鍛造(たんぞう)ペグは、数あるペグのなかでも最強のペグ。鋳造(ちゅうぞう)ペグより高価であるものの、その価格差を補ってあまりある魅力を持っています。
ただしそんな鍛造ペグも、決して良いことばかりではありません。メリットがあれば、デメリットも存在します。そして正しい選び方を知っておかなければ、買ってから後悔するかもしれません。
そこで今回は鍛造ペグのメリット・デメリットをお伝えするとともに、鍛造ペグの選び方も解説します。そして後半ではおすすめの商品をピックアップして、1本当たりの単価も比較しているので、信頼できる鍛造ペグを安く手に入れたい方はそちらもご覧ください。
目次
鍛造ペグとは?鋳造ペグの違いって何?

鋳造ペグと鍛造ペグの2つは見た目が似ていても、作り方から特性までまったく異なります。鍛造ペグを購入する前に、それぞれの違いをしっかり把握しておきましょう。
製法の違い
鍛造ペグは熱した鉄をハンマーやプレスで叩いて成形するのに対し、鋳造ペグは溶かした鉄を型に流し込んで成形します。
鋳造は複雑な形のものでも簡単に製造できるので大量生産に向いますが、鍛造は1本1本を職人の手で作り出しているため、鋳造ほど効率的に生産することはできません。
強度の違い
製法の違いは、それぞれの強度に大きく影響しています。鋳造は鍛造にくらべて組織の密度が低く、内部に気泡が発生しやすいという特徴があります。そのため鋳造ペグは鍛造ペグにくらべて、どうしても強度の面で劣ってしまいます。
いっぽうで鍛造は、鉄を何度も叩くことで組織の密度が高められており、気泡の混入もしにくいのが特徴です。そのため鋳造よりも高強度なペグが出来上がります。
価格の違い
価格は鍛造の方があきらかに高価です。鍛造ペグのなかでも人気があるスノーピークソリッドステークの価格が、もっとも安いもので1本320円。それに対し、Amazonで販売されている鋳造ペグは、1本あたり100円から購入できます。
鍛造ペグは鋳造ペグより性能ではすぐれているものの、この価格差が唯一のネックです。予算をかけられるのであれば、やはり鍛造ペグが一番。しかし、できるだけ予算を抑えたいのであれば、鋳造ペグにするのも大いにアリな選択です。

鍛造ペグのメリット・デメリット

鍛造ペグを購入する前に、メリットとデメリットの両方をしっかり押さえておきましょう。そしてメリットがデメリットに勝っていると感じたら、鍛造ペグを購入しても後悔しないはずです。
メリット

- 耐久性にすぐれている
- どんなフィールドにも対応する
- 固定力が強い
鍛造ペグはほかの種類のペグと比較して、耐久性にすぐれているのが最大の特徴です。鋳造ペグやアルミニウム製のペグでは曲がってしまうような、ハードな使い方にも耐えてくれます。
その耐久性の高さから、どんなに固い地面でも使用できるのが鍛造ペグの良いところです。砂地や雪が積もっているような場所以外は、ほぼすべてのフィールドで使えます。
そして固い地面にも深く突き刺せるということは、そのぶん固定力にもすぐれているということ。とくに長さ30cm以上の鍛造ペグは、大型のテントやタープなど、風の影響を受けやすいものの固定にうってつけです。
デメリット

- 重い
- 錆びる
鍛造ペグは頑丈で耐久性にすぐれている反面、重いというデメリットがあります。そのため携帯性を重視する方は、鍛造ペグはあまり向いていないといえるでしょう。
「装備は軽くしたいけれど、鍛造ペグの固定力は欲しい!」という方は、使用するペグの一部だけを鍛造ペグに置き換えるという方法もおすすめです。本当に重要な箇所に鍛造ペグを使用するだけで安心感が高まります。
また鍛造ペグはスチール(鉄)製なので、使用しているうちに錆が発生することがあります。しかし使用したあとは綺麗に洗って乾かす、もし錆が発生したらヤスリで削り取るといったメンテナンスをすれば、まったく問題ありません。
鍛造ペグの選び方

鍛造ペグは見た目の好みで選ぶのも良いのですが、それ以外の部分にも着目して選んだほうが後悔せずに済みます。何年でも使い続けられる最高の鍛造ペグを手に入れるために、以下で解説する4つのポイントを押さえておきましょう。
長さ

鍛造ペグを選ぶとき、まず最初に注目すべきは長さです。長さ選びを間違えると、結局買い直すことになる可能性が高くなります。使用するテントやタープのサイズも考えて、適切な長さの商品を選びましょう。
ペグの長さの選び方に関しては、別の記事でより詳しく解説しています。ペグの購入を本気で検討している方は、そちらもご覧ください。

打ち込みやすさ

打ち込みやすさをはかるポイントは、ヘッドの大きさと支柱の断面形状です。ヘッドが大きいほどハンマーで叩きやすく、余すことなくパワーを伝えることができます。
支柱の断面形状については、円形のペグが打ち込みの際に回転しやすいいっぽう、楕円形のペグは一度地面に刺さるとほとんど回転しません。そのちがいが打ち込みやすさに影響します。
ヘッドや支柱の形状は、各メーカーが独自の工夫を取り入れている部分です。しっかりチェックしましょう。
赤などの色があれば見つけやすい
見落としがちなポイントとして、「ペグの色」があります。鍛造ペグは黒一色の商品が多いのですが、なかには赤や紫などの派手な色で塗装されているものも。そのように目立つ色に塗装された鍛造ペグは紛失しにくいというメリットを持っています。
そのためペグを置いた場所がわからなくなったり、キャンプ場に置き忘れて帰るといったリスクを減らすことにつながります。バッグや収納ケースに入れた状態でも見つけやすいので、実用性を重視するのであれば目立つ色のペグがおすすめです。
カチオン電着塗装(防錆加工)

カチオン電着塗装とは、塗料のなかに金属を沈め、電気を通しておこなう塗装のことです。カチオン電着塗装をほどこした金属は、耐食性と耐湿性が飛躍的に向上します。そのため塗膜が残っているうちは錆びることがありません。
カチオン電着塗装は自動車用の部品や工具などにも幅広く採用される塗装で、その多くが黒色ですが、中にはカラフルな色を取り入れたカチオン電着塗装済みの鍛造ペグもありますので、黒以外の色の商品なかから選ぶこともできます。
鍛造ペグはセット購入が安い?メーカー別1本当たりの単価比較表
鍛造ペグのセット商品では、1本当たりの単価がわかりにくいと思いますので、人気メーカーの鍛造ペグではどれが安いのか?長さごとに比較表を作成してみました。
単品よりセット購入の方が1本当たりの単価が安く買える鍛造ペグもあるので、購入の参考にして下さい。
18cm,20cmの安い単価の鍛造ペグは?
ブランド名 | ogawa | 村の鍛冶屋 | 村の鍛冶屋 | 村の鍛冶屋 | スノーピーク | コールマン | タラスブルバ | Ribitek | Ribitek |
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商品名 | TANZO PEG | エリッゼステーク | エリッゼステーク | エリッゼステーク | ソリッドステーク | スチールソリッドペグ | マイティパワーペグ | 鍛造ペグ(ブラック) | 鍛造ペグ(レッド塗装) |
セット・単品 | 10本 | 6本 | 8本 | 10本 | 1本 | 1本 | 1本 | 4本 | 8本 |
サイズ | 18cm | 18cm | 18cm | 18cm | 20cm | 20cm | 20cm | 20cm | 20cm |
重量(約) | 100g | 77g | 77g | 77g | 75g | 90g | 97g | 67g | 67g |
税込み価格 | 5,800円 | 1,980円 | 2,640円 | 3,300円 | 352円 | 319円 | 396円 | 999円 | 2,150円 |
1本単価 | 580円 | 330円 | 330円 | 330円 | 352円 | 319円 | 396円 | 249円 | 268円 |
28cm,30cmの安い単価の鍛造ペグは?
ブランド名 | ogawa | 村の鍛冶屋 | 村の鍛冶屋 | 村の鍛冶屋 | スノーピーク | スノーピーク | コールマン | i-WANO | i-WANO | i-WANO | i-WANO | i-WANO | NEMO | タラスブルバ | Ribitek |
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商品名 | TANZO PEG | エリッゼステーク | エリッゼステーク | エリッゼステーク (レッド塗装) |
ソリッドステーク | ソリッドステーク | スチールソリッドペグ | 岩野ペグ | 岩野ペグ | 岩野ペグ | 岩野ペグ | 岩野ペグ | ジャベリン ステーク | マイティパワーペグ | 鋳造ペグ |
セット・単品 | 10本 | 5本 | 8本 | 8本 | 1本 | 6本 | 1本 | 1本 | 4本 | 8本 | 16本 | 32本 | 1本 | 1本 | 8本 |
サイズ | 28cm | 28cm | 28cm | 28cm | 30cm | 30cm | 30cm | 30cm | 30cm | 30cm | 30cm | 30cm | 30cm | 28cm | 30cm |
重量 | 215g | 192g | 192g | 192g | 180g | 180g | 190g | 192g | 192g | 192g | 192g | 192g | 200g | 199g | 175g |
税込み価格 | 6,900円 | 1,815円 | 2,904円 | 3,608円 | 462円 | 2,728円 | 429円 | 500円 | 2,000円 | 3,210円 | 6,000円 | 11,800円 | 880円 | 495円 | 2,899円 |
1本単価 | 690円 | 363円 | 363円 | 451円 | 462円 | 454円 | 429円 | 500円 | 500円 | 401円 | 375円 | 368円 | 880円 | 495円 | 362円 |
40cm,50cmの安い単価の鍛造ペグは?
ブランド名 | 村の鍛冶屋 | スノーピーク | スノーピーク |
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商品名 | エリッゼステーク | ソリッドステーク | ソリッドステーク |
セット・単品 | 6本 | 1本 | 1本 |
サイズ | 38cm | 40cm | 50cm |
重量 | 346g | 330g | 540g |
税込み価格 | 4,290円 | 913円 | 1,221円 |
1本単価 | 715円 | 913円 | 1,221円 |
※2021年4月5日現在の価格

人気メーカーで厳選した鍛造ペグのおすすめ8選!

ここからは有名メーカーの商品を中心に、おすすめの鍛造ペグをご紹介していきます。ここまで解説してきた選び方を参考に、長く愛用できそうなものを見つけてください。
オガワ(ogawa) TANZO PEG
長さ | 18,28cm | 1本当たりの重量(約) | 100,215g | 素材 | クロームモリブデン鋼 | 防錆塗装 |
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鳥のくちばしのような形が特徴的な鍛造ペグ。ヘッドが大きいためハンマーを当てやすく、テントのガイロープ(張り綱)が抜けにくいという強みを持っています。
素材には高強度で耐久性にすぐれるクロームモリブデン鋼を使用。固い地面に力いっぱい打ち込んでもびくともしない非常にタフなペグです。
村の鍛冶屋エリッゼステーク
長さ | 18,28,38cm | 1本当たりの重量(約) | 77,192,346g | 素材 | S55Cスチール | 防錆塗装 | ○ |
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スノーピークの人気商品「ソリッドステーク」と人気を二分する鍛造ペグ。メイド・イン・ジャパンの高品質な商品であり、製造しているのは新潟県三条市の工場です。1100度まで熱した状態で、約1トンの力を加えて成形されています。
エリッゼステーク最大の特徴は、支柱の断面形状が楕円形であること。地中で回転しづらいため、打ち込みが容易におこなえます。
スノーピーク(snow peak)ソリッドステーク
長さ | 20,30,40,50cm | 1本当たりの重量(約) | 75,180,330,540g | 素材 | S55Cスチール | 防錆塗装 | ○ |
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鍛造ペグの大定番であり、スノーピークが誇る最強のペグ。ペグ選びに迷ったら、これにしておけば間違いありません。長さは20・30・40・50cmの4種類がラインナップされており、そのなかでも30cmのものが汎用性にすぐれているのでおすすめです。
30cmの価格は1本462円と、スノーピークのキャンプ用品としてはリーズナブル。スノーピークのロゴがバッチリ刻印されているので、大きな満足感も得られます。
コールマン(Coleman)スチールソリッド
長さ | 20,30cm | 1本当たりの重量(約) | 90,190g | 素材 | スチール | 防錆塗装 | ○ |
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コールマンの鍛造ペグは、ヘッドとフックの上部がフラットになっている点において、村の鍛冶屋のエリッゼステークと似ています。使用感において若干のちがいはあるものの、「コールマンが好きだからこれにする」といった選び方で問題ありません。
2021年4月現在、Amazonにおいてあわせ買い対象商品に指定されており、1本あたり400円以下で購入できます。
イワノ(i-WANO)岩野ペグ
長さ | 30cm | 1本当たりの重量(約) | 192g | 素材 | スチール | 防錆塗装 | ○ |
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支柱の形状が特徴的な鍛造ペグ。支柱の側面に溝を設け、固定力を強化しています。鍛造ペグが苦手とする砂地での使用も可能です。撤収する際にはペグを90度回転させるだけで、簡単に抜けるようになります。
さらにフック部が上に突き出ているのもポイントです。この部分を利用すれば焼き網を乗せてバーベキューをしたり、小さなテーブルとして使用することもできます。工夫のしがいがある鍛造ペグがほしい方におすすめです。
ニーモ(NEMO) ジャベリンステーク
長さ | 30cm | 1本当たりの重量(約) | 200g | 素材 | スチール | 防錆塗装 | ○ |
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支柱の断面形状が「T」に成形されているユニークな鍛造ペグ。地面に刺さりやすく、固定力にもすぐれ、勝手に回ってしまうこともありません。
さらにフック部には「ロッキングシステム」が採用されており、自在金具を使用せずテントのガイロープを張ることができます。1本あたりの価格が880円と高めですが、機能的でデザインもカッコいいので、かなりおすすめ度の高い商品です。
タラスブルバ(TARAS BOULBA)マイティパワーペグ
長さ | 20,28cm | 1本当たりの重量(約) | 97,199g | 素材 | S55Cスチール | 防錆塗装 | ○ |
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タラスブルバは1976年に誕生した、知る人ぞ知る日本のブランド。機能性やデザイン性にすぐれている商品を、手が届きやすい価格で販売しています。こちらのマイティパワーペグもデザインがとても個性的です。
フック部に栓抜きを備えているのが特徴で、瓶ビールを飲むときに役立ちます。地域限定の地ビールは瓶入りのものも多いので、栓抜きはあると意外と便利な機能です。
Ribitek鍛造ペグ
長さ | 20,30cm | 1本当たりの重量(約) | 67,175g | 素材 | S45Cスチール | 防錆塗装 | ○ |
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赤い粉体塗装がほどこされており、紛失しにくいのがメリットのアイテム。長さ30cmの鍛造ペグ8本と、収納袋がセットになったお買い得商品です。
ただし、素材であるS45Cスチールは、ソリッドステークなどに採用されているS55Cスチールに比べ硬度で劣ります。そのためコストパフォーマンスを重視する方や、それほど固い地面で使用するつもりはないという方に向いています。


鍛造ペグのまとめ

鋳造ペグやアルミ製のペグより、はるかに頑丈な鍛造ペグ。ほぼすべての場所に打ち込むことができる心強さが魅力です。
鍛造ペグを購入する際には、長さ・打ち込みのしやすさ・塗装の色・カチオン電着塗装の有無に注目して選びましょう。そうすることで、ずっと使い続けたくなるような鍛造ペグが手に入るはずです。
今回の記事で紹介した商品
村の鍛冶屋 | スノーピーク | コールマン | i-WANO | NEMO | タラスブルバ | Ribitek |
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エリッゼステーク | ソリッドステーク | スチールソリッドペグ | 岩野ペグ | ジャベリン ステーク | マイティパワーペグ | 鋳造ペグ |
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