に鳴る「パチッ」という独特の音が心地良いことに加え、ほのかに香る点や、煙が少ない点などから、快適に焚き火を楽しむことができます。
欅(ケヤキ)密度約0.70g/㎤
ケヤキも火持ちと火力に優れています。広葉樹の中では着火性にも優れており、スムーズに火を付けることができます。美しい青みがかった炎が上がることが特徴的です。
他の広葉樹同様に非常に硬く、木の繊維も複雑なため薪割りは大変です。使用するのであれば、事前に割ってあるものを購入すると良いでしょう。
針葉樹の密度と特徴
一方で、針葉樹の薪は、密度が低く油分が多いです。そのため、スムーズに火を付けることができ、一気に燃え上がるという特徴があります。
焚き付けの際の薪として使用されることが多い、代表的な針葉樹をご紹介していきます。
杉(スギ)密度約0.40g/㎤
針葉樹の代表である杉は、日本で最も大量に植林されています。そのため、安価で手に入れやすいです。また、軽く割りやすいという特徴から、初心者でも扱いやすいためおすすめです。
着火性にも優れており、簡単に火起こしができるため焚き付けに最適と言えます。ただし、火持ちが悪い点と、ススが残りやすい点には注意が必要です。
檜(ヒノキ)密度約0.40g/㎤
高級木材であるひのきも、針葉樹として有名です。着火が早いことに加え、燃焼後に出る灰が少ない点も特徴です。そのため、簡単に焚き付けを行うことができ、後片付けも簡単です。
また、針葉樹の中では比較的火持ちが良い点も嬉しいポイントです。ひのき風呂として使用されるように、独特の香りを楽しむことができるメリットもあります。
松(マツ)密度約0.50g/㎤
松の薪は、油分が多いため火力と着火性に優れています。火持ちも針葉樹の中では良い方で、燃焼時間はひのきを上回ります。
ただし火力が強い反面、火力の調整が難しい点や、煙やススが非常に多く出る点には注意する必要があります。そのような特徴から、一気に焚き付けることはできますが、初心者にはやや扱いづらいです。
薪の割り方でも火持ちが変わる
焚き火は、薪を大きく割ることで火持ちを長くすることができます。これは、大きく割ることで空気と触れる表面積が小さくなり、酸素と結びつきにくくなって一気に燃え上がることを防ぐことができるためです。
そのため、火持ちが悪い針葉樹の薪しか手に入らなかった場合でも、大きく割ることで火持ちの悪さをカバーすることができます。
同様に、火持ちの良い広葉樹の薪であっても、小さく割ってしまうと本来の火持ちの良さを生かしきれないため注意しましょう。
焚き火におすすめの火持ちがいい薪は?
結論として、焚き火に使用する薪は広葉樹のものがおすすめです。火持ちが良く、温度管理もしやすいため、長時間の焚き火に向いています。
中でも、樫とくぬぎは高級品であり価格が高いですが、その価格に見合った燃焼性と使い勝手が魅力です。また、煙やススが出にくく、快適に焚き火を行うことができるという点もメリットと言えます。
広葉樹の薪は密度が高いことから着火性には優れていません。そのデメリットを補うため、焚き付けの際には、空気と触れやすくするために小さく割った薪を使用したり、フェザースティックを作るこで着火性の悪さは補えます。
乾燥した薪を使う
また薪の基本的な考え方として、できるだけ乾燥している薪を選ぶのがベストです。水分を吸っている薪は着火がしづらいのはもちろん、火持ちも悪いため避けましょう。
野外に野ざらしになっているものや触れてみて湿っているもの、伐採したばかりの生木などは乾燥に十分な時間をかけていないため、極力使用してはいけません。
ホームセンターなどで同じ薪を選ぶ時は、同じ分量で売っているならば、どちらが重いかを確かめてみるのが良いでしょう。
市販の薪では長すぎる?
ホームセンターやネットで購入した薪は、手持ちの焚き火台やウッドストーブに入らない薪の長さや太さもあるので、斧やノコギリの使用も検討に入れておいた方が、焚き火をストレスなく楽しめます。
薪の種類と見分け方のまとめ
今回は、焚き火の火持ちを良くするための、薪の種類と見分け方をご紹介しました。薪には様々な種類がありますが、特に有名なものをピックアップしています。