冬キャンプを楽しく行うためには寒さ対策が必要不可欠です。テントの種類や着るものを工夫することも重要ですが、ストーブ等の暖房器具があればより一層快適に過ごすことができます。
キャンプの暖房といえば薪ストーブや石油ストーブが思い浮かびます。とはいえこれらの器具はサイズが大きかったり着火に手間がかかったりと、なかなか手を出しにくいというのも事実です。
そこで今回はより気軽にテント内を温められる「赤外線ヒーターアタッチメント」について紹介します。おすすめ商品や使い方の注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
ヒーターアタッチメントの仕組みや効果は?
ヒーターアタッチメントとは、シングルバーナーの五徳に乗せて使用する暖房器具です。バーナーで熱することによりアタッチメントが蓄熱し、それを遠赤外線として放出することで周りの空間を暖めることができます。
仕組みや形状
ヒーターアタッチメントの外観は円筒形で、周りに熱を放出するための穴が空いています。細かいサイズは種類によって異なりますが、バーナーの上に乗せるため、底面には溝がついており、対応する五徳にしっかりと固定できるようになっています。
内部は2重構造になっており、ステンレスメッシュタイプや上部のみのタイプなどメーカーによって異なりますが、バーナーの炎で内部のステンレスに蓄熱させ遠赤外線を放射する仕組みです。
遠赤外線の効果や原理
ヒーターアタッチメントが放出する遠赤外線というのは電磁波の一種で、当たった物質を目に見えないレベルで振動させる働きがあります。物質が振動すると摩擦熱が発生し、その熱によって「暖かくなった」と感じるのです。電子レンジで食材に加熱したり、炭火に手をかざすと暖かい、というのも同じ原理に当たります。
ヒーターアタッチメントの使い方やコツ
ヒーターアタッチメントの使い方やより暖かくするためのコツを紹介します。
使い方
使い方はシングルバーナーのゴトクにヒーターアタッチメントを被せ、火を点けるだけです。点火の際はヒーターアタッチメント内にガスが溜まってしまうので、素早く点火するようにしましょう。
ケトルを上に置けばお湯も沸かせる
バーナーの火で熱せられたヒーターアタッチメント上部はかなりの高温になり、上面にケトルを置くことも可能なので、熱源としての利用と一緒にお湯を沸かすこともできます。
リフレクター(風防)の反射熱で効果UP
一体型のシングルバーナーにはリフレクターは向きませんが、分離型のシングルバーナー使用なら、リフレクターでヒーターアタッチメントを囲うことで、反射熱により前方を効率よく暖めることができます。
扇風機で暖かい空気を循環
ヒーターアタッチメントで暖められた空気は上昇して、上に溜まってしまうので、扇風機で暖かい空気を循環させることが可能です。直接バーナーの燃焼部分に扇風機の風が当たると火力が弱まるので、ヒーターアタッチメントの少し上に当たるように配置すると効果的です。
ヒーターアタッチメントの比較レビュー
格安のBSRとおしゃれなフューチャーフォックスの2つのヒーターアタッチメントを比較レビューします。
スペックの違いを比較
商品名 | FUTURE FOX | BSR |
---|---|---|
サイズ | 直径90x高さ14.5mm | 直径92x高さ60mm |
本体重量 | 115g(実測) | 123g(実測) |
形状の違いを比較
BSRの底面のゴトクをはめ込む溝は合計で8か所あり、ゴトクの本数が3本、4本両方とものシングルバーナーでも使用できる様に設計されています。
気になる点として、溝の幅が狭く太さがあるゴトクの場合、少し浮いた状態で使用することになるので、お手持ちのシングルバーナーで使用できるかを確認した上で購入するようにしましょう。
BSRの内部にはスリットが入ったステンレス板があり、上部だけ2重構造になっており、ステンレス板がバーナーの炎で熱せられ、熱を上方向に放出する仕組みになっています。
フューチャーフォックス底面のゴトクをはめ込む溝は4か所あり、推奨されるバーナーは
- イワタニ ジュニアコンパクトバーナー CB-JCB
- SOTO レギュレーターストーブ ST-310
- PRIMUS P-153 ウルトラバーナー
- FORE WINDS マイクロキャンプストーブ
ですが、五徳の本数が4本の十字型になっているシングルバーナーであればOD缶でも使用できます。
フューチャーフォックスの内部はステンレスメッシュと本体の2重構造になっていて、三角錐型のメッシュ全体が熱せられ、ヒーターアタッチメントの周りに熱を放出する仕組みになっています。
BSRの天板は平らなので、ケトルも起きやすいですが、フューチャーフォックスは天板に段差があるので、少し不安定になってしまいます。
シェラカップやマグカップの大きさなら安定しておくことができます。
テント内で効果の違いを比較
テント内温度が10.8℃の時に、バーナーのみ・フューチャーフォックス・BSRでヒーターアタッチメントによる温度変化の違いをサーカスTCで検証しました。
商品名 | FUTURE FOX |
BSR | 単体 |
---|---|---|---|
5分後 | 12.5℃ | 11.8℃ | 11.4℃ |
10分後 | 14.4℃ | 12.9℃ | 11.9℃ |
温度差 | +3.6℃ | +2.2℃ | +1.2℃ |
サーカスTCはソロとしてはサイズが大きいテントですが、一般的なソロテントでは十分テント内などの空間全体を暖めるほどの能力がありそうです。
また、バーナーの火力は一定で行っており、ヒーターアタッチメントのサイズが大きい方がより効果が大きくなる検証結果となりました。
何センチまで効果がある?
外気温が9.8℃の時、バナーから20cm離れた場所のヒーターアタッチメントの使用時と未使用時の温度を比較しました。
商品名 | FUTURE FOX |
BSR | 単体 |
---|---|---|---|
温度 | 24.6℃ | 22.6℃ | 14.1℃ |
ヒーターアタッチメントは手元など近くの距離を暖める際にも効果があり、冷たくてかじかんだ手を暖めたりといった使い方もできそうです。
おすすめの赤外線ヒーターアタッチメント4選
FUTUREFOXヒーターアタッチメント
サイズ | 直径9x高さ14.5cm |
---|---|
重量 | 150g |
材質 | ステンレス |
付属品 | 取り外し用フック、収納袋 |
FUTUREFOXは南信州発のアウトドアブランドです。ヒーター内部がステンレスメッシュの2層構造になっており、より効率的に熱を伝えることができます。推奨されているバーナーに人気の高いSOTOレギュレーターストーブがあるのも良いですね。加えて外側がナバホ柄になっており、オシャレなサイト作りにも貢献できます。
BRS遠赤ヒーターアタッチメント
サイズ | 直径9.2x高さ6cm |
---|---|
重量 | 141g |
材質 | ステンレス |
付属品 | 収納袋 |
BRSのヒーターアタッチメントは中国ブランド製ということもあり、かなりリーズナブルに入手することができます。しかし、推奨バーナーの記載がなく、粗悪品が届いたと言った口コミも目立ちます。取扱説明書等も付属しないので、ある程度ヒーターアタッチメントに知識がある方向けの商品になっています。
Caffmo遠赤外線ヒーターアタッチメント
サイズ | 直径12x高さ14.7cm |
---|---|
重量 | 375g |
材質 | ステンレス |
付属品 | 専用取っ手金具、収納袋 |
BRS製ほどではありませんが、こちらもリーズナブルなヒーターです。他のヒーターに比べてサイズがやや大きめになっています。ヒーターへの蓄熱に若干時間がかかるかもしれませんが、一度熱してしまえば長く暖が取れそうですね。
Coleman遠赤ヒーターアタッチメント
サイズ | 直径8.6x高さ6cm |
---|---|
重量 | 140g |
材質 | ステンレス |
アウトドア界を代表するブランド、コールマンのヒーターアタッチメントです。家庭用ストーブにも使われている特殊鋼材(NCA-1)で作られており、熱を最適に放射することができます。サイズがコンパクトで使いやすいですし、有名ブランドの商品ということで、安心感がありますよね。
コールマンはガソリンバーナーのみ推奨
コールマンのヒーターアタッチメントは、同ブランドのスポーツスターストーブでの使用が推奨されています。武骨なデザインが人気のスポーツスターですが、これは一般的なLPガスではなくホワイトガソリンを使用するバーナーになります。
ガソリンバーナーはガスに比べて火力が強く、氷点下の気温でも安定して着火できることがメリットです。その反面コストが高く、点火の際にポンピングなどの動作を行わなければいけないことから、気軽さという面ではやや劣ってしまいます。
いずれにせよ、ガソリンバーナーは一般的なガスバーナーとは使い勝手が異なります。コールマン製のヒーターを購入する際は、ガソリンの取扱い等しっかり下調べした上で購入しましょう。
ヒーターアタッチメントの注意点!爆発事故の危険性も
軽量コンパクトで気軽に使えるヒーターアタッチメントですが、テント内で火を起こしている以上、十分に注意して使用しなければなりません。使い方を誤ればヒーターや周りのギアがダメになってしまうだけでなく、重大な事故を起こす可能性もあるのです。
以下ではアタッチメントヒーターを安全に使うための注意点について解説していきます。正しく使って、安全に冬キャンプを楽しみましょう。
テント内は一酸化炭素中毒に注意
テントを閉めきった状態で火器を使用し続けると、一酸化炭素中毒に陥る恐れがあります。これはヒーターアタッチメントも例外ではありません。
一酸化炭素は無味無臭なので、発生しても気付きません。症状も分かりにくく、自覚なしに中毒に陥ってしまう可能性が高いです。
一酸化炭素中毒を防ぐためには、一酸化炭素チェッカーの設置だけじゃなく、換気をしてテント内の空気を入れ替えることも重要です。ベンチレーターを開けるだけではなく、定期的にテントの入り口を大きく開け、しっかり中の空気を循環させましょう。
輻射熱でガス缶が爆発する危険がある
ヒーターアタッチメントを一体型のシングルバーナーで使用した場合、熱せられたヒーターアタッチメントの輻射熱がガス缶を温めてしまいます。ガス缶は過度に熱せられると、最悪の場合には爆発を起こしてしまう危険性があるので、一体型のシングルバーナーでは遮熱板が必要です。
ヒーターアタッチメント有り無しで、輻射熱の温度差をサーモグラフィーで検証した画像です。バーナーに火をつけていた時間は3分でも輻射熱の影響は大きいです。
遮熱板はヒーターアタッチメントの輻射熱を遮ってくれるので、ガス缶が高温になるのを防いでくれ、より上部に熱が行きやすくする効果もあるので、遮熱板は使用しましょう。
ガス缶が熱せられることを防ぐためには、長時間火を点けっぱなしにしないということも重要です。席を立つ際には、必ず火をこまめに消すようにしましょう。
本体が高温なので火傷に注意
使用中ヒーターアタッチメント本体はかなりの高温になっています。使用後でも不用意に触れると火傷の危険性もあり、ヒーターアタッチメントを取り外してテーブルに置く場合にも、材質によっては溶けたり変形してしまう可能性があるので、冷めてから取り外す方が安心です。
まとめ
手軽にサイトを暖めてくれるヒーターアタッチメントは、冬キャンプの快適さをより増してくれる魅力的なアイテムです。
「冬キャンプは行ったことがない…」とういう方でも手が出しやすいアイテムではないでしょうか。ぜひこの機会に冬キャンプに挑戦してみて下さいね。
この記事で紹介したヒーターアタッチメント
※価格は2021年11月現在の価格なので、商品リンクからご確認ください。