キャンプの可能性を無限に広げてくれる軍幕キャンプ。上級者向けのイメージもあるかもしれませんが、最近はインターネット上で気軽にポンチョテントが購入できることからキャンプ初心者からも注目され始めています。
ポンチョと言えば四角形の真ん中開いた穴に頭を通して着る南米の民族衣装ですが、テントに応用をしてキャンプで利用できるようにしたものをポンチョテントと呼びます。
軍幕は一般的なテントの素材とは違い、キャンプ向きの素材にピッタリであるとも言えます。キャンプに遊び心を持ちたいという方、さらに上級者向けの無骨キャンプを楽しみたいという方のために、今回はサイズ2のポーランド軍ポンチョテントで使い方の詳細レビューをします。
ポーランド軍幕ポンチョテントとは?
ポンチョテントとはもともと、ポーランド軍で使用していた軍幕仕様のものとなります。一般的なテントはメーカーが製造販売しているので購入しやすいのですが、ポンチョテントは基本的に軍幕の払い下げ品のため手に入れにくいという特徴がありました。しかし、現在はインターネット上でも購入できるようになったためキャンプ好きの方が積極的に購入し楽しめるアイテムとなっています。
ポンチョテントはワンポールテント
<セット内容>
- ポンチョ×2
- ポール3節×2
- ペグ4×2
ポンチョテントは製造年によって異なる場合もありますが、基本的にポンチョ1枚につきポール(3節または2節)が1本とペグが1セットになっています。
ポンチョ2枚をボタンでつなぎ合わせて1枚テントにして、2本の3節ポールをつなぎ合わせてセンターポールにします。
ポンチョテントの重さは?
サイズ2の重さになりますが
- ポンチョ2枚:2.8kg
- ポール2組:0.3kg
合わせて3kg程度の重さになりますので、通常のソロテントと比べると若干重たい仕様となっています。サイズ違いの重さも多少の前後がありますが3kg程度の重さです。
ポンチョテントは夏より冬向き
軍事用として軍が使用する前提で作られているため、生地は厚手で重たいのが特徴。ポーランドの涼しめの気候に合わせて厚手の難燃コットン素材となっているので、熱がこもりやすいという欠点もあります。そのため、気温が上がっている夏の利用には不向きとも言えます。
ポンチョテントはソロキャンプ向き
近年の傾向から、軽くて丈夫な素材が好まれるテントにおいてはデメリットが多いのではと思われがちですが「骨組みがない」「火に強い」「丈夫」という特徴から張り方が無限にあるというのがポーランド軍のポンチョテントの最大のメリットです。
軍幕はもともと第二次世界大戦時に軍隊1名につき1枚支給されていたという歴史もあるので、自然の中で寝泊まりするキャンプには向いている素材と言えるでしょう。組み立てるだけのマニュアル通りのテントとは違い、自分だけのスタイルを確立できるカスタマイズ性があるので、キャンプにこだわりを持ちたいという方には最適です。
ポーランド軍ポンチョテントのサイズは3種類
ポーランド軍テントにはサイズ規格があります。
- サイズ1(160~170)
- サイズ2(170~180)
- サイズ3(180~190)
となっており、ポーランド軍兵士の身長でサイズが分かれていて、サイズが大きいほど組み合わせたテントが大きくなります。
※Sサイズ、Mサイズ、Lサイズと表記されて販売されているケースもあります。
また、2枚のポンチョをボタンで留め合わせて使用するため2枚セットで販売されていることが多いのですが、購入時は念のため「2枚組、2枚セット」などの表示があることを確認しましょう。
サイズ違いでも利用可能?
サイズ違いでも組み合わせて利用することは可能ですが、隙間が出来たり空間が狭くなったりしてしまうので、同サイズの組み合わせで使うことをおすすめします。
サイズの選び方
通常のテントと比較するとやや小さめとなっているので1人用として使うのであればサイズ2から、ゆったりと使用するのであればサイズ3が最適です。日本で販売されている市販のテントは中のスペースが広めに設計されているものが多いですが、ポーランド軍のポンチョテントはそこまでの広さはありませんので、失敗のないように購入時は慎重に選ぶようにしましょう。
サイズによってハトメの数が違う
- サイズ1:1個
- サイズ2:2個
- サイズ3:3個
サイズによってハトメの数が違いますので、サイズの見分け方の参考になります。
ポーランド軍ポンチョテントのポールの長さ
ポンチョテントのポールは6本繋ぎになっており、繋ぎ合わせると
約142cmです。サイズ違いでも同じ長さなので、ポールを忘れた場合でも枯れ木を同じ長さに切断すれば、代用することも可能です。
ポールは接続部分が外れやすい
ポールの接続部分は簡易的にハメ込むだけの仕様になってますので、ポンチョテント設営時にはポールがバラバラになりやすいです。軍隊仕様なので仕方がないことですが、ポールを立てる時は注意が必要です。
ポーランド軍ポンチョテントの張り方
ポーランド軍ポンチョテントの張り方をボタンの留め方から詳しく解説します。
ポンチョテントを設営前にする事
ポンチョテントを設営する前に、テントの各ハトメにパラコードでループを作っておくとペグが打ちやすくなります。
30cm程度のパラコードを8本用意して各ハトメにループを作ります。
付属のペグは頼りなくすぐ曲がるので、他のペグを使用することをおすすめします。
ポンチョテントの張り方(ボタンの留め方)
ポンチョテント2枚を広げてボタンで留めていきます。ポケットのフタ(フラップ)がある方が表面になりますので、確認しましょう。
1枚の方にボタンとボタンを留める穴があるので、もう一枚をボタンで留めます。
ボタンを留めた上から挟むようにボタンを留めます。
ポンチョテントの上部までボタンを留めたら、先端を裏返します。
裏返しにした先端部分を重ね合わせます。
重ね合わしたら、①②の順に再度ボタンを留めていきます。
右と左のボタンの位置が反対になりますが、同じように留めます。
ポンチョテントの上部から2個か3個までボタンを留めます。
こちらがポンチョテントの入り口になります。
ポンチョテントの張り方(設営)
ペグ打ちをする前に正面入り口の一番下のボタンを留めておきます。
一番最初にボタンを留めておかないと入り口をクローズすることができなくなります。
②④⑥⑧の4か所のループをペグダウン。
ポールをつなぎ合わせて中に入れ、ポンチョテントを自立させます。
6本繋ぎの一番下のポールを持たないとポールがバラバラになりやすいです。
残り4ヶ所をペグダウンします。
この時、ペグダウンする場所の幅がなるべく均等にすると、きれいに張れます。
完成
出入口のオープンパターン
ポンチョテントの出入り口の開閉は3パターンです。
張り方のコツ①幕はピンと張らずにたるませる
ポーランド軍ポンチョテントは、ピンと張らずにたるませて張った方が、かっこよく見えます。ピンと張ると幕が浮いた状態になり、幕と地面の間に隙間ができるので、冬に使用する場合は特にその点に注意した方が、隙間風もあまり入らずに快適に過ごせます。
張り方のコツ②ペグを打つ場所
ポンチョテントを設営する時、慣れないうちは綺麗な八角形になりにくいです。綺麗な八角形で設営できるコツを紹介します。
サイズ2のたるんだポンチョテントの場合、センターポールからペグまでの長さは約123cm。ポンチョテントを設営する場所に123cmのパラコードで円を描くことで、大体のペグを打つ場所がわかります。ピンと張る場合はもう少し長めに調節してください。
張り方のコツ③石や落ち葉で隙間を埋める
ポンチョテントの幕内は狭い空間なので、幕内に荷物を入れると荷物が当たる場所の幕が浮いてしまいます。その場合は石や落ち葉で隙間を埋めると隙間風対策になります。
ポーランド軍ポンチョテントの綺麗なたたみ方
ポンチョテントのたたみ方は、人それぞれ違うと思いますが、参考までにご紹介します。
ポンチョテントを折りたたんで2枚重ね合わせた状態にします。
半分にたたみます。
もう半分にたたみます。
三角形を縦に半分になるようにたたみます。
長方形になるようにたたみます。
丸めるか折りたたんで終了です。
ポーランド軍ポンチョテントはファスナー加工が必要?
USパップテントではファスナー加工があれば便利と感じることはあっても、ポーランド軍幕では必要な要素を感じることはないです。
テント張綱ストレッチコードがあれば不自由なく出入りできますし、ファスナーより簡単に幕の開け閉めができます。
オープン時に幕の端をストレッチコードでペグにひっかけることもでき、幕が垂れ下がってくる心配もないので、テント張綱ストレッチコードの方が利便性が高いと言えます。
ポーランド軍ポンチョテントへの薪ストーブの入れ方と注意点
ポーランド軍のポンチョテントに薪ストーブを入れる際の入れ方と注意点をまとめてみました。
薪ストーブの配置場所
薪ストーブの配置場所は、基本的に煙突の出し口になるポンチョテントの4つのポケットの位置になります。好みになりますが、個人的には出入口を広くしたいので、奥に薪ストーブ配置しています。
煙突に触れないようにする
今回煙突ガードを使用してますが、煙突ガードがあっても触れる場所は温度が上がります。今まで使用して溶けたことはありませんが、ボタンなどが解ける可能性もありますので、気になる方は薪や枯れ木などで煙突が触れないようにすると安心です。
一酸化炭素中毒に注意する
テント内で薪ストーブを使用することは大変危険なので、最低でも1時間に1回は十分な換気を行いましょう。
二股化するほうが使いやすい
ポーランド軍のポンチョテントで薪ストーブを使用する時は、セッターポールが邪魔になるので、二股化するほうが配置しやすいく使いやすいです。
二股ポールを使って角度を固定、テントポールを固定させて、あとはポンチョを被せるだけというようなイメージです。ポールを二股化させることによってテント内の中心部を広く利用できるため空間を広くできるというメリットがあります。
また、火に強く優れた難燃性があるので、ポールを二股化させることで薪ストーブを中で使用することが可能です。多少の火の粉や炭がテントに飛んでも破れることはほとんどありません。
火を扱う調理であってもテント内でできるというのはポーランド軍のポンチョテントのメリットの1つでもあります。自由が利かないマニュアルだけのテントとの違いを見せる意味でも、二股化をして楽しめるというのもポンチョテントの良さですが、ある程度テントに関して知識がないと難しい作業となっていますので、キャンプ当日はある程度設置のための時間に余裕を持っておくことが必要です。
ポーランド軍ポンチョテントに蚊帳を入れてみた
ポンチョテントに中華製の蚊帳を入れてみましたが、一人用の蚊帳ですがサイズが大きく二股化の必要がありました。また、蚊帳にスペースを大きく取られてしまうので、就寝時のみ蚊帳を張るといった工夫が必要があります。
ポーランド軍ポンチョテントにコットは入る?
サイズ2のテント内の広さを対角線に測ると246×246cmです。ペグからペグの長さなのでデッドスペースを含んだ長さです。
通常のテントよりも小さめとなっているポーランド軍のポンチョテントですので、コットとの相性はあまり良くはありません。コットが入ると中のスペースが埋まってしまう状況になってしまいます。
サイズ2のポンチョテントにコットを入れてみた
長さ190cmのネイチャーハイクのコットをサイズ2のポンチョテントに入れてみましたが、165cmの男性が寝てみると目の前に幕がきてしまい圧迫感があります。テントをピンと張れば多少緩和されるかもしれませんが、標準身長の方が寝ると幕に触れる可能性があります。
幕もコットが干渉して浮いてしまいます。
二股化して真ん中にコットを置くか、コットを使用せずにグランドシートやインナーマット、気温が低い季節には寝袋やインナーマットの2枚使いなどを活用して冷気を遮断するという工夫も必要になってきます。
ポーランド軍ポンチョテントのグランドシートのサイズ
普段使用してるグランドシートのサイズは162×166cmです。なかなかこのサイズの販売はないと思いますが、サイズ2のポンチョテントのグランドシート選びの目安になると思います。
ポンチョテントは八角形なのでデッドスペースもありますが、これ以上大きくなると幕からグランドシートがはみ出てしまうので、折りたたんで使用するようになります。
ポーランド軍ポンチョテントに連結タープ(プラシパラトカ)
ポーランド軍のポンチョテントに合うタープと言えば、ソ連軍プラシパラトカ。プラシパラトカとは一言でいうとロシアのポンチョテントのようなものです。火に強いという特徴もありますので、ポーランド軍のポンチョテントに合うタープとして一番に名前が挙がってくるのがソ連軍プラシパラトカでもあります。
旧ソ連軍が使用していたテントにもなる雨具で、狙撃手が身を隠すために使っていたという話もあります。単純に見た目がかっこいいということもありますが、自由度の高いキャンプを楽しみたいという意味でも大活躍してくれます。
素材がコットン生地となっているので、ポーランド軍のポンチョテントと同様に火に強く丈夫で相性が抜群。雨具という要素が強いことからも他の軍幕と連結してタープとして使用するケースが多いという特徴があります。
連結タープの仕方は、ポンチョテントの先端にタープをかぶせて連結させます。写真ではパラコード1本ですが、2本で後ろに引っ張ります。ポールの長さは180cmのポールを使用してます。
今回使用したポールはユニフレームのREVOポール180で3本繋ぎのポールなので高さ調節ができ、120cmでタープを連結すると横からの風にも対応できます。
ポーランド軍テントとプラシパラトカの一辺の長さが違いますが、一つ目のハトメ(先端に近い)をタープのハトメに合わせてパラコードで結び、連結させることもできます。
加工しなくてもボタンの位置を合わすことで、何個かのボタンで留めて連結できます。
今回紹介しているポーランド軍のポンチョテントとも相性抜群なので、タープにもこだわりたいという方にはソ連軍プラシパラトカがオススメです。
ポーランド軍ポンチョテントの雨対策
DDタープをダイヤモンド張りのアレンジで、ポーランド軍テントの雨対策をすることが可能です。簡易的なダブルウォールともなり風対策にもなります。リッジラインを使って張ったAフレームでも雨対策をすることも可能ですが、見た目のかっこよさはダイヤモンド張りです。
ポールの長さは220cmを使用してます。
風があると濡れることもありますが、前室もできコンパクトな焚き火台なら焚き火も可能です。
今回使用したDDタープは3×3ですが、4×4で張るとテントをスッポリ覆い被せることもできます。
ポーランド軍幕ポンチョテントの詳細レビューのまとめ
ポーランド軍のポンチョテントについて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
「骨組みがない」「焚火に強い」「丈夫」という特徴から張り方が無限にあるということからもキャンプ上級者の方から常に注目され続けています。
もともと軍事用として使われていたアイテムとなっているので、純粋にかっこいいということも人気の要素となっています。
通常の組み立て式のテントと違いマニュアルがなくカスタマイズ性に優れているので、キャンプ本来の楽しみを無限に広げてくれるアイテムでもあります。これから軍幕デビューを考えている方はぜひポーランド軍のポンチョテントにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
軍幕に合うタープとしてソ連軍プラシパラトカもありますので、キャンプの楽しみの幅を広げるという意味では合わせて使ってみるのも良いでしょう。