キャンプサイトや山の頂で格別の珈琲を頂くために欠かせないシングルバーナー。途中でガス欠になるのが不安で、余分に用意したり、大きいサイズを選んでしまう経験はございませんか?
そこで今回はOD缶の失敗しないサイズ選びについてご紹介します。数多く販売されているガス缶の中から使用用途に最適なサイズのOD缶を選ぶための情報となってますので、ぜひ最後までご覧になってください。
OD缶のサイズは3種類
まず、自宅でカセットコンロなどに使うCB(カセットボンベ)缶に比べ、OD(アウトドア)缶はより本格的なアウトドアでの使用に適していることは押さえておきましょう!
そして、今回解説していくランタンやガスバーナーなどの燃料となるOD缶のサイズの種類は全部で3種類。
- 110(小)サイズ
- 250(中)サイズ
- 500(大)サイズ
軽量でコンパクトな1泊程度のキャンプにおすすめの110サイズと、調理など汎用性が高い250サイズ、そして大人数でのキャンプで活躍する500サイズがあります。
詳しい特徴などは後述しますが、それぞれサイズによって燃焼時間やおすすめの用途などが異なるため、使用シーンを具体的に想像できると最適なサイズが選ぶことができますよ。
OD缶サイズの選び方
「大・中・小とサイズがあるけど実際どれを選べばよいか検討がつかない・・・」という方のために、目安となる使用用途をOD缶のサイズ別でご紹介していきます。サイズ選びの参考にしてみてください。
OD缶サイズ110の選び方
一番小さいサイズの110タイプは以下の使用用途に最適です。
- シングルバーナーでお湯を沸かしたり簡単な調理をするとき
- 日帰りや一泊程度の工程
- 少しでも荷物を軽量化したいソロキャンパーや登山者
コンパクトな110サイズは荷物が嵩張らずコンパクトに持ち運びできるので、軽量コンパクトな装備に拘りたいキャンパーや登山者に最適です。お湯を沸かしてコーヒーを飲んだりフリーズドライを温めるなど5分程度の簡単調理なら約5〜6回使用できるので、日帰りや一泊程度の工程向けとなります。
OD缶サイズ250の選び方
標準サイズの250サイズは以下の用途に最適です。
- 「焼く・炒める・煮込む」などの本格調理をしたいとき
- 連泊キャンプや縦走登山をするとき
- 冬キャンプや厳冬期の登山など
一般的に汎用性の高い250サイズは、シングルバーナーで本格調理をしたいときにおすすめです。また寒さに強いガス成分を配合したOD缶が数多くラインナップしているので冬キャンプや厳冬期の登山用に最適。本格的なアウトドア活動や110サイズでは残量が不安という方におすすめです。
OD缶サイズ500の選び方
一番容量の大きい500サイズは以下の用途が最適です。
- ランタンやツーバーナーの燃料として
- 分離型シングルバーナーを使うとき
- 複数名のグループキャンプやファミリーキャンプ
500サイズは容量が一番大きいため、長時間の使用が予測されるランタンやツーバーナーでの調理におすすめです。またサイズが大きく高さがあるため一体型より分離型のバーナーを使用するときの燃料として最適。仲間でキャンプを楽しむときやファミリーキャンプなど、複数名での使用におすすめです。
各メーカーごとのOD缶のサイズ別比較表
ここでは、各社から販売されているOD缶のサイズ比較をガス容量別にご紹介します。
OD缶サイズ110の比較表
ブランド名 | SOTO | snow peak | CAPTAIN STAG | EPIgas | PRIMUS | JETBOIL | MSR |
---|---|---|---|---|---|---|---|
商品名 | パワーガス105 | ギガパワーガス 110イソ |
レギュラーガス CS−150 |
パワーカートリッジ 110 |
IP−110G | ジェットパワー 100G |
イソプロ110 |
商品 | |||||||
サイズ | Φ90×65mm | Φ90×65mm | Φ110×70mm | Φ90×69mm | Φ90×65mm | Φ90×70mm | 記載なし |
内容量 | 約105g | 110g | 150g | 100g | 100g | 100g | 110g |
ガス成分 | 液化ブタン 液化イソブタン 液化プロパン |
液化イソブタン 液化ブタン |
液化ブタン | 液化ブタン 液化プロパン |
ノルマンブタン65% イソブタン35% |
液化ブタン 液化イソブタン 液化プロパン |
イソブタン80% プロパン20% |
amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | |
参考価格 | ¥600 | ¥400 | ¥879 | ¥540 | ¥480 | ¥506 | ¥770 |
※参考価格は2022年12月現在のamazon価格
OD缶サイズ250の比較表
ブランド名 | SOTO | snow peak | Coleman | CAPTAIN STAG |
EPIgas | PRIMUS | JETBOIL | MSR |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
商品名 | パワーガス250 | ギガパワー250 イソ |
レギュラーガス 230T |
レギュラーガス CS−250 |
レギュラーガス 230 |
IP−250G | ジェットパワー 230g |
イソプロ270 |
商品 | ||||||||
サイズ | Φ110×90mm | Φ107×90mm | Φ110×88mm | Φ110×90mm | Φ109×80mm | Φ110×90mm | Φ110×100mm | 記載なし |
内容量 | 230g | 220g | 230g | 230g | 230g | 225g | 230g | 226g |
ガス成分 | 液化プロパン 液化イソブタン 液化ブタン |
液化イソブタン 液化ブタン |
プロパンガスミックス | 記載なし | 液化ブタン 液化プロパン |
ノルマンブタン65% イソブタン35% |
液化プロパン 液化イソブタン 液化ブタン |
イソブタン80% プロパン20% |
amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | |
参考価格 | ¥660 | ¥550 | ¥573 | ¥448 | ¥538 | ¥495 | ¥660 | ¥935 |
※参考価格は2022年12月現在のamazon価格
OD缶サイズ500の比較表
ブランド名 | SOTO | snow peak | Coleman | CAPTAIN STAG |
EPIgas | PRIMUS |
---|---|---|---|---|---|---|
商品名 | パワーガス500 | ギガパワー500 イソ |
レギュラーガス 470T |
レギュラーガス CS−500 |
レギュラーガス 500 |
IP−500G |
商品 | ||||||
サイズ | Φ110×150mm | Φ107×147mm | Φ110×148mm | Φ110×150mm | Φ109×145mm | Φ110×150mm |
内容量 | 460g | 420g | 470g | 470g | 470g | 460g |
ガス成分 | 液化プロパン 液化イソブタン 液化ブタン |
液化イソブタン 液化ブタン |
プロパンガスミックス | 記載なし | 記載なし | ノルマンブタン約65% イソブタン約35% |
amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | amazon | |
参考価格 | ¥1,100 | ¥880 | ¥886 | ¥878 | ¥800 | ¥919 |
※参考価格は2022年12月現在のamazon価格
OD缶の充填ガスの種類と使い分け方
OD缶に充填されているガスには以下の3つの種類があります。
- ブタン(ノルマルブタン)
- イソブタン
- プロパン
家庭用コンロで使用するCB缶はブタンを主成分とするのに対して、OD缶ではブタンよりも沸点温度が低い「イソブタン」や「プロパン」などを配合しています。そのためOD缶は低温環境でも安定した火力が得られるので寒冷地に強いガス缶といえます。
ここではガス成分の違いによる使い分けについて解説していきます。
3シーズン用はブタンを主成分としたOD缶
春から秋にかけてのキャンプや低地でのハイキングなど、冷え込みの厳しくない環境で使用する場合はブタンを主成分としたOD缶が最適です。ブタンは沸点温度が−5℃であり、0℃を下回らない環境での使用に適します。
気温が低下するほどガスが気化しにくく火力が減少してくるので、使用環境が10℃前後を目安とした使い分けが一番快適に使用できるでしょう。
冬用はイソブタンやプロパンが配合されたOD缶
朝晩の冷え込みが厳しい冬キャンプや標高の高い登山で使用する場合は、沸点が低いイソブタンやプロパンが配合されたOD缶がおすすめです。イソブタンの沸点は−11.7℃であり、氷点下でもガスが気化しやすいのが特徴。そのためイソブタンやプロパンが配合されたOD缶なら冬キャンプや登山でも安定した火力で使用することができます。
使用環境が0℃前後を目安に使い分けするとよいでしょう。
厳冬期用はプロパンが主成分のOD缶
厳冬期のキャンプや登山で使用する場合は、プロパンが主成分のOD缶が最適です。プロパンは−42.09℃と非常に沸点が低く、氷点下を遥かに下回る気温でも使用することができるのが特徴。雪中キャンプや雪山登山でも安定した火力が得られます。
厳冬期での使用にはプロパン成分の比率が高いOD缶を選ぶのがポイントです。
OD缶のサイズごとの高さや直径を比較
OD缶のガス容量によってガス缶の大きさが違うので、使用用途や持ち運びする際の使い勝手が変わります。そこでOD缶の高さや直径を例に使い勝手の違いを解説していきます。
高さ
OD缶の高さによって使用する燃焼器具の使い勝手が変わります。高さが高ければ高いほど直結したバーナーヘッドのグラつき感が増し、ゴトクに乗せたクッカーや調理器具が不安定となり危険です。
例えばアウトドア専用のガスカートリッジでお馴染みのプリムス製OD缶を例にすると、
- 110(小)サイズ・・・高さ65mm
- 250(中)サイズ・・・高さ90mm
- 500(大)サイズ・・・高さ150mm
ご覧のようにサイズによってこれだけの高さの違いがあります。
そのため一体型のシングルバーナーを使用する場合は110や250サイズが安定して使用できます。500サイズは分離型シングルバーナーに使用することで高さの影響を受けず使用することが可能です。
直径
またOD缶の直径の違いで持ち運びやすさや収納の使い勝手が変わります。直径が小さくコンパクトな方がわずかなスペースに収納できるので持ち運びに便利です。
同じくプリムス製OD缶でサイズによる直径の違いを見てみると
- 110(小)サイズ・・・直径90mm
- 250(中)サイズ・・・直径110mm
- 500(大)サイズ・・・直径110mm
直径による大きな違いは少なく、どのサイズも500ml程度の小型クッカーにスタッキングして持ち運びできます。
しかしながら直径が大きくなるほど高さや重量も比例して大きくなるので持ち運びが不便に。少しでも荷物を少なく軽量化したいソロキャンプや登山での使用なら、嵩張らず軽量コンパクトに収納できるサイズ感が有利です。
重量やガス残量
プリムス製OD缶を使ったサイズによる重量の違いです。
サイズ | 110 | 250 | 500 |
---|---|---|---|
重量 | 約190g | 約380g | 約680g |
缶単体 | 約100g | 約150g | 約200g |
メーカーによって差はありますが、燃料抜きの缶単体の重量はほとんど変わらないので、新品の状態からどれぐらい減ったかで燃料計算の目安になります。
OD缶のサイズごとの燃焼時間は?
気になるサイズ別の燃焼時間ですが、一般的に目安とされているのが以下のとおり。
110(小)サイズ | 燃焼時間:約20〜30分 |
---|---|
250(中)サイズ | 燃焼時間:約60分 |
500(大)サイズ | 燃焼時間:約120分 |
お湯を沸かしてコーヒーやフリーズドライ・レトルト食品などを調理したときの一回の燃焼時間を約5分とすると、
110(小)サイズ | 約6回 |
---|---|
250(中)サイズ | 約12回 |
500(大)サイズ | 約24回 |
上記のようにおおよその使用回数の目安が分かります。
凝った調理をしない限りは、
110(小)サイズ | 日帰りや一泊程度のキャンプや登山 |
---|---|
250(中)サイズ | 連泊する工程や縦走登山 |
500(大)サイズ | 大人数のグループキャンプやファミリーキャンプ |
燃焼時間の目安が分かることで、使用用途に最適なサイズを選ぶことができます。
※使用環境により燃焼時間は変動します。
OD缶のドロップダウン対策
液化ガスを燃料とするOD缶は、長時間連続使用することで「ドロップダウン現象」を起こします。
ドロップダウン現象とは、気化熱によりボンベ内が冷えることで液化ガスが気化しにくくなる現象のこと。液化ガスが気化する際に周囲の熱を奪うことで発生する気化熱が原因でガス缶がどんどん冷え、気化しにくい状態となります。ガス残量に余裕があってもどんどん火力が低下していくのはそのためです。
ドロップダウン対策として
- 使用前に手やカイロでガス缶を温める
- レギュレーター機能が搭載しているバーナーを使う
- 寒さに強いOD缶を使う
上記3点がドロップダウン現象を軽減させる対策となります。
OD缶の捨て方
OD缶を捨てる際は、以下のポイントに注意しましょう。
- ガスを使い切ること
- 捨てる際は各自治体の指示に従う
- ガス抜きする際は必ず換気のよい場所で行う
まず第一に、OD缶のガス残量を使い切ってから捨てること。火災事故の原因となりますので必ず使い切ってから捨てることが大事です。もしOD缶を振ってみてシャカシャカ音がすれば液体のガスが残っている証拠。換気のよい場所でしばらく燃焼させ、火が消えるまで使い切りましょう。
また処分方法は各自治体によって違いがあるので、お住まいの自治体の指示に従って処分するのがポイントです。過去、大量のスプレー缶処分時に爆発事故が起こって以来、ガス缶に穴を開けずに処分するよう指示する自治体が増えています。
お住まいの自治体で穴を開けてから捨てるよう指示がある場合は、周囲に引火物がなく換気の良い場所でガス抜きしてから処分するようにしましょう。
CB缶とOD缶との違い
冒頭で「よりアウトドアに適したガス缶がOD缶」とざっくり説明しましたが、最後にCB缶とOD缶の違いについて簡単に説明しますね。
まず、CB缶というのは「カセットガスボンベ」のことで、馴染みのある縦長のガスとなります。OD缶と比べ安価で手に入りやすいので「できるだけこっちを使いたい!」と思う気持ちも分かりますが、OD缶と比較して火力が弱く、特に寒い場所での使用時に火力が弱まってしまう傾向があります。
対してOD缶はアウトドア専用ということもあり火力が強く、寒い場所での使用に特化した種類も販売されています。価格はCB缶より高いですが、屋外で安定して調理などを楽しみたい方はOD缶の使用がベストです。
どちらにもメリットデメリットがあるので好きな方を…とはいきません。互いに交換性がなく、CB缶用の火器にはCB缶、OD缶用の火器にはOD缶しか使えないので「どっちでもいいや」は厳禁です!ですのでガス缶購入時にはどちらのガスが適しているのか把握しておきましょう。
まとめ
今回はシングルバーナーのガス燃料であるOD缶についてご紹介してみました。
携帯コンロの燃料であるCB缶と比べて、OD缶は寒さに強くアウトドアの使用に最適なガス燃料です。各メーカーからさまざまな種類が販売されており、使用用途に最適なOD缶を選ぶにはガス成分やサイズ別の特徴を知ることがポイントです。
ぜひ今回の記事を参考に、ご自身のアウトドアスタイルに最適なOD缶を選んでみてくださいね。