冬キャンプの防寒対策で重宝するのがオイルカイロ。冷えた手先や足先を心地よく温めてくれます。そんなオイルカイロにはお馴染みの使い捨てカイロやエコカイロ、さらに充電式カイロと種類はさまざま。そんなオイルカイロの中でもカイロの王様と言われるハクキンカイロが冬キャンプにおすすめです。
昔ながらのレトロなデザインが特徴のハクキンカイロは、ゴミを出さずに繰り返し使えるエコカイロとして今もなお愛され続けています。今回は、冬キャンプの防寒対策におすすめのオイルカイロ「ハクキンカイロ」についてご紹介します。zippoハンディウォーマーとの使い比べもしてますので、オイルカイロ選びの参考になればうれしいです。
オイルカイロ「ハクキンカイロ」とは
ハクキンカイロは1923年に発売されて以来、世代を引き継ぎ愛され続けているエコカイロで、使い捨てカイロのようにゴミにならず、クリーンなエネルギーで繰り返し何度でも使えるアウトドアに最適なオイルカイロです。
仕組みや原理
ハクキンカイロは触媒発熱による、環境に優しく経済的なエコカイロです。
その仕組みは、オイル燃料であるベンジンの気体化したガスと白金(プラチナ)触媒が化学反応を起こした際の酸化熱を応用したもの。微粒子状のプラチナを担持したガラス繊維が酸素と結合することで発熱するプラチナ触媒を応用しています。
要するにベンジン自体が燃えて熱くなっているのではなく、ベンジンの気化ガスとプラチナ触媒との化学反応による燃焼熱で発熱しているのが特徴。発熱した後は炭酸ガスと水に分解されるので環境に優しくクリーンなエネルギーを使ったエコカイロです。
燃料はベンジン
ハクキンカイロのオイル燃料は、ガソリンの一種であるベンジンを使用。ベンジンには染み抜き用とカイロ用の2種類があり、カイロ用の専用ベンジンを使う必要があります。
メーカーが推奨している指定ベンジンがこの2つ。
- エビスベンジン
- NTベンジン
指定ベンジンは原油を高精度に精製した不純物や添加物のないベンジンであり、火付きがよく持続性に優れたカイロ専用ベンジンです。またその他に、Zippoオイルやホワイトガソリンが代用として使用できます。
その他の製品のカイロ用ベンジンもオイル燃料として使用することもできますが、商品によっては
・不純物が含まれていることが多いため、触媒の劣化が早まる
・気化速度が速く通常より熱くなり持ち時間が減少する
・臭い
・火付きが悪く通常より炙りすぎるため触媒が劣化する引用元:ハクキンカイロ公式
などの不具合が生じることがあるので、指定ベンジンかZippoオイルの購入をおすすめします。
ハクキンカイロはどこで買える?
ハクキンカイロは公式サイトやアマゾンなどのネット通販から入手可能で、ホームセンターやドラッグストアでは、季節商品になるので、10月~3月ごろに店頭に並ぶことが多いようです。
ハクキンカイロのサイズ
ハクキンカイロには、用途に合わせたサイズがラインナップされています。
ハクキンカイロのサイズはこちらの3つ。
- ハクキンカイロ ミニ
- ハクキンカイロ スタンダード
- ハクキンカイロ ジャイアント
またOEM生産とされるZippo製ハンドウォーマーも展開しています。
ミニ
サイズ | 58×87×13.5mm |
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持続時間 | 約18時間 |
ラインナップの中で一番コンパクトなモデル。付属しているベンジンカップ一杯半で約18時間の保温性があります。ポケットサイズで手軽に持ち歩けるサイズ感なので、通勤や通学・ちょっとしたお出掛けなど日常的な用途におすすめです。
スタンダード
サイズ | 68×101×15mm |
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持続時間 | 約24時間 |
ハクキンカイロの中で一番オーソドックスなスタンダードモデル。付属しているベンジンカップ2杯で最大24時間保温性が持続します。片手でしっかり握れるサイズ感なので、手先や冷えたポイントを温めたいときに最適です。
ジャイアント
サイズ | 70×110×20mm |
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持続時間 | 最大30時間 |
ジャイアントサイズのハイパワーモデル。最大30時間の保温性を持続します。輸出専用サイズであるため、ハクキンカイロ公式オンラインショップ・もしくは通販サイトにて購入可能です。
ZIPPO ハンディウォーマー
サイズ | 99×13×66mm |
---|---|
持続時間 | 約24時間 |
燃料を注油することで繰り返し何度でも使えるエロロジカルと、一度の注油で最大24時間発熱を続けるタフさが特徴のハンドウォーマー。ジッポーライターで有名なZippo製です。
ハクキンカイロの使い方と消し方
それではハクキンカイロの使い方や消し方など、実際にポカポカカイロとして使用する手順をご紹介します。
使い方
使い方は至って簡単!5ステップですぐに使えます。
- 発熱部の火口を取り外す
- 付属の注油カップで規定量のベンジンを注油
- カイロ本体を逆さまにし余分なベンジンを除く
- 火口をセットしライターやマッチなどで3〜5秒ほどプラチナ触媒に熱を加える
- 蓋をし付属の袋に収納する
使い方の手順を見ていきましょう。
フタ・火口を本体から取り外します。
劣化の原因になるので、プラチナ触媒に直接触れないようにしましょう。
注油カップで燃料オイルを注ぎます。
燃料オイルの最大容量は上線で2杯(25cc)で約24時間使用できます。
注油カップを90℃回転させると、ベンジンがカイロ内に注入されます。
カイロ本体を逆さまにして指先で2~3回軽く押して余分なベンジンを出す。
火口をはめ、カイロ本体を立ててマッチかライターの炎で3~5秒プラチナ触媒に熱を加える。
カイロ本体を逆さまにして点火すると、ススがついて火口の劣化が早くなります。
フタを取り付けて専用の収納袋に入れたら使用できます。
ポイントはプラチナ触媒に熱を加える前にカイロ本体を手の平で温めてあげること。
カイロを温めることでベンジンの気体化を促進しすぐに発熱することができます。火で炙る時間が長くなると触媒の劣化を早めてしまうので、点火前はカイロ本体を温めるようにしてすぐに発熱できる状態にするのがポイントです。
消し方
本来消化機能は備わっていないので燃料がやむを得ず途中で発熱を消したい場合は、
- 火口を取り外す
- ジップロックで酸素を遮断
酸素を遮断し触媒反応を止めることで発熱を停止することができます。発熱部である火口を取り外すか密封することで発熱をストップさせることができますが、火傷など取り扱いに注意が必要です。本来消化機能は備わっていないので使い切るようにしましょう。
ハクキンカイロの火口が赤い?寿命がある?交換方法は?
ハクキンカイロの火口は発熱元となる重要パーツ。火口にあるプラチナ触媒の状態で保温性や使い勝手が変わります。ここでは重要パーツである火口の取り扱いについてご紹介します。
赤い?
火口の触媒が赤くなっているのは、プラチナと酸素が化学反応を起こし酸化発熱している状態。この触媒はプラチナの微粒子を付着させたガラス繊維となっており、取り扱いに注意が必要です。不純物を含んだ指定以外のベンジンを使用したり、触媒を長時間ライターやマッチなどで炙り続けたりすると劣化を早める原因となります。
またカイロ本体を逆さまにし点火すると触媒がススで劣化しやすくなるため、必ず上から点火するようにしましょう。
種類や互換性は?
ハクキンカイロ公式サイトによると、火口には4つの種類がラインナップ。
- HAKKIN換火口
- こはる火口
- BM火口
- GIANT火口
一般的なスタンダード・ミニモデルには「HAKKIN換火口」が交換用として購入できます。また公式サイトより発売しているHAKKIN換火口以外にも、互換性のあるZippo製火口が使用できます。
しかし酸素を取り込みやすそうなフカフカした触媒のHAKKIN換火口に対してZippo製火口はシート状となっており、正規品のHAKKIN換火口を使ったほうが本来の性能を発揮するでしょう。
交換方法は?
火口の交換方法は、換火口を付け替えるだけの簡単仕様。プラチナ触媒を入れ替えるなど面倒な手間はなく、パーツを交換するだけで大丈夫です。換火口は公式サイトや通販サイトから容易に入手できます。
公式サイトによると、指定ベンジンを使用した場合の火口は約1〜2シーズンが交換目安と表記してあります。プラチナ触媒は消耗品であるため、火付きが悪く保温性が低下したと感じたなら触媒の劣化が原因かも。火口を交換することで本来の保温性が復活するでしょう。
オイルカイロおすすめハクキンカイロとzippoハンディウォーマーを比較
オイルカイロとしておすすめのハクキンカイロとzippoハンディウォーマーを温度の違いや燃料の違いによる燃焼時間の違いを比較していきます。zippoハンディウォーマーはハクキンカイロのOEM商品なので、同じハクキンカイロの工場で生産されています。
※検証は外気温7~15℃の環境で行ってますが、結果は使用環境によって異なります。
※オイルカイロの持続時間や表面温度は外気温によって変わり、外気温が高い時は高温になり、持続時間は短くなります。
40℃になるまでの時間の違いを比較
ハクキンカイロ スタンダード |
zippo ハンディウォーマー |
|
---|---|---|
エビスベンジン | 5分11秒 | 7分23秒 |
zippoオイル | 5分39秒 | 7分14秒 |
40℃まで上昇するのにかかる時間は、火口のプラチナ触媒の違いか詳しくわかりませんが、発熱するスピードはハクキンカイロの方がzippoハンディウォーマーより優れてるようです。また、指定ベンジンとzippoオイルの燃料による違いはあまりないようです。
火口は互換性があるので交換して温度変化を計測したところ、40℃まで上昇するのにかかる時間は変わらず、火口の違いではなく、形状や酸素の供給量による違いのようです。
温度の違いを比較
ハクキンカイロとzippoハンディウォーマーに指定ベンジンとzippoオイルを使用した時の温度の違いです。
エビスベンジン | ハクキンカイロ スタンダード |
zippo ハンディウォーマー |
---|---|---|
袋収納時 | 47.1℃ | 41.2℃ |
単体 | 55.4℃ | 60.9℃ |
袋+ポケット | 57.6℃ | 51.2℃ |
zippoオイル | ハクキンカイロ スタンダード |
zippo ハンディウォーマー |
---|---|---|
袋収納時 | 53.9℃ | 50.1℃ |
単体 | 59.5℃ | 66.3℃ |
袋+ポケット | 64.8℃ | 59.4℃ |
袋収納時の温度の違いは、火口の性能による違いなのか、形状によるものなのか詳しくはわかりませんが、zippoハンディウォーマーに比べ、ハクキンカイロは温度を高く保持できるようです。
単体での温度の違いは、通気口の大きさや位置などによってカイロの温度や持続時間が調整される工夫がしてあるので、ドッド型のzippoハンディウォーマーは孔雀型のハクキンカイロより酸素を多く取り込む仕様になっているようです。
火口を入れ替えて計測した結果はこちら
エビスベンジン | ハクキンカイロ スタンダード |
zippo ハンディウォーマー |
---|---|---|
袋収納時 | 55.5℃ | 43.7℃ |
単体 | 49.9℃ | 52.1℃ |
袋収納時は交換時の方が温度が高く、単体での計測では純正品の方が温度が高くなる結果となり、火口による違いは少しはあるようです。
燃料による温度の違いは、指定ベンジンの方がzippoオイルより高く温度を保持できるようですが、燃焼が多く行われてるため、持続時間が短くなるので、好みに分かれる感じになります。
持続時間を比較
ハクキンカイロ スタンダード |
zippo ハンディウォーマー |
|
---|---|---|
エビスベンジン | 9:44 | 10:23 |
zippoオイル | 13:14 | 14:37 |
燃料の種類により大きな差がでる結果となってしまいましたが、ハクキンカイロとzippoハンディウォーマーの持続時間の違いは、表面温度が高いハクキンカイロに比べ、zippoハンディウォーマーの方が長く使用できるようです。
どっちがおすすめ?
表面温度が低いzippoハンディウォーマーでも使い捨てカイロに比べたら十分温かさを感じることができますし、持続時間の短いハクキンカイロでも、燃料を調節すれば温度を24時間まで保持することもできます。
使用環境やスタイルによって使い方は様々なので、どちらを選んでも頼りになるオイルカイロです。
ハクキンカイロの火口が燃える?火事や事故の危険やデメリットは?
ハクキンカイロは揮発性が高く可燃性のベンジンを燃料とするため取り扱いに注意が必要です。そこでハクキンカイロを安全に使うための取り扱い注意点をやデメリットをご紹介します。
火口が燃える?
燃料であるベンジンの入れ過ぎが原因で、火口から火がでて燃える危険もあります。
ハクキンカイロはベンジンが燃えているのではなく、プラチナ触媒による化学反応で発熱しています。なので火口が燃えるのは明らかにベンジンの入れ過ぎによる引火が原因です。
注油するときのベンジンカップには2本のラインが示されており、下段で6cc(約6時間燃焼)、上段までの注油量が12.5cc(約12時間燃焼)となり、カップ2杯分(25cc:最大24時間燃焼)が規定量となっています。揮発するからと余計にベンジンを注油することは火口が燃える原因となり危険ですので控えましょう。
火事や事故の危険は?
ハクキンカイロの燃料であるベンジンは、原油から精製した揮発性が高く可燃性の液体です。そのためベンジンを注油する際は周囲に火気がないか注意する必要があります。過度な注油は引火の原因ともなり、またポケット収納時や衣服に接したときの静電気で引火する恐れがあるのでベンジンの取り扱いには十分に注意する必要があります。
燃料を入れにくい
ハクキンカイロは自立しないデザインとなっているので注油する際は注意が必要です。付属カップの付け外しや注油するときなど一旦テーブルに置きたくても自立して置けない形状なので燃料をこぼすなどトラブルが起こりがち。
五徳の角度を調整したポケットストーブを固定台にするなど、注油する際にカイロ本体をしっかり固定できる土台を準備することで事故を未然に防ぐことができます。
まとめ
今回は、冬キャンプの防寒対策におすすめのオイルカイロ「ハクキンカイロ」についてご紹介してみました。
ハクキンカイロは発売以来もうすぐ100年を迎え、世代を引き継ぎ愛され続ける日本の伝統的カイロです。レトロなデザインがなんとも可愛く、コンパクトでいつでもどこでもポケットに入れて持ち運べる利便性が人気の秘密。通勤や通学・お買い物など日常的な使い方はもちろん、アウトドアの使用にも最適です。
ポケットに忍ばせておくだけで手先や腰もとがポカポカ温かく、さらに寝袋の足元に忍ばせておけば湯たんぽ代わりに使える冬キャンプの必需品。ぜひハクキンカイロをお供に温かいキャンプを楽しんでくださいね。
この記事で紹介したオイルカイロ
商品名 | ハクキンカイロ スタンダード |
ZIPPO | ハクキンカイロ ミニ |
ハクキンカイロ ジャイアント |
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商品 | ||||
価格 | ¥3,618 | ¥3,280 | ¥2,982 | ¥5,100 |
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