キャンプの手斧は重さを活かして簡単に薪割りをすることができる道具です。多くの方がキャンプでは焚き火も楽しんでいると思いますが、どのように薪を確保しているでしょうか? そして薪の大きさや量に満足しているでしょうか?
キャンプ斧があれば、大量の薪をスピーディーに手にに入れることが可能で、大きな薪で豪快な焚き火ができるようになります。今回は手斧のおすすめを11個ご紹介するとともに、キャンプの手斧の正しい使い方や鉈(ナタ)との違いを解説します。
キャンプの手斧に興味がある方や、普段のキャンプでおこなっている焚き火をレベルアップしたい方はぜひご覧ください。
キャンプに手斧は本当に必要?

「薪割りに苦労したくない!」とか、「もっと大きな薪を使って焚火をしたい。」という方には、キャンプ斧が必要であるといえます。細い枝であればキャンプ場で拾えますし、ナイフでバトニングをして薪を作っている方もいることでしょう。
しかし細い枝はすぐに燃え尽きてしまいますし、寒い時期のキャンプで暖をとるのには火力が足りません。ナイフを使用したバトニングで薪割りをするのも楽しいのですが、太さが10cmを超える薪を割ることは難しくなります。
いっぽう手斧であれば、たとえナイフでは歯が立たない大きな薪でも、難なく割ることができます。太さが3cmくらいの薪であれば、ナイフでも大丈夫。それ以上に太い薪を割るためには、キャンプに手斧は必要です。

キャンプ用の手斧と鉈の違いは?

斧は「割るもの」、鉈は「切るもの」という使い方においての違いがあります。斧は鉈より重さがあって頑丈なうえ、ハマグリ刃と呼ばれるカーブを描いた刃の形状により、薪を左右に引き裂く力がはたらきます。それらのことから、斧の方が圧倒的に薪割りに向いていると言えます。
一方で鉈が斧に勝る点は、邪魔な草を刈るのに使えたり、斧よりも繊細な作業ができることです。キャンプ場によってはテントサイトの管理が行き届いておらず、雑草が伸び放題になっている場所もあります。そんなときに鉈があれば、邪魔な雑草を切ってしまって、快適に過ごせる場所を自分で作ることができます。
手斧に興味がある方のなかには、鉈にも興味を持っている方も多いことでしょう。どちらにするかは、想定している使い方で選ぶべきです。
太めの薪を割るのに使用したいのであれば手斧。細い薪を作ったり、雑草を刈り払ったりしたいのであれば鉈を選ぶといいでしょう。
キャンプで使いやすい手斧の選び方

手斧と一言でいっても、その種類はさまざまです。どのような手斧がキャンプで使いやすいのか悩んでしまいますね。
ここでは、キャンプで使いやすい手斧の選び方についてご紹介します。
持ち手の長さで選ぶ

キャンプの薪割りに適している手斧の長さは30~40cm前後といわれています。片手でも使いやすいサイズがおすすめですが、両手を使いたい方は少し長めのサイズを選ぶと良さそうです。
ただし、大きく振りかざさないと使えないくらい長いタイプは、薪割りに慣れた上級者向きなので気をつけましょう。
握りやすさで選ぶ

いくら切れ味が抜群な手斧でも、握る柄の部分が持ちにくければかなり使いにくいアイテムになってしまいますので、素材や形などもきちんと確認して、自分の手にあった手斧を選ぶようにしましょう。
写真はハスクバーナの手斧を持った女性の手の写真ですが、よほど安価な手斧でない限り一般的な手の大きさの方なら市販の手斧でもしっかりと握り込むことができます。
重さで選ぶ

キャンプの薪割りに適した斧の重さは500~1kg程度といわれています。
使う人や用途にもよりますし、あまり軽いと薪が割れずに使いにくいです。持ったときに、少し重いかなと感じるくらいの重さの方が、力も入りやすくスムーズに薪割りができます。
また、コンパクトサイズでも、刃の重さで見た目以上に重量がある手斧もありますので、サイズと重さの両方を確認するようにしましょう。
キャンプで薪割り!手斧の正しい使い方

手斧は小型で使いやすい斧ですが、正しく使わないと大変危険な道具です。適当に使って手や足をざっくり切ってしまった、なんてことになっては楽しいはずのキャンプも台無しです。ここからは、キャンプで薪割りをする際の手斧の正しい使い方についての解説です。
手斧の正しい使い方①薪を安定した場所に置く

キャンプで手斧を安全に使用するためには、斧を振りおろす前にちゃんと準備ができていることが重要です。薪の置き方ももちろん大事。
薪はやわらかい土の上ではなく、切り株の上などの固い場所に置きましょう。薪を安定した状態で置けますし、力が地面に逃げないので、薪があらぬ方向に飛んでいくという危険を防止することができます。
手斧の正しい使い方②グローブを着用してしっかり握る

グローブを着用する理由は
- キャンプ斧のすっぽ抜けを防止するため
- 力をしっかりと伝えるため
- 手のケガを防止するため
の3つです。
振り下ろしたキャンプ斧がすっぽ抜けてどこかに飛んでいくなんて、考えるだけでゾッとします。自分の手の保護と周りの人の安全のため、キャンプ斧を購入する際には革製のキャンプグローブも一緒に購入しましょう。キャンプグローブは安いものでも大丈夫です。

手斧の正しい使い方③薪割りの手順

腕の力だけで力任せに割らず、手斧の重さを利用して軽く振り下ろすようにするのがコツです。
一般的な使い方は、薪割り台に置いた薪に手斧を振り下ろし、刃が刺さったらそのまま、薪が割けるまで何度か薪割り台に叩きつけるようにして振り下ろします。
初心者や細めの薪を割る場合は、薪割り台に薪を寝かせた状態で置き、一般的な使い方と同じように手斧を振り下ろし、叩きつけるようにすると簡単で安全に薪割りができます。
手斧を勢いよく振りすぎたり、過剰に力を入れすぎたりすると空振りした際に、ケガをしてしまう危険性があります。
また、地面に打ち付けてしまうと刃こぼれを起こしてしまうので十分な注意が必要で、特にコンクリートの上では跳ね返りもあるので行わないようにしましょう。
手斧の正しい使い方④周囲に人がいないかを確認する
薪割りをスムーズに行っていても、木くずがどこに飛んでいくかわかりません。薪割りをする際には、安全性を考慮して周囲に人がいないか(特にお子さん)をよく確認し、人がいない場所で行うようにしましょう。
正しい準備、万全の装備、徹底した安全確認で使用できてこそ、手斧は安全で便利な道具になるのです。
キャンプの薪割りに最適なおすすめの手斧!

ここからは、キャンプの薪割りにおすすめの手斧をご紹介します。サイズや重さなどキャンプの薪割りで使いやすい手斧を厳選しましたので、手斧選びの参考にしてみてください。
Husqvarna(ハスクバーナ)手斧
全長 | 38cm |
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重さ | 1000g |
キャンプ用の斧として高い人気を誇り、もはや「良いキャンプ斧」として定番となっているのがハスクバーナのこちらの商品。キャンプ場でも見かけることが多い斧です。
林業で使用する道具やバイクのメーカーとして有名なハスクバーナの商品は、極めて実用的でありながらデザイン性に優れているのが特徴。このキャンプ斧も、刃とハンドルに刻印された独特なロゴが印象的です。
高い品質とデザイン性を持ちながら、価格は意外とリーズナブル。初めて買うキャンプ斧としても買いやすく、満足感が高いアイテムです。
Hultafors(ハルタホース)オールラウンド
全長 | 44cm |
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重さ | 1010g |
ハルタホースはスウェーデンでも特に有名な工具メーカー。そしてハルタホースの斧はスウェーデンの「フルツブルック」という斧工場で作られています。フルツブルックは1600年代から稼働し続けている、世界最古の斧工場です。
このフルツブルックで、純度が高くサビに強いスウェーデン鋼を、熟練の職人がひとつひとつ鍛えて作り上げています。
ハスクバーナの手斧とともにキャンプ斧として人気のハルタホースのオールラウンドは、「ちょっと値段が高くても本当に良い斧が欲しい!」という方にこそおすすめしたいキャンプの手斧です。
Gransfors Bruk(グレンスフォシュブルークス)アウトドアアックス
全長 | 37cm |
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重さ | 600g |
グレンスフォシュブルークスは、1902年から斧の生産をしているスウェーデンの老舗。キャンプ斧で人気のハスクバーナやハルタホースより格上として認識され、多くの人から憧れのまなざしが向けられる斧のメーカーです。
こちらの「アウトドアアックス」は全体の長さ・重さ・重心がアウトドアでの使用に最適化されたキャンプ斧で、数人の職人が伝統的な製法を守って作りあげています。斧の一つ一つに制作した人のイニシャルが刻印されているところからも、品質への自信が感じられます。
自社で生産する斧に対して、異常なほどのこだわりを持っているグレンスフォシュブルークス。値は張りますが、これを手にしたらもうほかの斧には興味がなくなるほどの逸品です。

Mora knife(モーラ・ナイフ)キャンピングアックス
全長 | 32.2cm |
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重さ | 510g(アックスのみの重量) |
キャンプ用のナイフとして定番の、モーラナイフが製作しているキャンプ斧です。ハンドルのカーブが絶妙で、パワーを乗せやすくなっています。
刃に使用している「ボロン鋼」は、なかなか目にすることのない特殊な素材です。熱処理にかかるコストを削減しつつも、十分な強度を持たせることができます。
ハンドルにはしっかりモーラナイフのロゴが刻まれているので、モーラナイフファンの方におすすめしたいアイテムです。
UNIFLAME(ユニフレーム)燕三条乃斧
全長 | 27cm |
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重さ | 450g |
堅牢で高品質なキャンプ用品を製作しているユニフレームの、ほかのものにはない便利な機能がついているキャンプ斧です。その便利な機能とは、ギザギザのスリットに細い薪をはさみ、てこの原理を利用して折ることができるというものです。
このキャンプ斧があれば長すぎる薪を簡単に短くすることが可能なので、ソロキャンプ向けの小さな焚き火台を使用している方は重宝するはずです。
滑りにくいラバー製のハンドルには、指の形に合わせてチェッカリングが施されています。これによりしっかりと握ることができ、すっぽ抜けることもないので安心して使えます。
Hultafors(ハルタホース) オーゲルファン ミニ ハチェット
全長 | 23.5cm |
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重さ | 775g |
ハルタホースの高級ライン、「オーゲルファン」シリーズの最小モデルです。300年以上も昔から変わらない製法で作り上げられています。
手によくなじむハンドルは、アマニ油を染み込ませることでしなやかさを増し、木目がさらに強調されて美しい仕上がり。重厚さを感じる刃には黒サビ加工を施すことで、金属の寿命を縮める赤サビの発生を防いでいます。
キャンプで使うのはもったいないと感じてしまうほどに完成されたデザインは、もはや芸術品と言って差し支えないレベルです。小さいので大きな薪を割るのには少々向きませんが、そのぶん携帯しやすいので活躍する場も多いことでしょう。
Gransfors Bruk(グレンスフォシュブルークス)ハンドハチェット
全長 | 24cm |
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重さ | 600g |
ハンドハチェットは小さいながらも存在感のある手斧で、焚き火の炊き付け作りや枝払いなどの作業も小さな動きで楽に行う事ができます。柄の表面はポリッシュ加工を行わず無骨な風合いがかっこいい手斧です。
Husqvarna(ハスクバーナ) ハチェット手斧
全長 | 34cm |
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重さ | 900g |
キャンプ斧で人気のハスクバーナが製作する、機能性に優れた現代風な見た目が特徴の斧です。全体の重量のうちののほとんどが刃の重さで、先端部分に重心が集中しているので小さい力で簡単に薪割りができます。
刃にテフロン加工が施されているのが、ほかのキャンプ斧にはない特徴です。これにより汚れの付着やサビを防ぐほか、摩擦が少ないので薪にくい込みやすくなっています。
見た目に関しては好き嫌いがありそうですが、性能や使い勝手の良さに関して言えば、昔ながらの斧に勝るとも劣らない優秀なアイテムです。
FIRESIDE(ファイヤーサイド)プランディ キャンプハチェット
全長 | 33cm(柄長) |
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重さ | 500g(斧頭) |
ファイヤーサイドは薪ストーブと、それに関連する商品を専門的に取り扱っているメーカーです。ファイヤーサイドの商品は、見た目が上品でオシャレなアイテムが多く、このキャンプ斧に関しても同じことが言えます。
このキャンプ斧は一見すると、これといって目立った特徴がないようにも見えます。しかしシンプルな中にも造形の美しさや絶妙な色づかいといった、センスのよさがうかがえる逸品です。
ハンドルの素材に使用されている「タモ」という木材は、適度なしなりと弾力を持っており、手に伝わる衝撃をやわらげてくれます。何年もの長い間、飽きることなく使い続けることができるキャンプ斧です。
FISKARS(フィスカース)ガーデンアックス X11
全長 | 50.8cm |
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重さ | 988g |
フィンランドのガーデン用品メーカーの手斧です。フィスカースにはさまざまな種類の手斧がありますが、キャンプ用の薪割りに適したサイズといわれているのがX11です。フィスカースの手斧では一番コンパクトなサイズですが、直径20cmくらいまでの薪なら簡単に割れるほど切れ味が抜群です。
千吉 グラスファイバー柄アッキス
全長 | 30cn |
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重さ | 830g |
千吉の手斧もコスパの良さで定評があります。小型なのでソロキャンプにもおすすめです。安価ですがしっかりした作りで強度は十分、使い始めは刃を研ぐ必要がありますが、重さも適度にあり薪割りがしやすい手斧です。アウトドア以外にも、庭の手入れや小枝落としなどにも使えて便利です。

キャンプで手斧を使う注意点
手斧はケースに入れて持ち運ばないと銃刀法違反に

手斧は刃体の長さが6cm以上になるので、銃刀法違反の対象となります。キャンプで使う正当な理由があるので、銃刀法違反にならないようむき出しではなく、専用ケースやカバーなどを利用し安全に収納しましょう。
キャンプで使用後の手斧のメンテナンス
キャンプで使用後はメンテナンスは忘れずにしておきましょう。特に手斧の刃と柄の部分の取り付けの確認は重要です。気がつかずに使用したことで、刃先が飛んでいってしまう可能性もあり周囲の人を危険にさらしてしまうことにもなりかねません。


手斧を持ってキャンプに出掛けよう!

今回はキャンプ斧と鉈のちがいや手斧の使い方、そしておすすめの手斧を11個ご紹介しました。キャンプ斧は無骨でカッコいいデザインのものが多いことを、わかっていただけたかと思います。
キャンプ斧があると簡単に薪割りができるというメリットが得られることはもちろん、キャンプ用品の中では存在感が大きいアイテムなので、所有感があります。
現在キャンプ場で頑張って小さな枝をひろっている方、ナイフでのバトニングのみで薪割りをしている方は、ぜひキャンプ斧を使用してみてください。間違いなく、よりハイレベルな焚き火ができるようになります。

