冬キャンプには、春〜秋のキャンプにはない魅力がたくさんあります。その魅力とは、星空が綺麗、虫がいない、温かい食べ物がより美味しく感じる、などなど。そしてそれらの魅力を存分に味わうためには、寒さ対策がとても重要になります。
その寒さ対策として非常に有効なのが灯油ストーブです。なかでも電気を必要としないタイプの灯油ストーブは場所を選ばず使用することができ、焚き火よりもはるかに手軽に暖をとることができる優れもの。寒いのを我慢しながら冬キャンプをする必要がなくなります。
しかし、使い方を間違えると重大な事故につながる可能性もあるため、冬キャンプで灯油ストーブを使用したいのであれば安全に使うための基本的な知識を身につけておかなくてはなりません。
そこで今回は灯油ストーブの選び方や安全に使用する際の注意点などを詳しく解説するとともに、数ある灯油ストーブのなかでも信頼性が高く、安心して使用できるおすすめ製品をご紹介します。今年から冬キャンプに挑戦しようと考えている方も、ぜひご覧ください。
灯油ストーブをキャンプで使用するメリット・デメリット

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冬キャンプで使用するストーブといえば、灯油ストーブ・薪ストーブ・ガスストーブの3種類が一般的です。それぞれが異なる特徴を持っていますが、灯油ストーブには以下のようなメリット・デメリットがあります。
灯油ストーブのメリット
- 照明としても使える
- ストーブの上で加熱調理が可能
- デザインがオシャレな製品も多い
- ガスストーブよりも発熱量が多い
- 薪ストーブよりも手軽に使用できる
- 電気がいらないから場所を選ばず使える
- 家庭でも使えるから無駄な買い物にならない
灯油ストーブのデメリット
- 灯油を準備する必要がある
- ものによってはかなり重い
灯油ストーブは手軽さと暖かさを兼ね備えたストーブ
灯油ストーブは手軽さと暖かさのバランスが取れているのが特徴です。
手軽さにおいては
ガスストーブ>灯油ストーブ>薪ストーブ
となり、暖かさにおいては
薪ストーブ>灯油ストーブ>ガスストーブ
となります。設置してすぐに使用でき、そしてとっても暖かい。まさに寒い時期の冬キャンプにはうってつけの道具であるといえるでしょう。
灯油ストーブの選び方

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灯油ストーブを導入して快適な冬キャンプを実現するためには、灯油ストーブの選び方を知っておかなければなりません。ここでは灯油ストーブを選ぶ際に、とくに注目してほしいポイントを解説します。
「対流式」と「反射式」の2種類の違い
灯油ストーブは対流式と反射式の2つのタイプがあります。それぞれの特徴や違いを理解し、自分の冬キャンプのスタイルにマッチしているタイプを選択しましょう。
対流式灯油ストーブの特徴
対流式の灯油ストーブは上昇する熱で空気を対流させ、空間全体を暖めるタイプです。ストーブの上部と周囲360度が暖かくなるので、何人かで囲んで使用するのであれば対流式の灯油ストーブをおすすめします。
反射式の灯油ストーブよりもレトロな雰囲気があり、空間をオシャレに飾ってくれるのもポイント。個性的なカラーやシルエットを採用している製品も多く、選ぶのが楽しいのも良いところです。
反射式灯油ストーブの特徴
ヒーターの背面に反射板を装備しているのが反射式です。ストーブの上部と正面に熱を放出するため、ストーブの前で暖を取りたいときや足もとを温めたいときなどは、反射式のほうが向いています。
また、対流式の灯油ストーブよりも低価格な製品も多く、有名な国内メーカーのものでも1万円以内で買えるのが魅力。対流式ほどオシャレな雰囲気はありませんが、できるだけコストを抑えたい方には反射式の灯油ストーブをおすすめします。
サイズや適用畳数の選び方
灯油ストーブは大きいものほど暖房の能力に優れている反面、持ち運びが大変になります。とくに適用畳数が10畳を超える製品は、重量が10kg以上になるものも。それに灯油を数リッター入れると、成人男性でも持ち運ぶのに苦労することになるでしょう。
ソロキャンプで使用するのであれば、適用畳数は6〜8畳ほどのもので十分です。いっぽうでグループキャンプやファミリーで使用するのであれば、適用畳数が9〜10畳の灯油ストーブを選ぶと安心です。
また、車に積めるサイズであるかは必ず確認しましょう。とくに車高がそれほど高くない車に乗っている場合は、荷室の高さをメジャーで計測しておくことをおすすめします。
持ち運びやすさを考慮して選ぶ
灯油ストーブを選ぶ際には、持ち手がついているかどうか、持ちやすいかどうかも重要なポイントになります。対流式の灯油ストーブの場合は大きな持ち手がついていることが多く、それほど重くなければ片手で持ち運ぶことが可能です。
いっぽうの反射式は、ストーブの横に指をひっかけるための小さな持ち手が備わっているのが一般的。両手で持つ必要があるものの、反射式灯油ストーブの多くが四角い形であるため持ちにくさを感じることはないでしょう。
女性がソロキャンプで灯油ストーブを使用する場合や、車からテントサイトまでの距離が長い場合においては、灯油ストーブの運搬にキャリーを使用するのがおすすめです。
キャンプで灯油ストーブを安全に使用する基礎知識

基本的には、テント内で灯油ストーブを使用するのは望ましいことではありません。それは冒頭でお伝えした通り、使い方を間違えると重大な事故につながりかねないからです。
とはいえ、冬キャンプにおいてはストーブがなければ凍えてしまうといった状況もあることでしょう。そういった状況では以下の注意点をしっかり意識し、あくまで自己責任のもとで使用してください。
安全対策①一酸化炭素中毒を避けるため十分に換気する
テント内で灯油ストーブを使用するにあたり、とくに注意しなければならないのが一酸化炭素中毒。空気中の一酸化炭素の濃度が高くなると発生する中毒症状です。場合によっては命を落とす非常に危険なものなので、万全の対策をおこなう必要があります。
その対策としてもっとも大切なのが、十分な換気です。寒いからといってもテントを完全に閉め切った状態では、灯油ストーブを絶対に使用してはいけません。常にテントの換気口を開けながら使用し、こまめに出入り口を全開にして空気を入れ替えてください。
そして一酸化炭素は無色透明でニオイもないため、空気中の濃度が高くなっていることになかなか気づくことができません。そのため、テント内で灯油ストーブを使用したいのであれば、必ず一酸化炭素チェッカーもあわせて用意しましょう。

安全対策②すぐ近くに燃えやすいものを置かない
灯油ストーブのすぐそばに燃えやすいものを置くのは非常に危険です。灯油ストーブをテント内に設置する場合は、テントの幕から離れた場所に設置すること、そしてすぐ近くに燃えやすいものを置かないことを徹底してください。
また、強風でテントが倒れて灯油ストーブの上に覆いかぶさると、火災につながる可能性があるということは常に意識しておきましょう。万が一のときのために、バケツに水を入れて用意しておくのも忘れないようにしてください。
安全対策③寝るときには灯油ストーブを消火する
灯油ストーブを使用するときは、目を離さないようにするのが鉄則です。もし寝ているときに一酸化炭素の濃度が上昇したり火災が発生しても、気づくことはできないでしょう。そのためいくら寒くても、テント内でストーブをつけたまま寝てはいけません。
寝るときには保温性に優れる寝袋、地面からの冷気を防ぐコットやマット、手軽に導入できる湯たんぽなど、灯油ストーブ以外のものを使用して寒さ対策をおこなうようにしましょう。
【反射式】灯油ストーブのおすすめ4選|安い・コスパ抜群の定番商品を厳選!
ここまでは灯油ストーブの選び方や使用上の注意点を解説してきました。ここからは数多くの灯油ストーブのなかからとくに冬キャンプにおすすめの製品をご紹介します。まずは低コストで導入できる反射式のおすすめからご覧ください。
グリーンウッド(Green wood) 石油ストーブGKP-P248N
サイズ | 幅34.5×奥行き34×高さ39.5 |
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暖房出力 | 2.4kw |
適用畳数 木造 | 7畳 |
適用畳数 コンクリート | 9畳 |
燃焼継続時間 | 13.7時間 |
タンク容量 | 3.2L |
重量 | 6.1kg |
兵庫県に本社を置き、灯油ストーブやガス調理器などを販売している株式会社グリーンウッドの製品。持ち運びに便利なコンパクトなボディと、迷いようのないシンプルな機能が特徴です。給油サインの機能が搭載されている点も便利なポイント。
国内メーカーが取り扱う反射式灯油ストーブのなかでもとくに低価格で、これから冬キャンプの装備をいろいろとそろえていかなくてはならない方でも購入しやすいのが魅力。比較的軽量で、女性の方でも持ち運びに苦労することはないでしょう。
コロナ(CORONA) ポータブル石油ストーブRX-22YA
サイズ | 幅45.2×奥行32.4×高さ47.5cm |
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暖房出力 | 2.24kW |
適用畳数 木造 | 6畳 |
適用畳数 コンクリート | 8畳 |
燃焼継続時間 | 17時間 |
タンク容量 | 3.7L |
重量 | 7.4kg |
国内有名メーカー、コロナの低価格モデル。緊急時にすぐに消化できる「スピード消化ボタン」や、ワンタッチで燃料タンクの蓋を開閉できる「よごれま栓」といった便利機能を搭載。そしてこちらの灯油ストーブも給油サインを備えています。
使い勝手を良くするための機能をいくつか装備していながら、1万円を切るお手頃価格。暖房器具メーカーとしての歴史が長いコロナの製品ということで、安心して使用できるのも良いところです。
トヨトミ(TOYOTOMI) 石油ストーブ RS-H290
サイズ | 幅31.2×奥行35.6×高さ46cm |
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暖房出力 | 2.87~2.44kW |
適用畳数 木造 | 8畳 |
適用畳数 コンクリート | 10畳 |
燃焼継続時間 | 12.9時間 |
タンク容量 | 3.6L |
重量 | 7.5kg |
本体がスリムかつコンパクトでありながら、高い暖房出力を誇るモデル。環境にあわせて2.87~2.44kWの範囲で出力を調整することができます。反射式の灯油ストーブとしてはめずらしく、大きな持ち手が備わっていることも要注目のポイントです。
炎を安定させる「消臭リング」のはたらきにより、灯油ストーブ特有のニオイを可能なかぎりセーブ。芯が劣化して火力が落ちてきたら「でるでる芯」機能を利用して芯の長さを調整し、火力を元どおりに回復することができます。
アラジン(Aladdin) 石油ストーブ CAP-U288
サイズ | 幅34.5×奥行き32.7×高さ49.6cm |
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暖房出力 | 2.80〜1.87kW |
適用畳数 木造 | 8畳 |
適用畳数 コンクリート | 10畳 |
燃焼継続時間 | 16〜24.2時間 |
タンク容量 | 4.4L |
重量 | 7.6kg |
1919年にイギリスで誕生した暖房機器の老舗、アラジンが販売している灯油ストーブ。反射式はホワイトやブラック一色のものが多いなか、アラジン製品としてはおなじみのグリーンが非常に個性的です。反射式ストーブの地味なデザインが苦手という方におすすめします。
もちろん見た目が良いだけではありません。広い空間を暖めるのに十分なパワーを持っていることにくわえ、3・5・8時間で自動的に消火するタイマー機能を搭載しています。
電源不要の灯油ストーブでタイマー機能を備えている製品はほかにないので、少々価格が高くても手に入れる価値は十分にあるといって良いでしょう。
【対流式】灯油ストーブのおすすめ5選|オシャレな人気商品をご紹介!
続いて、対流式の灯油ストーブのおすすめをご紹介します。広い空間を暖めるのに使用したい方や、デザインがオシャレな灯油ストーブが欲しい方はこちらのタイプが向いています。
トヨトミ (TOYOTOMI) レインボーストーブRB-250
サイズ | 幅38.8×奥行き38.8×高さ47.4cm |
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暖房出力 | 2.50kW~1.25kW |
適用畳数 木造 | 7畳 |
適用畳数 コンクリート | 9畳 |
燃焼継続時間 | 20.2〜40.2時間 |
タンク容量 | 4.9L |
重量 | 6.2kg |
ヒーター部を取り囲むガラスカバーに炎のリングがいくつも映し出され、40Wの白熱球に相当する光を放つ製品。灯油ストーブのなかでもひときわ明るく空間を照らし、幻想的な虹色の光がムーディーな夜を演出します。
全体的にスッキリとしたシルエットが特徴的で、比較的コンパクトなためキャンプにも持って行きやすいのがこの灯油ストーブの良いところ。さらに火力の調整幅が広いので省エネ運転も可能と、デザインにおいても使い勝手においても非常に優秀な大人気商品です。
トヨトミ (TOYOTOMI) レインボーストーブRB-250と見た目もそっくりなスノーピーク(snow peak)レインボーストーブはトヨトミのOEM商品です。
アルパカ(Alpaca)ストーブコンパクトTS-77JS-C
サイズ | 幅35×奥行き35×高さ40.5cm |
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暖房出力 | 3.0kW |
適用畳数 | 8畳〜10畳 |
燃焼継続時間 | 10時間 |
タンク容量 | 3.7L |
重量 | 6.6kg |
これまでに数多くのキャンパーたちから愛されてきたアルパカストーブ。日本の厳しい検査基準に合格したことで、ついに日本国内での正式販売が開始されました。小さなボディから放たれる熱量はすさまじく、同様のサイズの製品のなかでは圧倒的な暖房出力を誇ります。
過去のアルパカストーブと比較するとデザインが洗練されており、各部の作りがよりしっかりと頑丈に作られているのが特徴です。ほかの対流式灯油ストーブよりも燃焼時間が短めなので、1泊2日のキャンプで使用する際は予備の灯油も持っていくと安心です。
トヨトミ(TOYOTOMI) レインボーストーブクラシックCL-250
サイズ | 幅38.8×奥行き38.8×高さ48.0cm |
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暖房出力 | 2.50kW~1.25kW |
適用畳数 木造 | 7畳 |
適用畳数 コンクリート | 9畳 |
燃焼継続時間 | 20.2〜40.2時間 |
タンク容量 | 4.9L |
重量 | 6.2kg |
トヨトミの人気商品である、レインボーストーブの外装をアンティーク調に仕上げた灯油ストーブ。クラシカルな見た目が雰囲気たっぷりで、美しくデザインされたヒーターガードを通して見えるオレンジ色の明かりはいつまででも眺めていたくなります。
紺色のボディに金色の文字が配されたカラーリングも特徴的で、凛としたたたずまいと、あふれんばかりの高級感をあわせ持っているところがほかの製品にはないキャラクター。ふと視界に入るたびに幸せな気持ちになる、オンリーワンな存在です。
スノーピーク(snow peak) グローストーブKH-100BK
サイズ | 幅38.8×奥行き38.8×高さ47.4cm |
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暖房出力 | 2.54kW |
適用畳数 | ー |
燃焼継続時間 | 20時間 |
タンク容量 | 4.9L |
重量 | 5.9kg |
2019年の12月にスノーピークから新たに発売された灯油ストーブ。スペックはトヨトミのレインボーストーブとよく似ていますが、反射式灯油ストーブやアルパカストーブのように、赤熱する燃焼筒が使用されていることが大きな違いです。
おもに上に向かって熱を放出するレインボーストーブとくらべ、こちらのグローストーブは周囲360度にわたってとても暖かく感じられるのが特徴。そして全体のデザインはスノーピークらしく非常にスタイリッシュ。価格は高めですが、そのぶん大きな満足感を得られる逸品です。

アラジン(Aladdin) ブルーフレームヒーター BF3911
サイズ | 幅38.8×奥行き40.5×高さ55.1cm |
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暖房出力 | 2.68kW |
適用畳数 木造 | 7畳 |
適用畳数 コンクリート | 10畳 |
燃焼継続時間 | 15時間 |
タンク容量 | 4.1L |
重量 | 8.5kg |
数ある対流式灯油ストーブのなかでも、ひときわ強い個性を持っている製品。商品名にある「ブルーフレーム」を象徴する青い炎は、理想的な燃焼がおこなわれている証拠。一酸化炭素や嫌なニオイが発生しにくく、暖かかくて快適な空間づくりに役立ってくれます。
画像で見るとサイズが大きめに感じられるでしょうが、実際はかなりコンパクト。テント内で使用しても邪魔になりません。スチームパンクとも表現できそうなそのレトロデザインが、冬キャンプにおいても普段の私生活においても、空間全体をより華やかに飾ってくれます。

灯油ストーブのおすすめと安全対策のまとめ

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薪ストーブよりも手軽でガスヒーターよりも暖かい灯油ストーブは、寒い時期のキャンプを快適に楽しませてくれる便利なアイテム。キャンプだけでなく家でも使用できるため、たまにしかキャンプに行かない方であっても無駄な買い物にならないのが良いところでもあります。
今回ご紹介した灯油ストーブの選び方を参考にしたうえで機能性やデザイン性にも着目し、何年も愛用できるお気に入りを見つけてください。
そして冬キャンプで灯油ストーブを使用する際には、一酸化炭素中毒や火災などの事故には十分に注意し、万全の安全対策をおこなうことを忘れないようにしましょう。


