ナイフで薪を割るバトニングでは、「バトニング棒」が必要不可欠です。ただ実際とのところ、その場にある細めの薪や木の棒で代用している人も少なくありません。
それでもバトニングできないことはありませんが、形や長さがまばらで力がうまく伝わらなかったり手を痛めたりする可能性があるため、専用のバトニング棒があるととても便利です。
簡単に作れますし1本あるとキャンプの度に代用品を用意する手間を省くことができます。今回は作り方・適した素材・使い方まで、バトニング棒について徹底的に解説します。
バトニング棒って何?
バトニング棒(バトン)とは、はその名の通りバトニングに使う木材の棒を指します。
バトニングは薪にナイフを当て、ブレードの上部を叩くことで割っていく技術ですが、手で叩いても到底割ることができない硬さなので、バトニング棒を用意する必要があります。
その場にある細めの薪や木の棒をバトニング棒にすることが多いものの、こだわりのギアとして手作りする人も少なくありません。形状・サイズ・重さなどを自分の体格や手に合うように調節できるため、より快適にバトニングできるようになります。
バトニング棒に適した素材
バトニング棒には木材を使いますが、木の種類によって特性があります。素材によって強度と叩く際の力の伝わりやすさに違いが出るので、バトニング棒に使う木材でお悩みの方はこれからご紹介するポイントを参考にしてみてください。
木材は硬い広葉樹がおすすめ
バトニング棒に使う木材は「広葉樹」が良いでしょう。針葉樹に比べて硬く丈夫なので、何度も叩くバトニングには最適です。柔らかいと力を吸収してしまうため、その点でもうってつけと言えます。
種類としては樫(かし)やベニカナメモチがおすすめです。
曲がったものは整形にしにくいうえ打点が定まりにくいので、真っすぐな形状のものを選びましょう。節の部分は特に硬いことから、その部分を打点の場所にするとより良いです。
長さや太さは体格に合わせて選ぶ
バトニング棒の長さや太さは体格に合わせて選ぶようにします。
ただし、あまりに長いものはバトニングの際に打点が遠くなりやりにくく、短ければ力が入りません。30~40cmを目安にして、やりやすい長さを選びましょう。
長いものはノコギリで切断して調整できます。長さが決まったら、実際にバトニングの姿勢をして確認すると失敗せずに済みます。
木材の太さは軽く手で握れるものが良いでしょう。鉈や斧の持ち手をイメージするとわかりやすいです。
多少太くても削って調整するので問題ありませんが、むしろ、細すぎると折れたり軽くて力が伝わらなかったりするので注意してください。手が小柄な方は打点にする部分はそのままにして、持ち手を削って細くすることで重さを残しつつ手になじむバトニング棒を作ることができます。
バトニング棒の作り方(自作)
ここからはバトニング棒の作り方を解説します。準備物や作成の手順、ポイントなど、仕上がるまでに必要な項目をまとめたので、ご覧いただければ初めて挑戦される方でも簡単に作ることが可能です。
準備するもの
バトニング棒作りに入る前に、準備物をそろえておきます。具体的には以下の5つです。
- ハチェット(斧)
- ナイフ
- ノコギリ(大きな節がある場合)
- グローブ
- 紙やすり(綺麗に仕上げる場合)
ハチェットとナイフは形の調整に使用します。ナイフだけでも可能ですが、ハチェットがあると効率よく作業を進めることができます。
ナイフ単体で作る場合は、表皮や硬い節を削る工程があるため、刃長・刃厚のある丈夫なものがおすすめです。大きな節がある場合はノコギリがあると作業が速く進みます。
刃物を使って硬い木材を加工するので、手を保護するグローブや軍手を用意しておきましょう。紙やすりは仕上げに表面も滑らかにする際に使用します。
ハチェットで表皮を削り持ち手を作る
初めにハチェットでバトニング棒となる木の表皮を削ります。全体を削っても良いですが、打点部分に凹凸がなく加工しなくても良ければ、持ち手だけでも問題ありません。刃に近い部分を持つと安定して細かい作業がやりやすいです。
角があるとバトニングしにくいうえに割れにつながることもあるので、きれいな棒状になるよう心がけましょう。大きな節がある場合はノコギリで落とすのもおすすめです。
表皮を削り終えたら、次は持ち手を作ります。
実際に確認しながら手でしっかり握れる太さまで削ってみてください。この際に削り過ぎるとバトニング棒の強度が落ちるので要注意です。ハチェットの柄を目安にして、手の大きさに合わせて調整すると良いでしょう。
この段階でバトニング棒に小さな角や節の凹凸があっても、次の工程で処理するので問題ありません。
ナイフで形を整える
ナイフを使ってバトニング棒の表皮の削り残しや小さな角を落とします。
あまり刃を立てると逆に凹凸ができてしまうため、ねかせて削ると良いです。仕上がりに直結するので、丁寧に処理しましょう。
素材が硬いので、力を入れ過ぎて刃が滑らないよう注意してください。先端や持ち手の端を面取りすると見た目もよく、手にも優しいです。
紙やすりで表面を滑らかにする
すべての整形を終えたら、最後に紙やすりでバトニング棒の表面の小さな凹凸やささくれを削ります。必ず必要というわけではありませんが、使用感だけでなく安全面にもつながる大事な作業です。
荒目の40~100番程度で大まかに削り、200番程度で磨くととてもきれいに仕上がります。
好みでパラコードや滑り止めを付ける
「キャンプで使うギアにはこだわりたい」という方は、持ち手にパラコードを巻いたり滑り止めを付けたりなどもおすすめです。バトニング棒の見た目はもちろん、握りやすさ・力の込めやすさにも大きく影響するので、損はありません。
作業がめんどくさい方におすすめな市販のバトニング棒
長さ | 23.5 x 5 x 5 cm |
---|---|
重さ | 190~210g |
簡易的なバトニング棒ですが、DIYが面倒な方におすすめです。コンパクトなサイズなので針葉樹の薪割り程度と割り切って使用するほうが良さそうです。
バトニング棒の使い方
バトニング棒の使い方は基本的に叩くだけなので、難しいことはありません。ただ、無理をするとケガやナイフの破損につながるため、持ち方や叩き方といったポイントを押さえてバトニングするようにしましょう。
バトニング棒は利き手に持つ
バトニング棒を利き手に持ち、反対の手でナイフを持ちます。ナイフは体と水平にして、ハンドルよりを薪の中心に押し付けるように力を入れ固定しましょう。このとき下が地面や斜面だと力が逃げたり不安定だったりするので、薪割り台や切り株、厚めの板などを使うことをおすすめします。
また、薪が太すぎると刃が埋まってしまうため、刃長の2/3程度までが良いです。
軽くブレードを叩き薪に食い込ませる
バトニングの体勢が取れたら、バトニング棒で軽くブレードを叩き刃を食い込ませて固定します。いきなり力を入れ過ぎると、薪が倒れたりナイフがはじかれたりするので要注意です。
ブレードを垂直に振り下ろしバトニングする
バトニング棒をナイフに垂直に振り下ろしバトニングします。ブレードの先端を叩きますが、あまり切っ先を叩いてしまうと刃こぼれにつながるので、注意しましょう。何度か叩き薪の下部に達したら力を弱めて割り切ります。
特に下がコンクリートなど硬い場所だと割った拍子に刃が当たり欠けてしまうことも少なくありません。可能であれば、最後は手で割っても良いです。
バトニング棒の作り方や適した素材と使い方のまとめ
バトニング棒は薪や木の棒で代用できますが、専用のものがあると効率が段違いです。
斧や鉈を使わず毎回バトニングで薪を作っている方は使用頻度も高いでしょうから、1本用意しておくと重宝します。上手く仕上がると使用感が良いのはもちろん、見た目にもこだわりが表れるので、世界に1本だけのMyバトニング棒を作ってみてください。