ナイフでのフェザースティック作りはキャンプを趣味としている方であれば習得しておきたいスキルのひとつです。焚き火をするときや薪ストーブに火を入れる際に、フェザースティックを使用することで着火の成功率をぐんと上げることができるからです。
ナイフで綺麗なフェザースティックを作るのには少々慣れが必要で、最初から上手くはいきません。突き詰めれば木材の種類、ナイフの形状、そして木を削るのに最適なナイフの角度など、フェザースティック作りは意外と奥が深いのです。
今回はフェザースティックを作りやすいおすすめのナイフ8本をご紹介するとともに、フェザースティックに適した木材の種類の選び方、フェザースティック作りのコツやどのようなナイフが適しているのかを解説します。コストパフォーマンスに優れたナイフからハイグレードなナイフまでご紹介しているのでお楽しみください。
フェザースティックとは?
フェザースティックとは細めの木材の表面をナイフで何度も薄く削り、フェザー(羽根)の名の通り毛羽立たせて作ったものを指します。そうすることでただの薪よりはるかに火がつきやすくなり、火起こしが成功しやすくなります。
キャンプで火を起こすとき、バーナーや市販の着火剤を使用すれば簡単に火をつけることはできます。ですがそれだと簡単すぎて味気ないと思う方も多いはずです。
火をつけるのに丁度良い太さの木の枝を探し、自慢のナイフでフェザースティックを作り、メタルマッチと火吹き棒を上手く使ってやっと火がついたときの喜びは、1度味わうとクセになってしまいます。慣れると簡単にできるようになるので、まだ経験のない方はぜひ挑戦してみてください。
フェザースティックの種類は実は2種類ある
フェザースティックの種類は2種類あります。一つはティンダーフェザー、もう一つはキンドリングフェザーです。
ティンダーフェザーとは?
ティンダーフェザーとは、薄く細く形成したフェザースティックのことです。空気を多く含むことができ、薄い羽根のようなものなので着火しやすいですが、火種の持続力がありません。
キンドリングフェザーとは?
キンドリングフェザーとは厚く長く形成したフェザースティックのことです。一つ一つがしっかりとした羽根なので着火しにくいですが、一度着火すると持続力があります。
ティンダーフェザーとキンドリングフェザーを交互に作るのがおすすめ!
一本の薪にティンダーフェザーとキンドリングフェザーを交互に作ることにより、着火しやすく持続力があるフェザースティックを作ることができます。
手前の着火する場所には、ティンダーフェザーを作るようにしましょう。
割り箸でフェザースティックを作るのは難しい?
初心者の方が最初にフェザースティック作りに挑戦しやすい割り箸ですが、割り箸でフェザースティックを作るのは実は難しいです。その理由として
・割り箸は細すぎてフェザースティックが作りづらい
・割り箸は短すぎて持ちづらい
この2点です。
割り箸よりフェザースティック作りやすい薪を使用するのが、上達への近道です。
フェザースティックの作り方①薪をフェザースティックを作りやすい大きさにバトニングしよう!
まずは、フェザースティックを作りやすい大きさの薪を作ります。ホームセンターなどで買った薪は、5cmなので大きすぎてフェザースティックが作れません。フェザースティックが作りやすい薪は2cm程度の大きさのなので、フェザースティックを作りやすい薪の大きさにバトニングして小割の薪を作ります。
バトニングでは薪割り台が必要!
バトニングする際は、薪割り台を準備します。
なければ、薪の中からなるべく太くて平らな角材に近い形の選び台にします。台になる薪を挟むように別の薪を置くことにより、台が安定しバトニングがしやすくなり、勢い余って地面にあたってナイフの刃が痛むことも防ぐことができます。
バトニングで小割の薪の作り方
バトニングは利き手が右手の場合、左手でナイフを持ち右手でバトニング棒で叩きます。
ナイフの根元を薪にあて、薪にあてたナイフの背の部分をバトニング棒で叩きます。
刃が薪に食い込んだら、刃先の部分を叩いていきます。叩いていくと自然に薪が割れていきます。
小割の薪の作り方のポイントは、慣れないうちはあまり力を入れすぎない事です。無理に力を入れてバトニングしなくても薪は割れますし、ケガの心配も少なくなります。
フェザースティックの作り方②
小割の2cm~3cmの薪でフェザースティックを作ります。
薪割り台の上で少し斜めに持ちナイフで削っていきます。
最初は長く厚めに面ではなく角を削ります。
厚めに削る理由は、力を入れすぎてフェザーごと切り落としてしまう事を防ぐことができます。
長めに削る理由は、徐々に削る距離が短くなるからです。
ナイフはあまり力を入れて押さえつけず、表面だけを削ります。
面が平らでない所を削ると、途中で切れることもありますが、無理して角度をつけて奥まで入れないようにすることで、綺麗なフェザースティックが作れます。途中で切れた削りかすも炊きつけで使えますので問題ないです。
小割の薪を回しながら面ではなく角を探して削ると薄いフェザースティックを作りやすいです。
フェザースティックの作り方のコツをまとめると
着火しやすく見た目も美しいフェザースティックを作るためのコツをご紹介します。以下の点を意識して練習しましょう。
- 直径2cmほどで長さ30cm程度のよく乾いた薪を使う
- 木の繊維と同じ方向に削る
- 年輪の幅が大きい方から小さい方へ削る
- 基本的に面ではなく角を意識して削る
- ナイフの刃の角度と力加減を一定に保つ
- 薄く長く毛羽立たせる
慣れるまでは少々難しく感じるかと思いますが、何度も練習して感覚をつかみましょう。フェザースティックに丁度良いサイズの薪がホームセンターなどで安く販売されていることもあるので、そちらを使用するのもおすすめです。
フェザーティックは薄く削るほど火がつきやすく、厚めに削るほど火持ちがよくなることも覚えておきましょう。試行錯誤を繰り返し、着火のしやすさと火持ちの良さのバランスが取れた自分流のフェザースティックを開発する楽しみ方もあります。
フェザースティックを作りやすい木材の種類とは?
フェザースティックを作りやすい木材の種類は、広葉樹しか手に入らない場合を除き、フェザースティックは針葉樹で作りましょう。理由は針葉樹の方が柔らかいため圧倒的にフェザースティックを作りやすく、そして火がつきやすいからです。逆に広葉樹は火がつきにくいですが針葉樹よりも長い時間燃え続けます。
広葉樹と針葉樹の使い分けも肝心
焚き火をするときは広葉樹と針葉樹を上手く使い分けるのが重要なポイントです。フェザースティックは針葉樹で作り、火が安定してきたら広葉樹の薪を足すようにしましょう。
薪の見分け方
広葉樹と針葉樹の見分け方は簡単で、葉か樹皮を見ればすぐにわかります。広葉樹の葉は薄く幅広で、針葉樹の葉は針のように細く尖っています。また樹皮に関しては、広葉樹がスベスベとしていて固いのに対し、広葉樹はボコボコとキメが荒く手で簡単に剥ぐことができます。
フェザースティックを作りやすいナイフとは?
フェザースティック作りの方法やコツを知っていても、使用するナイフがそれに適していなければなかなか上手に作ることはできません。何度練習しても上手くいかないという方は、実はナイフに原因がある可能性があります。
フェザースティックを作りやすいナイフの特徴は以下の通りです。
- 鋭い切れ味を持っていること
- ブレードに2mm以上の厚さがあること
- 太くて握りやすいグリップが付いていること
- バトニングしないのであれば折りたたみ式でもOK
フェザースティックを作るためには、切れ味がよく、しっかりと力を加えることができるナイフが必要です。これらの特徴を満たしているナイフでなければ、場合によっては危険を伴うのでちゃんと選ばなくてはなりません。
オピネルはフェザースティックが作りやすい?
オピネルはフェザースティック作りに使えますが、適したナイフとは言えません。切れ味は問題ありませんが、ブレードが薄くハンドルも細いので上手く力を加えることが難しいのです。
それでもオピネルにこだわりたい方は、サイズに注目しましょう。オピネルはサイズごとにナンバーが振られており、No.9もしくはNo.10あたりのサイズですとハンドルも大きめでフェザースティック作りのほか、料理などオールラウンドに使用できるのでおすすめできます。
モーラナイフはフェザースティックを作りやすい?
モーラナイフはフェザースティック作りに最適なナイフです。鋭い切れ味、厚みがあり頑丈なブレード、しっかり握ることができるグリップと、フェザースティックを作るのに求められる性能をすべて持っていると言っていいでしょう。
フェザースティックのみならず木材をナイフで割り薪を作るバトニングや、木をナイフで加工してスプーンやフォーク、イスなどを作るブッシュクラフトに最も適しているナイフのひとつとして、今現在も不動の地位を築いています。
フェザースティックにカッターナイフは使える?
カッターナイフはフェザースティック作りに使えません。カッターナイフがフェザースティック作りに向かない理由として、刃が薄過ぎること、力を加えにくいことなどが挙げられます。切れ味の鋭さはかなりのものですが、それ以上に大事な素質を持っていないということです。
絶対に使ってはいけないというわけではありませんが、非常にやりにくいのであえてカッターナイフを使用する理由はないでしょう。やりにくいということは怪我をするリスクにもつながります。
フェザースティック作りに限らずキャンプにおいてちゃんとしたナイフよりカッターナイフが役に立つ場面はないので、安全かつ快適にキャンプを楽しむためにもアウトドア用のナイフを準備しておきましょう。
フェザースティックが作りやすいおすすめナイフ8選!
フェザースティックを作りやすいおすすめを8つご紹介します。キャンプ初心者の方でも買いやすい低価格なものから少しマニアックなものまで、幅広いタイプの中から厳選しました。
ベレッタ (Beretta) ラブレス ハンター ドロップポイント
<商品スペック>
全長:21cm
ブレード長さ:9cm
刃厚:5mm
重量:120g
ブレード:AUS-8 ステンレス
ハンドル:ザイテル
ナイフに詳しい人でその名を知らない者はいないカスタムナイフの神様R.W.ラブレスと、イタリアの大手銃器メーカーであるベレッタが共同で設計・開発をしたナイフです。
ブレードとハンドルの長さのバランス、全体のシルエットが非常に美しく、まさにR.W.ラブレスが行き着いたナイフの究極の形と言っていいでしょう。
R.W.ラブレス本人が製作したナイフは50万円を超えるものも多いですが、このラブレス ハンターはコピー商品などではなく、ナイフの神様が設計を手がけた本物です。これが7,000円ほどで手に入るのですから、はっきり言って安過ぎます。
モーラ・ナイフ (Morakniv) コンパニオン ヘビーデューティー ステンレス
<商品スペック>
全長:22.4cm
ブレード長さ:10.4cm
刃厚:3.2mm
重量:104g
ブレード:12C27 ステンレス
ハンドル:ラバー
モーラナイフの新しい大定番、コンパニオン ヘビーデューティーのステンレスモデルです。これまで日本国内においてモーラナイフのベストセラーとなっていたコンパニオン ヘビーデューティーが、より錆に強いナイフとして登場しました。
今やキャンプ用のナイフとして誰もが知っているモーラナイフですが、実際に使ってみるとこれだけの人気を誇っている理由がわかります。誰もが1度は手に取ってみて欲しいおすすめの1本です。
リアルスチール (RealSteel) ブッシュクラフト ゼニス スカンジグラインド
<商品スペック>
全長:22.8cm
ブレード長さ:10.5cm
刃厚:4.3mm
重量:180g
ブレード:14C28N ステンレス
ハンドル:G10
エッジの効いたデザインにより、近未来的な雰囲気を持っているナイフです。1万円を切る価格ながら、出来の良さはもはや高級ナイフのレベルに達しています。
リアルスチールはブレードやハンドルに高級な素材を使用したナイフを製作し、そのどれもが高品質・高性能・低価格であるため人気が高まりつつあるメーカーです。
ナイフのデザイナーとして活動してきた人物が創業したこともあり、ハイセンスなナイフを多数ラインナップしています。これからますます人気が高まっていくことは間違いありません。
モーラ・ナイフ (Morakniv) ガーバーグ マルチマウント
<商品スペック>
全長:22.9cm
ブレード長さ:10.9cm
刃厚:3.2mm
重量:170g
ブレード:14C28N ステンレス
ハンドル:ポリアミド
モーラナイフ最強のガーバーグは、フェザースティック作りやブッシュクラフトに最適なナイフとして外すことができない存在です。モーラナイフで唯一のフルタング構造を採用していることにより、耐久性の高さにおいてはコンパニオン ヘビーデューティーをも遥かに上回ります。
このガーバーグに付属するマルチマウントシースは、ズボンのベルトやリュックのストラップなど、様々な場所に装着することができる機能的なシースです。レザーシースのモデルと迷うところですが、どちらもおすすめです。
ガーバーグについてはほかの記事でより詳しく解説しているので、ぜひそちらもご覧ください。
コールドスチール (COLDSTEEL) ナイフ ペンドルトン ライトハンター
<商品スペック>
全長:21.5cm
ブレード長さ:8.5cm
刃厚:3mm
重量:77g
ブレード:4116 ステンレス
ハンドル:ポリプロピレン
カスタムナイフメーカーであるロイド・ペンドルトンの名を冠したモデルで、彼が手がけてきたハンティングナイフの美しいシルエットがよく再現されています。ブレードにはオリジナルに刻印されているものと同じ「LP」のロゴが刻まれています。
この記事でご紹介しているナイフの中ではブレードが短めとなっていますが、フェザースティック作りにはもちろん、何においても扱いやすい丁度良いサイズです。
コールドスチールの製品なので切れ味の良さは折り紙付き。大きいナイフは必要ないという方に特におすすめしたいナイフです。
バークリバー(BarkRiver) ブラボー1 3V ブラックキャンバスマイカルタ ランプレス
<商品スペック>
全長:23.0cm
ブレード長さ:10.7cm
刃厚:5.5mm
重量:209g
ブレード:CPM-3V
ハンドル:ブラックキャンバスマイカルタ
切れ味・耐久性・デザインのすべてにおいて非の打ち所のない完成度を誇るナイフとして、憧れの存在であるバークリバー。その定番モデルがこのブラボー1です。
これを手に入れたらもう他のアウトドア用ナイフは必要ありません。それほど高い満足感をもたらしてくれるナイフです。
ブレードに使用されているCPM-3Vという素材は優れた耐摩耗性を持ち、錆にも強い素材です。ハンドルに使用されているブラックキャンバスマイカルタも模様が美しい高級品。そして上質な皮を1つ1つ丁寧に縫製したシースが付属する、まさにパーフェクトなナイフです。
オピネル (OPINEL) No.10 ステンレススチール
<商品スペック>
全長:ー
ブレード長さ:10cm
刃厚:ー
重量:75g
ブレード:ステンレス
ハンドル:ブナ
本来オピネルのナイフは特別フェザースティックに向いているナイフとは言えません。しかしその木のぬくもりを感じるデザインと均整のとれたフォルムに魅了され、キャンプにおいては常にオピネルとともに過ごしたいという方もいることでしょう。
そのような方におすすめしたいのがこのオピネル No.10です。オピネルの中では比較的大きめのモデルになりますが、ハンドルが大きい分握りやすく、フェザースティック作りも難なくこなすことができます。
ハードな使い方には向きませんが、キャンプにこれ1本持って行くことで様々なことに対応できる頼もしい存在になります。
モーラ・ナイフ (Morakniv) エルドリス
<商品スペック>
全長:14.3cm
ブレード長さ:5.9mm
刃厚:2.0mm
重量:80g
ブレード:12C27 ステンレス
ハンドル:TPEラバー
最後にご紹介したいのが、モーラナイフの中でも異色の存在であるエルドリスです。その唯一無二の独特なスタイルにより、小さいながらも存在感は絶大。見るのも使うのも楽しい新感覚のナイフです。
必要な時にサッと取り出してすぐ使えるように、ヒモを通して首からぶら下げておくことが可能な構造になっています。
小さくても実力はかなりのもので、厚みのあるブレード、握りやすいグリップを備えているのでフェザースティックを作る際には間違いなく役に立ってくれます。まさに小さな巨人とも言える極めて優秀なナイフです。
フェザースティックを作りやすいナイフでフェザースティック作りに挑戦!
フェザースティックを上手に作れるようになると、ライターなどに頼らずメタルマッチで簡単に火起こしができるようになります。記事の前半でご紹介したフェザースティック作りのコツを意識して、何度も練習しましょう。
そしてフェザースティック作りを楽しむためにはナイフにこだわることも重要です。焚き火をより一層楽しむために、ちゃんと選んだ愛着のあるナイフを使用しましょう。
フェザースティックの作り方から、フェザースティック作りの為におすすめしたいナイフの紹介までしていきます。
キャンプなどアウトドアで楽しみの1つである焚き火。着火剤を使って火を着けても良いのですが、フェザースティックを作って着火させるとよりアウトドアの雰囲気があり楽しめます。
自然にある物を使って過ごすことこそがアウトドアの醍醐味と言えます。フェザースティックを覚えて一段上のアウトドアを楽しみましょう。