メタルマッチはファイヤースターターとも呼ばれ、キャンプで火を起こすための最強ツールとして人気となっているアイテムです。メタルマッチの使い方は少々慣れとコツが要りますが、メタルマッチを使いこなせるようになるとキャンプの楽しみ方の幅が広がります。
今回はメタルマッチの使い方のコツや火起しの最強ツールとなぜ呼ばれているか?を解説した上で、数ある中から本当に良い物だけを厳選した、おすすめのメタルマッチを7つご紹介します。記事の最後には火口(ほくち:着火するためのもの)として優秀なものを記載しているので、そちらも参考にメタルマッチでの火起こしに挑戦してみてください。
メタルマッチとは?
まずはメタルマッチがどのようなものなのかを解説します。メタルマッチとは大昔から火起こしに使用されてきた火打ち石の現代版とも言えるもので、マグネシウムなどで作られたロッドとスチールのストライカーを強く擦ることで火花を起こして使用します。
構造はシンプルで使い方も簡単です。ですが素材やサイズの違いにより火花の出方が変わるほか、使用方法が特殊なものやたくさんの機能を備えているものなど、様々な種類のものがあります。メタルマッチはただ火花を起こすだけのものと思われがちですが、実は意外なほど奥深いアイテムなのです。
メタルマッチは最強の火起しツール!
メタルマッチは、天候や気温などの影響を受けずに火起しができます。ライターやマッチは雨でぬれると使い物になりませんが、メタルマッチは濡れた場合でも、乾いたタオルで拭くことにより、どんな条件下でも安定して火起しができる最強の火起しツールです。
キャンプの定番SOTOのスライドガストーチが火起し最強?
定番のSOTOスライドガストーチが最強なのでは?という声もありますが、冬のキャンプなどの低温下での使用では火力が弱く、その威力を十分に発揮することができません。
メタルマッチの寿命や使用回数はどれぐらい?
メタルマッチの寿命は、ロッドの長さや使い方によって変わりますが、使用回数は数千回使用できるものが多く、なかには1万回以上使用することができるメタルマッチもあります。
使用回数はキャンプで60回程度使用しましたが、ロッド形状の変化はなく、長い寿命を持つアイテムです。(上の写真)
メタルマッチのマグネシウムとフィロセリウムの違いは?
メタルマッチのロッドの素材は、マグネシウムとフィロセリウムの2種類があります。マグネシウムの方が安価ですが、フィロセリウムの方が3000度の高温の火花、そしてたくさんの火花を出すことができるので、より簡単に火起しをすることができます。
メタルマッチの使い方のコツとは?
構造がシンプルで簡単に使用できるのが特徴のメタルマッチですが、使い慣れている人と初心者では火起こしにかかる時間にかなりの違いが出てきます。それは簡単に着火するコツを知っているかどうかの違いがあるからです。
そこで、これからメタルマッチでの火起こしに挑戦しようとしている方に向けて、覚えておくと火起こしがずっと簡単になるメタルマッチの使い方のコツを4つご紹介します。このコツを意識しながら練習し、かっこよくスマートに火起こしができるようになりましょう。
メタルマッチの使い方のコツ①燃えやすい火口(ほくち)を使う
これが火起こしの最初の段階において特に重要です。火口は最初に着火するためものであり、火花でも火がつくものでなければなりません。最初はティッシュや麻紐などに着火、それから落ち葉、細い枝、最後に太い薪と徐々に大きく長く燃えるものを足していくのが基本です。
火口に関しては記事の後半でより詳しく解説しています。自然の中で手に入る火口や買うことができる火口などをご紹介していますので、ここでご紹介する火起こしのコツと一緒に覚えておくときっと役に立ちます。
メタルマッチの使い方のコツ②メタルマッチのロッドを削って出た粉を利用する
ロッドの素材であるマグネシウム自体が燃焼するので、このマグネシウムをあらかじめ削って火口に乗せておくことにより、大きな火花を発生させる技があります。これをするのとしないのでは、着火のしやすさがまったく違います。
やり方はとても簡単で、火花を起こすときのように素早く擦らず、火花が発生しないスピードと力加減でロッドをストライカーで削り、火口の上にマグネシウムの粉を落とします。これに向かってシュッと火花を飛ばすと高確率で着火します。
メタルマッチの使い方のコツ③ロッドを引いて火花を飛ばす
ストライカーの方を動かして火花を飛ばすやり方も間違いではないのですが、それとは逆にストライカーをロッドに押し当てたまま固定し、ロッドの方を手前に引いて火花を発生させる方法がよりおすすめです。
火花の出方が安定する上、勢い余って火口やせっかく削ったマグネシウムの粉や火口を散らしてしまうといったことが起こりません。火口に手を近づける必要があるので、着火したら火傷をしないようにすぐに火口から手を離すように気をつけましょう。
メタルマッチの使い方のコツ④ロッド全体を使う
火打石のようにバシンと弾くイメージを持つかもしれませんが、弾くと火がつきにくいので、なるべく長いストロークを心がけてロッド全体を使い、最後だけ力を込めて火花を散らすと、より火がつきやすいです。
以上の4つのメタルマッチの使い方のコツをしっかり意識しておくと、初めてメタルマッチを使用する方でも意外なほど簡単に火を起こすことができます。
メタルマッチがあればナイフの背でかっこよく火起しもできる!
メタルマッチはストライカーの代わりに、ナイフの背で火起しができます。使い方はストライカーと反対で、ナイフの背で削るように動かす方が、安全に火起しができます。
ナイフの背を使用する利点は、かっこよくスマートな点と、多くの火花を起こすことができるので、より簡単に火起しができる点です。
おすすめのメタルマッチ7選|本当に使えるアイテムのみを厳選!
ここからは初心者からベテランまで、多くの方におすすめできる最強の火起しツール、メタルマッチをご紹介します。メタルマッチの値段は数百円で買えるものから5千円を超えるものまでピンキリですが、数千回、あるいは半永久的に使用できるものなので最初から良いものを選ぶことをおすすめします。
The Friendly Swede フェロセリウム ファイアースターター
<商品スペック>
- 全長:約12cm
- ロッド:7cm
- 重量:ー
- ロッド素材:フェロセリウム
マグネシウムより激しい火花が出せるフェロセリウムがロッドの素材として使用されているメタルマッチです。7cmと長めのロッドが使いやすく、燃えやすい火口に使えば初心者であっても1発で着火できます。さらにその長さにより、約10,000回もの使用が可能です。
適度な太さがある木製の持ち手は持ちやすく安定感がある上、見た目に優れておりキャンプシーンによく似合います。ストライカーは栓抜きとしても使うことができ、使用頻度は高くないものの必要になった時のための備えになります。
Chileeany ファイヤースターター
<商品スペック>
- 全長:13cm
- 重量:110g
- ロッド素材:マグネシウム
ロッドの直径が1.3cm、長さは13cmもあり、他の平均的なものよりずっと太くて長いメタルマッチです。このサイズにより使用可能回数はなんと30,000回! ほぼ半永久的に使用できるといって良いでしょう。
着火する時には気前よくマグネシウムの粉を大量に作り、それを火花で燃焼させることで大火力を生み出すことができます。ロッド全体がマグネシウムでできており持ち手はありませんが、太さがあるので使いづらさはありません。付属する1.1mのパラコードもいざというときにあると助かる優秀なアイテムです。
アルティメイト サバイバル (ULTIMATE SURVIVAL) ブラストマッチ
<商品スペック>
- 全長:10cm (収納時)
- ロッド:ー
- 重量:76.6g
- ロッド素材:ー
簡単かつ確実に着火ができる、画期的な構造のメタルマッチです。このブラストマッチはアメリカの空軍や陸上自衛隊などの装備として正式採用されており、過酷な環境下で働くプロが持つべきアイテムとして認められています。
使い方は独特でありながら非常に簡単。収納されているロッドを出して、ストライカーが付いているボタンを押しながら火口に押し付けるだけです。するとロッドが自動的にストライカーと擦れて大きな火花が出ます。片手のみで簡単に着火できてしまう優れもので、普通のメタルマッチで上手に着火できないという方におすすめです。
ガーバー (GERBER) ベア・グリルス ファイヤースターター
<商品スペック>
- 全長:12cm
- ロッド:ー
- 重量:75g
- ロッド素材:マグネシウム
ナイフメーカーとして世界的に有名なガーバー社の、ベア・グリルスシリーズのメタルマッチです。ベア・グリルスはディスカバリーチャンネルのサバイバルがテーマの番組に出演していることで知られており、その番組の中でこのメタルマッチも登場します。
ロッドとストライカーは普段筒状のケースに収納されるようになっているので、バッグの中でほかのものに傷をつけたり、勝手に擦れて火花が出たりといった心配が要りません。ベア・グリルスシリーズ特有のブラックとオレンジの配色が映える、男らしいデザインのアイテムです。
キュア(CURE)オールインワン ファイヤースターター
<商品スペック>
- 全長:12.2cm
- ロッド:6.3cm
- 重量:100g
- ロッド素材:フェロセリウム
メタルマッチとしての機能を含め、10個もの機能がこれひとつにまとめられています。方位磁石やLEDライト、ホイッスルにSOS信号の送り方の表示など、キャンプのみならず事故や災害の時にも役に立つ機能が満載です。
このようによく考えられた構造が、ガジェット好きの心を刺激します。それでいて本体はコンパクトなので、念のためにバッグに忍ばせておくのも良いでしょう。防災グッズとしてもおすすめです。
ブッシュクラフト (Bush Craft) ファイヤーメーカー
<商品スペック>
- 全長:20cm
- 重量:190g
- ロッド素材:フェロセリウム
「これからはライターやマッチなどに一切頼らず、メタルマッチで火を起こすんだ!」という意気込みをお持ちの方は、このブッシュクラフト社が誇る最強のメタルマッチ、ファイヤーメーカーはいかがでしょうか? 長さ20cmもある巨大なロッドは太さ1.3cmのフェロセリウム製で、長いストロークにより数秒間強力な火花が出続けます。
一瞬しか火花を出すことができない他のメタルマッチと比較して、着火の成功率が段違いです。付属している独特な形状のストライカーには5つの機能が備わっていることに加え、ロゴが大きめに刻印されているデザインがとてもカッコいいです。普段のファッションに合わせるペンダントとしても十分使用できます。
メタルマッチとナイフがセットになったおすすめ商品
メタルマッチが内蔵されている便利なナイフもあります
モーラ・ナイフ (Morakniv) Companion Spark
<商品スペック>
- サイズ:23.8cm
- 重量:92g
- ロッド素材:ー
こちらはコストパフォーマンスが非常に優れていることから絶大な人気を誇っている、モーラナイフの2019年の新商品です。この記事を読んでくださっている方の中には、モーラナイフの名をすでに知っている方も多いことでしょう。
ブッシュクラフトに最適なナイフとして世界中の多くの人から愛されているモーラナイフに、メタルマッチが備われば鬼に金棒。薪割り、フェザースティック作り、そして火起こしといった作業をこのナイフ1本で完結できます。ロッドをナイフの背で擦って火起こしができれば、周囲からはもうベテランとして見てもらえます。
モーラナイフに興味がある方やキャンプ用のナイフを探している方は、他の記事で詳しくおすすめの紹介や選び方の解説をしていますので、ぜひそちらもご覧ください。
メタルマッチで簡単に着火できる火口をご紹介!
すでに解説した上手に火を起こすための4つのメタルマッチの使い方のコツのうちのひとつ、「燃えやすい火口(ほくち)を使う」という点に関して、火口にするのに向いているものを具体的にご紹介します。
火口の特徴
- ふわっとしているもの
- 繊維状であること
- 乾いたもの
この3つの条件を満たしてあるものは火口として使える可能性が高いです。
自然の中で手に入る火口
ススキの穂、杉の皮を揉みほぐしたものあたりがいろんな場所で簡単に手にはいるのでおすすめです。いずれの場合も、枯れて水分がなくなっているものを選びましょう。また、笹の葉も見た目は繊維状ではないが、縦に細く裂いていくと繊維状になり、揉みほぐすと火口になります。
中でもススキの穂はとても簡単に火がつきます。その分燃え尽きるのが早いので、すぐに着火剤(火口から火を大きくするもの)を足しましょう。
自分で作る火口
キャンプに行く前に、前もって自分の家で火口を作る事もできます。「チャークロス」や「ワセリンティンダー」などが簡単に作れる上に使いやすいです。チャークロスは金属の缶に綿でできた布(Tシャツなど)を切って入れ、布が炭になるまで火にかけて作ります。メタルマッチ1発で簡単に火がつく火口になります。
ワセリンティンダーはドラッグストアで手に入るワセリンを熱して液状にし、その中にコットンを入れ、溶けたワセリンを吸収させて作ります。ワセリンがついていることで、火の持ちが良い火口が出来上がります。
いずれの作り方も場合によっては危険を伴うので、実際に作る際には作り方をしっかり調べ、自己責任のもと行ってください。
買うことができるおすすめの火口
「火口を現地調達するのは手に入れられるか不安だし、自分で作るのも面倒だ。」という方は、いっそ買ってしまいましょう。安いものだと麻紐やコットンやティッシュがおすすめです。麻紐は適当な長さに切り、手でほぐすと火がつきやすくなります。コットンは一枚を開き、毛羽立たせることで火起ししやすくなります。
もっと良いものとなると、ブッシュクラフト社が販売しているティンダーウッドやファイヤーキャンディーなど、火口として使用するのに最適化したアイテムもあります。
Bush Craft (ブッシュクラフト) ティンダーウッド
松脂をたっぷり含んでいるため着火しやすい天然の松の木です。あらかじめ使いやすいサイズにカットされているので、そのままフェザースティックにもできます。メーカーのロゴがプリントされた専用の袋とレザーのタグが付属し、中身を使い切った後も薪や小物を入れる袋として使用できます。
Bush Craft(ブッシュクラフト) ファイヤーキャンディ
小さい缶の中に、4色の飴玉のような着火剤が20個入っています。その着火剤を割ると中から綿が出てくるので、それに火花を飛ばして着火します。メタルマッチで簡単に着火できる使いやすさもさることながら、何よりも可愛らしい見た目がGOOD! キャンプ仲間との話のネタにはもってこいのアイテムです。
メタルマッチで着火しやすい火口を比較した動画
メタルマッチで着火しやすい火口を比較検証してみました。
火起し最強のメタルマッチの使い方とおすすめのまとめ
メタルマッチで火を起こすのは、言うまでもなくライターやガスバーナーを使うより手間がかかります。ですが、それが楽しくてたくさんの人がメタルマッチでの火おこしをしています。メタルマッチの使い方を覚えてしまうとライターで火をつけるのは簡単すぎて味気ないものになります。
不便を楽しめるのもキャンプの良いところなので、まだメタルマッチを使ったことがない方は、メタルマッチの使い方を覚えてぜひ挑戦してみてください。最初はなかなか上手にできないことができるようになってくる楽しさが、最強の火起しツールのメタルマッチにはあります。