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軽アイゼンとチェーンスパイクの違いと積雪期の低山での使い分け方まとめ

主に積雪期の低山から残雪の凍結道まで幅広く使える軽アイゼンから、一般的な軽アイゼンとバリエーションであるチェーンスパイク違いと使い分け方をご紹介します。

11月頃、各地の山で順次冠雪し、登山は積雪期に入ります。

積雪期に入ると初級者向けであった夏道が中級者向けのルートに変わり、積雪の影響は足元が最も大きく、転倒、滑落のリスクが高まります。

このリスクに対応するため、登山ではアイゼンという爪の付いたスパイクのような道具を使って登っていきます。

軽アイゼンとは

軽アイゼンとは積雪期の滑落、転倒防止のために使われるアイゼンの中で、斜度の低い冬道を歩くための登山道具です。

アイゼンとの違い

(グリベルのセミワンタッチ12本爪アイゼン)

アイゼンと軽アイゼンでは想定されるシーンが異なります。

アイゼンでは雪面でのグリップの他、急斜面での滑落防止もメインに想定されているため、凍結した地面に爪を突き刺し滑落を停止させる必要があります。

軽アイゼンではあくまで転倒防止に主眼が置かれており、そのため夏に使えた一般登山道が積雪した場合や緩やかな斜面の上り下りといった、冬山でも難易度の低いシーンで使うことを想定しています。

アイゼンと違い軽量で価格も安いため、冬山を始めるための道具として、まず一番に購入する道具といえるでしょう。

軽アイゼンとチェーンスパイクの違い

それでは軽アイゼンとチェーンアイゼンの特徴をご紹介します。

軽アイゼンの特徴

(モンベル、スノースパイク10。前爪は足先に出ないのでアイゼン同様の前爪効果はない)

軽アイゼンは形状がアイゼンに近く、着脱方法も主にバンドを使用しています。

固定力があり、爪の強度も高いため積雪期での有効性は非常に高く、ラインナップは4本から10本と各ブランドから販売されています。

爪の数が多い程グリップ力も高まるため、冬の低山とはいえ難易度の幅は広いので、想定される登山道の状況に応じて選ぶことができます。

チェーンスパイクの特徴

軽アイゼンの派生種ともいえるアイテムで、軽アイゼン程積雪での対応力はありませんが、ゴム製で着脱が容易に行えるという本種の最大のメリットがあります。

つま先に本体を引っかけて踵に伸ばし入れるだけなので、装着時のストレスが少なく、ザックから出して付けるのが面倒というありがたちな状況が起こりにくいでしょう。

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軽アイゼンとチェーンスパイク使い分け方

軽アイゼンを使用するシーン

(軽アイゼン使用に適した登り。夏の登山道が積雪で埋もれている)

軽アイゼンでは積雪、凍結した登山道など、低山で想定される冬道にオールラウンドに対応できます。

山域にもよりますが、しっかりした降雪がある12月頃から残雪期に変わっていく3月頃までが使用の範囲となるでしょう。

雪が溶け、残雪で所々地肌が露出している時期では歩行に支障が出る上に、爪を削って寿命を縮めてしまいます。

チェーンスパイクを使用するシーン

(所々凍結が考えられる場所でも、チェーンスパイクなら安心)

主要時期は軽アイゼンと変わりませんが、根雪となると足を沈めて持ち上げる際に外れてしまうケースが増える為、あまりオススメはできません。

グリップ力も雪に対しては軽アイゼンより個人的にはやや劣る印象なので、お守り程度(チェーンスパイクなしでも対応できるが、あれば便利)に使用するのが良いでしょう。

ただし、残雪の凍結路面には効果が高く、また地肌が露出しても比較的軽アイゼンより足元の違和感が少ないのも特徴です。

メンテナンス必要性の違い

メンテナンス性は主観ですが大差はありません。

大きな汚れは水に浸けながらブラシで洗い落とせば問題なく落とせ、劣化を防ぐために日の当たらない場所で拭き上げ、乾燥させておきましょう。

どちらを買えばいいか?

軽アイゼンとチェーンアイゼンは特性が似ているため良く比較され、どちらを持つべきか悩むことがあります。

両方あっても良い

極論ですが、登山を続けていると両方とも欲しくなります。

その年によって山の状況は変わり、冬山シーズンでも前年は積もっていた時期に、冠雪すらしていないことは珍しくありません。

持ち込む道具の総重量、想定される状況は登山経験を重ねれば細かいところまで見れるようになり、どの様な道具が必要か、シビアに判断する事もあります。

軽アイゼン、チェーンアイゼンは5,000円前後で販売されているので、既に軽アイゼンがある場合でも、次のシーズンで余裕があればチェーンアイゼンを購入しても良いでしょう。

登山者の技量によって変わる

(通い慣れている冬の丹沢を探索する。行動円滑化のためチェーンアイゼンを携行する)

どちらか片方だけで良いと判断する場合は、自身の登山の技量と照らし合わせるのが良いでしょう。

私の場合、軽アイゼンを必要とする山ではチェーンアイゼンを持って行きます。

アイゼンを必要としなければ、軽アイゼンなしでも自力で登降が可能な山を選択しているのが一番の要因です。

滑落の心配がなく、転倒防止であれば、チェーンアイゼンで対応できる技量があるとの判断や、軽アイゼンなしでも登れるが、グリップ力を得て時間短縮のために使うなど、自身が行く山に軽アイゼンを必要としていないため、現在はチェーンアイゼンがメインとなっています。

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まとめ

軽アイゼンとチェーンアイゼンは似通った特性を持っており、冬の必携ともいえる登山道具です。とはいえ、ザックから出すのが面倒で使わない場合が良く見られます。

軽アイゼン、チェーンアイゼンはその最たる冬山道具で、まだ付けずに行けるかもと、そのまま登ってしまうこともあるでしょう。

結果無事に登れても、リスクを運良く回避できただけと考えると、リスクを最大限下げて登れるよう、少しでも不安があれば迷わず、そして積極的に活用しましょう。

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