バトニングができると、ブッシュクラフトや焚き火がより楽しくなります。上手にバトニングをするためには正しいやり方を知っておくことも重要ですが、バトニングに適したナイフを使用することも大事。
今回はバトニングに適したナイフの選び方をご紹介するとともに、バトニングのやり方やおすすめのナイフをご紹介します。これからキャンプを始める初心者の方も、バトニング用のナイフを探している方もぜひ参考にしてください。
バトニングとは
バトニングとは、ナイフで薪を割る技術の一つです。立てて置いた薪の上にナイフを乗せ、ナイフの背をバトン(木の棒など)でたたき、少しずつ薪に刃を食い込ませていきます。そうすると徐々に薪が割れていき、最終的にはまっぷたつに割れます。
キャンプで薪が欲しいとき、斧があれば簡単に薪割りをすることができるのですが、「斧まで持ち歩くのはちょっと……。」という方もいることでしょう。
そんなときにナイフでバトニングができると、細い薪であれば簡単に手に入るようになります。焚き火が好きなキャンパーなら、覚えておくべきスキルです。
バトニングに適したナイフの選び方
バトニングをするときはナイフを木の棒などでたたくので、その衝撃に耐えられる頑丈なナイフである必要があります。
バトニングに適したナイフの選び方として、特に重要なポイントをご紹介します。
バトニングに適したナイフ①シースナイフであること
ナイフの構造を大きく分けると、「フォールディングナイフ」と「シースナイフ」の2つに分類されます。フォールディングナイフはブレードを折りたたんで本体に収納できるタイプ。シースナイフはブレードを折りたたむことができず、シース(さや)に収納するタイプです。
バトニングに使用するナイフは、折りたたまないシースナイフを選択しましょう。理由はフォールディングナイフより耐久性において遥かに優れているためです。フォールディングナイフをバトニングに使用すると壊れてしまう可能性があるうえに、怪我のもとにもなります。
バトニングに適したナイフ②ブレードの厚さは3mm以上あること
ブレードの厚さも重要です。ブレードが薄いと折れたり曲がってしまう可能性が高くなります。それにブレードが薄いと、薪を左右に押し広げる力が働かないので、いつまでたっても割れません。
ブレードの厚さの参考として、オピネルのナイフは2mm程度で、モーラナイフで人気のコンパニオンは2.5mmとなっています。コンパニオンでバトニングをする人はたくさんいますが、安心してバトニングをするためには、もう少しブレードが厚いモデルを使用すべきです。
バトニングに適したナイフ③ブレードの長さは10cm程度はあること
バトニングをするためには、ブレードにある程度の長さが必要になります。その理由は、バトニングをするときには、薪からとび出たブレードの先端部分を棒で叩くためです。
たとえば、直径5cmの薪を割るのにブレードの長さも5cmしかなければ、ブレードが薪に食い込んでから叩く場所がなくなってしまいます。このときにブレードの長さが10cmあると、薪から最大で5cmブレードがとび出ることになるので、そのとび出た部分を棒でたたくことができるというわけです。
実際にバトニングをやったことがあったり、動画を見たことがある方ならイメージしやすいかと思います。見たことがない方であっても、難しく考えずに「バトニングにはブレードの長さが10cmくらいは必要」とだけ覚えておけば大丈夫です。
フルタング構造のナイフがバトニングに適したナイフ!
フルタング構造とは、ブレードがついた1枚の金属板を、ハンドル(持ち手)のパーツでサンドイッチのようにはさんでいる構造のことをいいます。そのため、ほとんどのフルタング構造のナイフは、ハンドルの部分も金属板が露出しています。
そしてこのフルタング構造のナイフが、たくさんある種類の中でもっとも耐久性に優れた構造となっています。そのためバトニングに使用するナイフは、フルタング構造のものを選ぶのがベストであるといえるのです。
モーラナイフでバトニングに適したナイフは?
モーラナイフはたくさんのキャンパーが使用している人気のナイフ。しかし「バトニングに適したナイフの選び方」ですでにご紹介した、4つの項目すべてを満たしているのはただ一つ。
そのナイフの名は「ガーバーグ」。モーラナイフの最高峰モデルであり、もっともタフなナイフです。ガーバーグはキャンプ初心者からベテランの方まで、バトニングに適したナイフとして自信を持っておすすめできます。
ガーバーグのほかにモーラナイフの中でバトニングに適しているナイフは、「コンパニオンヘビーデューティー」など、ブレードの厚さが3.2mmとなっているナイフです。これらはフルタング構造ではないものの、世の中に数多く存在するナイフの中では十分に頑丈な方のナイフと言えます。
ナイフで薪割り!バトニングのやり方
バトニングのやり方を、順を追って解説します。初めてバトニングに挑戦しようとしている方は、こちらを参考にしてください。
固くて平らな場所に薪を置く
まずは薪を安定した状態で置ける場所がなくてはなりません。やわらかい土の上でバトニングをすると、地面に力が吸収されてしまううえ、グラグラと不安定になるので危険です。切り株があったらそれを利用するのがベスト。ナイフのブレードが強くあたっても、刃こぼれする心配がありません。
しかし、バトニングに適した場所が毎回すぐ近くにあるとも限りません。そんな時に役に立つのが、持ち運びができる薪割り台です。
この薪割り台のように、持ち手がついているものがとくに便利でおすすめ。コンパクトなので邪魔になることもありません。
薪の上にナイフのブレードを立てて棒でたたく
薪を置いたら、薪のてっぺんにブレードが当たるようにナイフを当てます。このとき、ブレードの根元付近に薪が当たるようにしましょう。理由は、薪にナイフが食い込んだ状態でブレードの先端が薪から出ていないとバトニングできないからです。
薪にナイフを当てたら、反対側の手で木の棒を持ち、垂直に振り下ろしてナイフのブレードをたたきます。するとブレードが薪に埋まっていきます。必要以上に強くたたくとナイフが破損するので、最初は優しくたたき、力加減を覚えましょう。
薪からとび出ているブレードを何度もたたいて割っていく
ブレードが薪に食い込んだら、薪からとび出ているブレードを何度もたたきます。するとだんだんと薪が裂けてゆき、そのうちまっぷたつに割れます。
あとはここまでの手順を繰り返して、たくさん薪を作っていきます。一度経験するとすぐに感覚がつかめるので、まずは試しにやってみましょう。
あと一つバトニングで大切なのが、手袋の着用です。刃物を扱うので当然怪我のリスクがありますし、バトニングの最中にささくれた薪に手が当たると、とても痛い思いをすることになります。
バトニングにはキャンプグローブがあると便利
使用する手袋は、革製のキャンプグローブがおすすめです。薪やナイフをしっかり握ることができますし、キャンプにおいてはバトニング以外にも使用する機会がとても多いです。ダッチオーブンや薪ストーブなど、熱くなるものを使っている方はとくに必要なアイテムです。
バトニングに適したおすすめナイフ8選!
それではここから、バトニングに適したナイフをご紹介していきます。リーズナブルなナイフから高級なナイフまで、幅広い種類のものから厳選しています。
ビクトリノックス(VICTORINOX) アウトドアマスターL
<商品スペック>
- 全長:22cm
- ブレード長さ:10cm
- 刃厚:4mm
- 重量:220g
- ブレード:ステンレス
- ハンドル:マイカルタ
力強さを感じさせながらも、上品な雰囲気を放っている美しいナイフです。ビクトリノックスはツールナイフのメーカーとして有名で、サバイバルツールのノウハウや、高いデザインセンスを持っているのが特徴です。
厚みがあって幅広なブレードは、耐久性十分。ハードな仕様にも耐えてくれます。ハンドルに使用されているマイカルタは、色の異なる素材を何層にも重ねて成形した高級品。しま模様が非常に美しく、色気にあふれています。
シースにはファイヤースターターが備わっており、ナイフの背で火花を起こせばライターなどがなくても火起こしができます。何よりもデザインが美しいナイフですが、性能に関しても文句のない仕上がりです。
BarkRiver(バークリバー)プーッコ 3V ブラックキャンバスマイカルタ
<商品スペック>
- 全長:22.3cm
- ブレード長さ:11cm
- 刃厚:3.15mm
- 重量:120g
- ブレード:CPM-3V
- ハンドル:ブラックキャンバスマイカルタ
フィンランドの伝統的なナイフ、プッコ(プーッコ)の形状に似せて作られたナイフです。無駄のないシンプルなデザインでありながら、親しみやすい雰囲気を持っています。
このナイフの凄いところは、CPM-3Vという素材でブレードが作られていることです。この素材は、アウトドア用のナイフの中でも多くの人が憧れている、バークリバーのナイフと同じものです。耐摩耗性や耐食性に優れ、鋭い切れ味を持っています。
ハンドルは丸みを帯びた形状と、ほどよい弾力を持つサントプレーン樹脂の採用により、とても手になじみやすく操作性はバツグン。そしてこのハンドルの中にはブレードからつづく金属板がぎっしりと詰まっています。フルタングと同レベルの耐久性を持っているナイフです。
Helle Didi Galgalu(ヘレ ディディガルガル)
<商品スペック>
- ブレード長さ:12.9cm
- 刃厚:3.0mm
- 重量:193g
- ブレード:ステンレススチール
- ハンドル:バルカンファイバー
芸人ヒロシさんが愛用してるナイフ、Helleディディガルガル。人気の商品なので、常に品薄状態です。
ソロキャンプでバトニングからフェザースティックや料理まで、幅広く使える一本です。
リアルスチール(Real Steel) ブッシュクラフト プラス コンベックスグラインド
<商品スペック>
- 全長:24cm
- ブレード長さ:11cm
- 刃厚:4.3mm
- 重量:195g
- ブレード:14C28N鋼
- ハンドル:G10
初心者でも買いやすいリーズナブルな価格でありながら、高級なナイフに劣らない品質を誇るナイフです。このナイフを製造しているリアルスチールは、2013年にできた新しいナイフメーカー。コストパフォーマンスに優れるナイフをたくさん作っている、イチオシのメーカーです。
こちらのナイフは一見するとシンプルなデザインですが、そのシンプルさの中にセンスが光り、品の良さすら感じられます。リアルスチールは、もともとほかのナイフメーカーでデザインを行なっていた人が立ち上げたメーカー。そのためデザインに対するこだわりは相当なものでしょう。
ブレードはコンベックスグラインドと呼ばれるカーブを描いた形状に研がれており、耐久性が高められています。コンベックスグラインドは値段が高いナイフで採用されていることが多く、このナイフのように1万円ほどで手に入るものはそうそうありません。安くて良いナイフが欲しい方におすすめです。
モーラ・ナイフ(Morakniv) コンパニオン ヘビーデューティー
<商品スペック>
- 全長:22.4cm
- ブレード長さ:10.4cm
- 刃厚:3.2mm
- 重量:104g
- ブレード:12C27 ステンレス
- ハンドル:ラバー
モーラナイフのベストセラー、コンパニオンのヘビーデューティーモデルです。通常のコンパニオンのブレードが厚さ2.5mmのところ、こちらヘビーデューティーは3.2mmとよりタフなつくりとなっています。
フルタング構造ではありませんが、それ以外の点においてはかなり優秀なので、バトニングに適したナイフとしておすすめできます。そのかわり、太い薪を無理に割ろうとすると根本から折れてしまう可能性があるので、扱いには少々注意が必要です。
今回ご紹介するナイフの中でもとくに安く買うことができるナイフなので、これからキャンプ用品をそろえていく初心者の方はこのコンパニオンヘビーデューティーから始めるのもいいでしょう。
モーラ・ナイフ(Morakniv) ガーバーグ マルチマウント
<商品スペック>
- 全長:22.9cm
- ブレード長さ:10.9cm
- 刃厚:3.2mm
- 重量:170g
- ブレード:14C28N ステンレス
- ハンドル:ポリアミド
記事の前半でもご紹介したモーラナイフの最高峰、ガーバーグです。モーラナイフ唯一のフルタング構造であるガーバーグは、数あるナイフの中でもとくにおすすめ度が高い一品。どんなにハードな使い方をしても壊れない、非常に心強い存在です。
ガーバーグはモーラナイフの中でも特別な存在なので、ブレードに使用されている素材もまた特別なもの。定番のコンパニオンに使用されいている素材より刃もちがよく、鋭い切れ味が長続きします。
付属のマルチマウントシースも優れもので、ズボンのベルトやリュックのストラップなど様々な場所に装着することができるようになっています。総合的に弱点が見当たらないうえにお買い得なナイフなので、バトニングに使用するナイフに迷ったらガーバーグにしておけば間違いありません。
ファルクニーベン(Fallkniven) F1
<商品スペック>
- 全長:21cm
- ブレード長さ:9.7cm
- 刃厚:4.5mm
- 重量:150g
- ブレード:ラミネートVG10
- ハンドル:サーモラン
こちらのファルクニーベンF1は、スウェーデン空軍の装備として開発されたナイフです。アウトドアを楽しむためではなく、戦地で生き延びるためのナイフであるため、尋常ではない耐久性や信頼性のを持っています。
ブレードに使用されているラミネートVG10という素材は、3層構造とすることで性能が高められた高級ブレード材です。日本刀のような美しい波紋が特徴的です。
細かく溝が彫られたハンドルは、手に吸着するようなしっかりとしたグリップ感があり、バトニングをする際にも安定感があります。見た目は極めてシンプルなナイフですが、性能を第一に考える方にはかなりおすすめできるバトニングに適したナイフです。
バークリバー(BarkRiver) ブラボー1 A2 ブラックキャンパスマイカルタ ランプレス
<商品スペック>
- 全長:23cm
- ブレード長さ:10.7cm
- 刃厚:5.5mm
- 重量:209g
- ブレード: A2
- ハンドル:ブラックキャンバスマイカルタ
バトニングに適したナイフということで、やっぱりバークリバーははずせません。5.5mmものぶ厚いブレードと、もっとも耐久性が高いフルタング構造。これ以上バトニングに適したナイフはそうありません。
ブラックキャンバスマイカルタのハンドルは水に強く耐久性に優れ、そして落ち着きのある色合いがとても良い雰囲気を放っています。一つ一つ丁寧に作られた本革のシースも非常に上質な作りで、オイルで手入れをしながらエージングを楽しむことができます。
ナイフにこだわりを持つ多くのキャンパーにとって憧れの存在、バークリバー。ナイフ自体は素晴らしいのですが、そのぶん価格は高めです。気軽に買える値段ではありませんが、もし手に入れることができたら、きっと一生の付き合いになれるナイフです。
バトニングに適したナイフの選び方のまとめ
今回はバトニングに適したナイフの選び方などを解説するとともに、おすすめのナイフをご紹介しました。おなじみのナイフもいくつかありますが、最近発売された新しい製品もピックアップしています。
キャンプで楽しくバトニングをするためには、ちゃんとバトニングに適したナイフを選ぶ必要があります。ナイフ選びで迷っている方はぜひ参考にしてください。