今回は、アルコールストーブの魅力や使い方と、登山やキャンプにも使える、おすすめのアルコールストーブを厳選して、炊飯方法や簡単な自作アルコールストーブもご紹介します。
キャンプや登山の楽しみといえば、なんといっても”山ごはん”に”キャンプ飯”。そこに欠かせないギアが「ストーブ(バーナー)」です。
一般的にガスバーナーが利用されますが、ソロキャンプやウルトラライトハイキング、ファストパッキングが注目されている中、密かにファンが増えつつあるのが「アルコールストーブ」。とにかく軽量バーナーで、登山やキャンプでの持ち運びに便利で大活躍!
アルコールストーブとは
アルコールストーブとは、液体燃料であるアルコール(メタノール・エタノール)を使う携帯用のコンロです。小学生の時に、理科の実験でつかったことがある人もいるのではないでしょうか?
化石燃料を使わない、ガス缶など燃料を使い切ったあとのゴミが出ない、排出ガスも含まない、そんな環境面からもやさしいコンロなのです。
アルコールストーブの使い方はいたって簡単!
使い方はとてもシンプル。アルコールストーブの本体の中に液体燃料のアルコールを入れます。そして、マッチ、ライター、ファイヤースターターなので着火するだけ。
消化するときは、入れたアルコールが燃焼してなくなるまで使い切るか、付属品の蓋をかぶせて酸素の供給を止めることで消化します。
①アルコールストーブ本体に燃料用アルコールを入れる。
この時に入れすぎると、溢れた燃料に引火しますので、2/3程度でOK!
②ライターなどで着火
火をつける際、普通のライターでは、火傷をしますので、先が長いものがgood!
③蓋を閉めて消火
蓋を閉める際にも、火傷に注意。
また、残った燃料は冷めてから携帯ボトルに戻せば、後日使用可能です。
アルコールストーブの魅力や特徴
アルコールストーブの魅力ってどこにあるのでしょう?ここでは、アルコールストーブのもつ特徴をご紹介します。
アルコールストーブはとにかく軽量&コンパクト
びっくりするくらいに構造が単純で原始的な作りなので、とにかく軽いのが特徴です。基本のギアは、アルコールストーブ本体のみ。中には20g以下のものもあります。
付属品として、クッカーを置くための五徳、火の調節をしたり火を消すための蓋、風よけのための風防が加わりますが、それを加えても軽量なのがうれしいですね。本体は手のひらに収まるコンパクトサイズで、クッカーの中にすっぽり収納できるので、パッキングの軽量化に最適のギアなのです。
アルコールストーブは原理や仕組み、構造がシンプル
とにかくアルコールストーブの原理はシンプルで仕組みや構造も原始的なので、シングルバーナーのように火がつかないなど道具の故障による不具合が起こりにくい特徴があります。部品なども少なく頑丈でシンプルなので、よほどのことがない限り壊れるリスクが低いのです。
アルコールストーブの燃料は手軽に薬局などで購入できる
燃料であるアルコールは、薬局でも安価に販売されているので、どこでも手に入ります。燃費もよく、例えば、山頂で一人分のラーメンを作って、コーヒーを飲むのに必要なお湯、500mlを沸かすのに、アルコールは50mlほどで事足ります。
また、液体燃料なので、使用した分だけ気化してなくなりゴミも出ず、帰りはもっと軽量化できるのもいいところ。寒冷地でも、風防で風除けをしていれば、きちんとアルコールが気化してくれるので、火力が弱くなる心配もいりません。ガスバーナーの場合は、寒冷地用のガスが必要になりますので、その点でも手間いらずといえます。
燃焼音が静かで心地いい
ガスバーナーで着火するときには、ゴォーーー!という音がします。ですが、アルコールストーブの場合は、「あれ?火、着いてる?」と思うくらい音がしません。自然の中に溶け込むように心地よい、わずかな燃焼の音は、一度体感するとやめられません。
幻想的な炎を楽しめる
アルコールストーブの人気の秘密は、幻想的な炎にあります。青白くたなびく炎は、みているだけでも癒されます。非日常を味わうための、登山やキャンプのひとときに、炎をみながらのんびりしたり、談笑したり。そんな、何にも変えられない贅沢なひとときは、ガスバーナーにはない魅力があります。
アルコールストーブには五徳や風防が必要
アルコールストーブは本体の他に、使用時には五徳や風防、そして忘れてはいけない燃料があります。
アルコールストーブには、クッカーやケトルを置くための五徳が必要
五徳とは、お湯を沸かしたり調理をするときに、アルコールストーブの火の上にクッカーやケトルを乗せて固定させるためのギアです。
メーカーによっては、五徳付きのアルコールバーナーもありますが、トランギアなどの構造がシンプルなものは、付属品として販売しています。各メーカーから、さまざまなデザイン、形態の五徳が販売されているので、本体のバーナーと相性のいい五徳を選びたいですね。
アルコールストーブには、風から炎をまもるための風防が必要
アルコールストーブの炎は風に弱いのが弱点です。山頂などで風が強い時に途中で火が消えず調理ができなければ意味がありません。そこで必須となるのが、炎を風邪から守る、風よけ。これを風防(ふうぼう)といいます。
風防も各メーカーからいろんなデザインのものが販売されています。解体したり折りたたんでコンパクトになるものばかりなので、付属品といっても軽量でストレスになりません。
アルコールストーブの燃料の持ち運びには、ボトルが必要!
ドラッグストアやアウトドアショップで販売している燃料用アルコール。500mlで300~400円と安価なところが魅力です。ただ、液体のため、行動中にもれないためのアルコール専用の容器が必要です。
nalgene(ナルゲン)の60mlボトルや、デザインがクールなトランギアのフューエルボトル、飲み薬用の軽量カップ付きボトルなど、自分にあった容器を選ぶのも楽しいですよ。
アルコールストーブのおすすめを人気メーカーで厳選!
いろんなメーカーから様々なアルコールストーブが販売されて、どれを選べばいいか悩みますよね?そこで、使い勝手のいい人気の定番アルコールストーブを厳選してご紹介します。
trangia(トランギア)アルコールバーナー
アルコールストーブといえば、ここ!半世紀以上のロングセラー
- サイズ:直径7.5cm×4.5cm
- 素材:真鍮(しんちゅう)
- 質量:110g
トランギア社は、1925年に創業したスウェーデンで老舗メーカー。トランギアのアルコールバーナは、なんと!半世紀も愛され、アウトドア業界ではレジェンドとも呼ばれるほど。
火力調整ができる蓋と、本体に残ったアルコールを入れたまま持ち運びができる、Oリング付の蓋も付いているので、利便性もGOODです。アルコールストーブ選びに悩むなら、トランギアを買っとけば間違いなし!
VARGO(バーゴ)トライアドマルチフューエルストーブ
クモのようなデザイン!?1台で2役のマルチプレーヤー
- サイズ:直径6.1cm×高さ2.2cm
- スタンド使用時:10.7cm×高さ5.1cm
- 素材:チタニウム
- 質量:48g
バーゴは、チタン製をメインにキャンプや登山ギアを開発する、アメリカのアウトドアメーカー。五徳付きのシンプルなアルコールストーブは、チタン製なのでとにかく軽く丈夫です。
また、本体を上下反転させると、なんと、固形燃料の燃料台としても使える、一台で2役をこなす優れもの。
もちろん、五徳の足部分も収納可能でコンパクトなストーブです。
バーゴには、アルコールストーブの五徳兼風防の定番アイテム、ヘキサゴンウッドストーブがあります。他のアルコールストーブでも問題なく使用できますが、バーゴのアルコールストーブをお求めなら、五徳部分をひっかけて高さ調節ができる同メーカーならではの利点があるので、セットで使用するのがおすすめ!
EVERNEW(エバニュー) チタンアルコールストーブ
2箇所から立ち上がる炎、内側の目盛りも、心憎い日本の技!
- サイズ:外径7.1(内径3.9)cm×高さ4.2cm
- 素材:チタニウム
- 質量:34g
エバニューは、1923年に創業した日本ブランド。スポーツ用品からレジャー用品まで幅広く手がけていますが、日本の自然環境と登山スタイルにあった登山用具が人気です。
こちらのチタンアルコールストーブ は、日本製だけあって、シンプルで作りが丁寧。また、中に目盛り付いていて、アルコールの量がわかるといった細かな配慮が行き届いています。燃焼時間に合わせてアルコールの量の調節が可能です。チタン製なので、使うほどに焼けて青く色がついていく感じがたまりません。
Esbit(エスビット)アルコールバーナー
ヨーロッパの軍隊でも使用!お手頃価格もうれしい
- サイズ:直径7.4cm×高さ4.6cm
- 素材:真鍮(しんちゅう)
- 質量92g
トランギアやエバーニューに続く、アルコールストーブの代表選手といえる、エスビット。ドイツのアウトドアメーカーで、ヨーロッパの軍隊でも使用されているとか。
中華製ですが、その分お手頃価格なので、アルコールストーブはじめてみようかなぁ〜という初心者にオススメです。取っ手付きの蓋で、消化&火力調整ができ、残ったアルコールを入れても漏れません。
Solostove(ソロストーブ) アルコールバーナー
同社の「ソロストーブ ライト」や「タイタン」とセットで楽しもう!
- サイズ:直径7.4cm×高さ4.6cm
- 素材:真鍮(しんちゅう)
- 質量:100g
使うごとに味がでてくる真鍮製のボディ、蓋に刻まれたソロストーブのロゴ、どこから見ても惚れ惚れするバーナーです。独自の2重構造で、高い熱効率を実現しているので火力も問題なし。付属の蓋には取っ手がついていて、火力の調整から消化までできます。
また、ソロストーブでは、「ソロストーブ ライト」や「タイタン」という、風防にも五徳にもなる本体を販売。こちらとセットで使うと、さらに火力もアップ!アルコールストーブを使わずに、本体だけで小枝などを燃やしネイチャーストーブとしても使えます。
おすすめのアルコールストーブをメーカーごとに比較
直径 | 高さ | 重さ | 素材 | |
trangia | 7.5cm | 4.5cm | 110g | 真鍮 |
VARGO | 6.1cm | 2.2cm | 48g | チタニウム |
EVERNEW | 7.1cm | 4.2cm | 34g | チタニウム |
Esbit | 7.4cm | 4.6cm | 92g | 真鍮 |
SoloStove | 7.4cm | 4.6cm | 100g | 真鍮 |
アルコールストーブは自作が可能!
アルコールストーブの構造や仕組みは、いたってシンプルなので、原理さえしっかり学べば、身近なアルミ缶やスチール缶で簡単に自作ができちゃいます。
100均で作る自作アルコールストーブ
100均アイテムで超簡単な自作アルコールストーブの作り方をご紹介します。
スチールウールとクリームケースとアルコール燃料を用意します。
スチールウールをちぎって入れます。写真では2つですが、4つにちぎるとすっきり入ります。
アルコール燃料を注ぎます。
40ml程度入ります。
火をつけます。
燃焼時間は13分程度
火力は250mlの水を4分40で沸騰させました。
アルコールストーブでの炊飯の仕方!
今回は、トランギアのアルコールバーナーと同じくトランギアのメスティンを使った、炊飯方法をご紹介します。
お米を洗って浸水させる。
まず、お米を研いで浸水させます。
ここが一番、炊飯に大事なポイントです。
乾燥した米に十分な水を吸収させないと、米の中心部まで水が吸収されずに、芯が残るご飯になってしまうからです。
浸水時間は、夏なら30分程度、冬なら1時間程度浸水させます。
この時に無洗米を使うなど方法もありますが、前日にお米を洗い浸水させて、ざるに上げて冷蔵庫にしまっておきます。朝出発前にビニール袋に入れ、保冷バックで山頂やキャンプ場へ。こうすることで、山頂で浸水させなくても、同じようにおいしいご飯が炊けるんです。
水加減を合わせる
メスティンの便利なとこは、リベットに水の量を合わせたら、水加減がちょうどいいところ!
実際に米1合炊くときに必要な水分量は200ccぐらい。
米の浸水時に、水の量を合わせるなら、米の吸水を考えて210ccぐらいでOK!
炊飯開始
標高や気温により多少の前後はありますが、炊飯時間はおよそ12分、燃料はおよそ40ccです。
沸騰したら米を混ぜる
ポイントとして、沸騰したら米をかき混ぜます。
そうすることで、むらの無いふっくらしたご飯が炊けます。
時間的に火をつけて6分程度。
蓋をして炊飯
蓋をして5~6分程度炊飯します。
この時に、蒸気で蓋が持ち上がらないよう、重しを乗せます。
重しをすることで、内部に圧力がかかり、ふっくらしたご飯になります。
圧力窯と同じ原理です。
火からおろし蒸らす
火からおろすタイミングは11~12分程度ですが、チリチリと音がしましたらおろすサインです。
また、焦げるにおい等がしましたら、即座に火からおろし、タオル等で包み蒸らしましょう。
蒸らし時間はだいたい10分程度
美味しいご飯の完成
アルコールストーブの失敗しない炊飯方法のポイントは
- お米の浸水
- 水加減
- 時間
この三点を守れば美味しいご飯が炊けます。
アルコールストーブのおすすめ簡単料理レシピ
アルコールストーブ本体がシンプルなので、料理もシンプルなものを紹介します。
アルコールストーブでパスタ
インスタントのパスタソースですが、茹で方を変えるだけでもっちりパスタに変わるんです!
①ソースを温める
沸騰したら、余熱で温まるので、横に置いておきます。
②パスタを茹でる
ポイントとして、水から入れることです。
パスタに含まれるグルテンは、ゆっくり熱を加えることで、もちもちになります。
③沸騰したらパスタを一度かき混ぜる
アウトドアでは少量の水でパスタを茹でることになります。
そうなると、麺が引っ付いたり、むらができるので、かき混ぜることで、解消されます。
④パスタが茹で上がったら水を切り、パスタソースを混ぜ合わせる
3分茹でるパスタなら沸騰して、2分で茹で上がります。
ソースと混ぜ合わせて、もっちりパスタの出来上がりです。
メスティンとアルコールストーブで炊き込みご飯
アルコールストーブと相性がいいメスティンを使って、コンビニのさんまの缶詰で炊き込みご飯を作ります。
基本的に水分量は、どの缶詰でも同じぐらいで美味しく炊けます。
①用意するもの
・お米
・缶詰
・粉末だし
②水を合わせます。
水分量は、缶詰の水分があるので、ちょっと少な目にする。
前日にお米を洗い、30分水に浸してざるに上げ、冷蔵庫にしまっておいたお米を使用すれば、水に浸水しなくてもokです。
前日に浸水しても、同じ効果が得られます。
※ただし、保冷バックに入れてきてください。
缶詰と粉末だしを入れて混ぜる。
粉末だしは、塩分が含まれているため、味が薄くなりがちな缶詰の炊き込みご飯には、おすすめです。
沸騰したらかき混ぜる。
アルコールストーブに火をつけて、沸騰したらかき混ぜて蓋をします。
その際に重しを乗せます。
メスティンはアルミなので熱伝導率が良いんですが、長方形の形なので、アルコールストーブで炊飯する場合は、かき混ぜた方がむらなく炊くことができます。
時間は約6分前後
炊飯できたら火から降ろし、蒸らす。
炊けた合図は、音がチリチリという音に変わります。
また、炊き込みご飯は焦げやすいので、匂いでの判断も必要です。
時間は火をつけてから約11分~12分前後です。
蒸らし時間は約10分程度
完成
固形燃料などでほったらかし炊飯は、標高や温度によって違います。
今回紹介した時間もおよその目安で考えてください。
しかし手順通りにして頂けたら、大幅な失敗はないです。